収録パート
Lda113
【Lda113】
[piece]
今日、しげるおじさんのお墓参りに行ってきた。
あれからもう二年。
あの通夜の後、次の週には学校に行った。
言われた通り、麻雀部の部室に行ってみた。
みんな、私を待っていた。先輩、先輩って。
原村先生は思いっきり抱きしめてくれた。
私は、思いっきり泣いた。
こんなにも私のことを想ってくれる人たちがいたのに、忘れてしまった。
何度も、ごめんなさいって言った。
私はリアルワールドで、沢山の人と繋がっていたんだなって、その時実感した。
今、私は高校一年。
清澄高校に入学した。
学費とかは、天おじさんが払ってくれてる。
そこでも私は麻雀部に入部した。
昔は無名だったけど、今では毎年全国に行く強豪校。
部員数も50名を超え、レベルはものすごく高い。
顧問の竹井先生は悪待ちが得意で、強い。
やっぱり、おじさんの影響を受けてるのかな。
だとしたら嬉しい。
誰かの中で今も生きているってことだから。
lainとは今でも付き合っている。
相変わらず荒っぽいけど、マナーは守るようになった。
時々喧嘩するけど、なんとかしてる。
結構lainは単純で、使いやすい。
『『悪かったわね。単純で』』
ごめんごめん。
おじさんのお墓は、中央線K駅から、歩いて十五分くらいの所にある。
仲間と離れて遠くに大きい墓を建てるより、小さくていいから、ちょくちょく行ける近場に建てた方がいいって。
私のアパートからはちょっと遠いけど。
それにしても、おじさんの墓は酷いことになっている。
おじさんの墓は、日本全国の博打、麻雀打ちにとっての名所になってた。
みんなお墓に手を合わせて、戦利品とか置いてく。
その後、お守り代わりにっておじさんのお墓の一部を削って持って帰る。
いつの頃からそうなったかわからないけど、もうこの二年で、お墓の三分の一も削り取られちゃった。
けど、私はそれでいいと思ってる。
そうやっておじさんはいろんな人の中で、生きているんだから。
私も石、とってきちゃった。
ごめんねおじさん。
私、岩倉玲音は、みんなと繋がりたかった。
ずーっと一人で、さびしがり屋だった。
リアルワールドで、うまく人と付き合えなかった。
けど、ワイヤードでなら繋がれた。
だから、リアルワールドに、私はいなくていいって思った。
でも、本当はそうじゃなかった。
いつの間にか、私はリアルワールドで沢山の人と繋がってた。
いつの間にか、みんなと繋がってた。
『『なら……もういいんじゃない?玲音』』
ううん。
私、みんなと繋がれたけど、みんなの中に、私は全然生きてない。
私、しげるおじさんみたいになりたい。
『『私は私、じゃないの?』』
私が、なりたいの。だから、私でしょ?
『『ふーん。でもそれって、ワイヤードでだって、出来るでしょ?』』
でも、みんなが、そこにいるわけじゃないでしょ?
しげるおじさんみたいにそっちに繋がって無い人もいる。
ワイヤードは、まだちっちゃい。
『『連れてくればいいじゃん』』
それは『その人』じゃないでしょ?
『その人』で無ければ意味ないよ。
だから私は、ここにいる。
『『フフフ……。ま、いいんじゃないの?そういう事なら、そういう事でさ』』
私も……めんどくさい女ね……ウフフ……。
『しげるおじさんは、笑ってるだろうな…』
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