serial experiments akagi   作:叶芽

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収録パート




Lda113







level12

 

 

 

【Lda113】

 

 

 

 

 

   [piece]

 

 

 

 

今日、しげるおじさんのお墓参りに行ってきた。

あれからもう二年。

 

あの通夜の後、次の週には学校に行った。

言われた通り、麻雀部の部室に行ってみた。

みんな、私を待っていた。先輩、先輩って。

原村先生は思いっきり抱きしめてくれた。

私は、思いっきり泣いた。

こんなにも私のことを想ってくれる人たちがいたのに、忘れてしまった。

何度も、ごめんなさいって言った。

私はリアルワールドで、沢山の人と繋がっていたんだなって、その時実感した。

 

今、私は高校一年。

清澄高校に入学した。

学費とかは、天おじさんが払ってくれてる。

そこでも私は麻雀部に入部した。

昔は無名だったけど、今では毎年全国に行く強豪校。

部員数も50名を超え、レベルはものすごく高い。

顧問の竹井先生は悪待ちが得意で、強い。

やっぱり、おじさんの影響を受けてるのかな。

だとしたら嬉しい。

誰かの中で今も生きているってことだから。

 

lainとは今でも付き合っている。

相変わらず荒っぽいけど、マナーは守るようになった。

時々喧嘩するけど、なんとかしてる。

結構lainは単純で、使いやすい。

 

『『悪かったわね。単純で』』

 

ごめんごめん。

 

おじさんのお墓は、中央線K駅から、歩いて十五分くらいの所にある。

仲間と離れて遠くに大きい墓を建てるより、小さくていいから、ちょくちょく行ける近場に建てた方がいいって。

私のアパートからはちょっと遠いけど。

それにしても、おじさんの墓は酷いことになっている。

おじさんの墓は、日本全国の博打、麻雀打ちにとっての名所になってた。

みんなお墓に手を合わせて、戦利品とか置いてく。

その後、お守り代わりにっておじさんのお墓の一部を削って持って帰る。

いつの頃からそうなったかわからないけど、もうこの二年で、お墓の三分の一も削り取られちゃった。

けど、私はそれでいいと思ってる。

そうやっておじさんはいろんな人の中で、生きているんだから。

私も石、とってきちゃった。

ごめんねおじさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

私、岩倉玲音は、みんなと繋がりたかった。

ずーっと一人で、さびしがり屋だった。

リアルワールドで、うまく人と付き合えなかった。

けど、ワイヤードでなら繋がれた。

だから、リアルワールドに、私はいなくていいって思った。

でも、本当はそうじゃなかった。

いつの間にか、私はリアルワールドで沢山の人と繋がってた。

いつの間にか、みんなと繋がってた。

 

 

 

『『なら……もういいんじゃない?玲音』』

 

 

 

ううん。

私、みんなと繋がれたけど、みんなの中に、私は全然生きてない。

私、しげるおじさんみたいになりたい。

 

『『私は私、じゃないの?』』

 

私が、なりたいの。だから、私でしょ?

 

『『ふーん。でもそれって、ワイヤードでだって、出来るでしょ?』』

 

でも、みんなが、そこにいるわけじゃないでしょ?

しげるおじさんみたいにそっちに繋がって無い人もいる。

ワイヤードは、まだちっちゃい。

 

『『連れてくればいいじゃん』』

 

それは『その人』じゃないでしょ?

『その人』で無ければ意味ないよ。

 

 

だから私は、ここにいる。

 

 

『『フフフ……。ま、いいんじゃないの?そういう事なら、そういう事でさ』』

 

 

 

 

 

私も……めんどくさい女ね……ウフフ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『しげるおじさんは、笑ってるだろうな…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 



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