干物妹!うまるちゃんの日常   作:若狭東

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今回から切絵ちゃんを入れていこうと思います。もうすぐで1巻が終りそうです。


その7 うまると勉強

ある日の数学の授業

 

カッカッカッ うまるさんはチョークで黒板に答えを書いていく。

 

「土間さん正解!」

 

先生に正解と言われた時、クラスの皆から、おおーーと言われる。

 

そんなに難しい問題か?

 

達生にとってはそこまでだと思う。

 

「この式はテストで出るからみんな覚えてくださいね」

 

先生が言った瞬間、ほとんどの人がノートにメモをしている。

 

俺もメモしないと……

 

「うまるさん」

 

「!」

 

訪ねてきたのは、シルフィンさん。

 

うまるさんに何か用があるのかな

 

どうせ、テストのことだろう。

 

「今度の中間テスト!!あなたには負けませんわよ!?」

 

やっぱり

 

シュバフィーンとしている。シュバフィーンとは、言葉では言い表せないほど輝いている感じだ。

 

「1位をとるのはこの私。橘:シルフィンフォードですわー!!」

 

また始まった

 

毎回のことだ。うまるさんは苦笑いしている。

 

「橘さん。授業中ですけど」

 

先生が一方的に喋るシルフィンさんを注意した。

 

「あら、失礼しましたわ」

 

そう言うと、シルフィンさんは席に座った。

 

ふぅ……終わった。

 

うまるさんも席に座った。そこで、何かオーラを出している女の人に気がついた。

 

その正体は本場さんだ。

 

何故かうまるさんをジー~と見つめ続けている。

 

うまるさん何かしたのだろうか

 

「.…………」

 

言葉を出さずに本場さんは見つめ続けている。うまるさんは見つめ続けられていることに気がついていない。

 

「私が一位ですわよーー」

 

シルフィンさんは相変わらず元気いっぱいだ。

 

本場さんどうしたんだろう

 

達生は気にはなったが、勉強が忙しい俺には関係ない話だった。

 

 

 

 

 

 

 

学校からの帰り道

 

今日も、友達の海老名ちゃんと一緒に帰っていたうまる。毎日一緒に行き帰りをしている。

 

「来週テストだからかな?みんなピリピリしてるね」

 

うまるが今日の授業で思ったことを言った。

 

まぁ、テストも近いしね

 

ピリピリして当然といったら当然なのかもしれない。

 

「うん。そうだね……」

 

海老名ちゃんは下を見て、ずーんと落ち込んでいる。

 

どうしたんだろう。具合でも悪いのかな?

 

「ど……どうしたの?海老名ちゃん?」

 

うまるは心配して聞いてみた。多分テストのことが関係していると思うけど

 

「私…次のテスト、自信なくて……前回もミスばっかりしちゃったし……」

 

やっぱり。うまるの予想は的中していた。何とか海老名ちゃんに元気になって欲しく、励まそうとした。

 

「海老名ちゃんは本番に弱いだけだよ」

 

しまった……

 

これじゃ、励ましになっていない。うまるはミスしたことに気がつき、自分もこの頃ミスしてしまったことを言う。

 

「私だってよくミスするよ。昨日だって学生証なくしちゃったし」

 

「え!?そ……そうなの!?」

 

そう。昨日に家にあったはずの学生証がなくなってしまったのである。基本的に学生証は家から持ち運んでいない。

 

多分どこかに紛れ込んでいると思うけど

 

「うん。だから一緒にがんばろ!」

 

「うまるちゃん……」

 

良かった。海老名ちゃんが元気なってくれて。

 

何とか海老名ちゃんを元気づけることに成功したうまるだった。

 

 

 

 

 

その日の夜

 

ご飯も食べ終わった頃

 

「.…って、言ったなら、お前も勉強しろよ」

 

タイヘイが目にしたのは、だらけながらゲームをしているうまるの姿だった。

 

「え~~~~~~めんどくさい~~~~~~~」

 

本当にめんどくさい様子だった。ここは兄として少しは言っておかないと、

 

「いいのかよ、テスト勉強しないで戦場ゲームしてて」

 

テレビの画面からは、ダダダダダと聞こえ、たまにグレネード!!と聞こえる。

 

本当に戦場だな……ゲームの中だけど

 

「FPSだよ、お兄ちゃん」

 

FPS?なんのことなんだ。

 

タイヘイには、今の高校生の専門用語的なのがわからなかった。その時は、わからなかったが

 

後日調べるとファーストバーソンシューティングゲームの略らしい。

 

「.………….…………」

 

うーむ……と悩みながら

 

! 何かを思いついたタイヘイ。

 

どうせ、あーなるだろうな。

 

「ま いいんじゃないか?勉強しなくても。普段授業聞いているから成績良いし」

 

くるりと向いてタイヘイは言う。

 

「でも中間テストはひっかけが多いからなーー。授業だけじゃいい点とるのも難しいかもしれないな」

 

うまるはゲームに集中しているが、くどくど落ち着きがなく

 

うっ……

 

小声が聞こえる。ちょっと焦っているな。

 

よし、ここで追い討ちをかけよう。

 

「テスト前に遊んでるんじゃ仕方ないけどな」

 

はぁー

 

あえてため息をつきながら言った。そうしたら、うまるは

 

む……

 

表情を固くして、

 

「FPSは……遊びじゃないんだよ!!」

 

真顔で言われてしまった。そんなことを言い返してくるとは思ってなかったタイヘイは

 

「.………….…………」

 

言葉を返すことなく、苦笑いした。

 

 

 

 

 

その日の深夜

 

2人とも寝た頃

 

うまるは夢にうなされていた。

 

「.…………うーん……」

 

その夢の内容は.…

 

 

 

ダダダダダダダダダダ、バンバンバンバン

 

「ぬわーーーっ!!敵がハンパなく強い!!」

 

うまるは困った様子で敵の射撃から隠れて戦っていた。

 

「確実にヘッドショットを狙ってくる!!」

 

「え?別に強くありませんわよ?」

 

その声は.…

 

「!」

 

なんとシルフィンさんだった。

 

「あなたが弱いだけじゃないかしら?」

 

なんだって、うまるが弱いだけ?

 

「うまるちゃん……」

 

声をする方向に向くと、そこには深く傷を負った海老名ちゃんがいた。ズルズル足を引きずっている。

 

「私やっぱり自信ないよ」

 

これは、テストの戦闘?

 

.…………そんなのはないはず。夢だ。早く夢よ覚めて………と願っていたら

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……夢?」

 

うまるは悪夢を見ていた。

 

このままじゃヤバイ

 

そう思いタイヘイの近くに行き、スーースーー寝ているタイヘイに

 

ドスンッ、タイヘイにダイブした。

 

「うおおぉっ!?」

 

「お兄ちゃん。勉強おしえてーー!!」

 

うまるは涙目になっている。何が起こったのかわからないタイヘイだった。

 

「…….…………」

 

未だに状況を理解できない。一瞬、妖怪かと思ってしまった。

 

 

 

 

 

「どうせ、こうなると思ってたけどな」

 

徐々に状況を理解していったタイヘイ。

 

数時間前にあーなると思っていたが、やっぱりなったか

 

「まぁまぁいいじゃないの」

 

タイヘイは眠かったが、妹の真剣な頼みだったので、勉強を教えることにした。

 

教え終わったときは、本当に眠かった

 

 

 

テスト終了後から数日後の朝……

 

「わっ!!すごい!!」

 

「うまるちゃん。また1番!?」

 

中間テストの順位が張り出されていた。

 

1.土間 埋

 

2.石橋 達生

 

3.橘:シルフィン フォード

 

「今回のテストすっごい難しかったのにすごいね!」

 

「いい塾行ってるの?」

 

周りはざわざわしている。

 

「家庭教師かな?」

 

苦笑いしながら、うまるは答えた。

 

海老名ちゃんを見ると困った表情で落ち込んでいる。

 

また悪かったのかな?

 

シルフィンさんを見ると、驚きの表情をしている。どうやら、勝負に勝ちたかった様子だ。

 

達生くんを見ると、くそーと言いたげな表情をしている。達生くんもどうやら勉強していたらしい。

 

危なかった…

 

もしお兄ちゃんがいなかったら、今回はヤバかったと思ううまるだった。

 

 

 

 




次回くらいに、切絵ちゃんとうまるの会うお話を入れようと思います。

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