干物妹!うまるちゃんの日常   作:若狭東

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その5 うまるとジャンケン大会

ある日の休日。土間家では

 

うまるの目がキラキラ輝いていた。キラキラした目の先には

 

 

 

〈大ジャンケン大会!癒しゆるキャラネコロンブスBIGぬいぐるみ! 超でかサイズ!〉

 

 

 

と書かれたチラシに釘付けになっている。

 

「おお.…お兄ちゃーん!!大変だー!!」

 

いきなり大声で呼ばれたタイヘイは急いで走ってきた。

 

「んな!?なんだ、どうした!?火事か?」

 

「いいから、お出かけするよ!」

 

「ちょっと待て、説明を.……」

 

タイヘイが最後まで言葉をしゃべる前にうまるに引っ張られ、外に出ることになった。

 

なんだ、いったいどうしたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

商店街についたうまるとタイヘイ

 

「さぁ、いくよ。お兄ちゃん!!」

 

タイヘイは例のチラシを見てやっと状況を理解した。

 

「.うまる。大変ってまさか…」

 

「うん!!絶対ゲットするよ!!」

 

やっぱり

 

「お、お前これのどこが大変なんだ!!休日出勤を断って来たんだぞ!?」

 

そう、今日もタイヘイは仕事があった。

 

うまるが一大事っていうから仕事を無理矢理断って来たんだ。

 

タイヘイは少し怒っている。

 

「まぁまぁお兄ちゃん休む事も大事だよ」

 

まぁ休むことも大事だが

 

「だいたい俺いらないだろこれ!!一人でいいだろ!!」

 

タイヘイは少し怒り気味でうまるに言った。

 

「え?何言ってんの、そりゃーー」

 

そりゃーどうしたんだ?

 

タイヘイの怒りは事と次第によっては治まらない。

 

「.………….…………」

 

うまるのやつ、誤魔化す言い訳を考えているな。

 

「うまる…お兄ちゃんと遊びたかったの……」

 

「! な!?」

 

「お兄ちゃんさ……仕事ばっかりで大変でしょ?だからこうでもしないと休みとってくれないと思って」

 

「え!?」

 

いや、騙されるな俺。

 

でもよくよく考えてみれば

 

はっ頭の中に横切る言葉

 

 

休み、仕事、

 

 

うまる…

 

 

そうか!!確かに俺は仕事に集中しすぎてうまるにかまっていなかったかもしれん!!

 

きっとそうだ。何で俺は気づいてやれなかったんだ。よし決めた。

 

「よし!!休日は休むものだからな!!安心しろ うまる!!こう見えても俺はジャンケン強いんだ!!」

 

「うんっ!ありがと、お兄ちゃん♥」

 

うまるは笑顔で言ってくれた。

 

そう。あの時の俺は何にも気づいてなかった。

 

 

 

うまるに騙されていたことに。

 

 

 

 

 

 

 

「ジャンケン大会の券はこちらで配っておりまーす!」

 

店員さんが並ぶ人に声をかける。

 

「.………………」

 

タイヘイは魂が抜けたかのように静かに並んでいる。

 

「並んでお待ちくださーい」

 

そう、ほんの少し前のこと

 

 

 

 

 

うまるがまだいた時

 

「んじゃ私は2号店の方へ行くから!1号店はよろしくね!」

 

うまるに最後に告げられた言葉

 

「.………え!?」

 

その時のタイヘイはうまるが何を言っているのか理解できなかった。

 

 

 

だが、今になって理解した。

 

あ……あいつ。少しでも勝つ確率を上げるために俺を呼んで…

 

しかも別の店へ行かせやがったー!!

 

何で俺は気づいていなかったんだ。もっと深く考えてみれば、

 

あわよくば 2個手に入れるつもりで俺をだましたのかーー!!

 

あんな笑顔と嘘の言葉に騙されるんじゃなかった。

 

後悔しても後悔しきれないタイヘイ。そんなことを考えている間にジャンケン大会が始まろうとしてた。

 

「はーい みなさーん!!それではジャンケン大会はじまりますよー!!」

 

会場のステージのお姉さんが手を出している。

 

「お姉さんとジャンケンして買った人だけステージに来てくださいねーー♪」

 

俺は…

 

いったい何をしているんだろう?

 

 

その疑問を答えてくれる人はいなかった。

 

 

 

数分後.…

 

「さぁーーっ!!ジャンケン大会もいよいよ決勝戦!!」

 

会場のステージの上には

 

 

タイヘイがいた。

 

そう、タイヘイは勝ち残っていたのだった。勝ち残ってしまった。

 

「こちらの女の子とお兄さんの一騎討ちだーー!!」

 

女の子?一体誰なんだろう。女の子を見ると、その女の子は海老名ちゃんだった。

 

「.…あれ? 海老名ちゃん?」

 

海老名ちゃんはタイヘイを見る

 

その瞬間

 

「えっ!?あ……へぁ!?おおお兄さん!?」

 

海老名ちゃんの顔は真っ赤に染まっている。

 

会場のお姉さんはそんなことお構い無しに

 

「さぁ、お2人さん!!いきますよぉ!?」

 

海老名ちゃんをまた見ると、あわわわわとしながら、頭から蒸気のようなのが発生してる。

 

パニック状態になってるな、これ

 

「じゃーんけーん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンケン大会も終わり、夕方。

 

「お兄さんってジャンケン強いんですね」

 

1号店のジャンケン大会を優勝したのは、タイヘイだった。タイヘイの手には、ネコロンブスがある。

 

「いや、なんか心理学的にグーかパーを出せば勝ちやすいらしいよ」

 

というか、このネコロンブス?だったかな、それ以外とでかいな

 

片手なんかじゃ持てない大きさだった。

 

「.………….…………」

 

海老名ちゃんを見ると、下を向いている。

 

まずいな。海老名ちゃんよっぽど欲しかったのかも

 

タイヘイは考え始める。そして一つの考えにたどり着いた。

 

これが原因でうまると遊びにくくなったりしないだろうか

 

それだけは阻止しないと。

 

「あの……これあげるよ。妹の友達を負かしてもらうのは気が引けるし」

 

うん。その方が絶対にいい。

 

すると、海老名ちゃんは

 

「えぇ!?いい……いや!!いいですよ!!」

 

まぁ誰だって、年上の方から物を譲り受けるのは、遠慮してしまう。タイヘイも同じようなことがあったら、遠慮してしまうだろう。

 

何としてでも、受け取ってもらわないと

 

「それに海老名ちゃんすごく欲しかったんでしょ?」

 

何とか受け取ってもらうために言葉を繋ぐ。

 

「コイツも海老名ちゃんにもらわれた方がうれしいよ」

 

すると

 

思いが伝わり

 

「は……はい……ありがとうございます」

 

海老名ちゃんに何とか受け取って貰えた。

 

タイヘイはうまると合流しないといけないので、

 

「バイバイ海老名ちゃん。」

 

「さようなら。お兄さん」

 

海老名ちゃんとお別れをした。

 

.…さて、

 

うまるになんて説明しようか

 

後ろを振り返ると

 

頬を膨らませて、怒っているうまるの姿があった。

 

その光景にタイヘイはびくーんと驚いてしまった。もし効果音があるとしたら、ゴゴゴゴとなっているだろう。

 

「うまる。いつから?」

 

一体いつからいたんだ?

 

「店からだよ」

 

 

 

 

 

それは1時間前にさかのぼる。

 

1号店のジャンケン大会が始まる頃、2号店も始まろうとしてた。今日のうまるは燃えていた。どうしてもネコロンブスが欲しかった。これは負けられない。

 

「お姉さんとジャンケンして勝った人だけステージに来てくださいねーー♪」

 

うまるは運が良くジャンケンに勝ち続け、決勝戦まで来た。

 

「さぁーーっ!!ジャンケン大会もいよいよ決勝戦!!」

 

うまるはステージに立っていた。ネコロンブスまであと少し

 

「こちらの男の子と女の子の一騎討ちだーー!!」

 

さぁーて、対戦相手は

 

その男の子を見ると、それは

 

 

 

達生くんだった。

 

 

 

えぇ!?達生くん?どうしてここに……?とにかくバレないようにしないと

 

うまるは驚いてしまった。対戦相手同士で向き合う。

 

「すいません。どこかでお会いしましたか?」

 

まだ、バレてない。うまるは神様に感謝した。

 

「いえ、これが初めてだと思います。」

 

何とか誤魔化すことは出来た。達生くんも多分燃えている。ジャンケンなんて、結論運要素次第だ。運が強い人に勝利がある。

 

「さぁお2人さん!!いきますよぉ!?」

 

2人とも燃えている。触ったら熱いかもしれない。

 

いざ尋常に勝負。

 

「じゃーんけーん」

 

 

 

結果はうまるの負けだった。

 

達生くんに運が負けた。勝った瞬間達生くんは よっしゃっと喜び、ネコロンブスを貰って走って去ってしまった。

 

あぁうまるのネコロンブス…

 

いや、まだ頼みの綱のお兄ちゃんがいる。1号店に行くと、お兄ちゃんは優勝していた。

 

お兄ちゃん優勝したんだ。

 

ということは、ネコロンブスはうまるの物。

 

 

 

うまるは勝ちを確信していた

 

 

はず

 

 

 

 

 

 

 

で今の状況

 

「なんで海老名ちゃんにあげんの!?」

 

「意味わかんないよ!!社畜メガネ!!」

 

うまるは激怒している。ネコロンブスあげたのは、もとは言えばうまるのことを思ってあげたことだった。

 

「いや……!!俺はお前のためにだな!!」

 

そんなことはうまるに通用しない。

 

 

 

数日後……

 

うまるはぬいぐるみをヤフオクでゲットした。(お兄ちゃんもちで)

 

 

 

 




11月18日、今日は干物妹!うまるちゃんの9巻と秋田妹!海老名ちゃん一巻の発売日ですね。皆さん、もうご購入しましたか?自分は早めに購入できたらいいなと思います。
次の話も、読んで頂ければ、嬉しいです。お気に入りにしている人方、ありがとうございます。

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