干物妹!うまるちゃんの日常   作:若狭東

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なかなか忙しいです笑


その52 達生ときりえちゃん

バシャバシャッバシャ

 

俺は水泳競技場で泳いでいる、きりえちゃんを応援していた。

 

「頑張れーきりえちゃん。あと少しだー」

 

「すごい!!本場さん速い!!」

 

「ファイトです。本場さんー!!」

 

他の後輩の部員も俺と同じように応援をしている。

 

そう、今日は都大会の競技大会だ。俺もきりえちゃんも今日のために頑張ってきた。今日はその成果を出す日だ。きりえちゃんの前に俺も戦場で戦い、見事に1位になった。

 

きりえちゃんも1位になったら、いいんだが。

 

今、現在のきりえちゃんの順位は3位。3位と言っても、2位と1位は観覧席から見ても、きりえちゃんと同じ真横だった。数センチしか差がない距離。ここできりえちゃんが少しでも速度が上がれば1位になれるのだが、後半の体力から考えるに、それを実行するのはなかなか難しい。

 

そして、きりえちゃんはゴールした。

 

「あー…本場さん。おしい!!」

 

『3位。本場選手-』

 

アナウンスがきりえちゃんの順位を告げたのだった。

 

 

 

 

 

そして、それから二週間後…

 

横の座席には緊張した様子のきりえちゃんがいた。何故、きりえちゃんと一緒に座っているかというと、デー…ではなく、水泳の講習会に電車で向かっていた。電車の中には、俺ときりえちゃんとサラリーマンやOLなど様々な社会人がいる。

 

後輩達は?と聞かれると、今回の大会の上位成績者しか行けないため、後輩達はいない。

 

となると、顧問の佐藤先生は?と聞かれると、今日の朝にメールで

 

『急に外せない会議が入っちゃったから行けなくなっちゃった。2人でも大丈夫よね?』

 

外せないような大事な会議が急に入るものなのだろうか?

 

そこに疑問を感じていたが、そんなことを聞いても意味がないと思い、

 

『了解です』

 

と送ったため、顧問の佐藤先生もいない。

 

今日の講習会は浜松で行われる。浜松に行くのは、あの日以来なんだが。横ではまだきりえちゃんが緊張している様子だった。

 

むむむ。これは重症だな。

 

「きりえちゃん。大丈夫?」

 

「は、はいっ。全然平気です。ピンピンしています。ばっちこいです」

 

この反応…こりゃ、ダメだ。

 

「とりあえず、今日、頑張ろ」

 

「は、はいっ」

 

こうして、二人だけの講習会への旅が始まった。

 

 

 

 

 

午前の講習会が終わり、昼食になる。昼食は顧問の佐藤先生が用意してくれるはずだったが、佐藤先生が不在のため、メールで

 

『あっ、いい忘れてた。昼食は自分たちで調達してね♪』

 

とそのメールを朝の電車の中で受信していた。

 

まったく、本当にこの人は先生なのだろうか?なんかこの感じの人、身近にいたような…気もするが。

 

「きりえちゃん。昼食、何か食べたいものでもある?」

 

「いっいえ。何でも大丈夫です」

 

きりえちゃんの緊張はなくなっていた。講習会が始まると緊張がなくなっていた気がする。それまでは緊張しぱなっしだったけど。

 

「うーん。そうだな…」

 

何でもいいと言われると、逆に悩んでしまう。ここは浜松。浜松と言えば…

 

母さんの店?

 

そうだ。きりえちゃんに母さんが社長をしている店を紹介してあげよう。しかも、競技場から店まで近かった。

 

「それなら、良い料理店があるから。そこにしようか」

 

「達生くんは浜松に来たことがあるんですか?」

 

「うん。まぁね。今から行く料理店は親が経営してる所なんだ」

 

「達生くんの親が経営…ですか」

 

「うん。じゃ、行こっか」

 

「はいっ」

 

母さんに電話した方がいいのかな?

 

いやでも、今仕事中だろうし、いいや

 

 

 

 

 

歩くこと10分

 

「ふぅ…ついた」

 

「ここが達生くんの経営している会社…」

 

きりえちゃんはじーとレストランを見ていた。来たのは2回目だが、立派はレストランには変わりなかった。

 

「とりあえず、入ろうか」

 

中に入ると、お客でいっぱいだった。

 

「お二人様ですか?」

 

「はい」

 

「では、9番テーブルへどうぞ」

 

受付の人に案内されて、俺ときりえちゃんは座る。

 

「きりえちゃんは何にする?」

 

俺はメニューを見ながら聞いた。

 

「..…」

 

あれ?反応がない。ただの屍にはなっていないはずなんだが。

 

メニューから視線をきりえちゃんに移すと、きりえちゃんは慌てた様子で鞄の中をあさっていた。

 

「うん?どうしたの?」

 

「実は…お財布を忘れてきてしまいました。ごめんなさい」

 

どうやら、きりえちゃんはお財布を忘れてきてしまったようだ。というか、顧問の佐藤先生が来たら、昼食は用意してくれたから、本当はお財布なんていらない。

 

「うーん。しょうがないな。ここは俺が…」

 

俺はいつもポケットに入っている財布を出そうとしたが、そこには財布が入っていなかった。

 

あれ?財布。財布。……あっ……家の机の上だったけ?

 

こりゃ、絶体絶命。

 

だが、誰が言ったかは忘れたが、世の中にはこんな言葉がある。

 

 

 

諦めたらそこで試合終了=諦めなかったら、試合は永遠に終わらないと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




このままうまるちゃんの漫画通りに進んでいってもいいんですが、そろそろ、家にある漫画の何かとクロスオーバーでもしたいなと考えているのですが、どうでしょうか?ご意見あればお願いします。

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