干物妹!うまるちゃんの日常   作:若狭東

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その4 うまるとお出かけ

ある日の休日

 

土間家では、銃声が鳴り響いていた。

 

ダダダダダッ パパパンッパン

 

「お兄ちゃん!!リロードして!!」

 

うまるが指示をする。

 

「え!?ど……どれだ!?」

 

ゲーム経験が浅いタイヘイには難しいことだった。

 

「ああ!!うしろうしろ!!」

 

その時タイヘイのプレイヤーの後ろにはゾンビが接近していた。

 

かぶっ

 

「あ」

 

その瞬間。テレビの画面にはYou DEADと表示され、ウ……ウ……ウギャアアァァ~と聞こえる。

 

「あ~~~~負けちゃった」

 

「…………………」

 

タイヘイは言える言葉が見つからない。

 

「お兄ちゃんそんなんじゃきびしい社畜戦争をのりきれないよ」

 

うまるは笑いながらバカにしてくる。

 

「ほっとけ!操作が難しいんだよ」

 

ゲーム操作が難しい。タイヘイは仕事でそんなにゲームなんてやっていない。

 

「お兄ちゃん次なにやる?」

 

タイヘイはうまるの声を聞きながら、時計を見る。時刻は昼の2時を過ぎていた。

 

「2時か……そろそろスーパーに買い物いかないと」

 

毎週の休日の昼に食材を買いに行ってる。今週の分も買わないといけない。

 

「え!?なんで!?これからじゃん!」

 

うまるにとってこれからが本番らしい。少し怒りぎみに言ってくる。だが、今食材を買いに行かないと買いに行く時がない。

 

「いや……今週の食材 買わないと」

 

何とか通じてくれ

 

タイヘイは願いながら正当な理由を言うと

 

「先週の日曜も行ったじゃん!」

 

「そりゃ先週の分だろ!」

 

タイヘイのツッコミが入った。久しぶりにツッコミをしたような気がする。

 

何とかスーパーに行こうと外に出ようとしたら、うまるもついてくるらしい。

 

うまるのやつ、何か企んでいるな

 

そう思いながら、時間もおしているので、しょうがなく、うまると一緒に行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スーパーに向かう途中、うまるはむっすーーーんとしてる。

 

? なんで怒ってんだ?

 

タイヘイはうまるが何の理由で怒っているのか分からなかった。とりあえず声をかけてみることにした。

 

「うまる。別について来なくても家でゲームしてていんだぞ?」

 

うまるはぷぷいっとそっぽを向く。

 

マジで怒ってるな.…

 

タイヘイはどうやって機嫌をとろうか考えながら歩くことにした。

 

前から近所のおばあさんが歩いてきた。

 

「あら、うまるちゃんこんにちは」

 

おばあさんはうまるが怒ってることを知らずに挨拶をした。

 

「あ、こんにちは~」

 

うまるは人がコロッと変わったように笑顔で挨拶をした。

 

こいつ…

 

外を出ると別人のようになりやがって

 

タイヘイは驚きながら、うまるをじーーと見た。うまるはにこにこしてる。

 

 

 

 

 

そうこうしてる間にスーパーに到着した。

 

「じゃあ、とりあえず今日の夕飯だな」

 

とりあえず夕飯を買うことにした。

 

「!うまるは何食べ……」

 

うまるを見ると大勢の他人から注目を受けている。いつの間にかざわざわひていた。

 

こいつ、本当に外でると別人だな。

 

これ、さっきも思ったやつじゃないか

 

タイヘイは苦い顔をしながら思った。

 

「見てあの子、すっごい美人!!芸能人!?」

 

「一緒にいる男、恋人かな?」

 

「マネージャーでしょ。あっ、SPかも!!」

 

 

 

『なんでやねん!』

 

 

 

最後の言葉にはついついツッコミを頭の中で入れてしまった。流石に最後の言葉はおかしいだろ。

 

ざわざわしてる中で、うまるの奴はちょくちょく俺に怒りの目線を送ってきた。まだ怒ってるな

 

まぁどうせいつもの気まぐれだろう

 

そう思いながら肉コーナーで鶏肉を探していた。

 

鶏肉が見つかり、カートを見ると大量のお菓子が詰め込まれていた。

 

「.…うまる。」

 

うまるはまだぷぷいっとしてる。

 

タイヘイは一つの疑問が頭に浮かんだ。

 

こいつ、こんなに注目されてんのにどうやって入れたんだ?

 

たしか、家にお菓子は山ほどあったはず、これ以上買ったらまずい。

 

「お菓子は家にあるから戻すぞ」

 

そう言ってる間にうまるにお菓子を追加されてしまった。

 

「おい追加するな!!」

 

くっ、うまるめ。いや、ここで怒り返すと逆効果だな

 

どうすればいいか分からず次に野菜を探すことにした。

 

 

 

野菜を探してる時に、1人の少年がうまるに声をかけた。

 

「あっ、うまるさんこんにちは」

 

「達生くん。こんにちは。お買い物?」

 

「うん。今週の食材を買いに来た所」

 

「すごいね。達生くんは」

 

達生と呼ばれた少年はうまると喋ってる。

 

うん?うまるの友達か?

 

疑問が浮かんでいるときに、タイヘイの存在に気がついた、達生はタイヘイに声をかけた。

 

「初めまして、こんにちは。うまるさんと同じクラスの石橋達生です」

 

「こんにちは。うまるの兄の土間タイヘイです」

 

何だ…うまるの同級生か。うまるが男の子と友達になるなんて、タイヘイには考えれなかった。

 

「お兄ちゃん。達生くんはこまると遊んでくれてるんだよ」

 

こまる?そんな人いたか?タイヘイはまた疑問が頭に浮かんだ。無理にツッコミを入れるのはやめておこう。

 

タイヘイは一つの案を思いついた。これなら行ける。

 

「うまる。達生くんフードコートでアイスでも食べないか?」

 

「えぇ!いいんですか?ちょうど、この後アイスでも食べようかなと思っていた所だったんです。」

 

「うん。行く。」

 

よし、何とか誘導は出来そうだな。タイヘイは勝負に出た。

 

 

 

 

 

フードコートでアイスを買い。3人で椅子に座った。

 

達生はいつものうまると少し違うことに気がついた。ちょっとタイヘイさんに聞いてみようかな。

 

「タイヘイさん。ちょっとお話いいですか?」

 

「うん?いいよ。ちょっとうまる待っててくれ」

 

うまるはアイスを食べるのに夢中になってて、2人の話はどうでもよかった。

 

達生はタイヘイをうまるから離れた場所へ誘導すると

 

「今日のうまるさん、いつもより怒っていませんか?何かありました?」

 

ギクッ

 

何で分かったんだこの子。

 

「その表情は当たってますね」

 

「何で、そう思ったの?」

 

タイヘイは疑問を達生に言うと

 

「僕、女性に対しては敏感で、何となく今日といつもとでは違う感じがしたんです」

 

それってただの変態じゃん。タイヘイはまたもやツッコミを入れてしまいそうになった。

 

「達生くんはすごいね。うまるの感情を見破るなんて……」

 

素直にすごいと思ったタイヘイ。

 

「で.……怒りを少しでも治めるためにアイスでもというわけですか、良い案だと思います。」

 

「何もかもバレバレだな」

 

あははと思いながら、タイヘイは言った。

 

「とりあえず戻りますか、すいません変なこと聞いてしまって」

 

「いや、見事予想的中だったよ」

 

 

 

話し合いは終わり、うまるの元へ戻った2人。うまるはまだアイスを食べている。

 

「2人で何を話していたの?」

 

うまるは何をなしていたか、気になるようだ。

 

「良い食材についてタイヘイさんに教えてもらっていました。ですよねタイヘイさん?」

 

「うん?あぁそうだよ。」

 

達生くんは状況によって的確に誤魔化す能力があるのか?

 

「へぇーそうなんだ」

 

普通に疑われることなく誤魔化すことが出来た。

 

その時、うまるのアイスがぼとっ 机に落ちた。

 

3人ともアイスが落ちたことに驚きのあまり、固まってしまった。

 

うまるさんを見てみると目がうるうるしてる。

 

ありゃ、どうしようか。

 

達生は時間を確認するために時計を見ると3時30分だった。あ、もうこんな時間。確か4時からアニメがあったはず

 

「すいません。用事があるんで、ここで失礼します。アイス美味しかったです。さようならー」

 

そう言って達生は走ってその場を去ろうとした。

 

「この状況で.……?ちょっと待って」

 

タイヘイが言った時にはもう達生の姿はなかった。この状況どうしようか

 

うまるを見るともう目はうるうるしていなく、ぷぷいっとそっぽを向いた。

 

「おい!!ついでで俺のせいにするな!!」

 

つい言ってしまった。自分で落としたんだろ。

 

 

 

 

 

 

 

買い物が終わり、その帰り道。

 

買い物が終わってもうまるは怒っている。荷物が異常に重い。荷物がずしっと体重をのせてくる。これもうまるのお菓子のせいだ。

 

少しは持ってもらわないと

 

「お……おいうまる!!お前のお菓子で重くなったんだから手伝って」

 

「.…あ」

 

その時、タイヘイの頭の中に昔の買い物の思い出がよみがえってきた。

 

そうあの時は

 

 

 

 

 

「お兄ちゃーーん。これ重いーーつかれたーー」

 

「お前がカレー食べたいって言ったから重いんだよ持ってくれって」

 

あの時はカレーが食べたいらしく、カレーのせいで重くなったんだった。

 

それから

 

「じゃあ来週うまるとゲーム三昧するなら許してあげよう」

 

「……何で俺が許してもらう側なんだ?」

 

 

 

 

 

そんな思い出あったな……

 

「.………………」

 

声をうまるにかけにくい。

 

ここで声をかけないとどうするんだ……俺は

 

「う……うまる……」

 

その瞬間うまるが振り向いてくれた。

 

「帰ったら、ゲームの続きするか?」

 

これならどうだ?

 

うまるを見てみると怒っている様子が消えていた。

 

「うんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

夕方、土間家では……

 

「ウ……ウ……ウギャアアァァーー!!」

 

テレビの画面には昼の時と同じようにYou DEADと表示されている。

 

「お兄ちゃん。弱すぎてつまんないんだけど」

 

「お前が強すぎんだよ!!どんだけやってんだ!」

 

 

 

また自分のせいで負けてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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