干物妹!うまるちゃんの日常   作:若狭東

44 / 54
その43 うまると映画

映画館に入る5人

 

「座席どうする?前?それとも後ろ?」

 

達生は4人に聞く。映画を見る人には、前の方が好きな人と後ろの方が好きな人、どっちでも良くね…という人で分かれている。

 

映画の座席は前も後ろもまだまだ余っていた。

 

「私は前が良いかな。大画面で見たいし」

 

うまるちゃんは前の方が好みらしい。他の3人はどうなんだろう?

 

「わたくしはどこでも構いませんわ」

 

「皆さんに任せます」

 

「わ…私も前の方が良いかな」

 

海老名ちゃんもうまるちゃんと同じく、前の方が良いらしい。じゃあ、前にするか

 

映画は前の座席で見ることに決定した。

 

 

 

 

 

座席に腰を下ろし、一息をつく。

 

「ふかふかですわー!」

 

シルフィンさんはいつでも、元気一杯だった。もしかしたら、あの正義の味方、アンパン野郎よりも元気一杯かもしれない。

 

座席の順番は右から シルフィンさん 海老名ちゃん うまるちゃん きりえちゃん 俺だった。

 

俺はチキってしまって、自分から端っこを提案してしまった。

 

女子に挟まれるのは、チキンとかそんなこと関係なく、絶対に阻止をしないといけなかった。

 

映画が始まるまで、まだ5分ほどある。

 

でも、何か不思議な感じがする。

 

まさか、この女子4人と一緒に映画観たりして、遊ぶなんて

 

 

 

頭の中がパンクしそうだ。

 

 

 

そんなことを考えていると、どこかから呪文のような声が聞こえてくる。

 

「あばばばばば…」

 

?…隣から聞こえる。隣はたしか

 

きりえちゃんの呪文のような肥は何かに怯えており、顔色がが真っ青だ。

 

きりえちゃんに異変が…!大丈夫か?

 

映画が始まる。

 

「だ…大丈夫?きりえちゃん」

 

「はっ!!…だだだ大丈夫です!!」

 

きりえちゃんの声は震えていた。本当に大丈夫なんだろうか?

 

「私…ちょっと暗闇が恐ろしくて…でも平気です!!どうぞ、映画を楽しんでください!!」

 

きりえちゃんは無理矢理にこぉ…と表情を変えようとしている。

 

はぁ…はぁ…はぁ

 

しかし、息は荒い。

 

こりゃ…ダメだ。何か楽しむのが申し訳ないような

 

映画をしばらく見ていると、なかなか奥が深い。どいつが犯人何だろうか?と予想しながら、見ていた達生。

 

『犯人がわかりました』

 

どうやら、犯人が分かった様子だ。多分…こいつじゃね?

 

名推理を決めて、犯人が見つかる。

 

達生の予想の人ではなかった。

 

こう言う推理に関連したドラマ、小説、アニメはよく作られていると思う。トリックやその推理などを考えるのはなかなか普通の人にはできないことだ。作っている人はマジシャンなのか?

 

 

 

 

 

映画が終わり、お昼ご飯を食べる。

 

「映画…面白かったね」

 

うまるちゃんが言う。面白かったのもあるが、改めて、よく作られているなと思ってしまった。

 

「わたくし、いつの間にか寝てしまいましわ」

 

シルフィンさんは寝てしまっていたようだ。

 

シルフィンさん。寝ていたんだ。

 

座席が一番端っこだったので、気がつかなかった。

 

「この後…どうしようか?」

 

達生は皆に聞いてみる。今日は映画を見るということだけだったので、午後からは何をするかを決めていなかった。

 

「近くにゲームセンターがありますので、ゲームセンターで遊びませんか?」

 

シルフィンさんがゲームセンターを提案する。ゲームセンターか…他と言っても、行く宛がないし、ありかもしれない。

 

「他に行く所がないしね…」

 

うまるちゃんも同じことを思っていた。

 

結果的にゲームセンターへ5人で行くことになった。

 

 

 

 

 

ゲームセンターについて、いろんなゲームを皆で回る。

 

最初にやったゲームは太鼓の達人だった。一番目は海老名ちゃんときりえちゃんがプレイした。

 

結果は…きりえちゃんの圧勝だった。どうやら、海老名ちゃんは

 

リズムゲームは苦手らしい。というか…太鼓の達人じたいが初めてだったのかもしれない。ドンとカッのことを知らなかったようだし。

 

そして、次はうまるちゃんとシルフィンさんがプレイした。

 

2人はこのゲームセンターに通っている様子ですさまじいリズム感で鬼を少しのミスだけでクリアする。僅差では合ったもののうまるちゃんが勝利した。

 

「2人とも…すごい」

 

海老名ちゃんは2人が何をしているのか分かっていなかったが、2人の操作に釘付けになっていて、感心していた。

 

「達生くんもプレイする?」

 

うまるちゃんに言われる。いずれ聞いてくると思った。答えは…

 

「いや…俺は見ておくだけで良いよ」

 

何故この答えをしたのかと言うと

 

何よりも、女の子とプレイすることじたいが恥ずかしいに限る。

 

恥ずかしさの余りにバチを投げてしまいそうになるかもしれない。

 

太鼓の達人が終わり、また回っていたら、達生の目にあるクレーンゲームが目に入った。

 

あれなら…行ける

 

達生はあるクレーンゲームに近づき、台の配置を近くで確認する。このクレーンゲームはビッグなタケノコの里だった。何故…行けるかと思ったのかと言うと

 

もう少しで落ちる寸前の所だった。

 

多分、前にやった人が負けず嫌いな性格でやりまくった結果、結局とれなかったという、落ちだったのだろう。

 

「これはとりやすいかもしれないね」

 

「達生さんなら、いけますわー」

 

気がついたら、うまるちゃんとシルフィンさんがすぐ近くにいた。あれっ?海老名ちゃんときりえちゃんは?

 

「2人は自動販売機でジュースを買いにいったよ」

 

うまるちゃんが聞く前に教えてくれた。さて、もしかしたら1回で取れるかもしれない。ここぞプロの腕の見せ所

 

100円を入れて、クレーンを動かす。たいていのクレーンゲームはアームの力が弱い。なので、どうやったらより動かせるのかを考えないといけない。

 

ここら辺かな…

 

アームがお菓子に向かって、落ちていく。そして、ガチャッ

 

見事、ビッグなタケノコの里を撮ることができた。

 

「達生くん。お見事」

 

「達生さん。クレーンゲームお上手なんですね」

 

2人に誉められる。俺も1回で取れるとは思っていなかった。

 

これは後で、皆で分け合おう。

 

それからも5人で楽しんだ。

 

 

 

実は結構恥ずかしかった。楽しみながらも…本当は早く、この緊張感?から逃げ出したいと思っていた。

 

 

 

やっぱり、男1に対し、女4は無理がありすぎる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。