干物妹!うまるちゃんの日常   作:若狭東

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今日から、また頑張ります。


その36 達生のお泊まり会 6

この体勢から、何分たったんだろう…

 

体感的には3分?いや、5分ぐらいたったんだろうか?

 

達生のズボンの上には、うまるちゃんがいる。うまるちゃんは泣いている。このまま、女の子を泣かしておくことは出来ない。何とかしないと…

 

達生は考える。この状況…どうすれば?

 

いつもなら、案が頭に浮かんでくるが…今の達生には、考えても案が浮かんでこなかった。

 

俺…焦ってるのか?

 

女の子に飛び付かれるなんて、人生で初めてだ。いや、これからも一生ないかもしれない。未知の体験に達生の頭はパンクしていた。

 

とりあえず、落ち着こう

 

達生は一旦、落ち着くことにした。

 

 

 

 

 

しばらくして…

 

うまるちゃんも泣き止んできた時に

 

「大丈夫?うまるちゃん」

 

落ち着いて、考えた結果、こんな言葉しか、かけることしかできなかった。

 

「もう。大丈夫」

 

うまるちゃんは返事をしてくれた。そして、起き上がる。

 

ふぅ…何とか、あの体勢から離脱できた。

 

「ごめんね。VR貸した俺が悪かったよ」

 

何の言葉をかけていいのかわからず、謝ることにした。こんなことになってしまったのは、全部俺のせいだ。

 

「達生くんは悪くないよ。一人でやってしまった私の責任でもあるから…」

 

まぁ、それもあるかもしれない。2人でやっていたら、未来は変わっていたのかもしれない。俺の女の子に対する、気遣いが足りなかった点の方が大きい。あのこまるちゃんなら、出来るだろうと思った俺がバカだった。

 

「とりあえず、お風呂に入ってきなよ」

 

うまるちゃんに、お風呂に入ってもらってから、それから遊ぼう。

 

「うん。入ってくるね」

 

すっかり、涙も止まり、笑顔で言ってくるうまるちゃん。

 

やっぱり、女の子は笑顔でいた方が絶対にいい。

 

うまるちゃんは部屋を出た。

 

 

 

 

 

多分…もう今日はバイオハザードをすることはないだろう。じゃあ、昼寝をした俺たちは何して、この深夜を過ごそうか。

 

スマホをいじりながら、うまるちゃんが上がってくるのを待つ。

 

20分ほどして…

 

「お待たせー」

 

お風呂から、上がってきたうまるちゃんが部屋に入ってきた。女の子の特有のシャンプーの匂いがする。

 

時刻を見ると、まだ10時。まだ、夜は始まったばかり。

 

「何して、遊ぼうか?」

 

達生はうまるちゃんに聞いてみる。

 

「それじゃあ……とりあえず未打開のゲームを手伝ってくれない?」

 

「未打開のゲーム?」

 

「2プレイした方がクリアしやすいし……それより……」

 

それより?

 

達生はうまるちゃんの言葉を待っていると

 

「達生くんと一緒にプレイしたいから……」

 

うまるちゃんは恥ずかしそうに言う。

 

お…俺と!?一緒にプレイがしたい?

 

これは、男が憧れるだろう女の子からの告白的な感じだろうか。ゲームの告白でも、告白には間違いない。

 

「よっし。今夜はそれをやりますか」

 

「ありがとう。達生くん」

 

今夜はそのゲームをすることにした。

 

 

 

2時間後…

 

レアなアイテムをゲットした時。

 

「おおっ!?」

 

うまるちゃんは嬉しさのあまりに声を出した。そして…

 

「はっ!マズい。お兄ちゃんが起きてしまう」

 

「…………」

 

うまるちゃんは何を言っているんだろうか?

 

多分、タイヘイさんがいなくても、いつもの癖が出てしまっているのだろう。

 

「あれ?あ……お兄ちゃんがいないことを忘れてた」

 

やっぱり、いつもの癖が出てしまったようだ。

 

「タイヘイさんがいると思ったんだね」

 

「お兄ちゃんがいつも怒るから条件反射で警戒してしまったよ……」

 

流石にうまるちゃんがこんな時間まで起きていたら、タイヘイさんも怒るだろう。怒っているタイヘイさんを想像すると笑ってしまう。

 

「達生くん。コーラでも飲む?」

 

「今、喉乾いていた所だから、うん。飲むよ」

 

一旦、ゲームを中止して、うまるちゃんは台所へ歩いていった。

 

それから、コーラが入ったコップが2つとポテトチップスを持ってきた。味はのりしお。

 

「はい。どうぞ」

 

「ありがとう。うまるちゃん」

 

うまるちゃんからコーラを受け取り、コーラを飲む。

 

ふぅー。深夜に飲むコーラも良いもんだ。

 

2人でコーラを飲み、ポテトチップスを食べながら、ゲームの雑談で盛り上がり、雑談が終わると…さっきの途中のゲームをプレイする。

 

 

 

そして、ようやく

 

「はぁ…終わったね。結構面白かったよ」

 

長かったゲームが終わり、エンディングをむかえる。

 

「達生くんのお陰で早くゲームが終わったよ」

 

達生はスマホの時計を確認する。時刻は6時だった。昼寝をしたと言っても、体はもう疲れていた。結構眠気も襲ってくる。

 

達生は思う……

 

オールしている人はどんだけ精神力が強いんだろうか

 

うまるちゃんは目覚まし時計で時刻を確認する。

 

「えぇ!?早くも6時!?私の体感的には3時くらいなのに……」

 

うまるちゃんはまだ元気いっぱいのようだ。アンパンマンで言うまだ、元気100倍ある状態だ。俺はもう3倍もないかもしれない。うまるちゃんの精神力には驚いてしまう。

 

本当は女の子は夜更かししたら、いけないんだよ

 

「流石、深夜の時間は流れが早いね。達生くん」

 

このままだと、俺の生命力が無くなってしまう。

 

「ごめん。うまるちゃん。俺、精神的に限界だから寝るわ」

 

「それなら、これ使って」

 

うまるちゃんは布団から毛布を手に取り、渡してくれた。

 

「ありがとう。うまるちゃん」

 

「達生くんが寝るなら、私も寝るね」

 

うまるちゃんはゲームの電源を切って、寝ることにした。

 

「達生くん。まだ起きてる?」

 

「まだ。起きてるよ」

 

もう、精神はピークに足しているが

 

「私ね、今日…本当は不安だったの」

 

「そうなんだ」

 

今の達生には、話をする気力がなかったため、軽く流すことしか出来なかった。

 

「でも、達生くんと一緒にいろんなことをして、私思ったんだ」

 

「…………」

 

達生は目を開けることで精一杯だった。

 

「達生くんはお兄ちゃんにとっても似てることに」

 

俺が……タイヘイさんに?

 

「それで、私…達生くんに言いたいことがあって…」

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

「そ…その…私…達生くんのことが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………Zzz」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………もうっ……達生くん…寝ちゃったの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつか…この気持ち……伝えたいな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝……

 

達生が目覚めると、ベッドではうまるちゃんが寝ていた。

 

「やべっ……うまるちゃんの話を聞いている内に寝落ちした」

 

スマホを見ると……

 

時刻は……

 

 

 

 

 

19.00

 

 

 

 

 

19.00!?マジで!?

 

夜更かしをした事により、いつもよりも多く寝ていた。

 

しかし、19.00は流石にヤバイ。6時に寝たことは覚えているから、13時間ほどの時が流れたのだろう。

 

うまるちゃんは熟睡中のようだ。

 

やべっ…そろそろ帰らないと…

 

おばあちゃんも心配するだろう。

 

 

 

達生は置き手紙書いて、部屋に置き、家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<         うまるちゃんへ          >

 

 気がついたら、13時間も寝ていました。うまるちゃんは

 

 何時に起きたかな?この、1日の泊まりはとても楽しかっ

 

 たよ。最初は女の子の家に男が泊まるなんて、恋人でも

 

 ない限り、ないはずだと思ったけど…友達として、泊まる

 

 ことも良いかもしれない。今回の思い出を大事にする

 

 よ。また、バイオ7を一緒に攻略しようか。また、泊まり

 

 が出来たら俺は嬉しい。

 

 誘ってくれて、ありがとう。  

 

 

 

                  達生より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




少し、うまるちゃんとしてのキャラクターが変わってしまったかもしれないです。

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