干物妹!うまるちゃんの日常   作:若狭東

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後編にしようと思いましたが、一度区切るために中編ということにしました。また、今回から達生の視線で書いていこうと思います。もう少しで30話行きそうです。


その28 うまると海 中編

達生とうまるが海で会う一日前…

 

 

 

学校が終わった放課後……

 

達生はいつも通りに部活へ向かう。同学年の水泳部員はきりえちゃんと達生しかいない。

 

しかも、今の3年生に水泳部員が一人もいない。

 

多分、たまたま、今の3年生に水泳部を希望した人がいなかったと思われる。

 

去年の夏、達生ときりえちゃんが一年生だった時

 

 

先輩が引退した後はもう、水泳部にはきりえちゃんと達生しかいなかった。

 

先輩が引退したと言うことは、キャプテンも決めないといけない。この荒矢田高校は、男子と女子は混合して水泳部を活動している。キャプテンは先輩と先生の話し合いの結果、達生がキャプテンに指名された。副キャプはきりえちゃんだ。

 

同学年の水泳部は2人だけと言うこともあり、この頃は、一緒に部活へ向かうことが多い。

 

一緒って言っても、少しは距離をあけている。

 

理由は?と聞かれたら、他の人に勘違いされると、それが噂となり、面倒になるからだ。

 

去年はこの子と友達になって、こうして一緒に部活に行くなんて、全然思ってなかったなぁ…

 

きりえちゃんと一緒に歩いていると

 

きりえちゃんは顔が少し赤くて恥ずかしそう歩いている。

 

正直に言うと、達生もきりえちゃんと一緒に歩くことは恥ずかしい……

 

去年のクリスマスの冬

 

あんなに近くの距離で一緒に歩いた時よりは恥ずかしくないが……やっぱり、女の子と一緒に歩くのは、恥ずかしい。

 

それが人の特徴ということは、わかっているが

 

室内プールに入り、更衣室で水着に着替えて、今日の部活が始まる。

 

水泳部の顧問は担任の女教師の佐藤先生だ。

 

「えー…今日は各自の得意種目の個人練習。2時間後にタイムを計ります。私は会議があるため、2時間後に戻ってきます」

 

そう言って、佐藤先生は室内プールを出た。

 

今日は個人練習ね。まず、準備体操と

 

水泳は様々な種目があり、平泳ぎが達生の中では得意で、平泳ぎをメインに今まで練習してきた。平泳ぎは、持久戦であり、体力勝負と言っても過言ではないぐらいだ。そのために毎朝、走ったり、筋トレしたりして体力をもっと向上しようとしてきた。

 

今日を乗り越えれば、明日は休み

 

達生はそんな期待を思い浮かべながら、準備体操をしていた。

 

 

 

 

 

部活が始まってから1時間後

 

「各自10分間休憩」

 

1年生ときりえちゃんは達生の言葉を聞いて、休憩をとる。

 

達生もベンチに体を預ける。

 

ふぅ………1時間でもなかなかハード

 

ベンチに座っているときりえちゃんがこちらに向かってきて

 

「あ…あの…隣…座ってもいいんでしょうか?」

 

きりえちゃんは戸惑いながらも達生に言う。

 

「そんな気を使わなくてもいいよ。隣…?大丈夫だよ」

 

まだ、きりえちゃんからしてみれば、男性と話すのが苦手かもしれない。結構仲良くなったと思うけどな

 

「平泳ぎ…上手くいってますか?」

 

きりえちゃんは達生に問いかける。

 

上手くいってるような気もするけど、もっと直せる場所はたくさんある。

 

「水の抵抗をなるべく少なくして泳ごうとしているんだけど…まぁ…まだまだかな…」

 

達生はあははと苦笑いしている。

 

「そうなんですね…」

 

きりえちゃんが達生に言う。

 

「まぁ…お互いに頑張ろ」

 

「は…はいっ」

 

 

 

そして、佐藤先生が戻ってきて

 

「では、今からタイムを計ります。まずクロールから」

 

クロールが終わり、バタフライ、背泳ぎ、最後に平泳ぎのタイムを計った。平泳ぎが終わるともう部活が終わる時刻だった。

 

「このタイムを結果に明日朝、男子の全国選抜に向けて、講習会に行くメンバーを言います」

 

そして……

 

 

 

達生だけが明日の講習会メンバーに選ばれた。

 

 

 

 

 

部活が終わり、家に帰宅して、今日の終わりを向かえる。

 

はぁ……明日、午前練とか、しかも講習会って

 

ピローン

 

ケータイにLINEが届いた。達生が見てみると

 

送信者はうまるさんだった。

 

「達生くん」

 

と書かれたLINEがきている。

 

?何だろう?

 

「うん?どうしたの?」

 

と送ってみる。すると

 

「明日、皆で海行く予定なんだけど……」

 

明日?海?

 

明日、海行くことになったんだ。明日、何かあったような気がする。何だったけ?

 

とりあえず

 

「了解。ちょっと予定見てくるわ」

 

そうして、部活の予定表を見に行く。予定表を見て、達生は明日に何があるかを思い出した。

 

そうだった……明日、講習会あるんだった

 

一週間の疲れのせいなのか、わからないが、講習会があることを少しの間忘れてしまっていた。

 

「ごめん。明日………部活あるわ」

 

達生は悲しい表情でLINEを送る。

 

うぅ…何で…よりよって明日に部活が

 

すぐに、返信がきた。

 

「あ……そうなんだ」

 

………

 

……講習会をサボることは無理がありすぎる。

 

今回はしょうがない…運が悪かった…

 

どこかで悪いことがあると、どこかで良いことがあるはずだと、思うようにしている達生。

 

「悪い……運が悪かったわ……」

 

本当に運が悪い……くそっ……

 

「だったらしょうがないね……」

 

うん。しょうがない。何事もポジティブに考えよう。

 

海を棄権してでも、講習会を行くことに別の何か…何か意味があるはず

 

 

 

 

 

そんな訳ないか……

 

 

 

 

 

達生は現実から逃げるため、寝ることにした。

 

 

 

 

 

翌日の朝

 

達生は電車で江ノ島に向かっていた。佐藤先生は車で講習会に向かうらしい。講習会は江ノ島のプール施設を借りて行う。電車代は県からの補助金が出ている。

 

電車で移動している間、達生はまだ落ち込んでいた。

 

はぁ…何か気をまぎらわすことをしよう。

 

達生はケータイゲームで気をまぎらわすことにした。

 

 

 

そして、電車が江ノ島について、プール施設に向かう。

 

プール施設につくと、佐藤先生が待っていた。

 

「おはよう。石橋くん。こっち」

 

「おはようございます」

 

担任の佐藤先生は呼び捨てで呼んでくれるが、部活になると、部員全員にくん、さんづけで呼ぶ。

 

それが、何故なのか、わからない。今はそんなことどうでもいいけど

 

佐藤先生に呼ばれて、達生は佐藤先生についていく。

 

講習会は他学校の選手もたくさんおり、各種目のプロの水泳選手が教えてくれた。

 

練習内容は普段の部活より、遥かにハードな練習だった。

 

だが、講習会が終わると昨日よりも上手くなったような気がする。達生は教えてもらったことを忘れないようにノートにメモをすることにした。

 

メモしているとき佐藤先生が

 

「じゃあ、気をつけて帰ってね」

 

「は…はい」

 

そうして…佐藤先生はプール施設から出ていった。

 

さて…俺も帰るか

 

時計を見ると、今はお昼時

 

お腹は空腹状態だった。部活とはいえ…江ノ島に来たんだ。

 

どっかでお昼にしてから、帰ろうかな

 

こうして、達生はプール施設を出て昼飯を探すことにした。

 

 

 

 

 

外に出て、達生はあることを思う。

 

江ノ島……俺…今日が初めてだ

 

見知らぬ土地を歩くのは不安があった。

 

左を見たら海が見える。

 

海……今頃……

 

辺りを見てもコンビニやファミレスは近くになさそうだ。海があると言うことは、海の家があるはず

 

とりあえず、海の家を目指すことにした。

 

 

 

海の家を目指すこと……10分後

 

やっと…海についた。波がザブーンと音をたてている。

 

皆…今頃……楽しんでいるよな…

 

皆のことを思うと、ちょっと悲しくなる。

 

海の家まで、あと少し……

 

空腹の体を動かして、海の家に向かう。

 

海の家は思ったよりも近くだった。

 

海の家に貼ってある看板を見ると

 

 

 

生しらす丼 焼きはまぐり 焼きいか など

 

 

 

たくさんのメニューがあった。

 

どれにしようか……悩み所

 

深く考え……海を見る。すると

 

 

 

 

 

「達生くん!?」

 

 

 

 

 

うん?この声は……!

 

 

 

後編に続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想や評価お待ちしています。感想などを頂けると元気が出ます。毎回感想を書いていた方、ありがとうございます。低評価の場合は指摘して頂けると改善に努力します。
次回で海編が終わります。

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