干物妹!うまるちゃんの日常   作:若狭東

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やっと自分が書きたかった海編に到着しました。いろいろオリ主混ざりの展開を考えて前編はタイヘイの視線で書いていこうと思います。


その27 うまると海 前編

海に行く前日の夜……

 

タイヘイは本場猛(ぼんば)に電話をかけていた。

 

タイヘイは車を所持しておらず、所持していても、車を運転する自信もない。頼みの綱はぼんば…ただ一人だけだった。

 

「もしもし。ぼんば?」

 

「おーータイヘイ。どうした?」

 

「ぼんば。明日、車出せる?」

 

「え?車?」

 

「そう車。妹の友達も乗せて欲しいんだけど……」

 

「別にいいけど……どっか行くの?」

 

「海を予定しているんだけど……」

 

 

 

 

 

ぼんばとの通話が終了する。結果、ぼんばが車を出してくれることになった。もし、ダメだった時はどうしようか、少しは考えていたが、そんな必要はなかった。

 

「ぼんばが車出してくれるってさ」

 

タイヘイはうまるに言う。

 

「うまるは家でダラダラしてる方が楽しいけどね…」

 

そんなことを言っているが…うまるの格好はサングラスをして、うきわに乗っており、パラソルもある状態だ。

 

「めっちゃ楽しみにしてるじゃねーか。うきわの空気は抜いておけよ」

 

うまる……めっちゃ楽しみにしてるな

 

「それで…どこの海行くの?」

 

うまるはまだうきわに乗っている。

 

どこの海にしようか?

 

タイヘイはここから近くの海が載っているガイドブックを見る。

 

「えー……と…こっからだと三浦半島か湘南…江ノ島かな…」

 

この3つの内のどれがいいんだ?ぼんばに相談してみるか

 

「えーー…どーせなら沖縄とかハワイがいいのに」

 

うまるはタイヘイの案に文句を言う。

 

「うまる…お前…何泊する気だよ…日帰りだぞ」

 

はぁ…とタイヘイはため息をつく。

 

「ねぇねぇお兄ちゃん。ハムスターペットショップに預けなくていいかな?」

 

うまるはハムスターを見ながらタイヘイに言う。

 

「だから…日帰りだって」

 

うまるはそわそわ動いている。明日が待ちきれない様子だ。

 

うまるのやつ、やたら海に行くことを楽しみにしているな

 

去年はどこにも行かなかったから嬉しいんだな。

 

去年の夏はどこにも行かなかった。

 

そう言えば、海老名ちゃんやきりえちゃん、達生くんと友達になったのも去年だったな

 

うまるが明日のことを楽しみにしてくれていることが、タイヘイにとっても嬉しかった。

 

「ほら うまる!明日の用意するぞ!何事も事前に準備するのが大事だ!」

 

何事も事前に準備することが大切だ。

 

タイヘイは大きいバッグを持ってくる。

 

「まず、うきわの空気を抜いてたたむ!帰りに拭くようにタオルを忘れるなよ」

 

タイヘイはうまるに指示をする。

 

うまるは反抗する様子もなく、タイヘイの指示を聞いて行動をしている。うまるが反抗しないことは珍しい。

 

「保冷バッグを持っていくから保冷剤を冷やす!忘れないようにバッグを開けておこう」

 

タイヘイは保冷バッグを開ける。うまるはうきわの空気がやっと抜けたようだった。

 

「明日は暑いらしいから日焼け止めが必要だ」

 

タイヘイは棚を探って、日焼け止めを机の上におく。

 

あっ……そうだ。

 

「蚊がいるかもしれないからムナも持っていこう」

 

タイヘイは棚からムナを探す。

 

「よしっ!じゃあ明日は早いから十分に寝るぞ!目覚ましはセットしてある!」

 

タイヘイが電気を消そうとした瞬間

 

「ちょっと待って、お兄ちゃん」

 

うまるがタイヘイに言う。

 

ん?どうしたんだ?うまる

 

「達生くん……明日来れないって……」

 

うまるは落ち込んだ様子で携帯を見せてくる。

 

どれどれ……

 

 

 

            「達生くん」

 

「うん?どうしたの?」

 

          「明日、皆で海行く予定なんだけど…」

 

「了解。ちょっと予定見てみるわ」

 

5分後……

 

「ごめん。明日、部活あるわ」

 

          「あ……そうなんだ」

 

「悪い。運悪かったわ」

 

          「だったらしょうがないね」

 

 

 

タイヘイはうまるのラインを見終える。

 

そうか、達生くん来れないのか……部活ならしょうがないな

 

「うまる……達生くんはしょうがない。また、何か誘おうか」

 

落ち込んだうまるに言うタイヘイ。

 

「そうだねお兄ちゃん。また、何か誘おう」

 

少しは元気が出た様子のうまる。

 

「じゃあ……電気消すぞ」

 

タイヘイは電気を消す。

 

……

 

……

 

「…………お兄ちゃん……」

 

うまるがタイヘイに話しかける。

 

今度は何だ?

 

「ものすごい楽しみでしょ。お兄ちゃん」

 

……

 

「…………うん」

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝

 

タイヘイは外でぼんばと電話をしていた。

 

外では、タイヘイときりえちゃんがいる。

 

きりえちゃんは麦わら帽子を被っている。

 

「ああ アパートの前でいいよ」

 

セミがミーン ミーンと鳴いている。

 

「荷物?もう準備してある」

 

荷物は地面に置いてある。

 

「人数?えーと……3人」

 

タイヘイはぼんばとの通話を終了すると

 

「あ…あの~~…」

 

タイヘイときりえちゃんは声がした方向に向くと…そこには海老名ちゃんがいた。

 

「えっと……今日の朝ここに集合って言われたんですけど……」

 

海老名ちゃんは戸惑いながら言う。

 

「うん!今から海に行こうと思って!」

 

タイヘイは海老名ちゃんに言うと

 

「えぇ!?うう……海ですか!?」

 

海老名ちゃんは慌てている。

 

うまるのやつ……海老名ちゃんに海って言ってなかったな

 

そんなことを考えていると

 

ブロロロ……

 

前の方からぼんばの車がアパートに向かってきた。

 

「おっ!ぼんばだ!」

 

ナイスタイミング。ぼんば。

 

「あの……本当に私も行っていいんでしょうか……?ううう海に……」

 

海老名ちゃんは何故か戸惑っている。

 

?……海老名ちゃん何で戸惑っているんだ?

 

「?大丈夫だよ」

 

そんな会話をしている間にぼんばの車がアパートの前に停まる。

 

そして

 

「おーーっ!」

 

ぼんばが車のドアを開けてこちらに向かってきた。

 

「海なんて久しぶりだなー」

 

ぼんばが言う。

 

ぼんばも海は久しぶりなのか

 

「今日はよろしく頼むよ」

 

ぼんばは海老名ちゃんをガン見している。

 

あ……ぼんばには海老名ちゃんのことを紹介してなかったな

 

「……ああ。この子はうまるの友達の海老名ちゃん」

 

「あああの……初めまして……」

 

海老名ちゃんはとても緊張しているようだ。

 

海老名ちゃん、緊張してるな

 

「……はぁ……どうも……」

 

ぼんばも少し緊張しているようだ。

 

もしかして、こいつ、まだあの癖治ってないのか?

 

「ん?この子もたぬきちの友達?」

 

ぼんばはきりえちゃんに言うと

 

きりえちゃんは何故か一瞬びくーんっと体を震わせた。

 

きりえちゃん、どうしたんだ?

 

「ああ……この子は……き」

 

タイヘイが言っている途中に

 

「遅くってごめんね!」

 

うまるがにこやかにアパートの階段を降りてきた。

 

……

 

「……誰この美女ーー!!芸能人!?」

 

ぼんばは固まりながらも言う。

 

「俺の妹だよ……」

 

 

 

荷物を車に乗せて皆車に乗る。

 

運転がぼんば。助手席がタイヘイ。後ろの3つの席に女の子3人座っている。

 

「じゃあサービスエリアによりながら江ノ島に向かおう。午前中にはつけるといいな」

 

タイヘイはピッピッとカーナビを操作する。

 

ぼんばと相談した結果、江ノ島に決定した。

 

タイヘイはぼんばを見ると

 

「…………」

 

ぼんばは石のようにカチーンと固まっていた。

 

やっぱり、こいつ……女の子の前で石になるの治ってないのか?

 

「おい……ぼんば…大丈夫か?」

 

タイヘイはぼんばに声をかけるが、ぼんばは無言を貫いている。

 

………とりあえず

 

「………えっーーと、じゃあ……しゅっぱ~~つ」

 

5人の夏の旅行が始まった。

 

 

 

 

 

5人の夏の旅行が始まり……車の中では

 

「……えーと…急に私も来ちゃってごめんね?きり……」

 

海老名ちゃんはきりえちゃんに言う前に、きりえちゃんに睨まれた。

 

その光景をちらっと見ていたタイヘイ。

 

どうしたんだろ?きりえちゃん。

 

 

 

「………………」

 

きりえちゃんはあることを思っていた。

 

師匠と………どうしたんだろ…

 

師匠がいないことが気になるきりえちゃん。

 

もしかして風でもひいてるんじゃ………

 

お兄さんに聞けば

 

そんなことを思っていた時

 

「達生くん………は今日はいないんですか………?」

 

海老名ちゃんがタイヘイさんに問いかける。

 

「何か………今日は部活があるみたいだよ。それでダメだったらしい」

 

きりえちゃんと達生は同じ水泳部だ。

 

きりえちゃんはこの前の部活のことを思い出す。

 

確か……全国選抜に向けて、全国レベルの人だけで講習会を今日の午前にすると顧問の先生が言っていたような

 

そして、達生くんは全国に行ける実力がある程の実力だ。

 

「やべぇタイヘイ!!ナビに無い道通ろうとしてる!!」

 

ぼんばがタイヘイに言う。

 

「圏央道は最近開通したからナビに登録してないんだよ。大丈夫だって」

 

 

 

そして、時間がたち

 

タイヘイはナビを見る。

 

そろそろつくな

 

「そろそろだよ!江ノ島!」

 

そして、海が見えてきた。

 

江ノ島に到着して、5人は車から降りる

 

そして、5人は海を眺める。空には鷹が飛んでいる。

 

「海きれいですね!」

 

海老名ちゃんは海を見て、テンションが上がっているようだ。

 

「なんかテンション上がるな!」

 

ぼんばも海老名ちゃんと同じようにテンションが上がっている。

 

「それじゃあ。島見てみようか」

 

5人の島巡りが始まった。

 

 

 

5人は砂浜の近くを歩く。

 

「風が涼しいねー」

 

うまるが言う。

 

確かに……暑い日にこの涼しい風は良すぎる。

 

そして、奥の方に海の家が見える。

 

今はお昼時

 

「お昼にしようか?俺買ってくるよ。場所取っておいて」

 

タイヘイはお昼を買うことにした。

 

「お兄ちゃんだけじゃ心配だから、うまるもついていくよ」

 

うまるはタイヘイについていくことにした。

 

心配って…うまるに心配される俺って

 

「タイヘイ。場所は任せろ」

 

ぼんばときりえちゃんと海老名ちゃんは座る場所を見つけてくれるようだ。

 

 

 

うまると一緒に海の家に行く。

 

そして、海の家の前に深く考えている男の子を見つける。

 

そして、男の子がこちらに振り向くと……

 

 

 

「達生くん!?」

 

 

 

うまるの一言でタイヘイも気がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は達生の視線で後編を書こうと思います。

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