干物妹!うまるちゃんの日常   作:若狭東

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僕はこの秋は、響け!ユーフォニアムを秋アニメの中で一番好きで見ていたんですが……終わってしまいましたね。来年の冬アニメに期待です。


その25 うまると梅雨

ザーー…

 

今日は雨が大量に降っていた。

 

大量に雨が降っていたが、今日もこまるちゃんの家で遊びに来ていた達生。

 

「…………すごい雨だな…」

 

タイヘイさんは窓から外を見ている。

 

時季は6月。どうしても梅雨になってしまう季節だ。

 

「最近は雨ばっかりで困りますね…」

 

達生は思ったことをタイヘイさんに言う。

 

「そうだね」

 

タイヘイさんは窓を閉める。

 

「…………」

 

タイヘイさんは元気がなく、仰向けで寝転んでいるこまるちゃんを見ている。

 

こまるちゃん……元気がないな

 

「どうしたんだよ?」

 

タイヘイさんは元気がないこまるちゃんに問いかける。

 

「うーん……ポテチしけっている……」

 

こまるちゃんは元気がなさそうにポテチを食べている。

 

だから、元気がなかったのか

 

「まぁ、梅雨だからしけるのも仕方がないと思うけどね……」

 

達生はこまるちゃんに言う。

 

梅雨で食べ物などがしけるのは当然だ。

 

「毎日毎日降ってじめじめするー」

 

こまるちゃんが思ったことを口にする。

 

この数日間、毎日雨が降っている。こまるちゃんの気持ちもわかる。

 

「まぁ梅雨のまっただ中だからな」

 

タイヘイさんがこまるちゃんに現実を言う。

 

「なんかなんにもやる気がなくなっちゃうよね」

 

こまるちゃんは床にゴロゴロ転がっている。

 

「その気持ちはわかるな……」

 

達生はこまるちゃんに同感する。

 

まず、雨じたいが面倒で、ダルくなる。

 

雨が好きな人も世の中にはいるが、達生は嫌いな人だった。

 

「……ん?」

 

タイヘイさんは何かに気がつく。

 

壁のすみっこに座っていてと重々しい人

 

それは、きりえちゃんだった。

 

「ぬおおっ!?」

 

どうやらきりえちゃんがいることに気がついてなかったタイヘイさん。まぁ今日のきりえちゃんは影がいつもより薄いような気がする。

 

「あ…どうもお兄さん」

 

きりえちゃんはタイヘイさんに元気が明らかにない挨拶をする。

 

今日のきりえちゃん、暗っ!!

 

「ど…どうも」

 

タイヘイさんはドキドキしているようだ。多分、きりえちゃんがいたことに驚いている。

 

何でそんなに暗いんだ?だいたい想像はつくけど

 

「今日はどうしたの?きりえちゃん。元気があんまりないように見えるけど…」

 

達生がきりえちゃんに聞いてみると

 

「え……?い…いゃあ…」

 

やっぱり元気がない。というか、きりえちゃんの場所だけ重力が倍になっているかも、そんな訳ないけど

 

「実は私…雨の日はいつもこんな感じでテンションが低くて…」

 

へぇーそうなんだ。納得……

 

いやいや、テンション低すぎでしょ!

 

雨の日だからといってテンションが低くすぎることに思わずつっこみを入れたい。

 

あと、笑顔が恐い!!いつもの笑顔とは正反対だ。

 

「あがが……がが……」

 

きりえちゃんはガクガク震え出した。

 

何か嫌な過去でも思い出したんだろうか?

 

「ってダメだ2人共!!達生くんは大丈夫だけど……そういう時こそ自分でテンション上げないといけないんだ!!」

 

タイヘイさんは2人に言う。

 

そうだ!こういう時こそテンションを上げないと

 

「タイヘイさんの言う通りです。テンションを上げたら自然に元気が出てきて面白くなりますよ」

 

達生はタイヘイさんに加戦するように2人に言う。

 

だが、2人の反応は

 

「こんな雨なのにテンション上がるわけないじゃん」

 

こまるちゃんが言って、きりえちゃんの表情も暗いままだ。

 

「梅雨には梅雨の良さがあるんだよ」

 

タイヘイさんはまだまだという感じで、どうしても2人に元気になって欲しいようだ。

 

「例えばこの雨音……心を落ち着かせてくれる音に耳をかたむけてみろ……趣があると思わないか?」

 

タイヘイさんは梅雨の良さの例を出す。

 

いや……でも……その良さもありますが、女の子には

 

「「 はぁ…… 」」

 

達生が想像した通りになった。

 

やっぱり、女の子にそんな文学的なことは

 

達生は何かフォローできることを探す。

 

そして、1つの案が思いついた。

 

梅雨があけたら

 

「こまるちゃん。きりえちゃん。梅雨があけたら夏が来るよ!」

 

梅雨があけたら夏がやって来る。

 

その達生の言葉を逃さないようにタイヘイさんは言葉に付け足す。

 

「そうだ!海でも皆で行くか?」

 

すると、2人の表情に元気が少し出たような気がする。そして

 

「う……海ですか……!!」

 

きりえちゃんは普段の元気を取り戻す。

 

「え?あっ…うん」

 

タイヘイさんはきりえちゃんの思いもよらない食いつきに驚く。

 

きりえちゃん…普段通りになって良かった

 

「海なんてどうやって行くの?お兄ちゃん運転できないじゃん」

 

こまるちゃんはタイヘイさんに言う。

 

交通手段。どうしたもんだか

 

「…………ぼんばに車頼むか…」

 

タイヘイさんは少し考えて言う。

 

ぼんば?タイヘイさんの知り合いかな?

 

「ぼ…ボンバー?何ですか?」

 

きりえちゃんはタイヘイさんに問いかける。

 

達生も言おうとしたが先に言われてしまったので、言うことをやめた。

 

「あ…きりえちゃんと達生くんは会った事ないんだっけ?」

 

こまるちゃんが達生ときりえちゃんに言う。

 

「俺の友達だよ」

 

何だ、タイヘイさんの友達かぁ…それなら、大丈夫かな?

 

「お……男の人ですか……お兄さんの友達なら大丈夫そうですけど」

 

きりえちゃんはタイヘイさんに言う。

 

「タイヘイさんの友達なら大丈夫ですね」

 

多分、良い人だろう

 

「でも夏は暑いじゃん……」

 

こまるちゃんは夏の一番の悪い点を言う。

 

そんなことを言ったら世の中おしまいだ。

 

だが、暑いときには、美味しくなるものもある。

 

冬には、鍋料理。夏には

 

「でも……夏になったら……アイスが美味しくなるよ」

 

達生がこまるちゃんに言うと

 

「アイスーー」

 

目の色を交えて、すっかり元気を取り戻した。

 

アイスの一言で、人はこんなにも元気になれるものなのだろうか?

 

「師匠ーー!!」

 

きりえちゃんもノリノリだ。2人共いつもの2人に戻った。

 

「そうだ!!何で忘れてたんだろう!?夏はアイスという最強のお菓子があるじゃん!!」

 

こまるちゃんはもうやる気スイッチが入ったようだ。

 

めっちゃ元気になってる

 

何はともあれ……2人共。元気になったな

 

外はもう雨が止んでいた。

 

 

 

これから、楽しい夏が始まることにわくわくする達生だった。

 

 

 

 




次の更新は遅れるかもしれないです。

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