干物妹!うまるちゃんの日常   作:若狭東

24 / 54
だいたい、2日~3に更新していく予定です。


その23 うまるとシルフィンと達生

テスト返しが終わった休み時間

 

「うまるちゃんまた1位だって!?」

 

「すごいよねー完璧だよ」

 

うまるさんの周りには人が集まっていた。

 

くそー。またうまるさんに点数負けた。

 

今回のテストも2位だった。うまるさんに一度も点数で勝ったことがない達生。

 

「え!?そ そんなことないよ」

 

うまるさんは恥ずかしそうに言う。

 

うまるさん。人気者だな

 

そこへ、シルフィンさんが現れた。

 

シルフィンさんはうまるさんを見つめている。

 

また、いつも通り長い話でもうまるさんにするのかな?

 

シルフィンさんはうまるさんに敵対心を持っていると思われる。

 

だが、達生の予想とは違った。

 

「うまるさん!次は負けませんわよ」

 

シルフィンさんは箱に入った花びらを持って、散らしている。

 

あれ…?それで今日は終わり?何か企んでいるのか?

 

いつもとは違うシルフィンさんに達生は驚く。

 

「なんか今日のシルフィンあっさりしてたね」

 

「なんか企んでるんじゃないの?」

 

クラスの皆が言う。

 

やっぱり、そう思ったのは俺だけじゃなかったか

 

いつもと違ったシルフィンさんに不思議に思う達生だった。

 

 

 

 

 

その日の夕方

 

達生はある所に来ていた。そこは…

 

 

 

ゲーセンだった。

 

何となく、今日はコインゲームをやりたかった。

 

達生はメダルを買う機械の前に立つ。

 

あ…そういえば!達生は昔のことを思い出す。

 

たしか、店長さんからメダルの無料券を持ったんだっけ

 

1ヶ月程前に店長さんから、「UMR対策の件にお世話になっているお礼と何より、スト4のチャンピオンになったお祝いに」とメダルの無料券を数枚もらったんだった。

 

たしか、財布に入っているはず

 

達生は財布の中を探している。

 

すると、メダルの無料券が数枚出てきた。

 

えー……と

 

〈 メダル200枚無料券!

 

  レジに差し出して下さい。  

 

              担当 店長〉

 

と書かれている。

 

200枚!?結構200枚はでかいな。

 

200枚って言ったら、現金で買うには1000円いる。

 

それがタダ、何という幸せ

 

店長…ありがとう

 

達生は店長に感謝しながら、レジに向かった。

 

 

 

「これ、お願いします」

 

達生はレジにいる店員に無料券を差し出す。

 

「無料券ですね。お待ちください」

 

店員は後ろにある200枚入った、メダル入れを持ってきた。

 

「どうぞ。こちらになります」

 

これが、無料券とは

 

「ありがとうございます」

 

達生はコインを受け取り、コインゲームに向かった。

 

 

 

チャリーン、チャリーン

 

コインゲームといっても、ただひたすらメダルを落とすだけ。

 

だが、そのメダルを落とすのが楽しい。メダルを落とし、元にあったメダルを動かし、メダルが自分の所へ落ちてくる。

 

いわゆる、株の投資だ。メダルを投資して、大量ゲットを目指す。

 

どんな、果物だって、種を埋め、水をやり、芽が出てきて、また水をやり、やがて木になり、実ができて育つ。

 

コインゲームもこの要素と同じような感じだ。

 

コインゲームの一番の楽しさはジャックポットチャンスだ。

 

ある条件をクリアすると、運要素がある、宝くじみたいなのができる。

 

ジャックポットチャンスを目指さないと

 

達生は大量ゲットを目指す。

 

 

 

 

 

しばらくして

 

いまだに、ジャックポットチャンスの条件をクリアできない達生。だが、メダルはまだ100枚程ある。

 

まだまだ行ける

 

そう思ったその時

 

コインゲームの上のテレビ画面にジャックポットチャンスと表示されている。

 

達生はまだメダルを入れていない。ということは

 

他の誰かがジャックポットチャンスに突入したんだ!

 

いったい……誰が?

 

達生はメダル入れを持ち、コインゲームの周りを歩いてみる。

 

すると

 

「な……なんですの?この大音量は!!」

 

そのコインゲーム席には、達生が見たことがある2人がいた。

 

あの赤い帽子と……あの水色の髪の色は

 

「あっ!!ジャックポット!!えーと……コインが増えるチャンスのやつ!」

 

赤い帽子を被った女の子が言う。

 

達生も過去にジャックポットになったことはある。

 

だが、500コインや300コインにしかなったことがない。

 

どうせ、そこらへんだよな

 

だが、ジャックポットを転がっているボールは思いもよらない所に落ちる。

 

ガコンッ…

 

落ちた場所は

 

 

 

 

 

 

 

5000と書いてある穴

 

え!?嘘!?マジか!

 

「大当たりーー!!コイン5000枚!!」

 

コインゲームはコインをジャラジャラ出しながら言う。

 

「うわーすご……初めて見た」

 

思わず口に出てしまった。

 

声が出てしまったことにより、2人が後ろを向く。

 

あっ…気づかれた。

 

「ITさん!?」

 

UMRは驚いている。

 

「あらっ!同じクラスの達生さん」

 

シルフィンさんは驚いていないようだ。

 

しまった……

 

 

このままじゃシルフィンさんにITの正体がバレてしまう。もし、バレて、シルフィンさんのことだから、学校で広められたら、面倒なことになる。

 

「どうも……こんにちは。U・M・Rさんっ俺はI・Tじゃないよ」

 

何とか、UMRに伝わってくれ。

 

「あっ……す…すみません。間違えました」

 

何とか、UMRに伝わってくれて良かった。

 

「U・M・Rさん。I・Tってあのゲーム界で有名な…」

 

まずい。薄々感づかれている。何かの話でそらさないと

 

「そんなことよりもジャックポットで5000枚はすごいね……」

 

達生は挨拶をしながら、ジャックポットの件を言う。

 

まだジャラジャラ音を出しながらコインが増えている。

 

「すごいよT・S・Fさん!!こんな大当たり初めて出た」

 

UMRは感激している。UMRの言う通り、5000枚はすごいっていうレベルを遥かに超えている。5000枚は達生も人生で初めて見た。

 

「え!?じゃあ私の勝ちですの!?」

 

うん?勝ち?コインゲームに勝ち負けってあったけ?

 

2人でプレイしてたんじゃないの?

 

「…いや…勝ちとかじゃないかな……」

 

UMRはシルフィンさんに言う。

 

「コインゲームで勝ちってどういう意味?」

 

達生は疑問に思ったことを聞いてみる。

 

「U・M・Rさん!!にこの前の大会で(わたくし)不覚をとりましたわ!なので、UMRに勝利するんですわー!!」

 

シルフィンさんは達生に説明をする。

 

「ということなの……達生くん」

 

うーん。何となく分かった。

 

結論。シルフィンさんはあの戦いで負けたのが悔しかったから、UMRに勝利しに来たと

 

「なるほどね…」

 

達生はふむふむと頷く。

 

メダルは全て出たようだ。メダル入れには大量のメダルが入っている。その大量のメダルをシルフィンさんが

 

「別のゲームで決着をつけますわ」

 

大量のコインをジャンケンマシーンのコイン投入口に全て入れてしまった。

 

「え…!?何てことを…」

 

何てことをするんだ。せっかくの5000コインを

 

「あぁーーっ!!もったいない!!」

 

UMRと達生はシルフィンがやった行動に固まってしまう。

 

「だいたい、なんですのこれ!!運じゃないですの!!」

 

いやいや…逆ギレか?

 

「いやいや、これは確率ゲーで期待値ってのがあって…」

 

UMRは達生の知らない専門用語的なことを言う。

 

期待値?…個体値なら知っているが……それはポケモンか

 

「他のゲームで勝負ですわ!!」

 

シルフィンさんはUMRを引っ張って他のゲームの場所へ行ってしまった。

 

さぁーて、結果的に5000コイン。ジャンケンマシーンに入れてしまった。このまま、置いとけば、他の誰かがプレイをする。

 

それなら、もったいないので、この俺がやろう。

 

達生はジャンケンマシーンの前に立つ。

 

ジャンケンマシーンの表示には5000コインと書かれている。

 

ジャンケンマシーンのルールは2点先取のジャンケン勝負で、2点先取すると、そのままの数のメダルかそれ以上のメダルの数がもらえる。

 

そのままの数でいいから、頼む……勝たせてくれ

 

達生は願いながらもスタートボタンを押す。

 

じゃん…けん…

 

マシーンが言う……

 

何を出そう、チョキ?それともパー?いや…あるいはグー?

 

達生は悩みながらも、感でチョキを押す。

 

しかし、マシーンに表示されたのは、グーだった。

 

ざんねーんとマシーンに言われる。

 

あ……負けた。

 

だが……まだ1回しか負けてない。後の2回を勝てば良いだけの話だ。

 

ジャン……ケン……

 

今度こそ……チョキだ……

 

達生はチョキを押す。

 

マシーンに表示されたのはチョキ

 

あいこ!?あいこか……

 

あいこーでー

 

また、チョキだ。達生はチョキを押す。

 

マシーンに表示されたのは、パーだった。

 

やったねとマシーンに言われる。

 

よしっ……後1回……

 

ジャン……ケン……

 

最後は何となくグーを選択した。

 

だが……ジャンケンマシーンに表示されたのは……

 

 

 

 

 

パー

 

ざんねーん、また来てね

 

 

 

うぅ……誰がお前の所に一生来るか……こんなクソゲーやってられるか……(泣)

 

達生の5000コイン獲得のゲームに幕を閉じた。

 

 

 

 

 

達生は落ち込みながら、重い足を動かして2人を探す。すると

 

2人は太鼓の達人で勝負をしていた。

 

2人とも、太鼓の達人は上手くミスがない。

 

達生は2人の表情を見ると、勝負関係なしに楽しそうにゲームをしていた。

 

楽しそうだな……

 

 

 

3人で休憩コーナに座る。

 

「……結局勝敗が曖昧なゲームばっかりですわ」

 

え!?さっきの勝負してたの?てっきり2人楽しそうだから、勝負してないと思ったけど

 

「…………」

 

UMRは無言のままだった。そして

 

「あの……なんで勝ちたいか知らないけど……ゲーセンはゲームを楽しむ所だと思うよ」

 

どうやら、UMRはさっきのゲームを楽しんでプレイしていたようだ。そうだ。ゲーセンはゲームを楽しむ所だ。

 

「うむ。U・M・Rの言う通りだよ」

 

達生もUMRの意見に同意する。

 

すると、UMRは

 

「だったら……T・S・Fさんの勝ちだよ」

 

この前もらった、優勝バッジを外してシルフィンさんに渡す。

 

渡しちゃうの!?

 

「…………か……勝ちましたわーーっ!!」

 

シルフィンさんは笑顔で歩き回っている。

 

嬉しそうだな

 

「U・M・Rさん!!達生さん!!」

 

うん?何だ?

 

「「 ん? 」」

 

UMRと達生の頭には?が浮かんでいる。

 

「ライバルは……負けた後仲間になるんですのよ!!」

 

シルフィンさんの目が輝いている。

 

?…何かそれ違うような気がするぞ。

 

ドラクエなどでモンスターを倒した後に「こちらを見つめている」で仲間になるというのはあるが

 

「……ん?」

 

UMRも?と思っているようだ。

 

「UMRさん!!達生さん!!(わたくし)と協力して……一緒にうまるさんを倒すんですわー」

 

シルフィンさんは笑顔で2人に言う。

 

!? 協力して一緒に……うまるさんを倒す?

 

「んん!?」

 

UMRの頭に?が20個ぐらい浮かんでいた。

 

「えぇ!?俺も?何で俺まで?」

 

何で俺も協力するの!?

 

達生の頭にも?がたくさん浮かんでいた。

 

「な……何をどう協力するの!?」

 

UMRはシルフィンに協力する内容を問いかける。

 

ちょっ……ちょい

 

「わからないけど協力なんですわ!!」

 

俺の言葉はスルーなのかいー

 

達生の言葉は2人にスルーされた。

 

 

 

U・M・Rと達生はT・S・Fの仲間になった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んで頂いた方ありがとうございます。そして、お気に入り登録された皆様ありがとうございます。ミスなどをするかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。