干物妹!うまるちゃんの日常   作:若狭東

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その12 達生とUMRの出会い

ある日の夜中。土間家では、そろそろ寝る用意をしていた。

 

タイヘイは時計を見ると

 

時刻は12時をまわっていた。

 

そろそろ寝る時間か

 

「うまる。もう12時だからそろそろ寝るぞ!」

 

うまるを見ると、漫画を読んでいた。

 

こんな時間に、漫画を

 

「えーー。うまる全然眠くないのにー」

 

何で眠くないんだ?さては、夕方に寝たのか?

 

だが、夜は寝ないと、翌朝が体的にきつくなる。ここは、兄としてちゃんと言っておかないと。

 

「お前さては夕寝したな?ちゃんと寝てリズムを戻せよ!」

 

そう言うと、うまるは素直に布団の中に入っていった。いつもなら、反抗してきたが、反抗する様子もない。

 

何だわかってるじゃないか

 

「じゃあ、おやすみ」

 

「おやすみー」

 

電気を消して、よっぽど仕事で疲れていたのか、タイヘイはすぐに夢の中に吸い込まれた。

 

寝た様子をうまるは確認すると、電気をつけた。

 

「.…………」

 

タイヘイを見ると、ぐっすり熟睡している。

 

寝たか……

 

もーー、今日は学校おわってからダラ寝したから寝れる訳ないじゃん。お兄ちゃんもちょっとはうまるリズムを考えてほしいもんだよね。 

 

ダラ寝とは、ダラダラしてそのまま寝るという干物人間の極まる技である。

 

まぁいいや。そのおかげでうまるは深夜のおきらくタイムを楽しめるし

 

うまるはすぐに、読んでいる途中だった漫画を取って、ゴローンと寝そべりながら、読み出した。

 

 

 

 

 

しばらくして、ある程度のゲームや漫画を読み終わった時

 

不意にコーラが飲みたくなった。冷蔵庫に行き、冷蔵庫の中を見る。

 

「.…………」

 

冷蔵庫を見るとコーラがない。ゴソゴソと探ってみる。

 

しかしない。

 

「うーーん……やっぱりコーラない。遊びの供には、必要不可欠なのにーー」

 

どうしようか考え。カーテンをめくって、外を見る。

 

まだ外も真っ暗だ。うまるの夜はこれからだっていうのにー

 

うーーん

 

うまるは考えることにした。

 

考えてから5分後

 

! あることを思いついた。

 

そうだ!コンビニなら深夜もやってるし行ってみようかな

 

コンビニなら、コーラも売っている。年中無休のコンビニのありがたさを感じ、コンビニに向かう支度をした。お兄ちゃんは熟睡している。

 

 

 

 

 

外はしーんとしていた。ゲームセンターに行くときの服装に着替えて、家をそろー と出た。

 

ぬふふふ……なんだか潜入捜査するスパイみたいだ!

 

うまるは今.……

 

かつて経験したことがない程ドキドキしている。

 

アパートの階段を降りる途中、もう一度外の風景を見ると、やっぱり真っ暗だった。

 

それにしても本当に真っ暗だ。なんだかうまるの知っている風景とは別世界みたいだよ。

 

そう思いながら、うまるは階段をそろーーりと降りた。

 

も……もし。変な人とかがうろついてて出くわしちゃったら、どうしよう?

 

そう、もし、北斗拳に出てくる敵のバイクに乗っている連中や旧世代仮面ライダーで出てくる、黒い「キー」とか言う敵などと出くわす場合

 

いざとなったら「メタルギアソリッド」で学んだCQCで

 

CQCとは、対人近接格闘戦術である。

 

そんなことを考えていた、その時

 

「ニャーーーッ」

 

「シャーーーッ」

 

いきなりの声にうまるはびっくりしてしまった。うまるの姿は反射的にCQCをやる攻撃態勢に入っていた。

 

「.…………な…なんだネコか!!」

 

うまるは猫の姿を確認すると、ホッと安心した。

 

本当に変な人が出たのかと思った

 

そんなことを考えている場合ではない。さっき、反応的に大きな声を出してしまった。

 

「やばい声でちゃったから逃げよう」

 

こっそりと早歩きで、アパートを出た。

 

 

 

うまるがアパートを出た時、さっきの場所では

 

「い……今の声……なんだろう?」

 

海老名ちゃんが外での大きな声に起きてしまい、窓を開けて確認していた。ものすごく、ドキドキしていた。

 

「ニャーーーッ」

 

「ひぃぃっ!!化け猫!!」

 

さっきの声は猫だと、海老名ちゃんは驚きながら思った。

 

 

 

 

 

コンビニについた、うまるは早速コンビニの中に入った。早めに用件を終わらそう。

 

ウィーーーン

 

扉が開いて、中に入った。

 

深夜のコンビニは初めてだったのでドキドキした。

 

? あれ?店員が一人もいない。

 

深夜のコンビニに店員が一人もいないことに疑問に思った。

 

いつも昼に行ったら、2.3人くらいの店員さんが「いらっしゃいませー」と言ってくれるのに。

 

本棚コーナを見ると、髪が爆発している、アフロのような男性が真剣に本を読んでいた。

 

……この人は深夜に何を真剣に見ているんだろう?

 

そんなことを考えながら、飲み物コーナに向かい、コーラを手に取った。

 

後は、レジに向かうだけ

 

そう思いながら、レジに向かおうとした時

 

ある人がコンビニに入ってきた。

 

 

 

 

 

その人の正体は.…………

 

 

 

 

 

 

 

何と達生くんだった。

 

何でここに?

 

そう思いながら、商品の棚を利用して身を潜めることにした。

 

こんな姿で、こんな時間にバレたらまずい。

 

達生くんは飲み物コーナに向かってくる。うまるはこっそりと飲み物コーナから、距離を取る。達生くんは飲み物コーナでじっくり、選んでいる様子だ。

 

よしっ

 

この瞬間をチャンスに、レジに向かって会計を済ますことにした。商品をレジに持っていき、お金を払った。

 

会計が終わり、出口に向かう途中に、達生くんとばったり、会ってしまった。

 

「あれ?うまるさん?」

 

達生くんに言われてしまった。

 

どうしよう…

 

とりあえず誤魔化すことにした。

 

「うまるって誰?あなたは?」

 

何とか通じて…

 

そう願いながら、言った。

 

「人違いか…まぁ髪も短いし、こんな時間にうまるさんがいる訳もないか」

 

何とか通じた。まぁ、目の前にいるんだけどね。髪が短いのは、髪が邪魔だから、髪をくくって、帽子をかぶっている。ゲームセンターに行く時も、髪をくくって、帽子をかぶって、ゲームセンターに行っている。

 

「すいません。人違いでした」

 

「えぇ…大丈夫です」

 

では、これで

 

とうまるは出口に向かうと

 

「UMR?UMRって、あのゲームセンターで噂になっている……もしかして、あのUMR?」

 

達生くんにそんなことを言われた。

 

何でUMRっ、分かったんだろう?

 

UMRとは、うまるがゲームセンターなどで使う、コードネームだ。うまるとバレるより、UMRってバレる方がまだ良いと思い、UMRの話に持ち込んだ。というか、私ゲームセンターでそんなに有名になってるんだ。

 

「そうだよ。何でUMRって分かったの?」

 

何で分かったのか聞いてみることにした。

 

「何でって?帽子の刺繍を見たら分かるよ。ゲームセンターの店長にも聞いたら、赤色の格好の女性って言われたし」

 

なるほど、帽子を見られたら分かるか、それならUMRってバレてもしょうがないか

 

「自己紹介が遅れました。僕の名前は石橋 達生です。ゲームセンターでは、ITと使ってます。」

 

IT?

 

うまるはその言葉に引っ掛かった。

 

どこかで聞いたことがあるような?

 

うまるは少し考え、あることを思い出した。

 

 

 

そう、私が一番ゲームセンターで尊敬するゲームプレイヤーだった。2年程前から、ゲームセンターで有名になり、その姿を目にしたものはいないという伝説のゲームプレイヤーだ。今も、名を響かしている。ゲームセンターにある全てのゲームのランキングの1位がITとなっている。うまるもその人の順位を抜かそうと日々頑張っていたが、今だに抜いたことがなく、2位がうまるという感じだ。その人を目標に今まで頑張ってきた。

 

私が、ゲームセンターで有名になったのは半年前

 

芸能界で表したら、ダウンタウン程の位だ。

 

まだ本人とは確信してはいないので、確認することにした。

 

「す……すいません。ITって、あのゲーセンで有名な、ゲームプレイヤーですか?」

 

うまるは今日、一番ドキドキしている。

 

もしこれで、本当だったら、失礼だ

 

そう思いながらも返事を待つ。

 

すると

 

「あぁ…。そうだよ。そんなに有名になってるのか」

 

達生くんは財布から、ゲームセンターの会員証を出した。そこには、ITとかかれている。しかも、いろんなゲームの優勝という文字もたくさん見える。

 

本物だ…

 

 

 

 

 

ITの正体が達生くん!!

 

 

 

 

 

思いもよらずに知ってしまったことに、うまるの脳は停止する。

 

「多分、ITって教えたのは、UMR、君だけだね。まぁUMRならいっか」

 

そうなんだ。私が初めてITの正体を知った人。

 

「私…ITさんのことを目標にあらゆるゲームを今まで頑張ってきました」

 

「UMRに尊敬されるなんて、僕も本当に有名になったなぁ」

 

笑いながら、達生くんは言ってくれた。彼はゲームセンターで有名になったことを本当に知らなかった様子だ。

 

「有名みたいな普通位じゃなくて、もうゲーセンの神、レジェンドですよ」

 

「神?レジェンド?!そこまで、行ったのか僕は…?店長から、何か称号をもらった記憶があったような気がするけど、忘れたな」

 

そう、2ヶ月前に表彰式があって、ITは素顔がバレないように黒いサングラスをしていて、レジェンドの称号をもらっていた。

 

そんな大事なことを忘れていたんだ達生くんは。

 

うまるは思わず笑ってしまった。ITに初めて会ったことが感激で、ゲームについていろいろ聞いてみることにした。

 

「少し、いろんなゲームについて聞きたいので、お話いいですか?」

 

「まぁ少しくらいならいいよ。こんな時間だし」

 

あ…今は深夜。

 

たくさん聞くことは不可能だ。

 

コンビニの休憩コーナでいろいろ聞いた。

 

 

 

 

 

30分後

 

「もう時間も時間だし、帰るね」

 

「あ……夜遅くまで付き合ってもらい、ありがとうございました」

 

感謝の言葉を言った。

 

「あれ?俺何しに、コンビニ来たんだっけ?」

 

達生くんは、考え、飲み物を買いに来たことを思い出し、レジで会計を済ました。

 

「最後に、言っておくことがあった」

 

「?」

 

うまるは何だろう?と思いながら聞いていた。

 

「最近のゲーセンのUFOキャッチャー、いつもより取れにくいやつない?」

 

この頃、前までは一回で取れてた商品が1回じゃとれない場合がある。その時は腕がなまっているのだと思っていた。

 

何でそんなこと聞くんだろう?

 

そう思いながら質問に答えた。

 

「えーと……何かいつもより、1回では取りにくいなとは思う台はありますね」

 

質問に答えたら、達生くんから衝撃的な、言葉を告げられた。

 

 

 

「そう。その配置を設定したの僕なんだ」

 

「え?ITさんが?」

 

え?達生くんが?何で?

 

「この前、店長さんから、「UMRに商品を取られまくって、店の売上がね……ITくんに取られないように、設定して欲しい」と言われて、店長さんにはお世話になってるからご協力したんだよ。まぁ一回で取られるやつもあるけどね」

 

はははと達生くんは笑っている。

 

そうなんだ。最近腕がなまっていた訳ではなく、達生くんが設定してたんだ。

 

「そうなんですか……何か最近取りにくいと思ったら、ITさんが設定してたんですか」

 

「うん。そんな訳で、また、会えたら、お話しようか」

 

「さようなら。ITさん」

 

お互い、挨拶を交わし、達生くんは出ていった。うまるも本来の目的のコーラを買ったので、うまるもコンビニを出た。

 

 

 

 

 

まさか、深夜のコンビニで達生くんに会い、ITの正体も知ることが出来るなんて

 

コンビニで起こった出来事を思い出す。うまるには、一生の思い出となった。

 

コンビニの帰る道路を歩いていると、普通の道路とは違うような気がした。

 

いつもお兄ちゃんや海老名ちゃんと歩く道路なのに…なんか全然違う道みたい。

 

うまるは深夜の道路にいろんなことを思ってしまった。

 

 

 

みんな息を止めてるみたいに静かだなぁ

 

 

 

起きてる人は何やってるんだろ?

 

 

 

夜の外灯はなんで青いのかな?

 

 

 

 

 

 

 

いろんなことを思っている間に、家についた。

 

よーし…お兄ちゃんが起きないようにゆっくり入らなきゃ

 

「ただいまー」

 

そろーと小さな声で言う。すると

 

 

 

「おかえり」

 

そこには、怒っているタイヘイの姿があった。

 

げげ…お兄ちゃん起きてた!!

 

「どこいってたうまる!!」

 

タイヘイはものすごく怒っている。

 

どうしよう

 

「いやぁ……ちょっと深夜のコンビニに……」

 

「こんな時間に危ないだろ!!変な人がうろついてたらどうするんだ!?」

 

「いざとなったらCQCで……」

 

「うーまーる!!」

 

そのあとお兄ちゃんにお説教されました。

 

 

 

翌朝

 

海老名ちゃんと登校の途中

 

「昨日恐い夢見ちゃってあんまり寝れなくて…」

 

海老名ちゃんは疲れている様子だ。

 

「そうなんだ……私も寝れなくて.…」

 

眠い .……夜ふかししなきゃよかった

 

 

 

 

 

今日は達生くんも眠そうな様子でした。

 

 

 

 

 

達生とUMRがまた会うのはまだまだ先の話。

 

 

 

 


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