干物妹!うまるちゃんの日常   作:若狭東

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今回は短いです。申し訳ないです。


その11 うまるとゲーセン

夏休みも終わり、2学期の学校生活が始まった頃

 

海老名ちゃんとの帰り道。商店街の途中。

 

! うまるはある建物に気がついた。

 

その様子に気がついた、海老名ちゃんが声をかけてきた。

 

「? うまるちゃん?」

 

しまった

 

「!あ ごめんねっ。行こっ海老名ちゃんっ」

 

「う……うん……」

 

何とか強引な気もするけど、海老名ちゃんに疑問に思われることなく、帰り道を歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

うまるは、ゲーセンに来ていた。

 

もちろん、うまるとバレないようにUMRというコードネームを使いながら、服装は赤色の帽子を被り、赤色のパーカーを着て、リュックをせおっている。

 

ゲーセンの扉の前に立ち、ゲーセンに入る。

 

ウィーーーン

 

その瞬間

 

ゲーセンの中にいた、店員、店長、ゲームを楽しんでいる人、歩いている人、UFOキャッチャーをしている人、いろんな人がUMRを見る。

 

店長は思う

 

あ…あのあやしい服装!!

 

異様なオーラ!!

 

「て……店長……あれって」

 

店員はUMRを見ながら言う。

 

「ああ……あれは.…………「UMR」だ……!!」

 

店員の質問に答える。

 

「コードネーム「UMR」。半年前このゲーセンに現れありとあらゆるゲームを制覇!!さらに一発でクレーンゲームの景品を奪う天才ゲーマーだ!!」

 

そう、UMR。ありとあらゆるゲームを攻略する女性ゲーマー。ゲームを攻略するのは、まだ良い。

 

しかし、UFOキャッチャーで一発で取られるのは、店の売上に関わる。

 

この店最大の危険人物………!!

 

UMRは早速あるUFOキャッチャーの前に立った。

 

目がキラキラ輝いている。

 

「あ…あれは今日、入荷したばかりの「フキゲンニャンコロ」人形」

 

店長は言葉を続ける。

 

「あれを大量に取られると困るな」

 

店長の言葉に、店員は答える。

 

「大丈夫です。店長! あの台はそう簡単に取れない設定にしてあります!」

 

そんなことを言っているうちに、UMRを見ると

 

フキゲンニャンコロ人形が一気に3個取られていた。

 

よく見るとぬいぐるみのタグに引っかけて取っていた。

 

「.…………3個取られてるけど」

 

店長は渋い顔をしながら、言った。

 

「あれは「タグひっかけ」!!ぬいぐるみのタグをひっかける高等技です!!」

 

こんだけで彼女が帰るはずがないと思い、店長はUMRを監視することにした。

 

 

 

次にUMRが目につけたのは、「激おこプンプン初音ミク」だった。あれを簡単に取られるのは、まずい。

 

「ま……また一発で取られるんじゃ」

 

「いえ、大丈夫です。確かあの台を設定したのは、あの方だったので」

 

「そうだったな。あの台を設定したのは彼だったな」

 

そう、店も簡単に取られることをさせまいとUMR対策をしたのだ。この対策なら行けるはずだ。

 

そう思いながらも、店長と店員はUMRを見ていた。

 

すると、いつもUFOキャッチャーのフィギュアであるあるの「ぶっ刺し」(箱のわずかな隙間にアームを刺す技)で取られていたが、今回は一発では、取られなかった。

 

店長と店員は、つい「よしっ」と言ってしまった。

 

UMRはまだ諦めてない様子だった。

 

もう一度入れる、だが取れない。もう一度入れる、だがまだ取れない。

 

あのUMRが3回もミスを。いや、ミスではない、あの設定がうまくUMRのやり方に刺さっている感じだ。

 

「彼は確か「ぶっ刺し」対策で設定したと言ってました」

 

「彼には感謝しないとな……」

 

彼には、感謝をしないといけないと、2人とも思った。

 

4回目にして、UMRはフィギュアを取った。

 

あのUMRから3回もミスさせるなんて

 

今まで、店長はUMRが3回もミスする所を見たことがない。そう、初めて見たのだ。

 

そんなことを思っている間に、UMRが近づいてきた。

 

店長と店員は「何だ?」と思いながら、近づいてくるのを待っていた。

 

「あの……欲しい景品が出てないので出してもらえますか?」

 

フキゲンニャンコロ人形を持ちながら話しかけてきた。

 

「「!!」」

 

2人とも、同じことを思ってしまった。

 

 

 

か……かわいい……!!

 

 

 

「あっはい!!少々おまちください!」

 

店長は店員にある紙を渡した。そして、小声で

 

「彼からもらった、UMR対策の配置が書かれている紙だ。これで頼む」

 

「わかりました!店長」

 

その紙を見ながら、ぬいぐるみの設定をする。

 

 

 

数分後.…………

 

配置が終わり、店員が店長のもとに戻ってきて、UMR監視を始めた。彼の設定だと多分大丈夫だろう。

 

今回、UMRが狙ったUFOキャッチャーはたくさんの小物のぬいぐるみがある台だ。

 

「えーと、紙には「ナイアガラ落とし」(ぬいぐるみの山の重心を崩す事により、ナイアガラの滝のような……感じになり、ぬいぐるみを大量ゲットする技)の対策の配置にしてあると書いてあります」

 

「彼の事だろう。UMRを返り討ちにしてくれるはずだ」

 

UMRを見ていると

 

大量ゲットされることがなく、1回に1つ、程度だった。

 

今回もよしっ

 

1回に1個なら、店の売上に赤字を出すことがない。UMRは「ナイアガラ落とし」で大量に取れると思ったが、少ししか取れないことに首を傾げていた。

 

彼には、また何かお礼をしないとな。

 

UMRは全ての色違いのぬいぐるみが欲しいために、もう一度、もう一度とプレイする。たまに、2個取れるときもあったが、店にとっては全然痛くはないので店の売上となった。

 

またしても、UMRの勝利したと思いながらも、店長は笑った。

 

店員は初めて、UMRに勝ったことに、少し泣いている。

 

無理もない、彼が働きだした半年前にUMRが初めてきて、ありとあらゆる景品を大量に取っていって、彼は驚愕の顔をしていたのを、店長は覚えている。

 

UMR対策に彼に設定を任し、彼はUFOキャッチャーの勉強もし、鬼設定をしたが、UMRには全然効果がなかった。無惨に取られていく景品の姿を見て彼は落ち込んでいた。

 

そして、今回から店長が考えたUMR対策でUMRから勝利を勝ち取った。

 

そう…

 

UMRから勝ちを勝ち取ったんだ。

 

今回、ゲーセンは赤字を出すことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

ゲーセンが閉店してから、店長は彼にお礼を言うこととUMRから勝ちを勝ち取ったことを話すために電話をかけた。

 

「もしもし、ITくん?」

 

そう、彼の名は、IT。本名ではない、コードネームだ。

 

「もしもし店長さん。どうしたんですか?」

 

「今日、UMRが来たんだけど、ITくんの設定でUMRに勝ちを勝ち取ったんだよ。それが嬉しくてね」

 

「あ……それは良かった。何とかUMRから勝ちを取れて僕も嬉しく思います」

 

そうだ、何かお礼をしないとな……

 

「今度、何かゲーセンでお礼するよ。」

 

「ありがとうございます」

 

「礼を言うのは、こっちの方だよ、本当にありがとう。また設定考えてくれるかい?」

 

「自分でよければ、店長さんの力になりますよ」

 

良かった。また力になってくれるようだ。

 

「じゃあ、またね」

 

「では、また」

 

 

 

 

 

 

 

UMRのライバル ITが現れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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