夏休みも終わり、2学期の学校生活が始まった頃
海老名ちゃんとの帰り道。商店街の途中。
! うまるはある建物に気がついた。
その様子に気がついた、海老名ちゃんが声をかけてきた。
「? うまるちゃん?」
しまった
「!あ ごめんねっ。行こっ海老名ちゃんっ」
「う……うん……」
何とか強引な気もするけど、海老名ちゃんに疑問に思われることなく、帰り道を歩いた。
数時間後
うまるは、ゲーセンに来ていた。
もちろん、うまるとバレないようにUMRというコードネームを使いながら、服装は赤色の帽子を被り、赤色のパーカーを着て、リュックをせおっている。
ゲーセンの扉の前に立ち、ゲーセンに入る。
ウィーーーン
その瞬間
ゲーセンの中にいた、店員、店長、ゲームを楽しんでいる人、歩いている人、UFOキャッチャーをしている人、いろんな人がUMRを見る。
店長は思う
あ…あのあやしい服装!!
異様なオーラ!!
「て……店長……あれって」
店員はUMRを見ながら言う。
「ああ……あれは.…………「UMR」だ……!!」
店員の質問に答える。
「コードネーム「UMR」。半年前このゲーセンに現れありとあらゆるゲームを制覇!!さらに一発でクレーンゲームの景品を奪う天才ゲーマーだ!!」
そう、UMR。ありとあらゆるゲームを攻略する女性ゲーマー。ゲームを攻略するのは、まだ良い。
しかし、UFOキャッチャーで一発で取られるのは、店の売上に関わる。
この店最大の危険人物………!!
UMRは早速あるUFOキャッチャーの前に立った。
目がキラキラ輝いている。
「あ…あれは今日、入荷したばかりの「フキゲンニャンコロ」人形」
店長は言葉を続ける。
「あれを大量に取られると困るな」
店長の言葉に、店員は答える。
「大丈夫です。店長! あの台はそう簡単に取れない設定にしてあります!」
そんなことを言っているうちに、UMRを見ると
フキゲンニャンコロ人形が一気に3個取られていた。
よく見るとぬいぐるみのタグに引っかけて取っていた。
「.…………3個取られてるけど」
店長は渋い顔をしながら、言った。
「あれは「タグひっかけ」!!ぬいぐるみのタグをひっかける高等技です!!」
こんだけで彼女が帰るはずがないと思い、店長はUMRを監視することにした。
次にUMRが目につけたのは、「激おこプンプン初音ミク」だった。あれを簡単に取られるのは、まずい。
「ま……また一発で取られるんじゃ」
「いえ、大丈夫です。確かあの台を設定したのは、あの方だったので」
「そうだったな。あの台を設定したのは彼だったな」
そう、店も簡単に取られることをさせまいとUMR対策をしたのだ。この対策なら行けるはずだ。
そう思いながらも、店長と店員はUMRを見ていた。
すると、いつもUFOキャッチャーのフィギュアであるあるの「ぶっ刺し」(箱のわずかな隙間にアームを刺す技)で取られていたが、今回は一発では、取られなかった。
店長と店員は、つい「よしっ」と言ってしまった。
UMRはまだ諦めてない様子だった。
もう一度入れる、だが取れない。もう一度入れる、だがまだ取れない。
あのUMRが3回もミスを。いや、ミスではない、あの設定がうまくUMRのやり方に刺さっている感じだ。
「彼は確か「ぶっ刺し」対策で設定したと言ってました」
「彼には感謝しないとな……」
彼には、感謝をしないといけないと、2人とも思った。
4回目にして、UMRはフィギュアを取った。
あのUMRから3回もミスさせるなんて
今まで、店長はUMRが3回もミスする所を見たことがない。そう、初めて見たのだ。
そんなことを思っている間に、UMRが近づいてきた。
店長と店員は「何だ?」と思いながら、近づいてくるのを待っていた。
「あの……欲しい景品が出てないので出してもらえますか?」
フキゲンニャンコロ人形を持ちながら話しかけてきた。
「「!!」」
2人とも、同じことを思ってしまった。
か……かわいい……!!
「あっはい!!少々おまちください!」
店長は店員にある紙を渡した。そして、小声で
「彼からもらった、UMR対策の配置が書かれている紙だ。これで頼む」
「わかりました!店長」
その紙を見ながら、ぬいぐるみの設定をする。
数分後.…………
配置が終わり、店員が店長のもとに戻ってきて、UMR監視を始めた。彼の設定だと多分大丈夫だろう。
今回、UMRが狙ったUFOキャッチャーはたくさんの小物のぬいぐるみがある台だ。
「えーと、紙には「ナイアガラ落とし」(ぬいぐるみの山の重心を崩す事により、ナイアガラの滝のような……感じになり、ぬいぐるみを大量ゲットする技)の対策の配置にしてあると書いてあります」
「彼の事だろう。UMRを返り討ちにしてくれるはずだ」
UMRを見ていると
大量ゲットされることがなく、1回に1つ、程度だった。
今回もよしっ
1回に1個なら、店の売上に赤字を出すことがない。UMRは「ナイアガラ落とし」で大量に取れると思ったが、少ししか取れないことに首を傾げていた。
彼には、また何かお礼をしないとな。
UMRは全ての色違いのぬいぐるみが欲しいために、もう一度、もう一度とプレイする。たまに、2個取れるときもあったが、店にとっては全然痛くはないので店の売上となった。
またしても、UMRの勝利したと思いながらも、店長は笑った。
店員は初めて、UMRに勝ったことに、少し泣いている。
無理もない、彼が働きだした半年前にUMRが初めてきて、ありとあらゆる景品を大量に取っていって、彼は驚愕の顔をしていたのを、店長は覚えている。
UMR対策に彼に設定を任し、彼はUFOキャッチャーの勉強もし、鬼設定をしたが、UMRには全然効果がなかった。無惨に取られていく景品の姿を見て彼は落ち込んでいた。
そして、今回から店長が考えたUMR対策でUMRから勝利を勝ち取った。
そう…
UMRから勝ちを勝ち取ったんだ。
今回、ゲーセンは赤字を出すことはなかった。
ゲーセンが閉店してから、店長は彼にお礼を言うこととUMRから勝ちを勝ち取ったことを話すために電話をかけた。
「もしもし、ITくん?」
そう、彼の名は、IT。本名ではない、コードネームだ。
「もしもし店長さん。どうしたんですか?」
「今日、UMRが来たんだけど、ITくんの設定でUMRに勝ちを勝ち取ったんだよ。それが嬉しくてね」
「あ……それは良かった。何とかUMRから勝ちを取れて僕も嬉しく思います」
そうだ、何かお礼をしないとな……
「今度、何かゲーセンでお礼するよ。」
「ありがとうございます」
「礼を言うのは、こっちの方だよ、本当にありがとう。また設定考えてくれるかい?」
「自分でよければ、店長さんの力になりますよ」
良かった。また力になってくれるようだ。
「じゃあ、またね」
「では、また」
UMRのライバル ITが現れたのだった。