悪魔になった俺の異世界物語   作:青空 優成

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始まり(2)

目が覚めると、とても賑やかな街中にいた

見たことのないような生物がいる__ゴブリンか?

よく見ると人っぽいでもなんかちょっと違う、みたいな奴らが沢山いる

 

全く分からない地形、何より情報が少ない、分かっていることはここが多分夢の国だということくらいか…

それよりもまずは、俺が連れてきたはずの「来斗」を探さないと…

 

歩を進め、探し始めようとした瞬間

 

「やあ!」

 

「ふぇぁっ?!」

背中に衝撃を受け、口から思いもよらない声が漏れてしまう__

だがおかげで探す手間が省けたみたいだ、今の声…今一番聞きたかった声だ

 

「ライトォ!!」

 

振り返って声の主にそう叫ぶ

 

__が当の本人は嫌そうに

「おぃぃ…全くタイチ、君のおかげで僕までこの世界に巻き込まれたんだって?何してくれてんだよまじで!」

 

「え?え?」

なんかもっと喜んでくれると期待していたが、それと逆の反応でちょっとビビる

 

「ここに来る途中でミカエルって子に聞いたんだよ、タイチが君を選んだってね、僕を選んでくれたのは嬉しいし親友って言ったんだって?それも嬉しいんだけど…えへへ。っとじゃなくて、僕を選んだせいで僕は『雷人』になっちゃったし、タイチと同じく僕まで仮死状態になっちゃったんだよ!?」

 

______ぇ……嘘…ぇえ…っ

 

ガクガクと足が震えるのが分かる…俺の、俺のせいで…

 

「ライト…おま…仮死状態って……嘘だろ…」

 

「いやいや、これガチだよ、ミカエルに言われちゃったんだよ…ま」

 

にたぁーと笑って

 

「あんな世界退屈してたし、タイチいきなり死んでるしまじ僕も死のうかなーって思ってたから、こっちの方が楽しそうだし、全然怒ってなんかないよ〜」

 

「は?怒ってないだあ?お前最初の態度明らかに怒ってただろ!」

怒りを顕に今度は俺がライトを責め立てる、仮死状態にした責任を完全に忘れて____まあでもライトは楽しんでるしいいよね?

 

「ま、僕を仮死状態にした罪は当然消えてないわけで、ま、その分は償ってもらうからね?フフフフフフ」

と変な表情をしながら可笑しな笑い方をし始めてしまったライトを

 

「ああ、それについてはまじごめん…言い返す言葉もないわ、でどうするよこれから……」

で治めて、これからの方針ついて語ろうと思い近くにある店を探す

 

良い雰囲気の店を探したのでそこを指さして

 

「そこでこれからについて話しますか」

 

「そうしよっか」

 

入った店の中は落ち着いた雰囲気で地球で言うところのカフェみたいな所だった、客は勿論ゴブリン達ばっかり、中には見たことない種族が居たりするけどそれはまあ置いといて、入口近くの席に腰を下ろす

 

「ふぅー…ようやく落ち着けるなあ〜……」

 

「で、どうするのこれから……」

 

「それだよなあ〜……アーサーを倒すにも情報とかが全く無いしなあ…かと言ってチンタラ情報収集なんてやってたら、仮死状態の俺の体力尽きるしなあ……」

 

「まあ、だけど、情報収集は大事だと思うけどね?」

店主らしき女性に「お冷です」と言われて出された水を口に運び、一息つく

 

「そうなんだよなあ…」

それが問題だ…、情報収集は聖王アーサー討伐おいて非常に大切、なにせ情報収集をせずに聖王に挑むなど勝ち目ゼロに等しい、かといってチンタラやって聖王アーサーに勝ったとしても俺が死んでて蘇らせれないや〜!ってなったら元も子もない____どうしたものか

 

「____それでしたら、ここで働きませんか?」

 

横でいきなり店員に話しかけられ驚いてしまう、がその発言に興味を持ち、

 

「____ど、どういう意味でしょう?」

 

「あら、知らずに入ってきましたの?ここは【ギルド】と呼ばれる悪魔専用の仕事場ですのよ」

 

「……ギルドぉ?」

 

「その様子ですとよく分かってない初心者様みたいですね、分かりましたわ、ではこちらへ」

 

いやギルドってのはゲームとかで見かけるし分かるけど、仕事場?なにクエストとか受けてくの?それって勇者の仕事じゃ……

こちらへ、と言われるがままに店員のお姉さんに着いていき、カウンターのような席に座る

 

「___さあ、ってと、では悪魔診断を行っていきますわね」

 

「ひゃっ!?ええ、ちょ、ちょっと待ってください!状況が読み込めないです!!」

 

席に座って話でも始めるのかと思いきやいきなり額を触られ状況が飲み込めない___なにこれセクハラ?

 

「ええ?そんなことも知らないんですの?その年で??これは悪魔診断って言って、貴方の職業や、階級を調べるものですのよ?」

 

「あ、は、はぁ…、なるほど…じゃあ、続けてどうぞ」

よく分からんがとりあえずやってもらうことにした

 

「_________ふーんふん……」

額に触り続けられること数十秒、お姉さんはなるほどなるほどみたいな雰囲気を醸し出してて、いかにも!っぽかった

 

「…!!?えぇ……お、驚きました___貴方特殊なんですね、えっとー…お名前は?」

俺って特殊らしい__まあそうですよね、ゾンビですもん

 

「ニシムラ タイチ です」

 

「分かりましたニシムラ様、ではお伝えしますね」

 

「ニシムラ様はなんと階級が『下位18級悪魔』にも関わらずなんと『ゾンビ』という、みたことも聞いたこともないエクストラジョブを取得しています!普通ならエクストラジョブって『上位6級悪魔』からなのですが__貴方一体何者なんですか!!?」

 

興奮気味に椅子をガタガタ揺らしながら、そう説明されたけれど、よくわからない単語ばっかりでイマイチ分からない、辛うじて分かったのが俺が異端だってこと、でもそれは多分女神のせいだと思うが…

 

「あー、まあ…はい、よくわかんないですけどありがとうございました…」

 

「あ、あの!さっき情報収集がなんちゃら聖王アーサーを討伐うんたらって言ってましたがここでクエスト受けて、報酬金貰って!って感じで働きながら情報収集しませんか!!??」

 

「______え。」

 

「エクストラジョブにニシムラ様は大々歓迎です!!是非!!」

 

そう歓迎ムードなのはめっちゃ嬉しいし、俺もここで働きたいんだけど__

ライトの頭をポン、と叩いて

「その前に、こいつ、ライトも悪魔診断してもらって平気ですか?」

 

「あ、はい!分かりました___では失礼して…」

 

「___うわぁ……なんか変な感じぃ…」

額をただ触られていると思ったらちょっと違う、なんか額からエネルギーが吸い取られているような、そんな感触がするのだ

確かにちょっと嫌ではないけど変な感じはする

 

「っ!?___あ、貴方達何者ッ!?!」

 

まぁ、うんだよね、結果は分かってたよ、さっきライトは言ってた『雷人』だってね、で、多分俺と同じ階級の下級悪魔だから……まぁ驚くよね

 

「えええぇ…こんなことって普通なら有り得ないんですが……ェっと、ライト…様?で良いんですか?」

 

「うん、僕はライトだよ」

 

「ライト様は、ニシムラ様と同じ『下位18級悪魔』で、エクストラジョブ『雷人』を取得しています……まじですか___なんで下位でエクストラジョブを……」

 

困惑し、オロオロしている店員のお姉さん…なの?なんか色々としてくれちゃってるけど……。

さっきとかはイマイチ顔とか良く見なかったし気にもしていなかったけど、いざ見てみると、本当に悪魔か?と思うくらい可愛い…、まさに女優って感じだ

 

「あー……すいません、自分もここで働いても?」

 

「え?……ええ勿論!!是非是非!!ゾンビっていうエクストラジョブはよく分かんないんですが…、雷人っていうエクストラジョブは強いで有名ですし!下位悪魔だとしても新米悪魔だとしても、将来性が期待出来ますので!!」

 

めっちゃ褒めてくれてたり、将来を期待され、照れる…が聞き逃してはいけない単語を聞いた気がする

__________今…なん…て??

恐る恐る、という感じで

「___今……【ゾンビ】を分からないって…?」

 

「__?ええ、よく分かりませんが?」

 

……なんだと…ゾンビを知らないだと……確かにミカエルの紙に悪魔と言ってはコイツだろと思うゾンビが記されていなかったのは可笑しいとは感じていたが____なんという事だ、いや、これは好奇なのか?勇者にゾンビの特性を知られていないのだとすれば……だが逆にゾンビの特性を知っているのは俺とライトだけ…つまりゾンビってなにそれ?強いの?状態ってことか____

 

「____まあ、気にしないでください…いずれ分かると思います」

 

このお姉さんには説明しようと思ったが多分『死なない』と言っても信じては貰えないだろし、じゃあ死んでみますね!とかやるのも不自然だしデメリットが大きいのでやめておく

 

「__?…?え、まぁはい…分かりました、それで、お二人方には新米悪魔として、初級クエストを発注するのですが、多分見た感じまだこの世界についてよく分かってないみたいですね?」

 

「はい、よく分かってないです」

 

「___やっぱり、今はあえて何故その年でこの世界の事が分かってないのかは追求しません。では、遅れました、私ここギルドの【クエスト受付嬢】を務めさせて頂いております『メティア』です。今後は色々と私にお世話になると思うのでよろしくお願いしますね!」

 

深々とお辞儀をして

「こちらこそ、お世話になります」

「お世話になります!」

 

「はい!ではこの世界について少しお話をさせて頂きたいのですが___その前に、貴方達に紹介したい方が居ますのどこちらへ」

 

と誘導されカウンターを出て、カーテンがかかっていた店の裏へ連れていかれる

 

「____ん?」

連れていかれた先は個人の部屋のような場所…いや、多分その部屋にいたフードを目尻まで被ったミステリアスな雰囲気を醸し出している男性、の部屋なのだと思う所で、

 

「こちらに住まわれているのは『アーク様』で、情報収集を得意としていてギルドに貴重な情報等を提供してくれている方です、その恩としてギルド裏の空き部屋に住んでいるということです」

 

「ははは、情報収集を得意だなんて、それに貴重な情報を提供?嘘は言わないでほしいなぁ、ハードルが上がっちゃうだろ?ていうかそちらの方々は?」

 

フード下から覗く口元が「ははは」と笑い、フードが揺れる。

 

「嘘だなんて…!アーク様の情報には毎度助かってますよ、ええっと、こちらの方々はこの世界についてよく分かっていない新米悪魔の方々でして__」

 

「___はぁ?その身なりで?外見だけで16、17歳に見えるけど?」

 

「まあ、その点についてはここでじっくりと話し合ってもらうとして、そのついでにこの新米悪魔さんたちにこの世界について説明してもらえませんか?私だと仕事もありますし…お願いします」

 

「俺も仕事があるんだけどなぁ…ま、いいや、俺も興味ありそ〜な話だし」

 

「それでは、ライト様、ニシムラ様、こちらのアーク様に色々と聞いてみてください、それでは私はこれで…」

と残して、カーテンの奥の仕事場へと戻っていくメティアさん…そして謎の男と二人きりになってしまった俺達____えーっと……

 

「ま、立ち話ってのもなんでしょう?そちらへどうぞ」

 

くい、と顎で示された椅子に腰掛ける

 

_____??腰掛けた時、尻の当たりにコツン、と何かがあたり、フカフカのギルド内のような椅子を想像していたので少し違和感を感じる

 

「ん?何かあ_____」

 

ガチャガチャガチャン

 

「な!!?」

 

突如として椅子に座った俺とライトに手錠や鉄のベルトのような物が椅子から飛び出し締め付けてくる

 

「___痛っ!!!」

 

「___大丈夫か!?ライト!!痛っ!!って……何のつもりですかアーク様!?」

 

「はははは…、はは、ぁあ、俺の一興なんだよニシムラ君?この世界では油断は一滴もしてはならない。とお婆ちゃんに教わらなかったかい?」

 

フードをバッっと脱いで、その顔の全貌が明らかになる、その悪意に満ちた笑顔が__

 

「お婆ちゃんにはそんなこと教わってないですし、そもそも話し合うんじゃ!?てゆうかこれ取ってくれませんか?僕、こういうの苦手なんですよ!!」

 

「__うるさいなぁ、ライト君〜」

 

スッ、とライトの喉元にナイフの様な刃物を突き詰め

 

「君達は今、言いごたえが出来ない状況にあるんだよ、さて、それじゃあ情報収集タイムと行こうか!ハハッハハッハハッハハッハハッハハッノ ヽノ ヽッノ ヽ/ \ッ/ \/ \ッ」

 

狂ったように笑い出すアーク様、完全に敵意を向けて、俺たち2人と話し合い、いや情報を聞き出そうとしているみたいだ…

 

一体何の情報を俺達から絞り出そうとしている?___何も本当に知らないぞ?!

 

情報収集、話し合いという名の脅迫が始まろうとしていた____


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