貴方は勇者と悪魔どちらに就きたいですか___
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セミの声が聞こえる。そんな夏休み。学生である俺はクーラー全開にして、一日中家でゴロゴログータラ生活を目論んでいた…はずなのに
俺は1ヶ月は視界に入れてやるものか!また二ヵ月後に登校してやるよ!と思っていた校舎に……居た
__どうしてこうなった……俺のグータラ夏休みはどこへ…
「はーい、んじゃぁ、教科書の21ページを開いてー…暑いわー…はぁ」
英語担当の鍋倉先生が目の前で団扇を扇ぎながら指示する。
が、誰も教科書を開こうとしない__否、俺が教科書を開こうとしない。
だって、おかしいよこれ…
生徒1人、つまり俺、西村太一のみと先生1人。
俺の、俺の……
グータラ計画夏休みはマンツーマンの地獄補習というイベントにより、計画を実行することは出来なかった_
「あの…、先生、暑いんでクーラーつけません?」
「ぁ?先生だってつけたいよ、つけたいけど夏休みはクーラーつけれないんだよなぁ、で、先生はお前のためだけにここにいるわけだよ、本当だったら先生今日デェズニーに行く予定だったんだからな!!って話してる場合じゃねぇよ、やれ!問題12を解けっ!」
内心夏休みの補習とか誰得だよとか思いつつ問題12に目を落とす
____攻略のとっかかりがまるで掴めんッ
仕方ない…先生に聞いてみよう
「おいこら、分かんないからってググるんじゃないよ。自力で解きなさい」
「いや、Google先生に聞いてるんですよ、ちゃんと先生に聞いてるんだからいいでしょう!?」
「いいわけねぇだろ!Googleは先生じゃありませんから!」
「じゃあちょっとこのクエスト終わるまで待ってください」
「オィイイイイ!!Googleどこいった!何ゲームやってんの?!ねぇ!仮にも補修だよ!授業の一環だよ!!」
「Google&Dragons通称グルドラです」
「そんなゲームはねぇ!ってかパ〇ドラやってないで勉強しなさい!これ終わんなかったら家に帰さないからな!」
おっと、危ない危ない、分からないところがあるからついゲームをやってしまった…早く終わらせて家に帰ってグータラしないと
「……分かんねぇっすよ先生ェ」
うん、無理、この問題12全くもって分かんない
「はぁ、授業で1回は解いたはずなのでノートを見てやってください…」
そうだ、ノートを見れば答えが載っているはず、それを写せば__とバックをごそごそ漁る
「_」
「おい、西村、お前何漫画読み始めちゃってんの?」
「ははははっ、ははは!」
「おーい、西村ー、おーーい」
「はは………ん?どうしました先生?」
先生に体をぶんぶんと体を揺さぶられようやく状況を思い出した
「どうしました先生??……じゃなくてノートはどうした!?」
ああ、ノートね、答えが載っているはずのノートね…
「家に置いてきちゃったっぽいんで家に取り帰っていいですか?」
忘れたよ畜生ッ!!ありがとうございましたぁ!
「はぁ…忘れたのかお前、プリントに書いといたはずだぞ授業ノートと教科書と新しいノートって…」
「すいません…なので家帰っていいですか?」
「家帰っていいですか?ってお前願望出てんぞオィ」
ま、と笑って
「帰っていいぞ」
と続けた
____え、まじで…?
「い、いいんすか?」
一応確認
「_ああ」
「帰っていいぞ、だがもう二度と学校には来れないがな_!」
____え、まじで…?
「え、今帰ったらもう学校来なくていいんすか!?」
「なぜそこで目を輝かせる!?普通そこはえー…まじかよー!ってなるとこだろ!?」
「いやいやいや!!俺には普通なんて言葉通用しないっすよ!?何せ俺は夏休みをニート並みに無駄に過ごそうと考えた男ですから!てかまじで帰っていいんすね!それじゃっっ」
「いや、ちょっ!おいッ!」
何か背後で待てーー!!さっきのは嘘だーー!帰んじゃねぇええッ!
とか叫び声が聞こえるけど、ごめん鍋倉先生、俺、グータラ夏休み実行に移ります___!
「あ、そうそう」
と背後の叫び声に振り返って
「デェズニー今からでも間に合うと思いますよ先生、じゃお世話になりましたー!」
「……」
ダダダ__っと階段をかけ降り、下駄箱についた辺りで咆哮が聞こえた
「………___ざっけぇんなこらぁあああ西村ァぁあああ!!」
「……今の声…」
咆哮が聞こえたと同時にダダダ_と階段を駆け下りてくる音が聞こえる__
(まずいッ!さっきの声…ガチで怒ってる時の鍋倉先生の声だ)
「やべぇやべぇ追いつかれたらグータラ計画は終わり終わり終わりっ!俺のグータラ計画は絶対の絶対に実行するんだぁああ!」
下駄箱から乱暴に靴を取り出し上履きをしまう、そして勢いに任せ、玄関から飛び出す
「待てェエ西村ぁあっ」
「っ!!___俺は帰るんですよぉおおお!!」
ここで邪魔されてなるものか!てかそもそも補習なんて来なければよかったよ畜生ッ!いや、でも補習をサボるおかげで学校辞めれるのか…!
「はあっ…。はあっっ……」
「はぁ…待てェ西村ァァ……ぁ」
グラウンドを全力疾走して校舎を出たところで後ろに迫ってきていた鍋倉先生が止まる
__ようやく諦めてくれたか鍋倉先生
そう安堵しそのまま久しぶりの全力疾走の息苦しさに下を向きながら走り続ける
そんな時だった
「…お、オイ!西村ッ!!前!前見ろお前ェエエッッ__」
バキッグシャッ……っと右半身から鈍い音が聞こえ、俺は見事に吹っ飛ばされた
___一体何がー……
「村……にし…ら………ァ…………」
「ぁ」
(理解……した……俺が飛び出た…車道に…トラックが…突っ込んでき……た、…のか………)
そう理解した時にはもう遅い、俺の意識はプツン_と途切れた
とりあえず1話、書いてみました。
面白おかしく書いていきたいと思っているのでネタ満載にしたいなあとか思いつつ、シナリオ作り頑張っております。
感想、批評、評価はうp主の作品投稿率向上に繋がります。
是非是非よろしくお願いします。
それではm(_ _)m