【大空】と【白夜叉】のミッドチルダの出会い~改~   作:ただの名のないジャンプファン

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皆々様お久しぶりです!

現在、リアルでは銀魂が休んで一番の休息が遊戯王の後にちょこっとあるリボーンのブルーレイボックス発売CMになっただの〜〜〜(以下略)です。

それではこんな感じでまた更新しま〜す。


標的75 久しぶりに更新しようとするといつすればいいか分からなくなる

 

 

 

 

 

 

 

突然の攻撃で皆と分断されたエリオとキャロは、他のフォワードとの合流を目指していた。

成竜となったフリードの背中に乗り、2人は他のフォワード陣を探していた。

急いで移動している間であっても、エリオは冷静に現状の把握に努めていた。

 

(完全に罠にかかってしまったのは確かだけど……どうしてこんな中途半端な場所に放り出したんだろう?)

 

「エリオ君、どうしたの?」

 

考え込むエリオに何かの異常事態と勘違いしたキャロが話しかける。

 

「え?あっ、うん、ちょっと考え事‥僕達を分断するのが目的なら、もっと遠くに飛ばすことが出来る筈なのに‥って思って‥‥」

 

スカリエッティの下にはあの召喚師の少女が居る。

その腕は少なくともキャロと同じかそれ以上の実力を有している。

にも関わらずエリオはこの状況に対して解せない所があった。

 

「僕たちの分断を優先するなら、それこそ戻るのに時間が物凄くかかるほどの遠くに飛ばせば良いだけなのに、向こうはそれをしなかった……きっと何か意図があっての行動なんだと思うんだけど‥‥」

 

フォワード陣を分断させるなら彼女の能力でクラナガンの広範囲に分断させることが出来る筈だ。

だが、相手はそれをあえて行わなかったからには何か意図があるに違いない。

しかし、現時点ではその意図を見抜くことが出来ない。

その為、今は相手の出方を警戒するしか出来なかった。

 

「そう言われると、確かに何かおかしいね……エリオ君!!アレ!!」

 

「ん?っ!?あの子は!?」

 

その最中、2人はスカリエッティに協力していると疑わしい召喚師の少女を見つけた。

分断された他の皆の様子も気になったが、エリオとキャロは彼女の事も気になった為、あの召喚師の少女の下へと向かう。

彼女は何故、スカリエッティに協力するのか?

スカリエッティとの関係はどういったモノなのか?

彼女は能力や服装を見てもナンバーズではない。

純粋な魔導師であり、キャロ(自分)と同じ召喚師。

まさかと思うが彼女はスカリエッティの娘ではないよな?

様々な疑問を抱きながらエリオとキャロの2人は召喚師の少女の前に降り立った。

 

(まるで僕らに対して相性のいいスタイルで戦う人が居る相手を直ぐ近くに忍ばせていたみたいだ)

 

此処に来てエリオは相手の目的が召喚師の能力で広範囲に分断しなかったのか分かった気がした。

エリオの見解は正解にほとんど近いものであった。

 

「貴女は‥どうして、スカリエッティに協力するの?」

 

キャロが召喚師の少女、ルーテシア・アルピーノに尋ねる。

 

「‥‥母さん」

 

「「えっ?」」

 

すると、ルーテシアは一言だけ呟いた。

 

「‥‥母さんを起こす為」

 

「お母さん?」

 

「もしかして君のお母さんはスカリエッティに捕まっているの?」

 

2人はルーテシアの母親がスカリエッティに人質にとられているのかと思った。

血の繋がった家族と言うのは2人にとっては無縁に近い存在であったが、例え血が繋がらなくても家族と言える存在であるフェイトは2人にとっては大事な存在である。

2人にとってのフェイトの様に何事にも代えがたい存在がルーテシアにとって母親なのだろう。

家族愛に無縁な2人でもフェイトと言う大事な存在があるからこそ、2人はルーテシアが母の為に戦っている事に関しては共感できる部分があった。

 

「スカリエッティにお母さんを人質にとられているの?だから、スカリエッティに協力しているの?」

 

「それなら、僕達が君のお母さんを助けるから無駄な戦闘は止めよう」

 

2人はルーテシアに投降と保護を申し出る。

しかし、

 

「‥‥それは無理‥母さんを起こす方法はドクターしか知らない。それにはナンバーⅪ番レリックがどうしても必要。クアットロがⅪ番レリックは管理局が持っているって言っていた。邪魔をするなら容赦しない。ガリュー!!」

 

ルーテシアは隣に立つ召喚獣、ガリューに命令を下す。

ガリューは物凄い勢いで2人に迫って来る。

 

ガキーン

 

「くっ‥‥」

 

「エリオ君!!」

 

エリオのストラーダとガリューの拳がぶつかり合う。

ガリューの外皮はまるで鋼鉄の鎧みたいに堅く、エリオのストラーダを受けても平然としていた。

 

「キャロ、コイツは僕が相手をするから、キャロはあの子の相手を!!」

 

「う、うん。フリード」

 

キャロはフリードをルーテシアへと向かわせ、ルーテシアは飛行型のガジェットⅡ型に乗り、

 

「‥‥召喚‥‥地雷王‥インゼクト」

 

地雷王と呼ばれる大きな昆虫とインゼクトと呼ばれるクラゲの様な小さな昆虫を召喚してフリードを迎え撃つ。

 

「フリード! ブラストレイ!」

 

炎が凝縮され、巨大な火球となる。

目標は当然、ルーテシアの操る地雷王である。

 

「ファイアッ!」

 

凝縮された炎が開放され、空が赤く染まる。

 

しかし、地雷王やインゼクトはその炎を回避するでもなく、何の躊躇もなく飛び込んで行った。

 

「そんなっ!?」

 

地雷王とインゼクトは炎に焼かれているが、ルーテシア本人にその炎は届いていない。

前衛の地雷王やインゼクトが焼かれてもルーテシアはすぐに新たな地雷王とインゼクトを召喚する。

 

「聞いて、貴女はスカリエッティに騙されている。管理局にⅪ番レリックは無いの!!」

 

機動六課の任務はスカリエッティの捜査と共にレリックの収集も任務の内でフォワード陣がこれまで管理局が収容したレリックの番号は控えていた。

その中でⅪ番レリックは存在していなかった。

つまり、スカリエッティはルーテシアをだまして自分の駒として利用していたのだ。

その事実からスカリエッティが本当にルーテシアの母親を目覚めさせる方法を知っているのかさえ怪しいものだ。

 

「嘘だ!!」

 

だが、ルーテシアの中では管理局員であるキャロよりもスカリエッティ達の方がまだ信頼がおける様だ。

 

「ゼストも、アギトもいずれはいなくなっちゃう」

 

ゼストと行動を共にしていたルーテシアは彼女なりに気づいていた。

ゼストの命がもう長くはない事に‥‥

アギトに命じて薬湯を煎じさせて飲んでいるが、それは気休めにもならない。

ゼストが死ねばアギトはまた新たな主を探しに自分の元から去って行き自分は1人ボッチになってしまう。

自分の下には目を覚まさない母親だけが残る。

その母親を起こす方法を知っているのはスカリエッティだけ‥‥

だからこそ、ルーテシアがスカリエッティに信頼を寄せるのも無理はなかった。

 

「Ⅺ番レリックを探し当てれば母さんが目を覚ます。そして母さんが帰ってきたら私は不幸じゃなくなる…1人ボッチじゃなくなる!!幸せになれる!!お前達に邪魔はさせない!!」

 

今まで無表情だったルーテシアの表情に怒気が含まれている。

 

「違う!そんなのは幸せなんかじゃない!!」

 

「キャロ!もっと語りかけて!君の想いの言葉を!」

 

エリオはガリューと戦いつつやはり、キャロとルーテシアの事が気がかりで会話だけは耳に入れていた。

 

「犠牲の上に成り立つ幸せ何てそんなの本当の幸せじゃない!!貴女のお母さんだってそんな事をきっと望んでいない…だからそんな間違った道を進んじゃダメ!」

 

「でも、母さんを起こすにはそれ以外に方法は‥‥」

 

ルーテシアは母親の事を言われ迷いが生じ始めていた。

 

「スカリエッティに頼らなくても‥‥レリック以外の方法を諦めちゃダメだよ!!他にも必ずお母さんを起こす方法はあるはずだから! だからそれを私達と一緒に探そう?」

 

「ドクターもレリックも必要としない方法‥‥そ、そんなのある訳が‥‥」

 

「あるよ!!絶対にある筈だよ!!」

 

ルーテシアが否定するまえにキャロが有無を言わさずにスカリエッティもレリック以外にもルーテシアの母親を助ける方法がある筈だと言う。

 

「‥‥本当にあるの?」

 

「えっ?」

 

「母さんを起こす方法‥‥本当にあるの?ドクターにもレリックにも頼らない方法‥‥一緒に探してくれるの?」

 

ルーテシアの心は揺いでいた。

やはり、スカリエッティの下では同世代がいない為、彼女の中には無意識のうちに友達が欲しいと言う欲求があったのかもしれない。

ナンバーズの皆は自分の事を「お嬢様」と呼んでどこかよそよそしい態度ばかりとっていたし、スカリエッティの協力者達は胡散臭い連中ばかりでルーテシア個人はあまり関わりたくなかった。

アギトは自分のことをそれなりに気遣ってくれてはいたが身長が釣り合わないし、どちらかというと自分よりもゼストと居る事が多かった。

ガリュー達召喚獣は会話することが出来ない。

故にルーテシアは腹を割って話せる同世代の友達が欲しかった。

これまでは母親のためにとⅪ番レリックを探し回っていた為、こうして同世代の人間と話した機会が極端に少なかった。

それが今はこうして話している。

ルーテシアにはそれが新鮮に感じたのだ。

 

「‥‥名前」

 

「えっ?」

 

「貴女の名前‥‥教えて」

 

「アルザスの竜召喚士、管理局機動六課の魔導師キャロ・ル・ルシエ。貴女は?」

 

「‥‥ルーテシア・アルピーノ」

 

キャロはルーテシアに手を差し伸べて、ルーテシアがその手を握ろうとした時、

 

『あらあら?ダメですよ~? ルーテシアお嬢様。そんな連中の言葉に惑わされちゃ~』

 

「クアットロ‥‥」

 

突如、空にモニターが現れる。

表示されたモニターにはゆりかごに居るクアットロの姿が映し出される。

 

「で、でも、キャロの言う通りⅪ番レリックが無くても母さんを起こす方法があるかもしれない」

 

『ルーテシアお嬢様。そんな方法はあるわけありません。ドクターがしてくださる方法が最善なのです』

 

「デタラメを言うな!きっとあるはずよ!!」

 

キャロがクアットロに声を荒げて彼女の言葉を否定する。

 

『ピーピーうるさい小娘ね。ルーテシアお嬢様、そんなガキどもなんて貴女には必要はありません。ぶっ殺しちゃってくださいな、貴女には私達やドクター‥そしてお母様がいれば十分なんです』

 

「で、でも‥‥クアットロ‥‥」

 

『おやおや、いけませんねぇ~ルーテシアお嬢様。どうやら、貴女は迷いが生じているみたいですね~そんな不必要な感情を持っていてはお母様を助ける事は出来ませんよぉ~でしたらその迷い、私めがその迷いを消してあげましょう』

 

そう言うとクアットロの前にピアノの鍵盤の様なモノが出現して、何かを操作し出す。

 

「うっ…うわぁぁぁー!!」

 

するとルーテシアが突如苦しみだす。

彼女のデバイス、アスクレピオスにはあらかじめある細工が施されていた。

それは一種の催眠‥いや、洗脳装置ともよばれる代物であり万が一、ルーテシアが自我を持ち始めた時の為に彼女を意のままに操るために仕込まれた細工であった。

 

『さぁ、ルーテシアお嬢様!そのガキどもを殺してくださいな!そいつらは貴女から大事なお母様を奪おうとする敵ですよ』

 

「なんてことを!!」

 

「あなた達は‥‥私の敵‥‥母さんは私が守る!!」

 

ルーテシアは光を宿さず憎しみのこもった瞳でキャロ達を睨んできた。

 

「インゼクト、地雷王、ガリュー、白天王…………殺して、こいつらを殺して―――――――――!!」

 

クアットロに悲しみや怒りと言った感情を増幅され、正気を失ったルーテシア。

彼女の叫びに呼応するように荒れ狂い、だが同時にそんな主の姿を悲しむ様な素振りを見せる召喚獣達。

特にガリューに関してはこれまでずっとルーテシアに付き従ってきた為か、クアットロのせいでルーテシアがこうなった事を見ていたので戸惑いが隠せない。

しかし、召喚獣である以上主の命令は絶対なのだ。

ガリューは目の前の小さな騎士と桃色の召喚師の少女に期待を抱きながらも主の命令を実行するしかなかった。

 

(必ず元に戻してあげるから‥‥)

 

キャロはルーテシアを元に戻す為に覚悟を決めた。

その為に彼女はヴォルテールを召喚する。

ヴォルテールはそれに匹敵するルーテシアの白天王と対峙し、フリードも次々に姿を現す巨大甲虫「地雷王」を止めている。あとは、エリオが向かい合うガリュー。

そして自分自身はルーテシアと対峙する。

ルーテシアさえ止めれば、召喚獣達も止まるかもしれない。

そんな一縷の希望に願いを託し小さな騎士と桃色の召喚師の少女第二ラウンドが始まった。

 

(心が乱れて感情的になっているなら‥‥)

 

一歩踏み出すと同時に襲い掛かってくる地雷王とインゼクトの大群。

それを前にしながら、キャロの心に怯えの色はなかった。

クアットロはある大きなミスをした。

確かにルーテシアを洗脳し、エリオとキャロに差し向ける事は出来たがクアットロの捻くれた性格が災いして負の感情を高めてエリオとキャロの2人に絶望を与えてやろうと感情を暴走させたのは悪手であった。

負の感情を強化され、心の乱れたルーテシアの攻撃はかえって単調になっている。

キャロは六課に来てからなのはからのシュートイベーション訓練やフェイトからの高速移動訓練で回避技能は高められていた。

そして、キャロは地雷王の電撃やインゼクトの攻撃を躱しつつシールドや魔力弾で迎撃しつつ前に出た。

しかし、如何に単調になっているとはいえ、次々と地雷王とインゼクトを召喚し、それらの召喚獣の壁で守られたルーテシアに攻撃を当てるのは一苦労だ。

だが確実にルーテシアを止めようと思うなら、至近距離まで接近して一撃で意識を断つしかない。

 

(一撃で意識を刈りとるなら、狙いは蟀谷か顎。手の届く距離まで近づければ、私にだって……!)

 

キャロは以前、格闘戦を得意とするスバルから聞いた事を思い出す。

例え、洗脳されていても人体機能は正常のままの筈、ならば頭部に強い一撃を与えればルーテシアの意識は混濁して気を失うかもしれない。

インゼクトの羽根に頬を浅く斬り裂かれながらも、キャロは臆することなくフリードの背中に乗り、ガジェットⅡ型の上に立つルーテシアへと向かう。

単調になっているとはいえ、その数だけでも十分過ぎるほどの脅威。

それでもキャロは、波濤の如く押し寄せるそれらを時に回避し、時に強引に掻き分けて行く。

服を、肌を、髪を切り裂かれても尚引くことはなく前に進む。

そして、ついにその手がルーテシアの横顔に届いた。

 

「っ!?」

 

「たぁっ!」

 

頭の側頭部‥ルーテシアの蟀谷の辺りに手を押し当てて、キャロは思い切り魔力を宿した拳を思いっきり叩きつける。

殴り合いのスキルを持たず、そもそもそう言った行為に不慣れなキャロにとってこれが精一杯のことだが、ルーテシアの意識を刈りとるにはそれで十分だった。

ゼロ距離から放たれた魔力の衝撃がルーテシアの脳を揺さぶり、彼女の意識を闇へと沈める。

同じ召喚士であり尚且つまだ成長途中の同世代で打たれ強くないと見たキャロの読みは正しかったのだ。

意識を失ったルーテシアはガジェットから落ちていく。

そこをキャロは空中で彼女をゲットし、近くのビルの屋上にフリードと共に着地する。

ルーテシアが意識を失った事で彼女の召喚獣は消えるか行動を停止する。

ルーテシアの召喚獣たちが行動を停止したのを見てキャロも、ホッと胸をなで下ろし自らが召喚したヴォルテールを返還する。

丁度その時、キャロの背後で対峙するエリオとガリューの闘いもまた、決着が付こうとしていた。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

空中で激しくぶつかり合う2人。

エリオの横薙ぎをガリューは脇と腕で挟み込むようにして止め、その状態で空いた逆腕の刃をエリオの肩を突く。

辛うじてなんとか貫かれる事を免れたエリオだが、彼はその状態で得物を握る手に力を込める。

電気変換資質持ちの本領は「麻痺」。

強力な電撃を受ければ身体が麻痺して動きが鈍るのが物の道理。

それは例え召喚獣で、外皮が堅いガリューも例外ではない。

エリオは電気へと変換した魔力をストラーダに流し込み、そのままガリューの身体へと送る。

 

「――――――――っ!」

 

強力な電撃を浴び、声ならぬ声を上げるガリュー。

外皮が鉄の様に堅いせいで電気を通しやすい身体だったのかもしれない。

一瞬の麻痺で相手が怯んだのをエリオは見逃さず、ストラーダを手元に戻す。

槍を右手に持ち、そのまま肩へと担いで穂先を背中まで下ろす。

続いて空いた左手で背中越し柄を掴み、右手に力を込める。

肩を支点に、テコの原理でしなる槍を必死に抑え込む。

やがて、もうこれ以上は抑えられないという所で…………左手を離した。

 

「だぁぁあぁぁぁぁぁあ!!!」

 

ガリューの左手の拘束から解放された槍は勢いよく跳ねあがり、衰えることなくガリューの肩目掛けて振り下ろされる。

シグナムから短時間であるが稽古をつけてもらい習得した紫電を帯びた強烈且つ痛烈な一閃の一撃。

とはいえ、師匠であるシグナムのモノと比べたら隙だらけの一撃でありガリューの身体が麻痺していなければ、とてもではないが成功しなかった大技だろう。

また、今回の戦いにおいては麻痺の他にもガリューの心情も影響していた。

小さな体躯からは想像もつかない重い一撃を受け、ガリューの身体がビルの床を突き破って落下する。

着地したエリオは、ストラーダを支えに荒い息を突きながらも確かな手応えに拳を握るのだった。

その後息を整えたエリオは、

 

「キャロ」

 

「エリオ君」

 

エリオはキャロの下へと戻る。

 

「ルーテシアは?」

 

「大丈夫。今は気を失っているだけ」

 

キャロは自らの膝枕で静かに目を閉じて眠っているルーテシアに視線を移すとエリオも自然とルーテシアを見る。

眠るルーテシを見てエリオもホッと一息ついた後、ある決意を固める。

 

「キャロ、フリードを少し貸してくれる?」

 

「えっ?エリオ君、どこかに行くの?」

 

「フェイトさんの所に行く」

 

「えっ?」

 

エリオの言葉に驚くキャロ。

エリオはスカリエッティのアジトへと向かったフェイトの事、そしてルーテシアの母親の事が心配になったのだ。

公開陳述会の時、スカリエッティの目的はヴィヴィオの他にフェイトも捕獲目的の様だった。

フェイト程の魔導師ならそう簡単に負ける筈がないと思っているが、それでもあのスカリエッティの下へと向かったフェイト、そしてスカリエッティの下に捕まっているであろうルーテシアの母親を助ける為、エリオは行くと言うのだ。

 

「わかった。でも絶対に帰って来てね」

 

「うん。必ずフェイトさんもルーテシアのお母さんも連れて戻るから」

 

キャロにルーテシアを託したエリオはフリードの背中に跨り大空へと舞い上がっていった。

エリオがフリードでフェイトの下に向かったすぐ後、瓦礫の中からガリューが姿を現す。

 

「っ!?‥が、ガリュー‥‥」

 

ガリューの出現でキャロは一気にピンチになった。

フリードもエリオも居ない、ヴォルテールを召喚したくてももう、魔力もほとんど残っていない。

しかし、意外にもガリューはキャロに対して危害を加えるような事はしなかった。

ガリュー自身も主であるルーテシアを救ってくれたキャロに恩義を感じたのだろう。

キャロはガリューに管理局への投降と保護を伝えるとガリューは頷き、眠っているルーテシアを抱きかかえるとキャロと共に市街地に設けられた救護所へと向かった。

 

ルーテシアの敗北‥その光景をゆりかごからクアットロは見ていた。

 

「まさか、ルーテシアお嬢様があんなガキどもにやられるなんて‥‥ふん、所詮はお嬢様も役立たずのガキというわけですわね。でも、まだ此方が優位な事にかわりはありませんからねぇ~そうでしょう?陛下?」

 

クアットロはゆりかごの玉座の間にある玉座にぐったりとした様子で座らされているヴィヴィオを見ながら呟いた。

 

 

 

・・・・続く




それじゃまた次回

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