【大空】と【白夜叉】のミッドチルダの出会い~改~ 作:ただの名のないジャンプファン
~sideクラナガン空中~
青く広がる大空と飛ぶ影が前方と後方に分かれて飛んでいた。前はなのはとフェイトそしてヴィータ。そして後ろには…
「なぁ」
「ん?どうした?銀時」
「お前たちの提案でこれを即興で作ったけど‥‥」
銀時は自分の腰に巻いているロープを手で掴む。そして自分の後ろ飛んでいる二つのパラシュートに目をやる。
「大丈夫だ。俺よりは安全だぞ」
「そりゃまぁ、そう思えるが……」
リボーンの方は、ツナにのしてもらっている状態だ。口で説明するのは簡単だがこれはめちゃくちゃ危ない。言うなればジェットコースターを安全バーなしで乗っている…よりも危ないだろう。
なのでツナもだいぶ減速している。だが、流石リボーンそれでも危ないのに片手で帽子を抑えて片手で自分の体を支えている。
余談であるが真選組の沖田は以前、とある事情で上司の娘のデートを邪魔する際、彼氏をジェットコースターに無理矢理乗せた時、自身はベルトをつけるのを忘れて大変な目に遭った事がある。
「まぁ、ヘリよりはましか‥‥」
一か所に集まっていて恰好の標的となるへりよりこちらのほうが自分で対処もしやすい。
もっとも六課が所有していたヘリは隊舎襲撃の際にガジェットと戦闘機人の攻撃で破壊されているので、空戦が出来ない銀時を運ぶにはこれが一番手っ取り早いのかもしれない。
「銀さん…」
「あん?どした?ツナ?」
ツナが銀さんに話しかける
「……」
だが一方的に黙ってしまうツナ。銀時は何かを悟ったかのように「ふっ」と言葉を出す。
「大丈夫だ‥‥お前はお前の仕事をしてくれ、ヴィヴィオの事は俺に任せろ」
ツナは目を見開いて銀時を見る。
「そうだ、お前にそんな余裕はないだろ?…あいつと約束したんだろう?」
リボーンがそうツナに告げツナは俯きながら頷こうとした時、
「ん?おい、フェイトが進路を変えたぞ」
フェイトはなのはと二、三言葉を交わすとゆりかごとは別の方向へと飛んでいく。
急に言われ動揺するがすぐさま自分もフェイトの後を追う為に進路を変えようとすると、
「おい、行く前に‥‥」
と拳をツナに突き出す銀時
「え?」
「これ終わったらヴィヴィオを泣き止ますのを手伝ってくれよな‥アイツは泣き虫な所があるからさ、俺となのはだけじゃ無理かもしれねぇ」
優しく微笑む銀時それは親の様な顔をして、まるで兄に妹の世話を頼むような…そんな顔をしていた。
「あぁ、わかった‥‥ただ、銀時」
「なんだ?」
「‥‥死ぬなよ」
ツナは病院で沖田からかけられた言葉を銀時に言う。
「誰に言ってんだ?俺は不死身だぜ?お前こそ、死ぬなよ」
「あ、ああ」
ツナも銀時に微笑み返して銀時の拳を当て返しそして自分もフェイトを追いかけように進路を変える
(待っていろよ、ヴィヴィオ)
フェイトとツナを見送って銀時は再び眼前に浮かぶ聖王のゆりかごに目やる。
~side土方~
病院にてクラナガンへと迫って来る戦闘機人の中でギンガの姿を見た土方は動揺していた。
ギンガの姿を見た土方は居ても立っても居られずに急いで寝間着から真選組の制服を纏うと病室を飛び出そうとした。
だが、そこを沖田に止められた。
1人で行く気なのか?
相手は確かにギンガかもしれないが、今のギンガは紅桜に操られている。
しかもギンガは戦闘機人であり魔導士‥更には紅桜まで装備している。
反対に土方は非魔導士‥‥で装備は刀が1本‥‥。
これまで自分達が相手をして来た攘夷志士とは訳が違うのだ。
確かにあの襲撃事件の後、沖田と土方は手合わせはした。
だが、土方の怪我の元でそんなに長時間は出来なかった。
そんな中、ケガもまだ完全に完治していないのに1人で行く気なのか?
確かにギンガの事は土方に任せると言った沖田であったが全部土方1人に任せる訳では無い。
精々最後の一撃を土方に譲るつもりだった。
だが、土方は最初から最後まで1人で片をつけるつもりだった。
沖田にとって土方の行動はあの時の‥‥自身の姉のミツバの時のことを彷彿とさせる。
自分で全部抱え込んで、1人で何とかしようとする。
そんな土方のやり方と態度が沖田を無性にイラつかせる。
だが、土方は強引に沖田を振り払って土方は決戦の地へと赴く。
土方はどうしてもギンガとの戦いは他人に譲れなかった。
ギンガを敵の手中に落してしまったのは自分の判断ミスによるものだ。
あの時、別れずに一緒に行動していればギンガを敵の手中に落す事はなかったかもしれない。
ギンガを取り戻すのは自分の責任なのだ。
戦いと共にギンガと再会する事による興奮する気持ちを落ち着かせるためか、土方は徐に煙草を取り出して火を着ける。
そして足取りはゆっくりである。
彼にはもう分かっている。
自分の対戦相手がこの先で待っていると言う事を‥‥。
やがて、土方の前に黒い着物と袴を纏ったギンガがまるで土方を待っていたかのように立っていた。
「よぉ、ギンガ。来てやったぜ」
「‥‥」
土方が声をかけてもギンガは相変わらず無表情のままで、言葉も返さない。
「へぇ~袴姿もなかなか似合うじゃねぇか‥」
「‥‥」
「だが、お前にその腰のモノは似合わねぇ‥‥」
土方が刀を抜き、ギンガへと迫るとギンガも抜刀して土方を迎え撃った。
ガキーン!!
土方の刀とギンガの紅桜がぶつかり辺りに金属音が響く。そして火花が散ってる中土方は煙草の煙を吐き捨てるようにため息をついて
「はぁ~、色男はあれやこれやと言葉でやるんだろうが、だめだ‥何も思いつかねぇ。だからよぉ‥ギンガ、見せてやるよ‥今までの俺を‥
土方は覚悟を決めた顔をする。
それはギンガとはいつ離れてもいい‥どうせいつかは別れるだろうと距離を置き嫌われてもいいという覚悟ではない。どんな自分を見せても大丈夫。そんな覚悟を決めてギンガに面と向かっている。
「俺も‥‥そしてまがいなりにも今のお前も侍なんだ。剣に生き剣で語るのが侍の流儀だ。ならば、お前も全力でかかって来い!!ギンガ!!いや、妖刀紅桜!!」
(アイツはそう簡単に呑まれちまうような軟な女じゃねぇ‥‥絶対に生きている‥‥俺の中にトッシ―がしぶとく生き残っていたみたいにな‥‥だから、ギンガ‥俺が絶対にお前をそこから助け出してやる!!もう少しの辛抱だ!!待っていろ!!ギンガ!!)
土方は例え紅桜に体は乗っ取られていてもギンガの精神は生きていると信じ、彼女を必ず取り戻して見せると意気込んだ。
~side市街地~
FWメンバーそして新八、神楽、山本がともに行動している。
「銀さん達大丈夫かな?」
僅かな心配が口から零れるそれもそのはず
敵の本拠地でもある聖王のゆりかごへと向かったのだ、彼との付き合いの長さ的にも心配する新八。
「新八、何を言っているネ。お前、今は他を心配する余裕なんてあるのか?それに銀ちゃんに心配なんてするだけ無駄アルよ」
「そ、そうだよね‥あの銀さんだもんね‥‥」
神楽の言葉を聞き新八は確かに銀時の事を心配するなんて取り越し苦労だと今までの経験からそう思う。
いや、そう思いたかった。
そうでもしないと今の自分も不安で押し潰されそうだから‥‥
皆が市街地を進んでいると急に道路が‥‥
「っ!?みんなここから離れろ!!」
山本がティアナをスバルが新八を庇いそして神楽は高くジャンプしてエリオとキャロはフリードに飛び乗りそれぞれ回避した。
「きゃあ!!」
「スバルさん!?」
「山本さん!!」
突如の事で何が起こったかわからない、ただ自分達が宙に放り出されてさっきまであった地面が急に崩壊したのだ。
「く!?」
それでも焦ることの無い山本はすぐ様次の行動を起こす
今度は山本がスバルを突き飛ばす。
「きゃっ!!」
スバルは突き飛ばされた為勢いそのままに着地に失敗して地面を大きく転んでしまう。
ガキーン!!
そしてすぐにスバルの耳に金属音が無理やり入り込む。スバルは山本の方を見ると刀で張り合っている。
張り合っている相手を見るとそれは画面越しに何度も見たことのある戦闘機人だ。
確か名前はディードと言ったか?
だが、彼女の様子は明らかにおかしい。
画面越しだが、そこから見た印象は冷静で物静か、あまり表には感情を見せるタイプではない印象を山本はディードに抱いていた。
だが今、自分の目の前にいるディードは全くの別人のように思える。
「うふふふふ‥‥アハハハハハハハ‥‥なかなかやりますね」
ニヤリと狂気の笑みを浮かべながらまるで子供の様な無邪気にはしゃいでいるようにも見える。
その様子は親から新しく買ってもらったおもちゃを喜び、それを他人に見せびらかす様だ‥‥。
だが、これだけは間違いない。
先程から感じるかまいたちの様に見えない鉄を斬る様な殺気だ。
「山も…はっ!?」
ディードの一撃を受けた山本を心配したスバルの方にも敵が現れる。
「ぶっとべぇぇぇ!!」
「くっ、この‥‥!!」
この重い相手の拳の力を受け流すかのように地面をへこませてでも受け止める。
「うぅぅ」
こちらは前に見た通りの印象‥自分とどこか似た感じのする短い赤髪それに似合う荒々しい性格の少女ノーヴェ。
彼女は容姿もそうだが、装備している武器も自分とそっくりだ。
ローラーブーツに右手にはナックルを装備している。
ギンガとの模擬戦とは違う、ミラーマッチをしているかのようだ。
「スバル!!っ!?くっ‥‥」
山本はスバルに何とかフォローを入れようとするが…目の前のディード相手に簡単にスバルの方へ援護はできない。
「ツナ‥そしてあの銀色の爆弾使いじゃないのね。」
ディードが敗戦をしてしまい屈辱を負わされた2人。今回は以前の二の舞にならないーー何て甘いものじゃない彼女の殺意には殺意以外の言わば負の感情全てが笑顔として出ていた。殺す気と共に含まれる邪気
「!?」
その名と共にディードの邪気に反応するが山本はいつものような笑顔を浮かべる。
「はは」
「ん?何がおかしいの?」
「別に‥随分眼中にないのな、だけど俺も結構強いぜ、舐めていると痛い目に遭うぞ」
「へぇ~‥まぁいいわよ‥相手になってあげる‥‥たっくさん、血を出してね‥‥この子が血を欲しがっているの‥‥沢山の人の血をね‥‥」
そう言ってディードは紅桜・小太刀を舌で舐めた。
ディードの雰囲気に山本は寒気を感じた。今までに無い寒気だ。以前感じた恐怖とは違うまた別の恐怖だからこそ
彼女は此処で止めなければならない。
それはディードの為でもあった。
山本は生唾を飲み込んで
「ヤベェ、ゾクゾクしてきやがった。」
口角を少し上げながらと呟く。だが別に恐怖に負けかけてるわけじゃない、むしろその逆、比喩や例えを入れずにこの顔は上を目指し強敵と遭遇した剣士の顔だ。その据わった目でディードを見るがその顔は笑っていた。
キョロとエリオの二人はなんとかフリードに乗り上空へと逃れる事に成功した。
「皆は!?」
「分からない‥バラバラにされたみたい」
「兎に角、降りて皆と合流を‥‥」
エリオが着地して皆と合流をして体制を立て直そうと言いかけたその時、
「エリオ君!!アレ!!」
「ん?っ!?あの子は!?」
ある高層ビルの屋上にあの紫色の召喚師の少女が居た。
その子はまるで『あなた達の相手は私よ』と言わんばかりエリオとキャロの事をジッと見ていた。
「キャロ‥‥」
「う、うん」
キャロはフリードにあの召喚師の少女が居るビルへ行く様に指示を出すと少女の待つビルの屋上へと到着する。
「‥‥」
少女の傍には仮面ラ○ダーの様な昆虫人間が少女を守るかのように立っていた。
キャロの相手は同じ召喚師の少女でエリオの相手はあの昆虫人間と言う訳だ。
互いに対峙している時、召喚師の少女、ルーテシアの下へクアットロから念話が入る。
(ルーテシアお嬢さま)
(クアットロ)
(お嬢さま、まずは目の前の相手を片付けてもらえますか?この戦いが終わればきっとお母様も目を覚ましてくれますわ。お嬢様が探しているⅪ番レリックは恐らく管理局の保管庫に有る筈ですから)
(うん‥‥頑張る)
「‥‥お母さんの為‥負けるわけにはいかない」
無表情ながらもルーテシアはグッと拳に力をいれた。
~sideフェイト~
スカリエッティの基地に攻め込むフェイトとツナ。既に自分達の動きが知られている事は知っているようなので大胆にも走りながら駆け込む。
(スカリエッティを早く、見つけてこの戦いを終わらせないと…)
「やぁ待っていたよ」
突如目の前から声がする。驚くも冷静さをかけさせないフェイトだが動揺は少ししていた。何故なら探していた人物が彼方から現れたのだから
「やぁ、Fの遺産‥いや、フェイト・テスタロッサ」
「ジェイル・スカリエッティ!!貴方を今回の事件の主犯として拘束させてもらう。」
とバルディシュを振りかざしスカリエッティに攻撃するがその攻撃はヒットしなかった。驚くことにフェイトの渾身の一撃は彼の体をすり抜けた。
だがフェイトは直ぐに気づく。
「‥ホログラムか?」
フェイトとスカリエッティのやり取りは続いている。
「ご名答、あいにく私はここに居なくてね、だけどどうしても君に会いたくてね。失礼ながらこうしてホログラムで会せてもらったよ」
「どこにいるの?」
「すまないね、それは教えられないな。もし知りたいならこの子たちを…」
と言おうとするが今度は背後から奇襲を受けた。
「待っていたぁぁぞ!!」
何度も目にしたことがある。神楽と同じぐらい綺麗なオレンジの髪を持ち普段は爽やかに笑いそこには静かに殺意が含まれてるが今は荒々しく激しい嵐の様で隠していた牙をむく男‥‥
「神威!?」
とっさに防ごうとするが間に合うかどうかそんな時今度はフェイトの後ろから
「フェイト!!避けろ!!」
と、とっさに緊急回避の要領で躱す
「ツゥゥナァ!!」
ドゴーン!
ツナと神威の拳がぶつかり合う
両者全力で押し合うが二人共一歩も引かない。
「やれやれ、彼の動きは私の想定を超える…だが想定外じゃない」
スカリエッティがそうつぶやくと指を鳴らす。
「!?」
急に床が青白く一つの模様が浮かぶ様に光りだす。ツナの超直感がそれは大穴とツナに伝えそこを離れようとするが神威ががっしりとツナを掴んでいる。
「ツナ!」
後ろからリボーンがツナに飛び乗り
「そのまま行くぞ」
そしてツナ、リボーン、神威が突如消える。
「ツナ!?」
「安心するといい、ただの転送魔法だ。彼らにここで暴れられると色々壊れてしまうからね」
「くっ」
フェイトはスカリエッティを睨みつけると共にツナの身を案じた。
~sideゼスト・グランガイツ~
クラナガンの空、そして市街地でスカリエッティ一味と管理局との戦闘が今まさに始まろうとしている中、空から地上本部を目指している者が居た。
以前白蘭から借りた白龍の背中に立つゼストは次第に近づいてくる地上本部のビルをジッと鋭い眼光で見ている。
(レジアス‥もうすぐだ‥‥もうすぐ会える)
(お前には色々聞きたい事がある‥‥あの時の事件の真相‥そして貴様とスカリエッティとの繋がり‥すべてはいてもらうぞ)
ゼストは地上本部のビルが近づくにつれてあの日の事を思い出す。
アレは忘れもしない‥‥自分が率いる部隊が当時のスカリエッティの研究所を摘発した際、スカリエッティがまるであの日、あの時間に自分達が来るのを知っていたかのように万全の迎撃態勢を整えていた。
それ以前にレジアスには色々変な噂があった。
確かに自分も彼同様、ミッドの平和については頭を悩ませていた。
だが、彼とレジアスとの違いは、レジアスは理想の為ならば手段を選ばないと言う方法で管理局が禁止にしている人造魔導師や戦闘機人の研究・製造に手を伸ばしていたと言う噂まで立っていた。
ゼストは、最初その噂を信じていなかったがスカリエッティの研究所の摘発の少し前からその噂が次第に事実ないのではないかと疑い始めていた。
スカリエッティの研究所摘発の前日も彼とレジアスは激しく口論をした。
やっとつかんだスカリエッティの研究所の摘発をレジアスは止めるように言ってきたのだ。
それが、ゼストがレジアスを見限った原因だった。
地上での局員の戦力不足を補うためゼストは、時間はかかるが後任の人材の育成に力を伸ばしていた。
だが、レジアスはゼストのやり方では時間が掛かりその間にも罪のない一般人が犠牲になる。
やっと育てた人材も『海』にとられて結局は無駄に終わる。
だからこそ、例え違法と知っても人造魔導師や戦闘機人の研究・製造に密かに手を染めていた。
そして、ゼストを失った時、彼にはもう止まると言う選択肢は消えていた。
だが、スカリエッティは此処で手の掌を返して牙を剥けてきた。
アインヘリアル砲台も破壊された。
レジアスは絶望の淵に立たされていた。
そんな彼の下に今まさに過去の亡霊が迫りつつあった。
・・・・続く
ではまた次回。