【大空】と【白夜叉】のミッドチルダの出会い~改~ 作:ただの名のないジャンプファン
此処で時系列は過去へと遡る。
~side ベルカ地区山岳部 某所 スカリエッティのアジト~
カジノ船での任務を終えたチンク達、ナンバーズがスカリエッティのアジトへと帰還した。
帰還したばかりのチンク達を赤い髪をした2人の少女らが出迎える。
「おかえりチンク姉」
「お疲れッス」
1人はスバルの髪を赤くした様な容姿で青を基調としてボディースーツの首元には『Ⅸ』の番号が書かれている少女、ノーヴェ。
彼女はスバルがギンガを慕っている様にノーヴェは数多いナンバーズの姉の中でチンクを一番に慕っていた。
もう1人はノーヴェ同様、赤い髪でまるでパイナップルの様な髪型で青を基調としてボディースーツには『Ⅺ』の番号が書かれている少女、ウェンディ。
「ん?ノ―ヴェにウェンディか‥うむ、戻ったぞ」
「それで、今回の首尾は‥どうやら、Fの遺産は手に入らなかったみたいッスね」
ウェンディはチンク達がFの遺産‥つまり、フェイトを連れていない事から、フェイトの拉致は失敗したのだと悟った。
「ああ、残念ながら‥‥だが、Fの遺産はあくまでついでだ。主目的はちゃんと果たして来た」
主目的‥今回のスカリエッティがチンク達に下した任務は、セッテ達の初陣とツナのデータの入手‥‥フェイトの身柄確保はあくまでもついでだった。
その中で、セッテ達に戦場を体験させることが出来、尚且つ、ツナのデータも入手できた。
スカリエッティがツナのデータを何に使用するのか自分達は知らされていないが、自分達の創造主であるスカリエッティからの命令なのだからそれを実行し、成功させるのが、自分達ナンバーズの役割だった。
だが、ディードに至っては今回の任務に関しては不満と言うか、モヤモヤしたモノが残った。
故にノーヴェが冗談半分で言い放ったこの一言にカチンと来て、ノーヴェに食いついた。
「お前ら、チンク姉に迷惑をかけたり、足を引っ張らなかったか?」
「なんですか?その言い草‥まるで、私達がチンク姉様の迷惑になったみたいな言い方ですね、ノーヴェ姉様」
「なっ!?」
ディードのこの態度にディードの双子の姉妹であるオットーもギョッとした。
まさか、ディードが姉のノ―ヴェに対してこのような態度をとるとは思わなかったからだ。
オットーの他にもチンクやウェンディでさえもディードのこの態度には驚き、言われたノ―ヴェ本人は唖然とする。
「大体今回の任務について何も知らないノーヴェ姉様にそんな事を言う資格なんてありません‥‥文句を言うくらいなら今回の任務に参加すればよかったではないですか?トレディ姉様はドクターに志願したんですよ。それなのに、まるで、私達がチンク姉様のお荷物の様な発言‥‥一体何様のつもりですか?」
「な、なんだと!?」
ナンバーズの中で短気なノーヴェはディードのこの発言にカチンときて思わず声を荒げる。
「私が役立たずかそうでないか、ノーヴェ姉様の身体に聞いても良いんですよ」
そう言ってディードはツインブレイドを展開する。
「でぃ、ディード!?」
武器を展開したディードにオットーは完全にタジタジ。
セッテは無表情のまま事の成り行きを見守っている。
だが、心の中で密かにディードを応援していたりもする。
「上等だ!!生意気な妹に姉の偉大さを教えてやる!!」
ノ―ヴェもギンガやスバルのリボルバーナックルに似た武器、ガンバナックルを展開する。
「の、ノーヴェ!?」
ウェンディもオットー同様、ディードに殴り掛かる寸前のノーヴェに驚く。
ノ―ヴェとディード互いに一触即発の事態に、
「止めんか!!2人とも!!」
チンクが声を上げて2人を止める。
「いい加減にしないか!!姉妹同士、いがみ合うなんて姉は悲しいぞ」
「でも、チンク姉‥‥」
「‥‥」
「ノーヴェ、お前も言い過ぎだ。ディードはまだ稼働したてで、今日初めて戦闘を経験したんだ。姉から見てもディードはよくやってくれた」
「むぅ~」
チンクに注意を受け、ノーヴェは少し不満の様子。
「‥‥チンク姉様、私は疲れたので先に休みます」
ディードは1人、テクテクとアジトの奥へと歩いて行った。
「‥‥ディード」
オットーはそんなディードの様子を心配そうに見つめていた。
チンク達よりも先に別れたディードは、
「くっ」
ドゴッ
パラパラ‥‥
体の中からくるモヤモヤにイラつき、アジトの壁に拳を叩き付ける。
戦闘機人の拳を受け、通路の壁が壊れる。
「あら?ディードちゃん」
「クアットロ姉様‥‥」
そこにクアットロが通りかかり、ディードに声をかける。
「随分と荒れている様だけど、何かあったの?」
「別に‥‥なんでもありません」
クアットロに素っ気ない態度をとり、その場から去って行った。
だが、ディードは明らかに不快感を露わにしていた。
(変ね、ディードちゃん達には感情を刷り込んでいない筈なのに‥‥)
ディード達の起動に関わっていたクアットロはディードに不満、怒気の感情があった事に疑問を感じていた。
(あの男‥次に会った時は必ず殺す!!)
ディードにはツナに対する明確な殺意が芽生えていた。
それは自分の初陣に黒星をつけたツナへ対する恨みなのか
それとも、ツナの言動に対して自分の存在を全否定されたように思ったからなのか?
自分の中に渦巻いてくるツナに対するモヤモヤにディードは答えを出すことは出来なかった。
それから時系列は元に戻る‥‥。
~side隊舎~
波乱と不安に満ちた公開陳述会の前に休日を貰ったフェイト。
場面はそれを明日に控えた晩のこと‥‥
「フェイトちゃん、お疲れ様。」
「なのは」
「もうすぐだね」
「うん」
なのはとフェイトにはどうしても予言の事がどうしても頭から離れない
(白き夜叉は王と対峙し狂人と死闘を行う時運命は動く)
(何もなければいいけど、銀さんにもしもの事があったら‥‥)
不安を拭いきれない、普段はおちゃらけているが彼が戦っている時は必ず彼は大怪我をしている、彼の本心はなのはにもわかる。
わかっているのは自分より仲間を守る。ここにいる皆そうだが、彼が1番自分の事を考えていない。
(オレンジの炎を纏いし者、狂人との戦いの後地に眠る時異界の支配者天より現れる)
(ツナ...)
フェイトも感じていた。この世界で今考えられるオレンジの炎を使う人はただ1人ツナだ。とても戦闘が似合わない、優しい少年、戦っている時は普段とは別人のように感じられるがそれでも本心から戦いを拒否している。
彼が喜んで戦っているのを見た事がない。正直、この戦いに巻き込みたくない、それはエリオ、キャロ達にも思える。自分が不甲斐ないせいで巻き込んでいるとも思う時もある。
「それもあるけど」
急にフェイトは背中に寄りかかられ後ろを見ると
「明日、乙女の大事な決戦やろ?」
「「はやて(ちゃん)!!」」
いつの間にか、はやてがその場に来ていた。
「しっかりとデートをしてツナ君を落として、自分の虜にしいや」
「えっ?」
「何や?その反応、まさかフェイトちゃんまだツナ君を誘ってないんじゃ‥‥」
「はは」
苦笑するフェイトに呆れているはやて。
「そんなんで、どないすんねん。フェイトちゃん、早めに手をつけとかな、どっかの女が先に手をつけかねんで。」
「え?」
「ほんまに、見張っとかな...何処でフラグ立てるかわからんからな」
メラメラと炎が燃え滾っているはやて。
以前、炎真がアイドルに取られそうになった経験からフェイトに忠告するはやて。
「はやて」
「はやてちゃん、何か経験者っぽい」
「それとここから真面目な話、ツナ君達も、銀ちゃん達も、元は違う世界の人間や、ウチらは今、協力してもらっているけど、本当は元の世界に戻れるようにしなあかん立場や。それを忘れちゃあかんで」
「「‥‥」」
はやての言葉に黙ってしまう2人。
これまで一緒に居た為、フェイトはツナが自分の世界とは違い世界の出身だったことを忘れていた。
いずれは、ツナを元の世界へ帰さなければならない。
その世界にはツナを待つ人が居る筈だ。
自分のエゴでツナを引き留める権限なんて自分にはない。
「銀ちゃんだって最初ヴィヴィオを預かる時、元の世界に戻るかもしれん言うてたんやろ」
「...うん」
「そしてツナ君の強さで忘れかけているかもしれんけど、ツナ君だって戦いたくないって最初ここに協力するのを渋ってんで、本当はもっと青春したいお年頃や、私らが不甲斐ないせいで巻き込んでしまってんねん」
「そうだね」
「そう考えると私ツナに嫌われているのかな」
「ホテルの時もこの前の時も、いつもツナに負担をかけちゃったし‥‥」
「フェイトちゃん」
「それは本人に聞かなわからんな、だからこそ2人だけの時間を作らなあかんやろう。明日ゆっくりと話をしてきたらええ、デートと考えず、本人の気持ちを浮き彫りにする、誰だってプライベートは油断するからな」
「うん」
フェイトは歩き始めた、だが正直不安だ。もし本当に嫌われていたらと思えてくる。でも、いつか来るであろう別れをこの気持ちのまま過ごしたくはない。
~sideツナ~
「10代目、明日はお休みらしいですね」
「うん」
「本当は今回の任務にもついて行きたかったんですが、ティアやはやての野郎に止められたんすよ」
自分の握りしめる拳から血が出そうなぐらい強く拳を握っている獄寺
「まぁ、ゆっくり休めよ、明日は俺達ができるだけフォローするし、な、獄寺」
「たりめぇだ!!10代目、自分の命にかけても10代目のプライベートの時間を潰させませんから!!」
「そこまで大事にしなくてもいいから、」
「いえそんな、あ、部屋に着いちゃいましたね」
「そうだね」
「んじゃ、寝るか」
「あ、俺少し飲みモン飲んでくるから、先に寝といて」
「え?自分がとって...」
「大丈夫だよ」
ツナは走り出して食堂でお茶を飲んでいると‥‥
「あれ?フェイトさん?どうしたんだろう?」
何やら探しているみたいだった。
「フェイトさん」
「キャ!」
つい探し人から声をかけられ思わず声を上げる
「どうしたんですか?」
「あ、あははは」
(どうしよ、まだ心の準備が...)
とりあえず笑顔を取り繕って
(平常心、平常心っと‥‥)
一旦深呼吸をする。
「フェイトさん?」
「あのさ、明日ツナがよければ何だけど...そのデートしよ」
「え?」
「え、あ、/////また、遊びに行こう!うん、遊びに行こう!!//////」
「あ、遊びに行く‥ですか?そうですよね、はい俺はいいですよ」
(デートって聞こえたけど...気のせいかな?)
ツナはフェイトの発言の中に普段のフェイトっぽくない発言が含まれていた様な気がした。
そして、翌日‥‥
~sideクラナガン~
次の日を迎えフェイトの車で繁華街に遊びに来たツナとフェイトの2人。
だが、
「それで今回はどうしますか?何処か楽しめそうな.....」
「ねぇ、少し静かな場所に移動しない?」
フェイトにそう言われ場所を変える2人
「ねぇツナ」
「はい」
「私の事どう思う?」
「え?そ、それは...」
「ツナは元の世界に戻りたいんだよね?」
「.....正直そう思います。」
「そう」
少し下を向き瞳が潤んで来る野を実感する。
「でも、今じゃない」
「え?」
「だってフェイトさん達はまだ戦わないといけないんでしょ?俺はできる限り手伝いたいですから」
「ツナ...」
「あ、足で纏いかもしれないですが」
あたふたと慌て出すツナだがフェイトを見るとすぐに落ち着いた。
「そんな事ないよ」
元気なく声も少し震えていた。
「フェイトさん?」
「寧ろ...私がツナの足を引っ張っているよ、ホテルの時も前の船の時もいつもツナの足を引っ張っているよ。本当は私がツナの事を守らないといけないのに...私が...しっかりとしないといけないのに」
ぽたぽたと涙が零れ落ちていた。
「ごめんね、私が弱いばかりに」
「そんな事ないですよ、フェイトさんは強いです。」
「慰めはいいよ」
「違いますよ」
「俺はフェイトさんと戦ったからわかるんです。」
フェイトは見上げツナを見ると真剣な眼差しでこちらを見ていた。
「え?」
「あの時だって僅かな隙をつけたから勝てたんです。前の時も戦闘機人達はだいぶダメージを受けていました。そのおかげで俺は勝てたんですから」
微笑む顔ツナの顔にまたときめいてしまったフェイト。
「/////あ、その、えっと、ごめんまたみっともなかったね。」
慌てて涙を拭く
「大丈夫です。俺が言うのも何ですが、泣きたい時は泣いてください。」
また心が暖かくなるのを感じた。でもあまえてばっかじゃだめだ。
「ありがとう、でも大丈夫、ツナには感謝しないといけない事ばかりだね」
「そうですか?」
「うん、いつも勇気づけてくれる。」
「俺の方こそ、フェイトさんが思っているよりも弱いですよ」
「えっ?」
「リボーンの修業にはヒィヒィ言って、『おまえはヒーローになんてなれない男』なんて言われた事もあるし。それに獄寺君の様に常に度胸が据わっている訳じゃないし、山本君の様に何かに一心で夢中になるものなんてないし‥‥それに勉強も運動も苦手で何をやらせても冴えないから、同級生からは『ダメツナ』って言われているんですよ」
「‥‥」
考えてみればフェイトはツナの学校生活の事を全く知らない。
彼がちょっと触れたツナの学生生活‥‥それはフェイトには興味がある話題であった。
「俺に比べたら、フェイトさんの方がやっぱり凄いですよ」
「えっ?」
「だって、フェイトさん、その歳で執務官って言う職務に着いているんでしょう?」
「え、ええ‥‥」
「管理局の事はあまり詳しくは知らないけど、執務官になるには色々大変だってグリフィスさんから聞きました」
「そんなことないよ。私だって執務官試験は何回か落ちたし、それに車の免許の試験だって‥‥」
「いや、俺だって‥‥」
と、2人は互いに自分のダメな所を教え、反対に互いの良い部分を褒め称えた。
「‥‥そろそろ、止めましょうか?」
「そうだね」
互いの黒歴史を教え合う様な言い合いは段々虚しくなってきたので、ツナがここいらで止めないかと提案し、フェイトもそれを承諾した...だが
「ごめん、最後に聞かせて」
「何をです?」
「ツナって何でそんなに強いの?戦っている時...何ていうか、迷いがないって言うか、ブレない強さは何で.....」
フェイトの質問を聞いた時に自分のポケットに手を入れあるものを出す。
「それは?」
「これ、俺の友達が俺の為に作ってくれたお守りです。」
ツナはお守りを優しく握りしめて
「俺が戦えるのは支えがあるからです。フェイトさん達が俺を支えてくれているから俺は思いっきり力を出せるんです。」
「私が...ツナの」
「はい」
「あ、フェイトさんこれ」
「これは?」
「さっき買ってきました。昨日からよく暗い顔をしていたから、だから‥‥」
「お守り?」
「俺裁縫とかできないんで買ったものですが、よければ」
「...ありがとう。」
「元気出ましたね」
「うん」
ぐぅ~
「「あ」」
両者緊張の紐が解けて腹の虫がなり
「結構朝早くから来ていたのに‥‥」
「お昼だね」
フェイトはツナの手を引っ張り、
「何処かに入ろっか」
走り出す。
私はこの時のようにまたツナと笑い合える日がずっと続くと思っていた。
だけど.....
だけど、運命は残酷だった。
そんな事、プレシア母さんの時に経験していた筈なのに‥‥
・・・・続く
ではまた次回。