【大空】と【白夜叉】のミッドチルダの出会い~改~   作:ただの名のないジャンプファン

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番外編2です。


番外編2 聖夜の夜は...飲み友1人で十分

 

 

 

~side108部隊~

 

六課がクリスマスパーティの準備をしている頃、108部隊の隊舎では‥‥

 

「ひじかたさ~ん」

 

沖田が土方に手を振りながら近づいてきた。

 

「あん?何だ?総悟」

 

「ん」

 

沖田は土方に向かって手をさし出す。

 

「ん?何だ?その手は?」

 

「やだな~、今日はクリスマスじゃないッスか、だからクリスマスプレゼント下さいよ。俺、こんなナリでもまだ5歳なんッスから」

 

土方にプレゼントを催促する。

 

「んなモンあるわけねぇだろう!!大体そんな老けている5歳児が居てたまるか!!」

 

「えぇ~」

 

土方の返答に本気でがっかりしている様子の沖田。

 

「あっ、もしかしてニコチンとマヨネーズばっか買って金がねぇんすか~?それで、年末まで大丈夫ですかい?法外な利子付きですが、援助しましょうか?」

 

「あぁ?」

 

沖田は闇金並みの利子付きで、土方に金を貸してやろうかと言うが、沖田の言葉に土方は不機嫌そうな顔をする。

 

「それとも恋人にプレゼント渡して金がねぇ...とか」

 

次に沖田は、ニヤッとした顔をして土方に金がない訳を尋ねる。

 

「はぁ!?んなわけねぇだろ!?だ、大体、俺にんな相手いると思ってんのか!?//////」

 

そう言い残して土方は去っていった。

だが、明らかにこの時の土方は何かを隠そうとして動揺しているのは明白だった。

 

「ったく、トシの奴、素直じゃねぇな」

 

沖田と土方のやり取りを物陰から見ていた近藤は土方が居なくなったのを見計らって沖田の前に姿を現した。

 

「近藤さん」

 

そして此処であの男も‥‥

 

「んっ?おい、雲雀」

 

「ん?」

 

沖田に声をかけられて雲雀は沖田の方を振り向く。

 

「お前も土方さんにクリスマスプレゼントねだらねぇのか?」

 

「そんなモノに興味無いな」

 

沖田の提案に雲雀はいつもの調子で返す。

 

「ちぇ、どいつもこいつもつまんねぇなぁ‥折角のクリスマスなのによぉ」

 

沖田としては折角年に一度のクリスマスなのにイマイチ盛り上がりに欠ける事に落胆気味な様子。

 

「でも、君の制服をサンタクロースのように赤くしてあげてもいいよ‥‥君の真っ赤な血でね‥‥」

 

トンファーを構えながらうすら笑みを浮かべる雲雀。

 

「あぁ?聖夜の夜までやんのか?お前、随分と暇人なんだな」

 

「殺らないの?もしかして怖気づいたかい?」

 

「おもしれぇ、やってやろうじゃねぇか」

 

雲雀に挑発されて沖田は、今度はニヤリとダークスマイルを浮かべる。

そして、2人は練兵場へと歩いていった。

 

「はぁ~血なまぐさい聖夜になりそうだな。」

 

近藤が止めようにも2人は止められそうにない。

それにどうせ片は付くことなく、大方互いに腹が減った頃には戻って来るだろう。

 

 

~side夜~

 

夜まで隊舎の執務室にて1人残り事務仕事をしていた土方も仕事も終わり、

 

「ふぅ~、終わった。」

 

両手を上げて大きく背伸びをした。

 

「ん?もう、こんな時間か?」

 

時計を見ながら呟く。

辺りにも誰もおらず自分1人だけ。

クリスマスであるがそんなの自分には関係ない。

さっさと帰って風呂にでも入り晩酌でもしようかと思っていると、

 

「トシさん」

 

「ん?ギンガ、まだ居たのか?」

 

ギンガはドアの前にお酒の瓶とそしてグラス一つを持って立っていた。

 

「はい」

 

「ん?その手にあるのはなんだ?」

 

「折角のクリスマスですから、注ぎますよ。」

 

ギンガは微笑みながら土方に酒瓶とグラスを見せる。

そして2人は応対用のソファーに腰掛ける。

 

「俺はあんまこういうのはしねぇんだがな‥‥」

 

土方はやれやれと言った様子でギンガからグラスを受け取る。

だが、内心は嬉しかった。

なんだかんだ言ってやはり美女にお酌をしてもらうのは男としては気分がいいからだ。

 

「いいじゃないですか。クリスマスなんですから」

 

そう言いながらグラスに酒を注ぐ

 

「まっ、悪くはねぇな‥たまにはこういうのも‥‥」

 

土方はグラスを受け取りグラスの中の酒を飲む。

 

「どうですか?」

 

「うめぇな」

 

こう返す。

土方の返答を聞きギンガは、

 

「よかったです。」

 

満足そうに笑みをこぼす。

 

「お前は良いのか?飲まなくて」

 

「わ、私はまだ未成年ですから」

 

大人っぽく見えてもギンガはまだ17歳の未成年‥お酒を飲むのはまだあと3年早かった。

因みに、なのは、はやて、フェイトも19歳の未成年者なのでお酒は飲めない。

 

「そうか‥それじゃあ、アレを開けるのはもう少し先になるな‥‥」

 

「アレ?」

 

「お前が成人したら、分かるさ」

 

そう言って土方はグラスに残っていた酒を一気に飲み干す。

ギンガが成人するまであと3年あり、土方は何時元の世界に戻ってもおかしくはない身の上だったのだが、土方はこの時既にミッドに住む事を覚悟していた。

その理由はこの後、本編で語られることになる。

そして、

 

「ちょっと、待っていろ」

 

「えっ?」

 

土方は一度執務室から出て、自販機でジュースを買ってきた。

そして、

 

「ほれ」

 

執務室に備え付けのグラスをギンガに渡す。

 

「えっ?」

 

「1人で飲むのも良いが、俺ばかり飲んでいてはつまらん。それに今日はクリスマスだ。酒ではないが、お前も付き合え」

 

「トシさん‥‥はい!!お付き合いさせてもらいますね」

 

土方はギンガのグラスにジュースを注ぎ、ギンガは土方のグラスに酒を注ぐ。

そして、

 

「メリークリスマス。ギンガ」

 

「メリークリスマス。トシさん」

 

カチンっ‥‥

 

2人のグラスは静かに当たり、

土方とギンガは肩を寄り添って2人だけのクリスマスを過ごした。

だが、その場所が隊舎の執務室と言うのが男女のクリスマスとしては色気がないかもしれないが、それが何とも土方とギンガの2人らしいと言えば、2人らしい場所であった。

 

 

~side108部隊隊舎屋上~

 

雪が降る寒い夜に1人の男がミッドの夜景を見ながらふけていた。

沖田との模擬戦をして近藤の予想通り、今回も引き分けで終わり不完全燃焼なのか雲雀は1人ムスッとしていた。

 

「お~こんなとこにいたのか?探したじゃねぇか」

 

「ん?」

 

雲雀に声をかけたのは先程まで死闘をしていた沖田だ。

 

「どうでぃ?一緒にやんないか?」

 

沖田の手にはケーキと皿とフォークがあった。

 

「何か用かい?僕は今、非常に機嫌が悪いんだけど?」

 

「ケーキ、1人で食べんのもあれだから、態々クリボッチを誘いに来てやったんだ。感謝しな」

 

「君の仲間と食べれば?」

 

「土方さんは大切な女と酒盛りを始めていたよ。ありゃ、入れる余地はねぇし、声をかけるのは無粋ってもんだぜ」

 

(ありゃ、乳繰り合う寸前だったな‥‥明日土方さんをからかういいネタが出来たぜ)

 

「じゃあ、君の上司は?」

 

「近藤さんはゲンヤさんと一緒に呑んでいる。付き合ったら、無理矢理飲まされて明日には大変な目にあうぜ。それなら、余りモン同士で、丁度いいじゃねぇか」

 

「‥‥君の事だからなにか仕込んでいるんじゃないの?」

 

雲雀は日頃、沖田が土方に行っている悪戯の類を見てこのケーキにも何か変やモノが混入されているか変な仕掛けでも仕込まれているのではないかと疑ってしまう。

 

「折角のクリスマスの日にそんな野暮な事はしねぇよ」

 

とケーキを切り分けて皿に盛る。

 

「メリクリ、メリクリ」

 

ヒバードも美味しそうにケーキをついばむ。

 

「ほら、ハリネズミ。お前も食いな」

 

ロールにもわける。

 

「キュー」

 

ロールもヒバード同様ケーキを美味しそうに食べた。

 

「ほら、お前も食えよ。変なもんは入ってねぇからよ」

 

「‥‥」

 

沖田の促しに雲雀は無言で受け取り食べ始めた。

ヒバードもロールも普通に食べているし、ケーキも沖田自身が切り分けていたので本当にこのケーキには何も仕掛けられていないと判断した雲雀はケーキをフォークで刺して口へと運び一言呟いた。

 

「‥‥甘い」

 

「そりゃケーキだからな」

 

沖田と雲雀は屋上でケーキを食べつつ夜景を見ていた。

腐った女子が居れば興奮するようなシチュエーションであった。

 

 

~side108部隊 隊長室~

 

「まっ、まずは一杯やろうか?近藤君」

 

「はっ」

 

一方、108部隊 隊長室、つまりゲンヤの部屋では近藤とゲンヤがしみじみと酒を飲み交わしていた。

 

「お前さん達が来て、ホント色々あったな‥‥」

 

ゲンヤはこの半年間の事を振り返る。

 

「そうですね‥ですが、突然異世界に跳ばされ、行くあてのなかった俺達を受け入れてくれたゲンヤ殿には感謝しております」

 

近藤はゲンヤにペコリと頭を下げる。

 

「いや、お前さん達には感謝をしている。ウチの隊員達も士気も腕も上がったし、毎日が騒がしくも面白おかしい日々だからな。ただ‥‥」

 

「ただ?」

 

「ただ‥修繕費がかさむのが‥な‥‥」

 

ゲンヤは近藤から視線を逸らして何とも言えない表情をする。

 

「も、申し訳ありません。アイツらには気を付ける様に言っているのだが、何分若いせいか血の気の多い奴等でして‥‥」

 

近藤も気まずそうに言う。

確かに自分が止めるように言えば、止めるのだが、自分が現場に行き止めるまでタイムラグはあるし、その場で止めてもその後、再び彼らはドンパチするのだ。

 

「まっ、それ以上の戦果があるし、お前さん達が来てくれたおかげで、ギンガも毎日楽しそうだし、何より土方と‥な‥‥」

 

ゲンヤとしては娘のギンガの変化と成長が嬉しかった。

 

「ええ、俺もあのトシが‥と思っております。トシはある出来事がきっかけで、恋愛に対して負い目を感じていました‥ですが、ギンガちゃんのおかげで、それを乗り越えることが出来ました‥トシに代わってお礼を申し上げます。ゲンヤ殿‥ありがとうございました」

 

「い、いや、俺としてもギンガの事を理解して、愛してくれる奴が現れた事には感謝している。‥まぁ、親としては複雑な気持ちでもあるがな‥‥」

 

「フッ、そうですね‥俺もトシの兄貴分として嬉しくもあり、トシの奴が俺達から離れて行ってしまうと思うとちょっと複雑です」

 

「そうだな‥だが、土方とギンガの間に子供でも出来れば、やはり俺は嬉しいがな‥出来ればクイントの奴にも今のギンガの姿‥見せてやりたかったぜ」

 

ゲンヤはデスクの上のクイントの写真が入った写真立てをチラッとみる。

 

「ゲンヤ殿‥‥」

 

「すまねぇ、折角のクリスマスなのにしみったれた話は無粋だな。さっ、飲もう」

 

そう言ってゲンヤは近藤のグラスに酒をついだ。

 

「そうですね、今日は飲み明かしましょう」

 

「ああ」

 

近藤とゲンヤは買いだめした酒を飲んだのだが、調子こいてしこたま飲んだせいで、沖田の予想通り、翌日2人は酷い二日酔いになった。

そして、土方とギンガの2人はと言うと‥‥

クリスマスの翌日、隊舎に出てきた土方は何故かゲッソリとしており、反対にギンガは顔色がツヤツヤとしており血色が良かった。

 

(えっ?まさか、この2人あの後本当に乳繰り合ったのか!?)

 

そんな2人の様子を見て沖田はちょっと引いていた。

 

 

 

 

・・・・続く




番外編は今はこれで終わりです。
また次回

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