文学少女は書けねぇ。
眠くてやってらんねぇ。
笹食ってる場合じゃねぇ!
…ではどうぞ(達成感)
曲のテンポに合わせて手を叩く音。
「ーーワンツースリーフォー、ワンツースリーフォー、ワンツースリー、ハイ転、調!」
「…ワン、ツーハイッ!
「…どうだい?」
いつの間にか入って来た今西さんが俺にポカリを投げ渡しつつトレーナーさんへ一言。
「あー…まあまあ、ですかね?
でも翼くん、ヘッドスプリングも結構サクッと覚えてくれましたし、今週入ってから失敗は全然無いんで、ポーズ毎に身体をキチッと止められればまぁ…歌と合わせて及第点ってとこです」
「それは良かった、君の及第点は信用出来るからね」
「…こっちも新人なんですから、あまりプレッシャーかけんでください」
「その“新人”は346プロ社員としての新人だろう?
それを言ったら、僕だって新人プロデューサーだよ。アイドル部門としては」
「「ハハハハハ!」」
「…ありがとうございましたー」
楽しそうに話し込むおっさん二人を尻目にシャワールームへ。
明日のイベントは秋葉原の有名CDショップでのライブと握手会だ。
俺の初シングルは既にそのCDショップ系列には全店並んでおり、売り上げも好調なんだそう。
…あ、当然だがその【好調】の前には“テレビに顔を出してない新人の売り上げとしては”ってのが付くけれども。
歌う曲は俺が
夜遅くにヘトヘトになって家に帰ると笑顔の楓がおかえりなさい。
かわいい。
でも一緒のベッドに入ってスグ爆睡する俺の横でイジけ顔の楓。
かわいい。
…まぁ一応
…って言ってからここ数日、臓物系の炒め物とか、ツマミとしてニンニクのホイル焼きとかそういう精の付くものばっかり食ってる気がするんだけど、あれは楓なりにファーストライブを応援するためなのか、それとも違う
◆
シャワールームから出たところで今西さんがスマホをいじっていた。
「翼くん、
「時間以外ははいつも通りってことっすね?」
「うん、まぁそうだね。…はいどうぞ」
「お!ありがとうございます」
差し出されたのはあずきクリーム味のランチパック。
…貴様どこで俺の好みを知った!(完食後)
「いや、ウチの書類に全部書いてあるじゃないか」
「そうだった」
「…あ、そうだ。僕の方も
へー、それは良かった…のか?
「…そういや気になってたんですけど、プロデューサーってどんな仕事なんですか?」
担当アイドルの仕事持ってきて、スケジュール管理して、送り迎えして…くらいしか思い浮かばないんだけど。
担当に専念してくれる、っつってもメリットが見えないんじゃなんともなぁ…
「…まず担当アイドル“達”のスカウト、もしくは面接だろう?
それから、担当の子のプロフィールとか載っけたウェブページを346のサイト上に作って…
仕事を取ってきたり、来たのがヤバそうな仕事だったら断ったり。
後は、今後のレッスンの予定とかトレーナーさんとの打ち合わせ。
時間がある時は上の方々に新しい企画考えて出す…みたいな」
「…お、おおう…っていうか、今の話からして俺のプロフィールも既に載ってるんすか?」
「もちろん」
ほらこれ、と社員用スマホで見せられたのはそのページ。
写真とかも結構貼ってあるな。
「しかも、これからは俺以外にも担当するアイドルが増えたり?」
「お、気付いたのかい?」
「…まぁ、あんなに“アイドル達”って強調されたら流石に。」
今西さんって意味ないことはしないタイプだし。
「うんうん、喜びたまえ男子大学生。次にキャッチするのは女の子の予定だからね」
「へー、そーなんすか」
「…あれ?何らかの方面では食いついてくると思ったんだけど、意外とドライだね」
「…いやまぁ、相手が女性の時点で俺とユニット組む可能性はほとんど無いわけですし、レッスンルームとかも結構部屋数あるから被らないしで、実際接点を持つことは少ないかなー…と」
「まぁ、僕もそうなるとは思うけど…
いつか新しいプロジェクトで一緒になることがあるかもしれないから、最低限の付き合いくらいは頼むよ。君より年下の子がほとんどになるだろうし」
あー…もしかして俺、女性苦手だと思われてる感じか?
「いや、別に関わりたくないってわけじゃなくて、むしろ年下の子は好きなんで大歓迎っすね」
かなり年の離れた妹がいるからか、小さい子は好きというか…うん、得意だ。
「…やーいロリコン(小声)」
「ヤメロォ!」
独身アラフォーめ!禿げろ!(偏見)
「…そういえば、一口に年下っつってもいろいろあるじゃないっすか。どのくらいの子達狙いなんですか?」
「あー…小学生、かな?」
「…やーいロリコン(小声)」
「ヤメロォ!!」
…後から聞いた話だが、プロデューサーはそういう噂が流れるとマジでその方面の仕事がなくなるらしい。
正直、すまんかった。
最近楓さん出てなくねってそれ作者に一番言われてるから
2017.4/12::一箇所伏線を追加しました。