アスナ「私のお兄ちゃんが小さくて可愛い」   作:アルティメットサンダー信雄

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痛い

 

 

その後も、ボス攻略戦はバカとバカのLA取り合戦に終わって行った。

当然、それを不愉快に思う輩も現れ、そいつらはアインクラッド解放軍やら聖龍連合やらと名乗った大規模ギルドとなった。

馬鹿二人はそれらに負けないレベルの戦闘力で、6割LAを取っていた。一方、そのバカ二人の制御役のアスナも二人と同じレベルで強くなっていた。そのアスナは血盟騎士団に入った。

最前線のフィールド。そこでBFはゴロゴロしていた。そこにアスナが飛び込んだ。

 

「そーちゃーん!」

 

抱き着こうとしたアスナの顔面にBFの蹴りがめり込む。

 

「やめろっつってんだろ」

 

「むぅ、ひどいー」

 

「うるせーよ。なんなんですかテメェは。毎回毎回、顔合わせては飛びついて来やがって。てか、なんでギルドの副団長サマがソロの俺と顔合わせる暇があるわけ?」

 

「いいの!団長は何も言わないし、私は団員をまとめる仕事もちゃんとしてるんだから」

 

「ああそう」

 

「ていうか、そーちゃんこそ、ダメじゃん。こんな安全地帯でもない場所でゴロゴロしてたら。いつモンスターが襲いかかって来るか分からないんだよ?」

 

「それが狙いだっつの。モンスターが来たところを一掃、一匹ずつと戦ったところで弱過ぎてつまらん。スリルがねぇんだよ、スリルが」

 

「…………」

 

アスナは割と困っていた。目の前の奴が安全地帯でもない場所でゴロゴロすることではなく、最近の兄はヤケに厨二臭いことを言うようになった。

仮にも、自分と同い年の双子の兄が厨二病なんてことが周りにバレたら死にたくなる。どうにかしなければ、と思いつつもそれは今度考えることにした。

 

「じゃ、久々に一緒に攻略しましょう」

 

「別にいいけど」

 

「一週間ぶりくらいだね。二人で攻略」

 

「ああ。そんじゃま、やりますか」

 

すると、BFはアイテムストレージから笛を取り出した。モンスター寄せの笛である。アスナが「えっ?」って表情をする中、何食わぬ顔で吹いた。

直後、周りに現れるモンスターの大群。

 

「え、ちょっ……嘘でしょ?」

 

ニィッと口を歪ませると、BFは剣を抜いた。

 

「アスナ」

 

「な、何よ⁉︎」

 

「死ぬんじゃねぇぞ」

 

「突然⁉︎てかこれあんたの所為でしょうが‼︎」

 

ツッコミを無視して、BFは走り出した。

 

 

1

 

 

ボロボロになりながらも、アスナは何とか帰還し、キリトとエギルの元へ走った。

 

「と、いうわけなの!」

 

「「お、おう」」

 

「私の弟……兄が酷い厨二病に掛かったのよ!」

 

「どんな感じで?」

 

「例えば開戦の時、『いいねぇ、逆境(ピンチ)ってのは燃えるねぇ』とか言い出すし!」

 

「……………」

 

「序盤で敵を蹴散らすと『どうしたよオイ!雑魚ってのは群がって初めて本領発揮するもンだろうが‼︎もっと抵抗してみせろよ‼︎』とか言い出すし!」

 

「………………」

 

「全員倒したら、『チッ、ツマンねェ戦いだったぜ』とか言い出すし!一番楽しそうだったのに‼︎」

 

「…………うはぁ、」

 

「痛ぇ」

 

「そんなそーちゃんを見て、私は……!私は‼︎」

 

絶叫したと思ったら、アスナは少し顔を赤らめて言った。

 

「少し、痛可愛いと思ってみたり?」

 

「どうして欲しいんだよつまり‼︎」

 

当然のキリトのツッコミである。

 

「でも、実際一緒にいるのキツイのよ。二人きりで個室にいるときは別に気にならないんだけど」

 

「なんか言い方エロいな」

 

そう言ったキリトは窓の外に投げられたが、何事もなかったようにアスナは話を進めた。

 

「誰かに見られるとなると、ぶっちゃけ兄と思われるのも恥ずかしかったりする」

 

「まぁ、気持ちはわからんでもないが。まぁ、戦闘中だけなんだろ?そういうのは」

 

「まぁ、基本はそうです。スリルスリルって鬱陶しいだけで」

 

「なら、しばらく暖かく見守ってやれよ。日常生活にまで厨二が侵食して来たら、その時は俺も相談に乗ってやる」

 

「ありがとうございます」

 

「いいってことよ」

 

とりあえず、アスナは見守っておくことにした。

 

 


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