アスナ「私のお兄ちゃんが小さくて可愛い」   作:アルティメットサンダー信雄

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競争2

 

 

うわあああ、と周りのプレイヤーから悲鳴が上がる。総隊長とも言えるプレイヤーがやられ、全員に動揺が走った。

そして、一人が出口に向かうと、周りのプレイヤーも逃げ出して行く。そんな中、足を止めてる奴が二人いた。

キリトとBF、その二人がボスを見据えながらニヤリと微笑んだ。

 

「………よーし、キリト。勝負のルール変更だ」

 

「へぇ、面白い。どうする?」

 

「あのデカブツを先に倒した方が勝ちだ」

 

「面白い‼︎」

 

二人してコボルド王に駆け出した。

 

「! おい、お前ら!」

 

すれ違いざまにエギルが声を掛けたが、二人は無視した。二人に気付き、ゴボルド王は巨大な野太刀を振り上げた。

キリトとBFも走りながら剣を構えた。そして、二人のソードスキルとボスのソードスキルが正面からぶつかり合い、ボス部屋全体を振動させた。

ボスの部屋を弾いた直後、BFはすぐに跳び上がってボスの首に剣を伸ばした。

 

「なんてバネだ……!」

 

キリトは呟きながら、コボルド王の足を斬った。

BFはボスの顔を斬ると後ろを取り、背中を斬る。

コボルド王は大きく跳び上がった。空中でギギギッと体を捻った。カタナ専用ソードスキル、範囲攻撃《旋車》。キリトは知っていたため大きく後ろに飛び退いたが、BFはそうもいかなかった。

直撃し、大きくHPゲージを減らすと共に、スタンした。

 

「マジか……‼︎」

 

BFが声を漏らした直後、ボスがBFに刀を振り下ろす。それをアスナがリニアーで相殺させた。

 

「何やられそうになってんのよバカ!」

 

「………別にあの程度余裕だった」

 

「嘘つきなさいよ‼︎」

 

そんな話をしてると、二人にボスは刀を振り下ろした。アスナがBFをお姫様抱っこして逃げた。

 

「お、おい!お姫様抱っこはよせ!」

 

「小さいのはこうした方が運びやすいの!」

 

「おい、喧嘩売ってんだよな?それ宣戦布告だと思って良いんだよな?」

 

「良いから黙ってて!」

 

キリトがボスのタゲを取ってる間、スタン状態が解除されるのを待ち、終わるとポーションを飲んだ。

そして、キリトを睨んだ。

 

「キリト!テメェ、ボスの攻撃パターン知ってやがんな⁉︎」

 

「ああ、βテストの時、10層あたりでカタナスキル使う奴とやり合ったからな‼︎」

 

「汚ねえぞテメェ‼︎」

 

「お前は下見に行ったんだろうが‼︎それでチャラだ‼︎」

 

「んなろ……‼︎その時ゃ、カタナスキルなんて使われてねーんだよ‼︎」

 

「ちゃんと下見しなかったお前のミスだ‼︎」

 

「てめっ、上等だコラァッ‼︎」

 

BFがボスに仕掛けようとした時、その肩をアスナが掴んだ。

 

「待って。もう攻略組のメンバーは逃げたわよ⁉︎これ以上は危険だわ!」

 

そう言う通り、他のメンバーは数人を除いてボス部屋から消えていた。

 

「はっ、知るか。てかちょうどいい。あいつらに雑魚の処理をさせろ。お前もあっちに加われ」

 

「はぁ⁉︎」

 

「俺とキリトの遊びの邪魔をさせんなよ‼︎」

 

再びBFはボスに向かっていった。

 

「あーもうっ、勝手なんだから‼︎」

 

アスナはぶつぶつ文句を言いながら従った。

ボス戦組のアホ二人は、ボスの攻撃を確実に躱しながら身体を斬っていった。

ボスの攻撃は全てキャンセルさせ、それによって出来た隙を逃さずにボコボコにタコ殴りにする。HPはジワジワと削れていき、残りは3分の1以下になった。

そこで、ボスは刀を再びソードスキルを発動した。《浮舟》という、コンボを始めるための攻撃で、対象を浮かせた状態にする。

それがBFに迫り、BFは剣でガードしながらも空中に舞い上がった。

 

「!」

 

さらに、連続でボスはソードスキルを発動。三連撃を放つ《緋扇》が空中のBFに炸裂した。

 

「そーちゃん‼︎」

 

アスナが声を漏らした。キリトも、思わずBFの方に目を取られ、攻撃することをやめた。

空中でボスに攻撃を受けたBFは、刀を構えた状態でボスを睨みながら言った。

 

「…………終わりか?」

 

全て、空中で小さくいなしていた。そして、落下しながらボスを見下ろしつつ、剣を横に構えた。

 

「今度はこっちの番だ」

 

落下しながらソードスキル、ホリゾンタルを発動し、ボスを大きく怯ませた。その隙を逃さず、キリトがソードスキルを叩き込む。

 

「あっ、てめっ俺の作った隙だぞこれ‼︎」

 

「やったもん勝ちだよバーカ‼︎」

 

「んなろっ……!」

 

着地したBFも負けじとソードスキルでボスを叩いた。

それでもボスは起き上がる。二人は一度、距離を取った。

 

「あっぶねぇ、今ので死なれたら俺負けてたじゃん」

 

「でも、次の一撃で多分決まるぜ」

 

「じゃ、ここからは小細工なしの純粋な一撃勝負だな」

 

「いいな、そうゆうの好きだ」

 

二人は微笑むと、自分達の方に向かって来るボスに向かって行った。

キリトもBFも剣を構えた。使うソードスキルは突撃系のレイジスパイク。ボスのソードスキルを回避すると、二人で前に剣を突き出しながら前に跳んだ。

二本の剣が青白く光り、ボスの体を貫通した。二人はボスの後ろで剣を振り抜いたまま動かない。

数秒経った後、ボスは青く四散し、それと共に二人は武器をしまった。

そして、ラストアタックボーナスは、

 

「ぃぃいいいいよっしゃあああああああ‼︎」

 

キリトの物になった。チッ、とBFは舌打ちすると、剣を鞘に収めた。

 

「…………次は俺が獲る」

 

「次も俺が獲る」

 

そう言ってカッコつけてる二人を見ながら、アスナはつぶやいた。

 

「………なにこれ」

 

 


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