アスナ「私のお兄ちゃんが小さくて可愛い」 作:アルティメットサンダー信雄
ボス部屋に向かう途中、モンスターの群れが襲って来た。全員、応戦するわけで、当然BFも剣を抜いた。そして、最初の一匹目を狩ろうとした時、それを先にキリトが倒してしまった。
キリトは別の獲物に向かったわけだが、それにBFは酷くイラっとした。キリトが向かったその獲物を先に斬り殺した。
「……………」
「……………」
無言でにらみ合った後、二人で次の獲物に走った。
1
「「ハァ、ヒィ、ゼェ……」」
途中からお互いへの斬り合いが始まり、二人揃って疲れていた。それにアスナは呆れたような言った。
「あなた達、何してるの?バカなの?」
「いや、歳下に、負けたくなかっただけだ……」
「俺も、歳下みたいな奴に、負けたくなかっただけだ……」
「ああ⁉︎喧嘩売ってんのか⁉︎」
「だからやめなさい‼︎」
アスナに怒鳴られ、二人とも大人しくなった。
で、今度こそようやくボス部屋の前に到着した。
「……行くぞ‼︎」
ディアベルら短くそう言うと、思い切り扉を押し開けた。
BFにとっては昨日来たばかりのボス部屋、昨日と同じエフェクトと演出でボスが現れた。
一同は作戦通りに隊列を組み、戦闘を開始した。
2
バカみたいに攻略は順調に進んだ。攻略は、だ。後ろのおまけ部隊3人はそうもいってなかった。スイッチなど無視して、キリトとBFが勝手にどっちが多くモンスターを討伐できるか競争し出したからだ。
お陰でE隊がすべき取り巻きの処理をほとんど二人でやってしまっていた。取り巻きはボスが倒れるまで基本的に無限に湧いて出る。それを知ってか知らずか、いや少なくともキリトは知ってるはずのにバカみたいに必死に借り続けた。
「63匹目ェッ‼︎BF、今何匹⁉︎」
「64」
「んにゃろっ……!」
E隊から見たら、竜巻が二つ暴れ回ってるような感じだったが、アスナから見ればまさにアホ一色だった。というか、帰りたくなった。
そんなのにも気付かず、馬鹿二人は取り巻きの駆除を続ける。そこで、E隊リーダーのキバオウが黙ってなかった。
「おい!自分ら、さっきから獲物独占し過ぎや‼︎」
怒られても無視して二人は敵を殺し続ける。イラっとしたのでキバオウはE隊のメンバーに怒鳴った。
「おい、全員突撃や!このままじゃ何も出来へん‼︎」
E隊メンバーは走って取り巻きの群れに向かう。それに気付いたBFは目の前のコボルドの攻撃を躱わしながら頭を掴み、力任せに振り回しながら、
「人の食卓に土足で入るんじゃねえええええええ‼︎」
と、E隊に向けて思いっきりぶん投げた。キバオウの顔面に直撃し、後ろにひっくり返る。
投げられたコボルドをE隊メンバーが殺そうとするが、その前にBFは自分の剣を投げて、そのコボルドの頭を跳ねる。
すると、後ろから別のコボルドが襲いかかって来た。
それを回避し、下からコボルドの手首に手刀を入れて武器を奪うと、その武器でそのコボルドを殴り殺した。
が、コボルドを殺したことによって自分の手元の武器が消えた。
直後、横からコボルドが襲い掛かる。それも武器を奪って反撃する。しかし、お陰でただ斬るだけのキリトとは違い、武器を奪うという行動を追加しなければならなくなった。
「BF!今何匹?」
「78!」
「抜いた!俺80!」
奥歯を噛み締めるBF。コボルドの攻撃をジャンプして躱し、空中で半回転しながら廻し蹴りを顔面に叩き込むと、コボルドの足を掴み、コボルドの群れに投げつけた。
その隙にアイテムストレージから予備の剣を取り出した。
「追い付くぞキリトコラァッ‼︎」
「やってみろ‼︎」
そんな事を言ってる時、遠くからドシャッとBFの横に何かが落ちて来た。ディアベルだった。
「えっ?」
何事かと思い、ふと飛んで来た方を見ると、ボスが巨大な野太刀を手にして立っていた。
「え、何あの武器……」
呟いた直後、ディアベルはパキィンッと砕け散った。
そこで、ようやく剣を止めた。気が付けば、ボス部屋の中は絶望的な雰囲気になっていた。