アスナ「私のお兄ちゃんが小さくて可愛い」 作:アルティメットサンダー信雄
結城家。アスナは兄に借りたナーヴギアを持って自分の部屋に向かっていた。その途中、自分の双子の兄とすれ違った。
「あっ、そーちゃん」
「そーちゃんって呼ぶなっつってんだろ。殴るぞテメェ」
結城蒼炎でそーちゃん。厨二臭い名前がかなりコンプレックスだったのだが、それを緩和するために明日奈があだ名を考えた結果、身長にお似合いのあだ名になってしまった。
「だってそーちゃん、私と双子なのに私より身長低くて可愛いんだもん」
「おい、殺すよマジで」
「口悪いのに優しいもんね。ツンデレだもんねそーちゃん」
「マジでその辺でやめないと、顔面をグーで殴るよグーで」
「女の子には絶対手を上げない癖に何言ってんの?」
「よし分かった。テメェはどうあっても俺をおちょくりてぇんだな?」
「って、あれ?そーちゃんが手に持ってるのナーヴギア?」
「あ?ああ、そうだよ。買った。で、殴られる準備は良いな?」
「私もナーヴギアあるんだ。1日だけお兄ちゃんに借りたの」
「あっそ。で、懺悔は思い付いたか?」
「もしあれなら一緒にやろうよ」
「ああ分かった。だから歯を食いしばれ」
蒼炎がゆっくりと握り拳を作っても、明日奈は慌てる様子を見せない。
「じゃ、とりあえず私『アスナ』って名前にしとくから。見つけたら声かけてね」
「了解。じゃ、今から殴るから」
「じゃねー」
「待ておい!」
追い掛けようとしたが、明日奈は自分の部屋の鍵を閉められた。蒼炎も、「ゲームの中で殴ろう」と決めて自分の部屋に入った。
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ナーヴギアを被って、初期設定を終わらせて(もちろん、高身長)、蒼炎はBFと名乗ってSAOの世界に入った。ビルドファイターズではない、ブルーファイアである。
「………アスナだったか。とりあえず見掛けたら殴るか」
そんな事を呟きながら歩いてると、目の前で明らかに見覚えのある女がいた。
「アスナ」
「? あの、どちら様ですか?」
「俺だ。蒼炎」
「へっ⁉︎そーちゃん⁉︎身長高くない⁉︎」
「そう設定したからな。あと、そーちゃん言うな」
「というか、なんで私って分かったの?」
「分かるわ。お前、外見自分に似せ過ぎ。バレるぞ」
「良いじゃん、別に」
「まぁ、お前が良いなら良いけど……ああ、その前に一発、」
「?」
直後、思いっきりBFは拳を振るった。アスナは殴り飛ばされ、壁に頭を強打した。
「痛っ⁉︎な、何するの⁉︎」
「鉄拳制裁」
「何よ!そーちゃんの癖に高身長とか生意気なんだけど!」
「もう一撃いくか?」
「やってみなさいよ!今度は私が……!」
言いかけたところで、二人の姿は消えた。
気が付けば、中央広場に集められていた。二人は予想もしてなかった。まさか、これから自分達のやってるゲームがデスゲームと化すなんて。