問題児たちと転生ライダーが異世界から来るそうですよ?   作:shimito18

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それでは本編どうぞ


第9話 問題児たちが本拠地に着いたそうですよ

俺たちは駄弁りながら歩いていると、大きな砦の様な門の前に黒ウサギとジンは足を止めた。

 

「ここが、僕たちノーネームの現状です」

 

俺たちはそれを目にすると言葉を失った。そこは大きな大地に枯れた木々、枯れ果てた土に門は所々崩れ蜘蛛の巣も張られている。そして建物らしき遺跡のような物も…一言で言うならその土地はもう死んでいた。

 

「これが魔王に滅ぼされたノーネームの……」

「おい黒ウサギ、魔王とのギフトゲームがあったのは何百年前の話だ?」

「わずか三年前の話です」

「それは怪奇的だ。軽く見積もっても二百年は経っているんだがな…」

「しかし、魔王の力なら不思議ではありません」

「魔王の力っか…」

 

十六夜はニヤリと笑うと、鼻で笑いながら手に持っていた風化したレンガを握りつぶした。

 

「いいぜ、いいぜ良いなぁおい!想像以上に面白そうじゃねえか!」

 

確かに十六夜の言う通りこれほどの力を持った奴は面白い俺もそう思う。だが、どんなに本棚を調べても魔王の名もノーネームの名も旗印も分からない。というよりも、それを検索をかけると警報のような物が鳴り響き本棚が揺れ、俺自身が追い出される始末だ。やはり魔王は自身の事を検索できないようブロックをかけることが出来るようだ。それが、意識的でも無意識的でも…

俺が考え込んでいると、ジンが俺を呼んだ。

 

「あの九十九さん、一つお願いがあるのですがいいですか?」

「なんだジン?」

「九十九さんの神域の力ならばこの土地を蘇らせることが出来るんじゃあないですか?」

 

ジンが突拍子も無い事を言うと、黒ウサギの耳がピコン!と言う擬音なりそうな勢いで耳を伸ばすと「そうですよ!」と俺に近寄ってきた。

 

「九十九さんの力ならばこの土地を、いいえ命を作り出すことが出来るほどの強大な力、どうかノーネームの復興にお力添えを…」

「だが断る!」

 

俺は黒ウサギが頼み込む前にはっきりとお断りすると、久遠が不機嫌な顔でこちらに近寄ってきた。

 

「ちょっと、貴方もここで暮らすならせめて自分の力で出来ることくらいやったらどうなの!」

「出来ないから断ったんだが俺は?」

「「「「え?」」」」

 

ジンや黒ウサギ、久遠にプラスなぜか春日部が首を傾げた。

 

「俺の力の名は"始まりの男"命を生み出すには後は何が必要だと思う?」

「"始まりの女”エバだろ」

 

十六夜は軽くどや顔で答えた。俺は「ああ」と答えた。

 

「"始まりの男"アダム"始まりの女"エバこの二人が揃わなければ命を生み出すことは不可能だ。それに、本棚の情報が正しければ特殊な木を生やすことは出来るが、それを食べた奴は化け物になるし正直言ってかなりおすすめは出来ないがどうする?」

「申し訳ありません、遠慮させていただくのです……」

 

俺たちはその後ノーネーム所属の子供たちと初対面すると、いきなりの約百二十名キッズたちのあいさつ…鼓膜が可笑しくなるかと思った……

その後、死んだ土地に俺が取ってきた永果樹の苗を植えると、そこから根が生え大きくなると枝から林檎やみかん、バナナ等の様々な果実が生り子供たちは大喜びした。そして最後に十六夜が取ってきた水樹の苗をダム中央に置くと苗から大量の水が溢れ出し、一気にダムは水でいっぱいになった。

 

「すごい、これが水樹の力…」

 

久遠の言うとおりだ。流石に一気にこれだけの量の水を出すとは驚いた。神の力を宿す恩恵というだけはあって正しくこの力は偉大だ。

 

「これだけの水が有れば、もう生活水に困ることはない。それに、これだけの量生活以外にも使えるギフトゲームに参加しなくても着実にコミュニティを大きくすることが出来る」

 

俺たちはダムから離れ、さっき子供たちと顔合わせした広場まで出ると俺は一つ思いだした。十六夜たちに顔合わせしなければならない奴らの事を…

 

「みんな少し良いか?」

「構いませんが?」

「どうしたの改まって?」

 

みんなが俺が呼び止めると案の定、疑惑の目でこちらを見ているが特に動揺する必要はないか。

 

「白夜叉との戦いの際に俺の体を乗っ取られた感じだったろ?そいつらを紹介してやりたくてな構わないか?」

「へ~面白い奴らなんだろうな?」

「多少は紳士的な人がいればいいのだけど」

「楽しみだね三毛猫、本物だよきっと」

「にゃ~」

「黒ウサギ…」

「ま、任せてくださいジン坊ちゃん」

 

黒ウサギは何故か意気込みながらこちらに向かってきた。

 

「あの~九十九さんつかぬ事をお聞きしますが、その九十九さん言う方々は何名様ほど……」

「ああ、紹介するのは9人。でも別にここに住まわせるわけじゃあないからそこら辺は安心してくれ、たぶんこれから声くらいは聞くことになるだろうし、もしかしたら力になってくれるかもしれないからな」

 

俺はデンライナーパスを手に取り空に掲げると「ブオォ~~」と汽車の汽笛音が聞こえると、空の空間が歪みが生じるとそこからレールが敷かれそこから白を基調にした赤い線が引かれた新幹線の様な列車が走ってくると、俺たちの目の前で止まると電車の中からスーツを着たオーナーが出てきた。

 

「これはこれは九十九君ご招待ありがとうございます」

「お礼を言うのはこちらですよオーナー、それであいつらは?」

「ええ、もちろん彼らも…」

 

オーナーがモモタロスたちを紹介しようとすると、何故かジャンプして空中で何回転すると俺とオーナーの間にモモタロスが着地した。

 

「異世界でも俺、参上!」

 

モモタロスはいつものノリとテンション、そして決めポーズで登場すると次々と他の奴らも出てきた。

 

「先輩、気持ちは分かるけどもうちょっと落ち着いて行動したら?身内として恥ずかしいから」

「モモの字には落ち着きが足らんはな」

「え~でもここ何もないけど九十九の言う通り本当にここ楽しい場所なの?」

「ふ、私が居ればそれで充分であろう」

「まあまあ皆、落ち着いてせっかく招待してくれたんだから。おお、子供たちこれ飴ちゃんどうぞ」

「全くですデネブの言う通りです」

 

順にウラタロス、キンタロス、リュウタロス、ジーク、デネブ、テディが降りてきた。デネブは降りてくるとそうそうに120人近くの子供たちに飴を与えていた。

俺はモモタロスたちを何とか整列させ、ノーネームのみんなに紹介することにした。

 

「それじゃあこっちの赤いのはモモタロス。基本バカだから気をつけて」

「誰が赤だ!つうか馬鹿とは何だ馬鹿とは!」

「こっちの青いのはウラタロス。趣味はナンパ、特技は噓を吐くこと」

「ちょっと九十九、もう少し好印象なこと言ってよ」

「こいつはキンタロス。基本的に寝てるか筋トレをしている」

「よろしゅう頼む…」

「イエーイ!僕リュウタロスよろしく~!」

 

キンタロスが自己紹介の途中で、リュウタロスが割り込んできた。まあ、キンタロスはこんな役柄だよな。

 

「リュウタロスは少し子供っぽいところがあるから気を付けてくれ。そんでもってこっちの緑色の奴がデネブ、基本的にオカン気質だから頼みごとがあったら頼ると言い」

「あ、どうもデネブです。これからも九十九をよろしくお願いします、これ飴です良かったらどうぞ」

「こっちの偉そうで白いのはジーク、基本的に偉そうで腹が立つから気を付けてくれ」

「降臨、満を持して」

 

ジークは相も変わらず偉そうな態度をとるし、デネブは相変わらずオカンだが気にせずに紹介を続けることにした。

 

「最後のこの青っぽい奴はテディ、こいつらの中で一、ニを争うほどのまともな奴だ。何か相談事があったら話してみると言い、話くらいなら聞いてくれる」

「どうもテディです」

「そして、最後にこのスーツを着たおっさんは後ろの列車デンライナーのオーナー本名は知らない」

「どうもどうも、私がこの時の列車デンライナーのオーナーです。私のことはオーナーと呼んで下さい、ところで九十九君ここが異世界だとは分かりますが詳しい説明を要求してもよろしいかな?」

「ああ、もちろんです」

 

俺はオーナーにこの世界のこと、俺が所属しているコミュニティの現状そして未来に起こるであろう本棚と俺の予測を立てたコミュニティの未来をオーナーに話した。ちなみに後者はみんなに聞こえないように話した。

 

「それがあなたに話さなきゃならない事かな」

「そうですか分かりました。何か問題が起こった際には呼んで下さい。モモタロス君たちも力になってくれるでしょう」

 

俺たちはモモタロスたちの方を見ると、モモタロスは十六夜と意気投合し肩を組んでいる。ウラタロスは黒ウサギに久遠、それに春日部をナンパしようとするが軽くいなされていた。キンタロスは寝ており子供たちの遊具となっていた、リュウタロスは子供たちと一緒にキンタロス遊具で遊んでいた。ジークはどこからか持ってきたのか椅子に踏ん反り返りながら、確かリリとか言う狐耳の少女が紅茶を注いでいた。デネブはリュウタロスに巻き込まれながら遊んでいた。テディはみんなを止めるでもなく見守っていた。

 

「ところでオーナー、ナオミちゃんは居ないみたいですけど?」

「ええ、ナオミ君は週に一回の休暇です。彼女も人ですからねぇ休暇は必要なのです」

「そうですか、久しぶりに挨拶くらいしておこうと思ったんですがねぇ」

 

俺がオーナーと話していると、服の裾をクイクイと引っ張る感触がし振り向いてみるとそこにはジンが居た。

 

「彼がノーネームのリーダーのジン=ラッセル君ですか?」

「はい、ジンこの人はさっきも紹介した通り時の列車デンライナーのオーナーだ」

「は、初めましてジン=ラッセルです!よろしくお願いします!それで…その、一つお願いがあるのですが…」

「何でしょうか?私に出来ることであれば可能な限り努力してみますが?」

 

ジンは額に大粒の汗をかいていた。きっと緊張しているのだろう、何故ジンが汗をかいているのか想像は容易に出来る。きっとあれの事を頼むのだろう、オーナーも人が悪いノーネームの事情は話してあるのだから想像は用意だろうに…

 

「あの、オーナーさん僕たちを過去のノーネームが魔王に滅ぼされた3年前に連れて行って下さい!」

 

その言葉に誰もが動きを止めた。イマジンたちもノーネーム所属の他の面々も…ジンの放ったその言葉は誰しも理解できる言葉だ。3年前に連れていけそれは過去を変えたいという意味を持つ。

 

「一応お聞きしますが、それは3年前の時間に言って時間旅行がしたいという事ですか?」

「違います!3年前に行って死んだり居なくなったノーネームの仲間たちがバラバラにならないようにしたいんです!」

「ジン坊ちゃん……」

 

ジンの放った言葉は純粋だった、本当に純粋に昔の仲間たちを助けたいと思っている。だがそれはこの世で一番犯してはならない禁忌だ。

 

「それだけは出来ない相談ですよ、ジン=ラッセル君」

「なぜですか!?」

「はっ、簡単な事さ」

 

ジンとオーナーが話していると、そこに十六夜が割り込んできた。

 

「どういうことですか十六夜さん!」

「言ったろ簡単なことだって、例えばお前がさっき言った通り3年前に行って魔王を倒したり、お前たちの仲間を倒したとしようそうすればどうなると思う?」

「どうなるって、そりゃあ僕たちノーネームは名も旗も捨てずに済むし、それに仲間たちもバラバラにならなくても済みます!それの何がいけないんですか!」

「ジン君…」

 

ジンは声を荒げた。手を強く握りしめそこから数滴血が流れた。

 

「いけなくはありません。話によるとこの世界の魔王とは天災の様なものだというではないですか、確かに世界にとっては悪いことではありません」

「だったら!」

「ですが、そうした場合彼らはどうするのですか?」

 

オーナーが指さしたのは俺たちだった。オーナーが言いたいのはもし過去を変えてしまったら、俺たちがどうなるか分かっているのか、今バラバラになっている仲間たちを所有している周りの者たちの人生はどうなるのかとか…過去を改変するとはそういう事なのだ…

 

「その他にも、貴方の仲間たちと生活をしている者たちは?魔王を倒したとしてこの世界の情勢は?君はそれを分かった上でその覚悟があるのかい?」

「っ!」

 

オーナーのその言葉にジンは怯えた。いいや現実が理解出来た様だ、過去を変えたことのある神は居ない。記載もされていない、この世界つまり箱庭には居ない悪魔にも妖怪にも英雄にも居ない。そんなことが出来るものなど存在しないのだ。

 

「それに、過去を改変することは私達にとっても大罪です。まあ単なる時間旅行ならば私を頼ってくれても構いませんよ、それでは皆さん戻りますよ」

 

オーナーがそう言いながらデンライナーが乗ると、イマジンたちが「え~!」と文句を言いながらデンライナーに乗ると、デンライナーは行きと同じように汽笛音を鳴らしながらデンライナーは走り出し、宙に時空の歪みを作り走り去っていった。

 

「凄かった、本物のデンライナーが見られるなんて…」

 

春日部はなぜか目を輝かせていた。本当に仮面ライダーが好きなんだな…

 

「残念でしたねジン坊ちゃん」

「いいや、あの人の言うとおりだよ黒ウサギ。確かに仲間たちの現在や今の世界を変える覚悟なんて僕には無いよ…

 

さあ皆さん身体が冷えてしまいます。屋敷の中に入りましょう」

 

そう言ってジンの言う通り今日の色々の疲れを取ることにした。




どうだったでしょうか?
え~前回の話のあとがきに出して欲しいライダーがいればメッセージに下さいと、読者の皆様にお願いしたのですが、それら全て感想に送られてきました。これからはライダーの希望は私自身に直接メッセージを下さい。よろしくお願いします。

感想、お気に入り登録、評価等々よろしくお願いします。

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