魔法少女育成計画 -Suicide Side-   作:∈(・ω・)∋

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◇ 幕間 私と彼女の関係 ◇

 独立して三年も立てば、固定客もできる。美容院と言うのは住宅街の側に建てるべきだ、という師匠の助言は功を奏し、小さな子供から年配のご婦人まで、幅広く客層を増やすことが出来た。

 

「こんにちはー、今日もお願いしまーすっ!」

「はい、いらっしゃい」

 

 最近の女子高生というのはお洒落だ。個人経営のなので、決して安くはないが、彼女はすっかりお得意様として店に居着いており、月に二度は訪れて、前髪の角度を整えたり、パーマをかけて行ったりする。

 本日のご予定は後者のようで、頭をぐるぐるまきにして、機材にかけて少しの間放置する。その間、暇な客がやることはといえば、雑誌を読むか、世間話をするかだが、今日日の学生というやつはスマートフォンなどというものを持ち歩いており、両手が開いていることをいいことにゲームに興じ始めた。

 

「最近は皆ゲームゲームですねえ、私、そういうの全然わからなくて」

 

 スマートフォン自体は使いこなせている自信はあるが、ゲームというのはとんと駄目だ。

兄がパソコンのゲームをずっとやり続けて引きこもりになった、と実家の両親が毎週のように相談に来るのもいけない、印象としてはマイナスだ。わざわざ自分からお金をかけて手を出そうとも思わない。

 パソコンのピンボールなどは暇つぶしに興じたこともあるが、最近新しいのに買い替えたら機能ごと消えていた。

 

「えー、もったいない、最近のスマホゲームってすごいんですよ、殆ど無料でパズルもRPGもできるんですから」

「そのジャンル説明自体、よくわからないんですよねえ」

「折角だから、なにかやってみません? 私、今これにはまってるんですけどっ」

 

 彼女が見せてきたのは、何やら二頭身のデフォルメされた可愛い女の子が、ぱこんぽこんと敵を倒しているゲームだった。

 

「魔法少女育成計画、っていうんです、売りは完全無料で、課金要素一切なし! 暇つぶしでやってる人も多いんですよ」

「完全無料でどうやって利益をあげてるんです?」

「さあ……それは私に聞かれても、でもでも、面白いですよ?」

 

 熱心に勧められ、インストールの仕方を懇切丁寧に説明される。

 

「はあ……暇があったらやってみましょうか」

「ぜひぜひ! 私今布教中なんですよー、プレイヤーが多ければ多いほど嬉しいです!」

 

 あまり乗り気ではなかったが、客の話題に乗るのも仕事だ。今晩あたりにでも、触って見るだけ触ってみようか、と思った。

 美容師、龍宮心(たつみやこころ)は、そのタイトルを心の片隅に、そっとメモしておくことにした。

 


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