やはり俺がこの終末世界を生き延びようとするのは間違っている。   作:きょうポン酢

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第八話

俺と川なんとかさんと一色は津田さんの提案により避難所の見張りを交代し、避難所の屋上から望遠鏡であたりの様子を確認しているところだ

 

いろは「せんぱ〜い、奴らがいますよ〜、怖いですぅ」

 

一色が俺の隣へすり寄ってくる、あざとい、近い、そしてあざとい

 

八幡「バリケードがあるしそう簡単には入ってこれないだろ、てかお前奴らなんて見馴れてんだろ、何を今更怖がるんだよ」

 

いろは「いいじゃないですか〜雰囲気ですよ雰囲気〜」

 

沙希「あんたらあたしが居るの忘れてんじゃないよ」

 

川なんとかさんが話しかけてくる 川...川...川村?

 

八幡「そんなことはないぞ川村」

 

沙希「あたしの名前は川崎だよ!いい加減覚えたらどうなんだい!?」

 

川崎が大声で訴える、いきなり大声出すの辞めて欲しいな、びっくりするだろ、うさぎはびっくりすると死んじゃうんだぞ

 

八幡「分かってるさ川崎、ハチマンウソツカナイ」

 

沙希「はぁ...あんたさ、家族の事とかどう思ってるわけ?」

 

八幡「俺の両親は共働きだからな...家に戻ってる可能性も低いし、なんとか生き残っていることを願うよ」

 

沙希「あたしはさ...世界がこんなになってから大志や京華が生きているのか本当に心配でさ...」

 

沙希「こんな事になるならもっとあの子達に何かしてやれる事は無かったかってずっと思ってるんだ」

 

沙希「大志ならこんな状況切り抜けられるって信じてる...京華や両親をきっと守ってるって...」

 

八幡「川崎...」

 

いろは「川崎先輩...」

 

川崎は続ける

 

沙希「でもあたしはどうしたって不安なんだ、大志や京華たちが奴らみたいになって他の人を襲ってるなんて考えるだけで目眩がしてくるよ...」

川崎「あたしにはもう生きる意味が分からなくなってきたよ...」

 

八幡「いいか川崎、確かにこの世界で生き残るのはとても厳しいだろう、奴らだけじゃ無く悪意のある人間からの脅威もある、食料問題もあるし病気に罹ったって病院がやっている訳じゃ無い」

 

八幡「けどな...この世界では希望を失った奴から脱落していくんだ、只でさえ厳しい世界だが、皆で力を合わせれば不可能って程でも無いぐらいには望みは有るんだよ...」

 

八幡「お前が諦めちまったら、残されたあいつらはどうなる?今も必死に戦って生き抜いているかもしれないのにお前が信じないでどうするんだよ」

 

八幡「生きろよ川崎 生きて生きて生き抜いて、大志や京華たちの隣に居てやれよ...それが出来るのはお前だけなんだ」

 

俺は川崎を諭す様に話しかける、こんな世界だから死んだ方がマシだなんてそんなのは間違っている

 

沙希「比企谷...あんたそんな事言う奴だったんだね、あたしももう少し考えてみる事にするよ...」

 

川崎は屋内へ戻っていった

 

いろは「なんかせんぱい変わりましたよね〜、元々変人ですけど」

 

八幡「うっせ、俺は自分からは変わらない、人は否応でも周りによって変えられるからな、だから俺は自分からは変わらない」

 

八幡「お前は家族とか心配じゃないのかよ?」

 

いろは「捻くれてる所は相変わらずですね、わたしは地方から出てきて、寮から通ってましたからね〜、遠く離れてるんでしょうがないかなって思ってます」

 

八幡「随分と割り切っているんだな、女は切り替えが早いって言うもんな」

 

いろは「そうじゃなくて〜、わたしには切り替えられる理由があったんですよ〜」

 

一色は上目遣いで俺の目を見る

 

八幡「なんだってんだよ、その理由ってのは」

 

いろは「わたしがせんぱいと初めてあった時、なんて思ったと思います?」

 

八幡「さあな、なんて思ったんだよ」

 

いろは「せんぱいは初対面でわたしの本質を見抜きましたよね?わたし今までこのやり方に自信あったんですよ?でもその自信はせんぱいによって崩されてしまいました、はじめてを奪われたって事ですかね?」

 

一色はいたずらっぽく微笑みかける

 

いろは「せんぱいはあの部室で本物が欲しいって言ってましたよね?わたしそれを聞いて思ったんです、わたしの本物ってなんだろうって」

 

いろは「わたしはわたしの本物を捜すために葉山先輩に告白しました、でも結果わたしの本物はここじゃ無いんだって気付いたんです」

 

いろは「わたしが一番自分らしくいられるのはせんぱいの隣なんだって...やっと分かったんです」

 

一色は俺の手を握る その仕草はいつものあざとさが感じられないほどに自然だった

 

いろは「せんぱいは...こんなわたしはイヤですか?」

 

一色は俺に問いかける

 

八幡「俺は...」

 

 

 

 

ガタッ!

 

 

後方で音が聞こえる、振り返ると由比ヶ浜がしまった!という顔つきでこちらを見ていた

 

結衣「ヒッキーにいろはちゃん、待合室に皆で集まろうって先生が...」

 

由比ヶ浜は俺たちを呼びに来てくれた様だ

 

いろは「では、わたしは先に行ってますね!」

 

一色は屋内へ戻っていった

 

結衣「あはは...ごめんね、なんか邪魔しちゃったみたいで」

 

八幡「いや、気にしなくていいぞ」

 

結衣「......ヒッキーは誰かが隣に居なくも平気なの?」

 

八幡「聞いてたのかよ...俺はいつだって一人だったからな、ぼっちのプロを自称してるまであるぞ」

 

結衣「......ヒッキーは一人じゃないよ、辛い事があったら頼っていいんだよ?」

 

由比ヶ浜はやさしく俺に言葉を投げかける

 

八幡「そうだな......由比ヶ浜、頼みがある」

 

結衣「なーに?ヒッキー」

 

八幡「俺たちがこれから先、生きる上でお前の力が必要だ」

 

八幡「俺たちにお前の力を貸してくれないか?」

 

由比ヶ浜は風に靡く髪を押さえながら

 

結衣「任せてよ!ヒッキー!」

 

恐らく初めてであろう俺個人としての依頼を由比ヶ浜は快く承諾した

 

 

 

 




今回も読んでいただきありがとうございます。いろはと川崎に焦点が当たりました。彼らは折り合いを付けられるのでしょうか。
そして由比ヶ浜の活躍は如何に。

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