やはり俺がこの終末世界を生き延びようとするのは間違っている。   作:きょうポン酢

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約二年ぶりの投稿です。


第二十二話

俺たちは雪ノ下邸に戻った後、静かな夜を過ごしていた、ある者は熟睡し、ある者は不安に苛まれ、ある者は戦う決意をしていた

 

そして俺も眠れずにベランダから外を眺めている、本当に静かな夜だ...まるでこんな事件は起きてはいないかのように思えてくる

 

俺は雪ノ下邸を散歩することにした

 

俺が二階ホールを歩いていると、反対側から陽乃さんがやってくる

 

陽乃「比企谷君、眠れないんだ?」

 

八幡「ええ、昼間に陽乃さんがでっかい爆弾を落としてくれましたからね」

 

陽乃「分かっているの...私だって初めて聞いた夜は眠れなかった」

 

陽乃「今日は久しぶりに賑やかになって嬉しくなっちゃったからかな...」

 

陽乃さんは呟く、彼女はこの騒ぎが起きてから本当に頼れる存在は自分だけだったのであろう、彼女は自分自身を寄るべとしていたのだ

 

彼女は人をうまく動かすことが出来るが信頼はされない、その強化外骨格は彼女なりの処世術なのではと思う

 

陽乃「比企谷君、ちょっと散歩しようか?お姉さんに付き合ってよ」

 

八幡「ええ、良いですよ」

 

俺は陽乃さんに連れられて雪ノ下邸のバルコニーへ連れられる

 

陽乃「比企谷君はさ、私の話を聞いてどう思った?」

 

八幡「どうって...そりゃ許せないですよ、こんな事をした奴が居るなんて考えると...」

 

陽乃「私はね、そんなことは思わなかったよ、私の中身は冷血なの」

 

八幡「そんな事ないです」

 

俺はきっぱりと否定する

 

陽乃「そうだって言われると思ったけど...一応理由を聞いておこうかな」

 

八幡「あなたは確かに仮面に仮面を重ねています、その素顔に気づいたら普通は近寄ろうとはしないでしょう」

 

陽乃「...」

 

八幡「でもあなたは決して冷血なんかじゃない、その中身はちゃんと人を思いやれる優しい心を持っています、それは雪乃の事を見ていれば分かります」

 

八幡「でも良いんです、あなたは周りの期待に答えるべくそうなってしまったんですよね?」

 

八幡「安心して良いんですよ、あなたを傷つける奴はどこにも居ません、もし居たら俺がとっちめてやります、だから..」

 

八幡「もう気を張らなくていいんです、感情を隠さなくていいんです」

 

陽乃「比企谷君...」

 

八幡「本当の雪ノ下陽乃を俺に見せてくださいよ...それでこの世界を生き延びましょう、そうすればいつか希望はきっと見えるから、いつか本当に笑える日が来るから」

 

陽乃「ありがとう比企谷君...私、私頑張ってみる...」

 

雪ノ下陽乃は泣く、自分を縛っていた鎖を解くように、子どもの頃には涙さえ他人に見せるなと教育されていたのであろう、周りから期待される"雪ノ下陽乃"を辞めるべく、彼女は努力しようとしているのだ

 

俺たちはホールへと戻る

 

陽乃「比企谷君...今日は一緒に寝てもいい?」

 

陽乃さんが俺に肩を預ける

 

八幡「いや、それは...」

 

陽乃「だめ...かな?」

 

陽乃さんは上目遣いで俺を見る、これで断れる人間なんて居るのだろうか、いや、居ない(反語)

 

八幡「分かりましたよ...何にもしないでくださいね?」

 

陽乃「それ女の子のセリフだと思うよ、ふふっ」

 

俺たちは俺の寝ていた個室へ戻り、ベッドに陽乃さんに体を背けて寝ると陽乃さんが抱きついてくる

 

陽乃「なんか安心するなぁ」

 

そして俺たちは微睡みの中、深い眠りについたのだった

 

 

 

 

朝になり俺はベッドから体を起こす、すると隣には陽乃さんが寝ていることに気づいた、一瞬驚くが、昨日の事を思い出し、陽乃さんの頭を撫でようとすると...

 

陽乃「じーっ」

 

八幡「ね、寝たふりしてたんすか...」

 

陽乃「比企谷君えっちな事しようとしたでしょ」

 

八幡「いやーなんのことやらさっぱりで...」

 

陽乃「...心の準備が出来てから...ね」

 

陽乃さんはポツリと呟く、聞こえているんですが...俺はラノベのような難聴主人公では断じて無い

 

結衣「ヒッキー!朝だよー!!ご飯だよ!!」

 

結衣が部屋の扉を開ける

 

結衣「ひ、ヒッキー!!陽乃さんに何してるの!バカ!ボケナス!八幡!」

 

八幡「おい八幡は罵詈雑言じゃねえ、小町から聞いたのかあの野郎、許さん」

 

雪乃「比企谷君、姉さんと何をしていたのかしら、答えようによっては容赦しないわよ」

 

いろは「せんぱい!言ってくれれば私でも...」

 

留美「八幡!不潔!」

 

沙希「比企谷!愛してるって言ったのは嘘だったのかい!?」

 

陽乃「ふーん、比企谷君、お姉さんに詳しく聞かせてもらおうか??」

 

小町「修羅場ですねー!」

 

大志「お兄さん、流石っす!」

 

材木座「リア充なんて嫌いだー!はちえもんの裏切り者ー!!」

 

材木座はどこかへ走り去ってしまう

 

八幡「か、勘弁してくれえええ!!」

 

俺の叫びが雪ノ下邸で響いたのであった

 

 

 

 

 

 

 

ーーー一方その頃、日本国首相とアメリカ大統領がモニター越しに会談を行っていた

 

総理「大統領...米軍を日本に救助に向かわせる事は可能ですか?」

 

大統領「それは難しい提案だ総理、米軍は我が国において被害拡大を防ぐために尽力しているのだ」

 

総理「そうですか...」

 

大統領「だが、日本に未来がない訳では無い、方法はある」

 

総理「それは...一体どんな方法を...?」

 

大統領「日本の首脳部を東京から移し、旧首都や人口の多い地域の被害地域を爆撃する、そして残りの戦力でゾンビどもを畳み掛けるしかない」

 

総理「そんな!?被害地域にいる国民たちはどうなってしまうのですか!?」

 

大統領「だが、このままでは日本は完全に奴らに征服されてしまう、奴らを減らすことが出来ればいくら自衛隊と言えども殲滅出来るだろう」

 

大統領「なに、爆撃部隊はこちらが派遣させてもらうよ、総理はこの事を国民に知らせるか否かを判断するが良い」

 

大統領「決まり次第連絡してくれたまえ、復興には我々も力を貸そうではないか」

 

アメリカ大統領との通信が終わる

 

総理「どうすればいいんだ...私一人で決めるには大きすぎる...大臣たちに話を通さなければ」

 

大統領の決断はいかに、八幡たちの運命は?


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