やはり俺がこの終末世界を生き延びようとするのは間違っている。   作:きょうポン酢

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第二十一話

俺は戸塚の裸を見て興奮しながらも浴場を出て食堂へ行く

 

陽乃「比企谷君遅〜い!何やってたのー?」

 

八幡「いえ、なんでもありませんよ、ええ全く」

 

俺は戸塚の裸を見てあろうことか、鼻血を出してしまったのだ、その時の戸塚は俺のことを随分と心配してくれていた

 

風呂から上がった俺は鼻血が止まるのを待っていたのだ

 

「皆さま、ごゆっくりどうぞ」

 

使用人の方々が俺たちに料理を運んで来てくれる

 

いろは「すごいです!ご馳走です!」

 

一色がはしゃぐ

 

材木座「ムハハハハ!我への献上品であるな!」

 

材木座は並べられた食事にがっつく、大食いのようだ

 

津田「こんな良いものを頂いてしまっては悪い気がするのだが...」

 

葉山「本当にいつ見ても凄いな」

 

ーのーーはーーしーーーへーーーーーわー、ーーーーーはーのーーーーーーるーだ

 

葉山「うっ!」

 

葉山が頭を抱える

 

優美子「隼人大丈夫なんし?」

 

葉山「ああ...問題ないよ」

 

戸部「隼人君が食わないなら俺が食っちゃうぜ!」

 

戸部が勢いよく食べ始める

 

姫菜「戸部っち行儀悪すぎ...」

 

留美「こんな料理食べた事ない...」

 

静「確かにこんな物は友達の結婚式で食べた以来だ...うぅ」

 

平塚先生が食べながら泣き始めてしまった

 

陽乃「静ちゃんにもいつか良い人が現れるって」

 

雪乃「久しぶりに食べたけれど、やはり食べ慣れた味という感じだわ」

 

雪ノ下が上品に食べる

 

結衣「ゆきのん...この料理を食べ慣れてるって凄い...」

 

大志「これ美味いっす!」

 

京華「さーちゃん美味しいねー!」

 

沙希「うん、陽乃さんに感謝しないとね...」

 

小町「お兄ちゃん!これタッパーに入れて持っていくのはダメかな!?」

 

こんな妹に育ってしまってお兄ちゃん悲しい

 

八幡「みっともないからやめてくれ...」

 

戸塚「美味しいね!八幡!」

 

戸塚は相変わらず天使である、とつかわいい

 

俺たちは食事が終わった後、陽乃さんへ話を聞くべく質問に入る

 

八幡「陽乃さん、話して貰えませんか?あなたが知っていること、何が起きたのかを」

 

全員が静かに陽乃さんを見る

 

陽乃「やだなあー、そんな怖い顔しないでよ〜」

 

陽乃さんは表情を変える

 

陽乃「歩きながら説明するよ、皆ついてきて」

 

俺たちは席を立ち、陽乃さんの後に続く

 

陽乃「避難所のマニュアルのことを最初に話そうか」

 

陽乃「この情報を知っているのはお父さんとお母さん、そして私と一部の人だよ」

 

雪乃「!?」

 

雪乃が驚愕する

 

陽乃「雪乃ちゃん、勘違いしないでね、雪乃ちゃんを除け者にしたかった訳じゃなくて、心配をかけさせたく無かったの、知らないに越したことはないと思ったんだよ」

 

雪乃「...」

 

雪乃は何も言わない、いや、言えないのだろう

 

陽乃「この情報を最初に知ったのは雪ノ下建設社長、私のお父さんね、次に知ったのはお母さんかな、私は偶然知っちゃったって感じなんだけどねー」

 

陽乃「お父さんはこの情報は信憑性があるって言ってたよ、なんでそこまで信じられたのかは私も分からないね〜」

 

陽乃「お父さんには確信できる何かがあったみたいなの、それであの避難所を建てたってわけ」

 

陽乃さんは俺たちを外へついてくるように促す

 

八幡「陽乃さん、それで情報っていうのはどんな事だったんですか?」

 

陽乃「うん、それよりまずはこの建物に入ってくれるかな」

 

陽乃さんは雪ノ下邸から少し離れた堅牢な建物へ移動する

 

雪乃「ここは...荷物運搬用の倉庫よね...」

 

どうやらそうらしい

 

陽乃「表向きはね、実はこの下にはお父さんがこの事件の事で秘密に作った研究所があるんだよ?」

 

全員「!?」

 

全員が驚愕する、何せこの事件の真相に辿りつけるかもしれない情報がこの下にあるのだから

 

陽乃「今からあなたたちにその研究所を見せてあげる、そして、そこで何が分かったのかも...ね」

 

俺たちは建物の中へ入り、地下へのエレベーターと思われる場所へ入る

 

静「このエレベーターは随分と大きいんだな、トラックでも入れそうだ」

 

エレベーターは下がる

 

陽乃「研究所は地下二階にあるの」

 

俺たちはB2Fと書かれた階へ到着する、エレベーターから降りると長い鋼鉄のような物に覆われた通路を通る

 

そして、鋼鉄製の扉の前に着いた時、陽乃さんが暗証番号のようなものをパネルに打ち込んでいく

 

プシューッ

 

鋼鉄製の扉は横にスライドしていく

 

陽乃「こっちにパネルがあるから、そこへ集まってくれるかな?」

 

俺たちはでかいパネルの前へ集まる

 

陽乃「じゃあ、説明するね、まずはこの病気の事を」

 

陽乃「この研究はある人たちが進めていたんだよ」

 

パネルには細胞の画像が表示される

 

陽乃「この災害の元凶はね、ウイルス性のものなの」

 

八幡「じゃあやっぱり...これは病気だったんだな...」

 

陽乃「このウイルスが感染した細胞はね...どんどん活性化していくの、おそらく遺伝子が変異するんだと思う」

 

陽乃「活性化した細胞は代謝速度が異常なまでに高まって、細胞はエネルギーを求めるようになるの」

 

陽乃「これが奴らが人を襲う理由...奴らは正確には死者ではない訳だね」

 

雪乃「でも奴らは人しか襲わないわ、エネルギーを求めるのなら人以外を襲っても良い筈...」

 

陽乃「その理由は二つ考えられるよ、一つは同じ人間の方がタンパク質の種類は似通っているからね、分解して吸収するのにそっちの方が効率が良いと考えられる」

 

陽乃「そして、もう一つ、あのウイルスは宿主を広めようとしているってこと」

 

陽乃「あのウイルスは霊長類にしか感染しないものなの」

 

葉山「霊長類って事はもしかして...!」

 

陽乃「そう、猿やゴリラにも感染するって事...猿やゴリラが奴らみたいになって襲ってきたらって思うと身震いしちゃうよね」

 

結衣「そんなことって...」

 

それは動物を飼っていた結衣には衝撃が大きかったらしい

 

陽乃「代謝できない細胞はどうなると思う?」

 

沙希「もしかして...腐っていく...?」

 

陽乃「そう、代謝に必要なエネルギーを確保できない細胞はね...腐ってしまうのよ」

 

陽乃「そしてあのウイルスは毒性がとても強い、だから奴らはあんな腐ったように見えるわけだね」

 

陽乃「でもね、代謝に必要なエネルギーを確保できた細胞は変異していくの」

 

陽乃「これを見てくれるかな?」

 

陽乃さんがパネルのスライドを切り替えて動画を見せる

 

そこには感染したであろう細胞が異常な速度で分裂していく様子であった

 

陽乃「つまり、人を十分に襲った奴らは変異してより強力になるってことなの」

 

優美子「そんなのってないし...」

 

つまり、時間が経ち人を十分に襲った奴らはより強力になって俺たちの脅威になるって事だ...

 

陽乃「ここまでがウイルスについて私が知っていること、ここから先は情報の話だよ」

 

陽乃「code:Genesis計画...どうやらこの騒ぎを起こした奴らがこのウイルスを使って何やらしようとしているみたいなの」

 

八幡「code:Genesis計画...?」

 

俺はGenesisの意味について考える...創世記、起源、そんな意味だった筈だ

 

陽乃「その内容はこれしか分からなかったんだけど...」

 

陽乃「この世界は新しい世界へと生まれ変わり、新たな人類はこの世界に君臨するのだ」

 

陽乃「ってね」

 

新しい世界...?新たな人類...?さっぱり分からなかった

 

陽乃「こんなところだよ、私が知ってるのは」

 

静「その計画を立てた奴らの事は分からないのか?」

 

陽乃「うん、お父さんも調べていたんだけど全然ね...」

 

陽乃「さあ、上に戻ろう?今は体を休めた方がいいよ」

 

 

俺はこんな事をしようとする奴らを許せない、例えどんな理由があったとしても、命を弄ぶような奴らを見逃してはおけない

 

 

 

 

 

俺は生き延びるために戦う決意をしたんだ

 

 

 

 

 


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