やはり俺がこの終末世界を生き延びようとするのは間違っている。   作:きょうポン酢

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第十七話

 

 

 

俺たちは食事をした後キャンプを終え、マイクロバスの中で就寝した、世界がこんなになってしまったとは思えない程、平和な夜を過ごしたのだ

 

静「君たち起きたまえ、そろそろ朝食の時間だ、支度をしよう」

 

平塚先生が声をかける

 

 

俺たちは川の手前で昨日と同じように朝食を取った後、マイクロバスに乗り雪ノ下本家を目指していた

 

雪ノ下家への道中には崖を通らなければいけなくなった

 

優美子「これなんとかならなかったん??」

 

雪乃「仕方がないのよ、雪ノ下家へ行くには高速道路を使うのが一番早いけれど、高速は恐らく通れる状態では無いでしょうし」

 

小町「確かに高速道路は数台詰まるともう通れなさそうですよね!」

 

姫菜「それにしてもここを通るのはちょっとね...」

 

戸塚「みんなワガママ言っちゃダメだよ!」

 

いろは「いやー、ここは崖で危ないですね〜」

 

八幡「それほど高さは無いにしろ、落ちてしまったら危険だな」

 

沙希「あんたらはしゃいんでんじゃないよ、落っこちたらどう責任取るつもりなのさ」

 

留美「私は全然平気...」

 

川崎は震えている、高所恐怖症なのだろうか

 

留美は全然気にしていないようだった

 

葉山「平塚先生、安全運転でお願いします」

 

静「分かっている、間違っても事故なんて起きやしないから安心したまえ」

 

戸部「平塚先生が言うとマジ心強いわー」

 

 

そう言っている内にマイクロバスはどんどん崖を進む

 

葉山「みんな後少しの辛抱だよ、このまま行けば30分くらいで着くはずだ」

 

優美子「なんで隼人が言うんだし...」

 

三浦が呟く

 

結衣「ゆきのんは隼人くんと幼馴染だったんだよね」

 

雪乃「ええ、たまたま家の顧問弁護士の子供が葉山くんだっただけよ」

 

葉山「あはは...」

 

 

 

 

 

ウオオオォォォ!!!!

 

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 

突然の咆哮、俺たちは何事かと身構える事になった

 

 

優美子「この声なんだし!?」

 

小町「どこから聞こえてるの!?」

 

 

 

 

ウオオオォォォ!!!!!

 

 

どんどん咆哮が大きくなっている、何者かが近づいてきているのだろうか......

 

 

津田「この音の方向は......上だ!!」

 

葉山「どんどん近づいてきてるみたいだ!!」

 

いろは「みなさん!あそこ!山の頂上付近!!」

 

一色が全員へ叫ぶ、全員はマイクロバスの山側の窓に集まる

 

戸部「なんだあいつ!?」

 

留美「化け物!?」

 

沙希「この世の物とは思えないよ!!」

 

材木座「敵襲!!敵襲だー!!」

 

 

それは全長3mに届きそうな程の怪物が山の頂上から俺たちを見下ろしていた

 

左手は巨大な斧の様な手を持ち、右手には手から触手の様なものが生えうねっている

 

体の中心部には身体中からの血管のようなパイプが集まり、脈を打っている様に思えた

 

顔は赤黒い目の様な物が俺たちを見据えている

 

背中の至る所から角と思われる物が四本ほど肩甲骨の辺りから突き出ている

 

明らかに人間には見えず、俺の中で最大級の危険信号を発するほどの脅威だと分かった

 

 

「code:Genesis始動、目標を捕捉」

 

 

俺には何か言葉を発した様に思えた

 

 

 

 

怪物は山頂を物凄い速度で駆け下りてくる

 

 

雪乃「あの怪物、こちらに気付いた様だわ!!」

 

いろは「も、もしかしたら私たちを助けに来てくれたりとか...」

 

戸部「明らかに俺たちに敵意丸出しっしょ!いろはす!」

 

沙希「話は...通じる様な相手じゃ無さそうだね...」

 

結衣「どういうことなの!?」

 

八幡「マズイ!!あいつ俺たちの方に近づいてくるぞ!!」

 

静「君たち!状況を説明してくれ!!私には何がなんだかさっぱり分からない!!」

 

小町「バスを出来る限り速度を出してください!怪物が私たちを狙ってるんです!」

 

 

 

ドォン!!

 

 

怪物がマイクロバスの少し後方へ飛び降りる

 

 

優美子「き、来たし!!怪物が来たし!!」

 

姫菜「私たち殺されちゃうの!?」

 

そんな時津田さんが銃を持ち始める

 

津田「射撃が得意な者はバスの上へ!!あの怪物を倒すんだ!!」

 

八幡「分かりました!!由比ヶ浜!雪ノ下!銃を持つんだ!!」

 

結衣「分かったよヒッキー!!」

 

雪乃「私も協力するわ!!比企谷君!!」

 

材木座「我に任せておくが良い!!」

 

俺と由比ヶ浜と雪ノ下と材木座と津田さんはバスの上へ上がる

 

俺はイサカM37ショットガンを、由比ヶ浜はAR10を、雪ノ下はベレッタM92ハンドガンを、材木座はポンプ式ショットガンを、津田さんは自前のライフルを持ち、怪物を倒すべく銃を構える

 

八幡「津田さんと由比ヶ浜は奴の距離が離れている今の内に射撃してください!」

 

八幡「雪ノ下は適宜援護を頼む!」

 

津田「了解した!」

 

結衣「任せてヒッキー!!」

 

雪乃「この身の程知らずに私たちの凄さを思い知らさなければいけないようね!」

 

材木座「怪物が近づいて来た時、我らのショットガンが火を噴く訳だな!」

 

 

 

ウオオオォォォ!!!!!!

 

 

怪物が左手の斧の様な手を振りかぶり、マイクロバスに突進してくる

 

八幡「喰らえ怪物野郎!!」

 

俺と材木座と雪ノ下は奴に弾丸を撃ち込み続ける、俺は4発ほど奴の顔面に撃ち込んだ

 

 

オオオオアアァァァ!!!!

 

 

怪物は少し怯み、マイクロバスから100mほど遠ざかる

 

 

八幡「今だ!由比ヶ浜!津田さん!奴を狙撃してくれ!」

 

 

由比ヶ浜と津田さんはライフルで怪物を狙撃する、だが、奴は怯みさえするものの倒れる気配は無い

 

結衣「ヒッキー!!あいつ全然倒れないよ!!」

 

津田「このままでは我々の弾薬が先に尽きてしまうぞ!!」

 

俺はあの怪物を生命体と仮定して考える、いくら頑丈な生物でも弱点はある筈...

 

生命にとって一番大切な器官は...奴の顔面を撃っても倒れなかった事を考えると...

 

 

戸塚「心臓だよ!!あいつは銃を撃たれる時、心臓を守ってるんだ!!」

 

 

戸塚が俺に助言をしてくれる

 

 

八幡「サンキュー戸塚!!お前は俺の最高の友達だ!!」

 

戸塚「八幡...!」

 

俺は由比ヶ浜へ叫ぶ

 

八幡「あの怪物は体の中心部の心臓の様なものが弱点の可能性が高い!俺たちが奴がガードしている奴の右手を下げさせるからそのうちにお前が狙い撃つんだ!」

 

結衣「ヒッキー!そんな事いわれても!!」

 

由比ヶ浜は狙撃を続ける

 

八幡「お前にしか出来ないんだ......!頼む...!」

 

俺は由比ヶ浜に頭を下げる

 

結衣「......分かったよヒッキー......あたしやってみる!!」

 

由比ヶ浜はAR10を構えて瞑想する

 

雪乃「今の内に私たちは怪物の右手を狙うわ!」

 

俺たちは怪物の右腕へ集中放火する

 

材木座「我の弾丸のシャワーを浴びるのだ!!フハハハハ!!」

 

津田「しつこい奴だ!しつこい奴は嫌われるぞ!」

 

雪乃「私たちはこんな所で死ぬ訳にはいかないのよ!!」

 

奴の右腕が下がり始め心臓部が見えてくる

 

八幡「由比ヶ浜ぁ!!やれーーー!!!!」

 

俺は由比ヶ浜へ叫ぶ

 

きっと今の由比ヶ浜には俺たちの銃声も聞こえていないのだろう

 

由比ヶ浜の集中力は極限にまで研ぎ澄まされていた

 

由比ヶ浜のAR10から弾丸が飛び出す、それは怪物に吸い込まれるように奴の心臓部へと向かっていった

 

 

グオオオオオオォォォ!!!!

 

怪物が咆哮を上げる、イタチの最後っ屁とでも言わんばかりに抵抗しようとする

 

 

怪物は倒れざまに右手の触手の一部ををマイクロバスの車輪へ投げつけてきたのだ

 

見事に触手が車輪に絡まってしまい、バスは制御が効かなくなってしまった

 

静「このままでは崖に転落する!全員衝撃に耐えるんだ!!」

 

マイクロバスは崖のカーブを曲がりきれずにガードレールを突き破ってしまう

 

 

「「「「「「うわああああぁぁぁぁ!!!」」」」」」

 

 

俺たちは崖へ転落していく、ある者はマイクロバスから投げ出され、ある者はマイクロバスごと崖へ転落していった

 

 

人生というものはいつだって上手くいきやしない、上手くいくように頑張れば頑張る程悪い方向へ向かってしまう

 

 

俺たちが崖から転落して生き残ったとしてそれは幸か不幸か?と俺は落下しながらそんな事を考えていたのだった

 

 


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