やはり俺がこの終末世界を生き延びようとするのは間違っている。   作:きょうポン酢

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第十五話

 

 

 

 

俺たちは侵入者たちの残党を片付けた後、バリケードは貼り直したのだが、避難所の中は侵入者たちに荒らされてしまっている

今俺たちは城廻先輩を取り囲んでいるところである

 

雪乃「城廻先輩...私は自ら生徒会長となり生徒のために前に立ち行動するあなたを尊敬していました...こんな事になってしまって残念です...」

 

雪ノ下は城廻先輩に告げる

 

城廻「あはは...平等ってもう何のことなのか全然分からなくなっちゃった...」

 

城廻先輩は座り込んでしまう

 

葉山「城廻先輩...どうしてこんな事に...」

 

材木座「どんな理由があれ、やった事は許せるものでは無いな」

 

いろは「めぐり先輩...わたしどうしたらいいのか...」

 

一色は泣き出してしまう

 

静「一体何が君をそこまで変えてしまったんだ?」

 

城廻先輩は顔を上げる

 

城廻「私は大学に入学した後、いろいろな新入生歓迎会に参加しました、歓迎会の先輩方は私にとても優しくしてくれました」

 

城廻「でも歓迎会が終わって...それからですね、私が嫌がらせを受けるようになったのは」

 

城廻「私は最初は他の人に話しかけに行きました、話せば本当の私を分かって貰えるってそう思っていました」

 

結衣「めぐり先輩...」

 

城廻「でも嫌な噂が流れ始めて...私は誰にも関わってもらえなくなりました」

 

城廻「そんなとき思ったんです、なんで私だけがこんな目に合わなきゃいけないの、みんなが平等ならこんな事にはならなかったんじゃ無いの?って」

 

城廻「そんな時この騒ぎが起きて思ったんです、この世界なら...一度壊れてしまった世界なら平等な世界を創り上げることができるって...そう思っていたんです......」

 

城廻「皆さんには多大な迷惑をかけてしまいました、本当にごめんなさい...」

 

城廻先輩の話を聞いて思ったことがある、平等を求めるのは悪では無い、特に虐げられている者は平等を何よりも欲する、かつての俺もそうだった、だが、城廻先輩はそんな気持ちを奴らにつけ込まれてしまっていたのだ、こんな世界になってしまえば、正常な判断を下すのは難しくなってくる

 

 

優美子「そんなこと言ってもさ、あーしたちは殺されるところだったんだし」

 

優美子「そんな事されて絶対許せる筈ないし」

 

三浦が城廻先輩に告げる

 

八幡「城廻先輩、確かにあなたは俺たちを陥れようとしました、ですが顔なじみだった事と以前お世話になった事に免じて、あなたの命を取る、なんて事はしません」

 

雪乃「比企谷君...」

 

八幡「ですから、あなたには武器と食料を渡します、それを持って生き残ってください」

 

結衣「ヒッキー...」

 

きっと城廻先輩の事を許せない人たちはたくさんいる、だけど間違いを犯し反省している人間を俺たちが殺すことなんて出来ない

 

八幡「俺は俺の居場所を守るだけで精一杯なんです、どうか分かってください」

 

城廻「ありがとう...比企谷君にはちゃんと居場所があるんだね」

 

城廻先輩は立ち上がり、俺は用意した物資を城廻先輩に渡す

 

八幡「いつか...出来ると良いですね、あなたにも」

 

城廻先輩はバリケードを越えて街を進んで行く、俺たちはその背中が見えなくなるまで城廻先輩を見続けていた

 

 

何故由比ヶ浜がアレだけの行動をする事が出来たかと言うと、実は俺は会議が終わった後、屋上に由比ヶ浜を呼び出し、ある依頼をしていたのだ

 

八幡「由比ヶ浜...お前にしか頼めないことがある...聞いてくれるか?」

 

結衣「いいよヒッキー」

 

八幡「俺たちがキャンプに向かっている間、ここに襲撃があった時、お前がみんなを守るんだ」

 

八幡「やれるか?」

 

結衣「ヒッキー、勇気をちょうだい」

 

八幡「ああ、あげられるもんならなんでも......!?」

 

気付いた時には俺は由比ヶ浜に唇を塞がれていた

 

結衣「んむ...ちゅっ」

 

由比ヶ浜は俺から離れる

 

結衣「えへへ、勇気もらっちゃった」

 

由比ヶ浜ははにかみながら恥ずかしそうに笑っていた

 

 

今思い出すだけでも顔から火が出るほど熱くなっていく、俺は完全に由比ヶ浜にしてやられたのだ

 

 

 

避難所の住人たちは俺たちに話しかける

 

「皆さん...命を救っていただきありがとうございました...私たちは殺されてしまった家族の事を思うとこの避難所では暮らしていく事が出来そうにありません...ですから私たちは次の避難所を目指そうと思います」

 

津田「そうですか...ではこの銃たちを持っていってあげてください、これはあいつらが持っていた物ですが、この銃はきっとあなたたちの役に立つでしょう」

 

津田さんは避難所の住人の方々に銃を渡していく

 

すると女の子が俺の前に一輪の花を持ってくる

 

女の子「お兄ーちゃん!お母さんを助けてくれてありがとう!」

 

俺は花を受け取り女の子の頭を撫でる

 

八幡「どういたしまして」

 

沙希「けーちゃん...」

 

川崎がけーちゃんの名前を呼ぶ、きっと女の子とけーちゃんの影が重なってしまったのだろう

 

避難所の方々はそれぞれの車に乗り込み、次の避難所を目指すべく車を走らせる

 

 

 

 

 

姫菜「私たち以外誰もいなくなっちゃったね」

 

戸部「だなぁ...これからどうすっかなー」

 

葉山「ぐっ!」

 

ーのーーはーーーーーへーーーーーわー、ーーーーーはーーーーーーーーるーだ

 

葉山「お前たちも一緒に雪ノ下家について来てくれないか?俺もお前たちと一緒に居たいんだ」

 

葉山は頭を下げる

 

優美子「隼人......うっし!覚悟決めたしあーしも行く!」

 

結衣「優美子...良いの?」

 

優美子「隼人があーしらに頭を下げてんだし、断るに断れないし」

 

戸部「それあるわー!隼人くんが俺たちと居たいって言ってくれてるんだべ!」

 

姫菜「私も行きたい、このまま何もしないのは嫌なの」

 

葉山「お前ら...」

 

葉山は涙ぐんでいる

 

戸塚「八幡!僕も行くよ!こんな事もう起きちゃいけないと思うんだ!」

 

八幡「戸塚...」

 

材木座「うおっほん!!我も参勤交代の時期が来たようだからな!!ついて行くぞはちまよ!モハハハハ!!」

 

津田「俺も君たちについて行こう、この事件の真相を知りたくなったんだ」

 

津田さんが俺たちに声をかける

 

静「歓迎します、津田さんが私たちについて来てくれるのはとても心強い」

 

戸部「俺津田さんチョーリスペクトだからマジ嬉しいわ!!」

 

雪乃「出発する前に荒らされた避難所を掃除しておきましょう、私たちの後に来る人たちのために」

 

小町「雪乃さんの意見に賛成です!」

 

結衣「あたしも掃除手伝う!」

 

いろは「この避難所にはお世話になりましたからね〜」

 

沙希「掃除なら任せな、得意中の得意だよ」

 

留美「私も掃除得意だからね?...八幡」

 

留美が上目遣いで俺の目を見つめてくる、何このかわいい生き物

 

静「よし!では全員で手分けして掃除を開始する!あらかた片付け終わった後、準備が出来次第マイクロバスに集合だ!」

 

俺たちは掃除が終わり、各々準備が整った者からマイクロバスに乗り込んでいく

 

 

 

 

この世界はきっとどこか狂っている、狂ってしまった世界で正常であろうとする事は難しいことなのだろう

 

 

 

 

だけど

 

 

 

 

狂ってしまった自分を元に戻してくれる存在はきっと自分の居場所だけだ

 

だから俺は

 

俺の居場所を守りたいと強く願えることが出来たんだ

 

 

俺たちは避難所を出発し、雪ノ下家へ向かうべくバスを走らせるのであった

 

 

 

 


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