仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~   作:マルス主任

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最近本当に忙しくて投稿が出来なくて申し訳ございません。
今回はメアリ戦でございます。
前回登場しなかった魔法少女達は、この次以降に出します。
今回は登場しませんのであしからず。


第36話 因縁

「カラミティ・メアリ…!」

 

 

 

 リップルが睨み付ける先には、カラミティ・メアリの姿が。

メアリはスナイパーライフルを乱射し、市街地に被害を及ばせている。

 

 

 

「早く奴を止めないと…」

「止めるって、リップルお前…」

 

 

 

 メアリのいる場所へ駆け出すリップルを、トップスピードが止める。

 

 

 

「無茶だリップル、お前じゃ勝てない」

「だからって放っておいたら、被害が増える…」

「確かに、このままじゃ酷いことになる。元凶のあの魔法少女を止めなきゃな」

 

 

 

 

 リップル達と行動を共にしている進ノ介も、リップルの意見に賛同する。

この事態を収めるには、カラミティ・メアリを倒すしかない。

トップスピードは反対していたが、やがて…

 

 

 

 

「…もう、分かったよ。やるんならやるぞリップル!」

「うん。メアリを倒そう」

「ここは危険だ。泊刑事、メアリのことは任せてくれ、あんたは街の人を避難させてくれ」

「あ、あぁ…分かった。気を付けろよ」

 

 

 

 

 トップスピードとリップルは、トップスピードの使う箒、ラピッドスワローに乗り込む。

そして、トップスピードはラピッドスワローのエンジンを掛けて飛んでいった。

 

 

 

 

「行くぜ、相棒!」

 

 

 

 

 一人残された進ノ介は、行ってしまったトップスピード達を見つめる。

 

 

 

 

「…ここは危険か…。確かに、今の俺じゃ魔法少女に太刀打ち出来るだけの力はない…」

「くっ…あいつらに頼る事しか出来ないのか、俺は…」

 

 

 

 そして、進ノ介の脳裏には、これまで共に戦っていた相棒とも呼べる人物が浮かび上がっていた。

 

 

 

 

「…ベルトさん。あんたの力を借りたいよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 そんな進ノ介の思いは、まだ【彼】には届かない。

嘆いていても仕方ない、進ノ介は被害が拡大しつつある市街地へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カラミティ・メアリは暴走にも近い形でスナイパーライフルを乱射し、街に被害を与え続けている。

道路の車が炎に包まれて破壊されていく。タイヤが燃え盛りながら道路を転がっていく。

そこから聞こえるのは人々の悲鳴。

その声が鬱陶しく感じ、まずは甲高い声を出す女をスナイパーライフルで撃ってみる。

下半身に銃弾が直撃して、足を無くして倒れる女。

余計に騒がしくなったから、今度は頭部を狙い撃つ。

一人の女が撃たれて死んだ。その光景を見た人々も、パニックになっている。

面倒だから、まとめて撃ち殺してやった。

よく見えないが、恐らく内臓等が飛び散っているだろう。

端から見れば、地獄絵図としか言い様のない光景。

 

 

 しかし、メアリは不満だった。

このスナイパーライフル、ドラグノフの威力は絶大だ。

しかし、ドラグノフを試すには普通の人間じゃ脆すぎる。故につまらないと感じていたからだ。

人間ではつまらない。ならば車等の機械を狙えば良い。

しかし、その機械ですらつまらない。ならば、魔法少女や仮面ライダーを狙えば良い。

そんな事を考えていた矢先…

 

 

 

 

「カラミティ・メアリィ!」

「おいおいリップル危ないって!」

 

 

 

 

 リップルとトップスピードがやって来た。

メアリは、それを見ると、口元を歪めて笑顔を見せた。

そして、大いに喜んだ。

このスナイパーライフルの標的に値する、絶好の獲物が現れた、と。

 

 

 

 

「…やっと来たのかい…待ちくたびれたよ…」

「お前…一体何の為にこんなことを…」

 

 

 

 

 リップルはメアリを問い詰める。

その答えは、至ってシンプルだった。

 

 

 

 

「何の為にって、簡単なことさ…お前をおびき寄せて殺す為だよ…」

「何…!?」

「これだけ騒ぎを起こせばあんたらみたいなのが勝手に寄ってくるだろ、それを叩き潰すだけさ」

「ってことは…今回の騒動は…」

 

 

 

 トップスピードが驚きながらも訪ねる。

 

 

 

「そうさ、街の人間共は前座に過ぎなかったんだよ、死のうが生きてようが知ったこっちゃないね」

 

 

 

 カラミティ・メアリは淡々と答えた。

しかし、その時だった。

刀がスナイパーライフルに直撃し、メアリの手から弾かれた。

そう、リップルが刀を投げてメアリのスナイパーライフルを攻撃したのだ。

メアリは一瞬だけ気付くのに遅れたが、直ぐに拳銃を取りだしてリップルに銃弾を発射する。

リップルは銃弾を避けて、先ほど投げた刀を取り戻し、メアリに正面から飛び込む。

メアリも拳銃の弾を出し惜しみせずにリップルに向けて連射する。

銃弾を刀で弾き、リップルはメアリの懐に飛び込んだ。

 

 

 

 

「…お嬢さん、あんたはそういう奴だったねぇ…!」

「何が言いたい…!」

「あたしと最初に会った時から…あんたはあたしをムカつかせる奴だったって言ってんのさァ!」

 

 

 

 

 メアリは更に銃弾を零距離で乱射する。

辛うじて避けきったリップルだったが、銃弾に完全に気を取られて蹴りを浴びてしまう。

リップルはそのまま吹き飛ばされて倒れ込む。

そこに追撃を加えようとするメアリ。

立ち上がろうとするリップルに拳銃で発砲したメアリ。

しかし、リップルはその場に居なかった。

驚いて辺りを見回すメアリ。

しかし、その場には誰も居ない。

そこには、トップスピードの姿も無かった。

メアリはそれを確認すると、ニヤリと口元を歪めた。

 

 

 

「…まさか、これで終わりなんて無いだろうな、お嬢さん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無茶すんな、リップル!」

「トップスピード…?」

 

 

 

 

 リップルは気付いた時には空を飛んでいた。

そして、今はメアリに気付かれないような場所にいる。

リップルの危機を救ったのは、トップスピードだった。

銃弾がリップルに到着する前に、ラピッドスワローに乗ったトップスピードがリップルを拾って逃げてきたのだ。

リップルとメアリの戦いに付いていけなかったトップスピードは、撤退のチャンスを窺っていたのだ。

 

 

 

 

 

「リップル、やっぱり危険だ、ここは退いとけ」

「ダメ。今ここで仕留めないと…」

「何言ってるんだよお前。さっきでさえあんなんだったんだ、勝てるわけない」

「トップスピードだって聞いたでしょ。あいつの目的は私達魔法少女だ。私達を誘き寄せる為にあんなテロみたいな事やってるんだよ」

「落ち着け、リップル!」

 

 

 

 

 トップスピードに叫ばれ、やっと平静を取り戻したリップル。

一息付いたリップルに、トップスピードはもう一度警告する。

 

 

 

 

「どのみち危険だ。今は退いた方が良い」

「でも…私はこのまま逃げるわけにもいかない」

「リップル…お前何でそこまで…」

 

 

 

 トップスピードは撤退を頑なに拒むリップルに驚いている。

リップルが、今まであまり見せた事の無い表情をしているからだ。

 

 

 

 

「私は、世界中の人を救えるとは思ってない。でも、こうやって苦しんでいる人が目の前にいるのに逃げ出すなんて出来ない。助けられる人達がいるなら、私はその人達に手を伸ばす」

「逃げ出したら、魔法少女なんかじゃない」

 

 

 

 

 リップルは、かつて憧れていた正しい魔法少女の姿、そしてそれを具現化したような魔法少女、スノーホワイトの姿を頭に思い浮かべた。

 

 

 

 

「…私は、魔法少女だ」

 

 

 

 

 トップスピードは、リップルのその言葉を聞くと、少しの間黙りこんだが、やがてため息を吐いた。

 

 

 

 

「…そうかい」

 

 

 

 

 トップスピードは、右手で帽子を押さえた。

そして、少し笑って答えた。

 

 

 

 

「言うようになったじゃねえか…お前がこんなに喋るの、初めて見たわ」

「…ただ、ちょっと言葉が足らないね」

 

 

 

 

 ラピッドスワローを起動させ、リップルに乗るように手招きする。

少し戸惑っているリップルに、トップスピードが答えた。

 

 

 

 

「俺だって魔法少女だぜ、相棒」

「トップスピード…?」

「お前にあそこまで言われたのに、逃げるわけにもいかねぇだろ。俺もとことん付いてってやる」

「でも、トップスピードには…」

「あ、お腹のことか?変な事しなけりゃ大丈夫さ。魔法少女なんだし。たまには俺を信じろ」

「…分かった。ありがとう」

「よし、行くぜ相棒!」

 

 

 

 

 ラピッドスワローは全速力でカラミティ・メアリのいる場所へ向かって進む。

メアリのいる建物へ近づくに連れて、殺気を強く感じるようになった。

すぐそこにメアリがいる。そう感じた時だ。

拳銃の弾が何発もこちらへ放たれた。

 

 

 

「トップスピード!」

「分かってる!しっかり掴まっておけよ!」

 

 

 

 ラピッドスワローの速度を早め、銃弾を避ける。

猛スピードで最上階に向かう。

そこには、やはり拳銃を構えたメアリが立っていた。

 

 

 

「トップスピード、一旦降りる、あいつの相手は私がする!」

「あ、ちょい相棒!」

 

 

 

 ラピッドスワローから飛び降り、メアリに向かっていくリップル。

相変わらずメアリは拳銃を乱射してくる。そしてその顔は笑っている。

その顔を見ると、余計に腹立たしくなる。

刀で銃弾を弾き、飛び蹴りをメアリに浴びせる。

体勢を立て直しながら、メアリは拳銃を再び乱射した。

 

 

 

 

「メアリ…!」

「やっぱり来ると思ったよ、お嬢さん。それに、今度は二人がかりみたいだねぇ」

「おいおい、勝手に降りるなよ相棒。びっくりするだろ…って、んな事言ってる場合じゃねえか」

 

 

 

 

 ラピッドスワローを停車させて降りて駆け寄ってきたトップスピード。

現状、メアリは分が悪いのにも関わらず、余裕の笑みを浮かべている。

まるで、この状況を楽しんでいるかのように。

 

 

 

「じゃあ、第二ラウンドと行くかい…お嬢さん方」

「私はお前を許さない。ここで絶対仕留める」

「相棒、無茶だけはすんなよ。ハンドル剣、来い!」

 

 

 

 リップルは刀と手裏剣、トップスピードはラピッドスワローに乗り、片手にはハンドル剣を構える。

しかし、メアリは戦う素振りを見せない。

 

 

 

「いや、ちょっと待て。せっかくだ、もう少し場を盛り上げようかね」

「…メアリ、何をする気だ!」

「なぁに…ちょっと爆弾を仕掛けさせてもらっただけさ」

 

 

 

 

 メアリは何かのスイッチを取り出した。

嫌な予感がする。そうリップルは感じた。

あれを押されてしまったら大変な事になる。そんな気がした。

 

 

 

 

「待て、メアリ!やめろ!」

 

 

 

 

 リップルの叫びは、メアリに届くはずもなく…。

メアリは笑いながらスイッチを押した。

それと同時に市街地の方で爆発音が響き渡った。

 

 

 

「何だ…今の音!?」

「トップスピード…市街地の方を見て!」

「市街地って確か…さっき泊刑事が向かっていった方だよな…」

「嘘……?」

 

 

 

 リップルとトップスピードは言葉を失った。

先ほどまでは健在していた市街地が、炎の海になっている。

 

 

 

 

「ハハハハッ!ハハハハハハハハァッ!用意しておいて正解だったよ!」

 

 

 

 

 メアリの笑い声が響く中、リップルとトップスピードは、思わぬ悲劇に、ただただ絶句するしかなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「落ち着いて移動してください!焦らずに落ち着いて下さい!」

 

 

 

 

 進ノ介は、被害が拡大している市街地で救助活動をしている。

怪我を負っている人等は助ける事は出来るが、既に息絶えていたり、上半身や下半身のみが残っていたり、体の内臓部分が飛び散っている遺体があるなど、殺伐とした状況となっている。

ある程度の人を避難させることは出来たが、完全に避難させるにはもう少し時間が掛かりそうだ。

 

 

 

 

「後少しか…あいつらは大丈夫かな…」

 

 

 

 

 今頃はリップルとトップスピードがカラミティ・メアリと戦っているのだろうか。

彼女達に頼るしか無いのが情けないが、避難するまでは、メアリを抑え込んで貰いたい。

と、進ノ介が考えていた時だった。

何か地面が揺れている感覚がした。

地震とは違った、また別の感覚。

…嫌な予感がする。

他の人々を避難させるにも、パニック状態になっており、とてもじゃないが避難させられるのは難しい。

やってしまった。これでは危険だ。

 

 

 

「しまった!皆さん逃げて!」

 

 

 

 

 自分たちのいる反対側の道が爆発し始めた。

他の人々は逃げられるかもしれないが、自分はもう無理かもしれない。

回りが爆発する。視界が炎に包まれる。

…せっかくここまで生きてきたのに、ここで終わるのだろうか。

 

 

 やがて自分がどこにいるのかの感覚が分からなくなった。

朦朧とし始めた意識の中、進ノ介の目の前には赤い見慣れた車が映った。

…だが、恐らく幻覚だろう。

でも、本当に彼が戻ってきてくれたら、こんな状況でも生き延びられただろうか。

 

 

 

『進ノ介!しっかりするんだ、進ノ介ェ!』

 

 

 

 自分を呼んでいる声がする。

それも、一番会いたかった人物の声で。

でも、恐らくこれも幻聴なのだろう。

進ノ介は、その声の主のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

「…ベルトさん…」

 

 

 

 

 

 

 進ノ介の意識は、ここで途切れてしまった…。




雑に且つ強引に締めましたが、とりあえずゲリライベント開始です。
モブ厳です。
最後の最後で登場しましたが、次回は正式にアイツの復活です。お楽しみに。

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