仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~   作:マルス主任

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まほいくキャラソンライブ行って参りました。
あやねること佐倉綾音さんの男装、中々良かったです。

さて、今回は熱血刑事と不良娘の出会いが明かされます。
そして、神がついにあのキャラクターを…!


第34話 思い出話と掘り起こし

『何なんだぽん。あの仮面ライダーは…』

「随分と、お困りのようですね」

 

 

 

 ファヴは、ある廃屋の中で、森の音楽家クラムベリーと会話をしている。

ファヴの声音からは、焦りというよりも、怒りの感情が溢れている。

 

 

 

『せっかくユナエルがシスターナナを刺して、心が踊ってたのに、シスターナナの治療とかチートだぽん。能力半端ないぽん』

「あなたがせっかく送ったグールとウロボロスも、全て無駄になってしまいましたね」

『まだグールがやられることは分かってたぽん。でも瞬殺はないぽん。全滅まで10秒かからなかったぽん』

「そして、ウロボロスまで倒されてしまった…と。分が悪すぎましたね」

『元は魔法少女同士の殺し合いを期待していたんだけど…。甘かったぽん』

「ですがファヴ。こちらには動かしやすい駒が一人いるじゃないですか」

『動かしやすい…かは知らないけど、それは良い案だぽん。どうせそろそろ切り捨てるつもりだったぽん』

「では、早速連絡を取りましょうか…」

『良いぽん。これでもっとゲームは面白くなるぽん…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、泊刑事!」

「おぉ、トップスピードじゃないか!」

 

 

 

 刑事、泊進ノ介は、再びトップスピードに出会い、行動を共にしていた。

そして、トップスピードの横には、以前出会った時にはいなかったリップルが立っていた。

 

 

 

「隣の娘は?」

「あぁ、リップルっていうんだ。俺の相棒さ!」

「…チッ」

 

 

 

 突然の舌打ちに進ノ介は驚く。

何か気に障る事を言ってしまっただろうか?

すると、トップスピードが慌ててフォローを入れる。

 

 

 

「あぁ、気にしないでくれ。こいつは見た目怖いけど、中身は良いやつだから」

「…余計な事を言わなくてもいい」

「全く、素直じゃない奴だなぁ。ほれほれ~」

「…チッ」

 

 

 

 頭を撫でるトップスピード。しかし、リップルは再び舌打ちをする。

良い顔はしていないが、トップスピードから避けないあたり、二人にはかなりの信頼関係があると見た。

 

 

 しばらくして、リップルが進ノ介に尋ねた。

 

 

 

「ところで、あなたとトップスピードは何処で出会ったの…?」

「出会いか?」

「そうだなぁ…あの時はいろいろ大変だったなぁ…」

 

 

 

 

 すると、トップスピードと進ノ介はリップルに向かって語り出した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは昔の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 警視庁の刑事、泊進ノ介と、その相棒である早瀬明は、名深市をパトロールしていた。

近頃、この付近では暴走族が暴れており、夜間であったが為に周辺地域に住む住人からの苦情を受け、二人が暴走族の沈静化の任務を受けたのであった。

 

 

 

 

 

「着いたぞ進ノ介。この辺りらしいぞ」

「やっとか。でも静かじゃないか。とてもじゃないが暴走族なんていないような…」

「というか、この仕事受けておいてアレだが、このくらいの仕事は市の職員とかがやるんじゃないのか?」

「どうやら苦戦してるらしくてな。リーダーの女の子が厄介なんだそうだ」

 

 

 

 進ノ介の問いに、早瀬は答える。

すると、なにやらバイクの爆音が響いてくる。

地響きかのような音に、進ノ介と早瀬も思わず耳を塞ぐ。

 

 

 

「おいおい…これってまさか」

「来ちゃったか…」

 

 

 

 バイクが止まり、暴走族が二人の前に現れた。

リーダーらしき少女が先頭であり、恐らく彼女らが言われている暴走族であろう。

 

 

 

 

「おい、君たち。こんな夜に何をしてるんだ。こんな音じゃ周りの人に迷惑だろう」

 

 

 

 

 進ノ介が呼び掛ける。だが、リーダーらしき少女がこちらに向かって来た。

 

 

 

 

「はぁ?何だあんたら。邪魔くせえんだよ、どっかいけよ」

「ヒャッハァ!リーダーの邪魔すんじゃねえぜヒャッハー!」

 

 

 

 リーダーと部下らしき男二人が反論してくる。

部下の雰囲気がレトロ過ぎではないかと思った二人だったが、そんなことを言っている場合ではない。

 

 

 

「人の迷惑も考えたらどうだ?」

「俺らにとっちゃ、お前らが一番迷惑だよ!」

 

 

 

 早瀬が注意するも、聞く耳を持たない。

まさに不良というところか。

どうにかして抑えようとする二人であったが、なかなか収まらない集団。

 

 

 

 と、そこへ懐中電灯を持った男が近寄ってきた。

その男を見ると、リーダーの少女はあからさまに嫌な顔をした。

 

 

 

 

「君達、いい加減にしろ!」

「またお前かよ…」

 

 

 

 どうやらその男は、前々からこの件に関わっていた市役所の男のようだ。

その男は、こちらに気付くと声をかけてきた。

 

 

 

「あの…あなた方は?」

「警視庁から来ました、泊です」

「同じく早瀬です。パトロールで巡回していた所、彼女達に遭遇しました。なので説得をしております」

「それはそれは…ご苦労様です。そして我々の力が及ばず申し訳ない。自分は、名深市役所の室田と申します」

「そちらも、連日ご苦労様です…って室田さん!彼女達がいなくなってる!」

 

 

 

 進ノ介達が気付くと、不良集団はいなくなっていた。

こちらで話している隙に逃げてしまったのだろう。

 

 

 

「また逃げたのか…!」

「とにかく探しましょう。いくら集団とはいえ夜間は危険ですから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一旦話を止めたトップスピードと進ノ介。

リップルは反応こそ薄いものの、かなり話に集中していた。

 

 

 

「っていうのが、泊刑事と俺の出会いってワケよ」

「あぁ。色々大変だったよ」

「でも、そこから今のような関係性になるとは思えない。何かもっと重大なことがあったの?」

「まぁな…そこで泊刑事と仲良くなったし、そして昇一に惚れた…あっ」

「それ…言っちゃダメな奴じゃ…」

 

 

 

 

 昇一という新しい人物の登場で、リップルは更に疑問が出来た。

 

 

 

「昇一…?」

「あーあ、言っちまったよ。そこは後でするから、しょーがねえ、話を続けるぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 進ノ介達と、不良集団“エンブレス”の騒動はしばらく続いた。

しかし、そんな中のある日、大きな事件が起こった。

 

 

 

 いつも通りパトロールをしていた進ノ介達。

そんな所に、不良集団の一人が現れたのだ。

しかも、ボロボロの状態で。

 

 

 

「刑事さん達…助けてくれ…」

「お、おい!何があった!」

「リーダー達が…強盗に捕まっちまって…」

「何だと!?」

「進ノ介、恐らく今日の昼にあった銀行強盗だ。まだ犯人は捕まってなくてな」

「どこにいるんだ、そいつらは」

「ちょっと向こうの廃屋に…」

「分かった。早瀬、お前は他の刑事と、室田さんに連絡を。それと、こいつを休ませてあげてくれ」

「あ、あぁ。お前はどうするんだ」

「あいつらを助けに行く」

「大丈夫なのかよ。危険だ」

「あいつらはもっと危険な目に遭ってるんだ…!」

「お、おい!進ノ介!」

 

 

 

 進ノ介は走っていってしまった。

早瀬はしょうがなく、不良と共にパトカーに乗った。

 

 

 

「あーもう!行くぞ!」

「すまない…あの刑事さんにも、あんたにも迷惑かけちまって…」

「そんな事は気にするな。それに、あいつはああなったらもう止まらない」

「…?」

 

 

 

 首を傾げる不良に、早瀬はこう答えた。

 

 

 

「いわゆる、脳細胞がトップギアってやつだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前…俺達を捕まえて楽しいか?」

「ほざくな小娘。てめえらは人質なんだ、黙ってろ」

 

 

 

 

 一方、不良集団エンブレスのメンバーは、強盗犯に捕まり、人質にされていた。

強盗犯の手には拳銃が握られており、迂闊には動けない。

 

 

 

 

「リーダー、どうしよう…」

「いつかチャンスは来る…その時までは…」

「おい、コソコソ何を話してやがる」

 

 

 

 強盗犯の男が近づいてきた。

しかし、そこに一人の男が現れた。

 

 

 

「おい、その娘達を解放しろ!」

「誰だてめえは!」

「なっ、あんた…」

 

 

 

 現れたのは、進ノ介…ではなく、室田だった。

 

 

 

「早瀬さんから話は聞いた。大人しく投降しろ」

「この状況見て、良く言えるよなァ!」

 

 

 

 強盗犯は、拳銃をリーダー達に向ける。

 

 

 

「お前が余計な事をすれば、こいつらの命は無い」

「くっ…卑怯な…」

「卑怯もラッキョウもあるものか!」

「だったら、俺が変わりになってやる!だからその娘達を解放しろ!」

「笑わせる、だったらここでお前から先に葬ってやる!」

 

 

 

 拳銃の引き金が引かれた。

弾が発砲され、室田の腕に当たってしまった。

 

 

 

「ぐあぁ!」

「お、おいあんた!」

 

 

 

 腕から血が流れ、室田は倒れる。

 

 

 

「てめえ…本気かよ…」

「あぁ…本気さ…この娘達を守るためなら…」

「この野郎ォォォ!」

「危ない!」

 

 

 

 再び強盗犯が拳銃の引き金を引こうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、その時だった。

一発の銃弾が拳銃を弾き飛ばした。

驚く強盗犯の目線の先には、進ノ介が立っていた。

 

 

 

 

「そこまでだ、強盗犯」

「て、てめぇは…警察かよ…」

「お前を逮捕する…!」 

「このぉ…調子に乗りやがって…」

「動くな。もう直にお前は包囲される」

「くっそぉ…」

 

 

 

 進ノ介は直ぐに強盗犯を捕らえた。

反抗されないように、手錠をかける。

 

 

 

「どうせ、彼女達を人質にして、逃走用の車でも用意するつもりだったんだろ。詰めが甘い。警察を舐めるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく経ち、早瀬達が駆け付けて、強盗犯は逮捕された。

室田は腕に全治2週間のケガを追ったものの、命に別状は無かった。

また、犯行の動機は遊ぶ金が欲しかったという理由であり、実にありきたりだった。

こんな下らない悪意が室田やエンブレスのメンバーを苦しめたのだと考えると、改めて人間の悪意の恐ろしさを感じる。

 

 

 

 

 

「室田さん…すまない、もっと俺が早く行ければ…」

「気にしないで下さい。それに助かりましたから」

 

 

 

 

 話している二人の元に、エンブレスのリーダーがやってきた。

 

 

 

 

「…助かった。ありがとう」

「今回は無事だったが、これからは何が起こるか分かったもんじゃない、もうこんな事するのはやめろ」

「…分かったよ」

「やっと分かってくれたんだな」

 

 

 

 

 頷いたリーダーに、進ノ介と室田はやっと安心する。

すると、リーダーは室田に話しかけた。

 

 

 

「何で、俺達をあそこまでして救ってくれたんだ?」

「…ただ純粋に助けたかったってだけじゃダメか…?」

「ふふっ…あんた、名前は?」

「昇一。室田昇一だよ。でも何で?」

「聞いてみただけだよ。…俺はつばめだ。宜しくな!」

「お、おぉ…宜しく。ていうか何でお前の名前も?」

 

 

 

「…気付けよバカ」

 

 

 

 

「え?何か言った?」

「なーんも!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トップスピードは話を終えた。

全員が話に集中していた。

 

 

 

「長くなっちまったな、悪い、これが俺達の出会いだな」

「結局俺もこの後に昇一と仲良くなってな」

「ところで、その昇一って人は?」

 

 

 

 リップルはそこが気になっていた。

昇一という人物、つばめという人物。

なんとなくトップスピードの正体がつばめということは分かったが、結局昇一という人間とはどういう関係なんだろうか。

 

 

 

 

「そうだったな、それを言っとかないとな」

「おい、良いのか?」

「良いよ、リップルは相棒だしな」

 

 

 

 そう言うと、トップスピードは、光に包まれ始めた。

変身を解除したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リップルは目を疑った。

トップスピードの人間体は、マタニティドレスを着た女性だった。

お腹が膨らんでおり、その見た目は“妊婦”としか言い様がない。

 

 

 

 

 

「トップ…スピード?」

「おう。俺は室田つばめ。見た通り妊婦さ」

「…ごめん、思考が追い付かない」

「おいおい、そんな驚かなくても…」

「まぁまぁ、最初は驚くだろ」

「そうかなぁ…でも、活動には支障ないから安心してくれ」

「そうなんだ…それは良かった」

「おう、だからこれからも一緒に頑張ろうぜ!」

「…分かった」

 

 

 改めてリップルとつばめは共に活動する事を決めた。

 

 

 

「そう言えば、リップルも大分丸くなったよな」

「…そんなことない」

「まぁ素直じゃねえなあ…」

「…ちょっと、やめて、お腹を大事に…」

 

 

 

 そんな二人を見ながら、進ノ介は考え事をしていた。

 

 

 

「(俺も、彼女達を守れる力が必要か…?)」

「(でも、俺は変身出来ない…)」

「(ベルトさんはもういない…でも、変身出来なくても、俺にもやれることがあるはず…)」

「(今は少しでもアシストする事が、俺の役割だ…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここに来るのはそんなに久し振りという訳でもない。

相変わらず全てが無のような空間である。

やはり、これくらい静かな方がゆっくり眠れるのだろう。

今度こそ平和を祈って眠ったはずなのだが、こうしてまた目覚めさせるのも申し訳ないと思う。

だが、これも敵の野望を止める為だ。

そして、彼のエンジンをもう一度呼び起こすためだ。

ロックを強制的に開き、地下に降りる。

地下フロアに到着した。

そしてそこには、機械類が多く置かれている。

その中の一つに触れようとしたときである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…君は!?…と、よく見たら鎧武じゃないか、勝手に入ってくるのは驚くからやめてくれ』

「すまない、でも、俺が来たってことはどういう事か分かってくれると思うんだが…」

『また何かあったのかね…』

「あぁ、今度は前の戦いよりも危ない。地球全体の危機になる可能性がある」

『地球…全体…』

「頼む。また力を貸してくれるか?」

『私は中々深い眠りには着けなさそうだね…』

「すまない…でも、あいつの危機でもあるんだ」

『そうか…。分かった、私にも出来ることはしようか』

「ありがとう、助かるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鎧武が機械に触れると、地下フロアに灯りが付き、赤色のスーパービークルのエンジンが再び起動した…。




今回は過去話を書きましたが、トップスピード関連の設定も弄らせて貰いました。
リップルもここでトップスピードの秘密を知るという構成にしました。
最後のアレは、察してください。

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