仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~   作:マルス主任

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1月29日は、ラ・ピュセル役の佐倉綾音さんのお誕生日だったそうですね。おめでとうございます。

話は変わりますが、超スーパーヒーロー大戦のポスターが公開されたようです。
レーザー復活や、アマゾンズ登場など話題が盛りだくさんですが、気になるのはアギト、龍騎、ディケイド、ドライブ、ゴースト、ゾルダの存在。
彼らもオリキャスなのでしょうか?


第30話 立ち向かう為の勇気

「ぐぅ…まさか、あの男が仮面ライダーだったとは…」

 

 

 

 ファントム・オーガは、傷ついた体を休ませながら、呼び出したファヴと会話していた。

あちこちに傷が残っており、戦いの激しさが目に見える。

 

 

 

『オーガ。控えめに言って君はバカだろぽん?』

「…は?」

 

 

 

 ファヴの予想外の返答に驚くオーガ。

その言葉に納得出来ていない様子のオーガにファヴは続けた。

 

 

 

『グール軍団を圧倒した時点で、あいつは危険だって分かったはずぽん。』

「…だがそれは…」

『こちらとしても簡単に死んでもらうのは困るんだぽん。勝手にマスターを殺して成りすましておいて、それはないぽん』

 

 

 

 ファヴの注意に、オーガは言い返せなくなってしまった。

それは本当に図星であったこと、そして、いつものファヴとは違う話し方。

どうやらファヴは、本当に怒っているようだ。

 

 

 

「…すまない」

『まぁ傷が治るまではこの廃屋でのんびりしてて欲しいぽん。これ以上勝手に返り討ちに遭うのは御免だぽん』

「分かったよ…一応だが、ファントムは好きに使ってくれ。魔法少女の足止めくらいは出来るだろ」

『じゃ、遠慮なくだぽん』

「任せるぞ、ファヴ。魔法少女共を動かすのは、お前の選択次第だ」

『いや、もう動いてるぽん』

「どういう意味だ…?」

 

 

 

 尋ねたオーガに、ファヴは口元を歪めて答える。

オーガはこの表情をみて、なんとなく状況が分かっていた。

これは悪い笑みだ。

 

 

 

「上手く行けば、魔法少女が自ら殺し合ってくれるぽん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「毎日大変だな。お前らだってゆっくり寝たい時はあるだろ」

「大変ですけど、魔法少女だってこんな状況ですし、何より脱落は嫌だから…」

 

 

 

 ふと思った事を言ってみる。それに答えた魔法少女、スノーホワイトの表情は真剣だ。

仮面ライダーウィザード、操真晴人は今日も魔法少女達の手助けをしていた。

 

 ここ最近は、以前よりも一層戦いが激しい。

この騒動の発端、ファヴも解決案を提示することなく、毎週脱落者が出るのも変わらない。

そして、魔法少女同士の関係も悪化している。

トップスピードとリップル、シスターナナとウィンタープリズンのコンビには会うことも多く、協力関係にはあるのだが、ルーラを失ったスイムスイム達や、ラ・ピュセルを襲ったクラムベリーは、今や姿を見せなくなった。

警戒している者がほとんどだろう。

 

 辛い状況ではあるが、スノーホワイト、ラ・ピュセル、ハードゴア・アリスの3人は、めげずに今日もキャンディーを集めている。

そんな姿に、ウィザードも共感し、主にこの3人と行動している。

 

 

 

「そうか。俺にも出来ることがあるなら、精一杯手助けするよ」

「ありがとう、晴兄」

「感謝します…ウィザード」

「あぁ。みんなで生き残るのが、何より大事だしな」

 

 

 

 再び決意を固めた4人。

そんな所に、二人の来訪者がやってきた。

 

 

 

「お久し振りです。スノーホワイト、ラ・ピュセル。ハードゴア・アリスは最初に会った時以来ですね。それにウィザードさんも、お疲れ様です」

「どうも。お互い大変だな、みんな」

「シスターナナ、ウィンタープリズン、こんばんは」

 

 

 

 やってきたのは、シスターナナとヴェス・ウィンタープリズンの二人だった。

この二人には、スノーホワイト達も世話になっている為、警戒心もなく話せる数少ない魔法少女仲間である。

 

 

 

「久しぶりだな。キャンディー集めは順調か?」

「まずまずだ。そちらも、見る限りなんとかなってそうだね」

「まぁね。ところで、今日はどうしたんだ?」

 

 

 

 ウィンタープリズンと話していたラ・ピュセルが尋ねた。

 

 

 

「いや、大したことではないんだが…」

「何かあるのか?」

「明日、私達はスイムスイム達の所へ行くんでな…」

「そうだったのか。そういえば、最近見かけてないが大丈夫なのか?」

「私もナナも最近は全く…。だからこそ、ナナは気になるみたいでな」

 

 

 

 そういうウィンタープリズンに、シスターナナが続ける。

 

 

 

「恐らく彼女達もルーラを失った悲しみで、なかなか立ち直れないんだと思うんです。だから、こんな悲しみを繰り返さない為に、私達に協力してもらえないか交渉するんです」

「そうなんだ…。シスターナナは優しいんだね」

「…人助けは良いことだと思います」

 

 

 

 スノーホワイト、そしてハードゴア・アリスの反応に、シスターナナは笑顔を見せた。

 

 

 

「ありがとうございます。皆さんも、活動頑張ってくださいね」

「はい!」

「そちらもお気をつけて…」

 

 

 

 一方、そのやり取りを聞いていたウィザード。

そこにウィンタープリズンがやってきた。

 

 

 

「ウィザード、この事で、少し話したいことがある」

「何かあるのか?」

「その…スイムスイム達に会う時に、護衛をしてもらえないだろうか」

「護衛?」

 

 

 

 意外な言葉に驚くウィザード。

ウィンタープリズンに理由を尋ねる。

 

 

 

「構わないが、何で護衛なんだ?」

「正直、スイムスイム達が協力してくれるとは思わないんだ」

「なっ…」

「あいつらは前にもスノーホワイト達を強襲しているのは知っているはずだ」

「あ、あぁ…」

「あれを計画したのはルーラと聞いているが、もしスイムスイムがそれを踏襲していたら…」

「シスターナナとお前の訪問を許可したのは…罠だってことか?」

「絶対とは言わないが、その可能性も無くはない…だから、もし何かあったら、ナナだけでも助けて欲しい」

 

 

 

 

 ウィンタープリズンの言葉で、ウィザードも思い出した。

確かに、ルーラを助けた時も、スイムスイムはルーラに攻撃していた。

今までのリーダーだったルーラを躊躇なくいきなり襲う姿。

スイムスイム、もしや彼女も危険な存在なのだろうか。

 

 

 

「ナナだけでも…って、お前はどうするんだ」

「…最悪、私が囮になる」

「そんなことさせられるかよ。…分かった、俺が何かあったらお前達をすぐに助ける」

「出来るのか?私とナナ、どちらも救うなんて…」

「危険が迫ってるなら、それを救えないとな。そんなことで命を落としてほしくない」

 

 

 

 手の指に付けている指輪を見せて話すウィザード。

少し驚いているウィンタープリズンだったが、すぐに表情を戻して答えた。

 

 

 

「少々強引だったかもしれないが、明日は頼む」

「気にしなくていいさ。まぁ、何も無いのが一番だけどな」

「私も、それを望んでいるよ…あ、それと」

「何だ?」

「スノーホワイト達にも、内緒にしておいてくれ。この事を知ったら彼女達にも迷惑をかける」

「分かった。勿論シスターナナにもだな」

「あ、あぁ。察しが良くて助かるよ」

 

「ウィンタープリズン!行きましょうか!」

「あぁ!待っててくれ!」

「じゃあ、また明日な」

「すまないな、では宜しく頼む」

 

 

 

 挨拶を済ませ、ウィンタープリズンはシスターナナと共に戻っていった。

残ったウィザードは、ウィンタープリズンが残した言葉を思い出していた。

スイムスイム達は確かにルーラを殺そうとしていたが、もうそんなことはしないはずだ。

だが、何が起こるかなど分からない。

もし本当にシスターナナ達の身に危険が訪れるようならば、助けなければいけない。

そして、スイムスイム達を止めるためにも。

 

 

 

「晴兄!そろそろ私達も行こう!スノーホワイトもアリスも待ってるよ!」

「あぁ。今行くよ」

 

 

 

 例え何が起こっても、絶対に魔法少女達を守ってみせる。

仁藤や永夢達も手助けしてくれるが、ずっと頼るわけにもいかない。

必ずこの騒動を解決させて、みんなの希望を守る。ウィザードはそう誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シスターナナとウィンタープリズンを襲撃する作戦の前夜、魔法少女たまの変身者である犬吠埼珠は、眠れない夜を過ごしていた。

明日はスイムスイムの企てた作戦で、二人を殺さなければならない。

珠自身は、そんな計画賛成したくはなかった。

そのため、何度も止めるように訴えたのだが、その願いは届かず、結局この作戦は決行となってしまった。

本当に人を殺してしまうのは嫌だった。そう考えると余計に頭が痛くなって苦しくなる。

スイムスイムやピーキーエンジェルズはどう思っているのだろうか。

こんなことを平気で考えられるスイムスイムは、良くも悪くもすごい人だと感じていた。

色々頭で考えていたら、急に涙が溢れてきた。

更には、自分自身の無力さ、そしてどうにもできない絶望感に襲われた。

色々な感情に襲われて、気づけば珠は意識が遠くなっていくのを感じた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 珠が再び気付くと、大きな湖や森林に囲まれた場所に立っていた。

まさに楽園というべき場所なのだろう。

ここは一体どこなのだろうか。

そんなことを考えていた珠であったが、謎の声が聞こえるのに気づいた。

 

 

 

 

「おーい、聞こえてるか?」

「…え?」

 

 

 

 

 声のする方向へ向くと、そこには金髪、銀色の姿でマントを羽織った謎の人物が立っていた。

全く出会った事の無い人物ではあるが、ただならぬ気配を感じる。

 

 

 

 

「やっと気付いたか。大丈夫か?」

「あ、あの…すいませんが、どなたでしょうか…?」

「うーん、まぁ神様って感じだな」

「えっ…神様?」

 

 

 

 予想外の返答に驚く。

夢でも見ているんだろう。それならこんな場所に立っている理由も分かる。

 

 

 

「そう、神様。宜しくな」

「神様…というか、ここって夢の世界なんですか?」

「まぁ、そんなもんだな」

「やっぱりそうですか。だったら、色々お話ししたいことが…」

「あぁ、知ってるよ。君も大変だったな、これまでさ」

「は、はい…でも、何で私の夢に来てくださったんですか…?」

「助けてって声が聞こえた…じゃ理由にならないか?」

「いえ!そんなこと無いですよ!嬉しいです」

「そりゃ良かった。でも、あんまりこうしてられる時間も長くは無いから、話したい事だけを手短に話すぜ」

「はい。でも、私…これからどうにか出来る気がしないんです…」

「どうにか、か…。俺もそうやって色々やってた時もあったな」

「神様にも、そんな事が…?」

「まぁな。でも、どうにか出来ないと勝手に思って諦めちゃいけない」

 

 

 

 神様と名乗る男は珠に語りかける。

珠も不思議と心が落ち着き、話に耳を傾ける。

 

 

 

「これからも何があるか分からないし、君にとって辛いこともあると思う」

「はい…」

「でも、君も自分を信じて前に進むんだ。俺もそうやって救えたものもあった」

「それでも私、自信がなくて…」

「そうか。だったら今の自分を少しずつ変えることから始めるんだ。俗に言う変身だよ」

「変身…?」

「そう、俺も昔とは大分変われたんだ」

「そうなんですね…」

「すぐに変わるってのは難しいかもしれないけど、少しずつでも動くのはいいと思う」

「私でも、変われるでしょうか…」

「君の気持ちが強ければ、きっと大丈夫さ」

「気持ち…分かりました。頑張ってみます!」

「その意気なら大丈夫だな。頑張れよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういうと光に包まれて、珠の意識は現実に引き戻された。

外は陽が昇って朝が訪れている。

やはり先程までのは夢であったが、あの神様が言っていた言葉は、1つ1つ覚えている。

今まで悩んでいたことの錘が、少し軽くなった気もした。

ただ諦めるんじゃなくて、もう少し足掻いてみよう。そう感じた。

今日は作戦決行の日、どうなるかは分からない。

それでも珠は、変われるように努力する事を決めた。

あの神様が言っていたように、自分も変わるんだ。

珠はそう心に決めて、前に進む。

1人の人間としても、魔法少女・たまとしても。




はい、最近忙しくて更新が遅いのは申し訳ないです。
次回はいよいよスイムスイムチームの作戦決行です。
ウィザードは、たまは、一体どう動くのか!?

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