仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~ 作:マルス主任
話は変わりますが、超スーパーヒーロー大戦のポスターが公開されたようです。
レーザー復活や、アマゾンズ登場など話題が盛りだくさんですが、気になるのはアギト、龍騎、ディケイド、ドライブ、ゴースト、ゾルダの存在。
彼らもオリキャスなのでしょうか?
「ぐぅ…まさか、あの男が仮面ライダーだったとは…」
ファントム・オーガは、傷ついた体を休ませながら、呼び出したファヴと会話していた。
あちこちに傷が残っており、戦いの激しさが目に見える。
『オーガ。控えめに言って君はバカだろぽん?』
「…は?」
ファヴの予想外の返答に驚くオーガ。
その言葉に納得出来ていない様子のオーガにファヴは続けた。
『グール軍団を圧倒した時点で、あいつは危険だって分かったはずぽん。』
「…だがそれは…」
『こちらとしても簡単に死んでもらうのは困るんだぽん。勝手にマスターを殺して成りすましておいて、それはないぽん』
ファヴの注意に、オーガは言い返せなくなってしまった。
それは本当に図星であったこと、そして、いつものファヴとは違う話し方。
どうやらファヴは、本当に怒っているようだ。
「…すまない」
『まぁ傷が治るまではこの廃屋でのんびりしてて欲しいぽん。これ以上勝手に返り討ちに遭うのは御免だぽん』
「分かったよ…一応だが、ファントムは好きに使ってくれ。魔法少女の足止めくらいは出来るだろ」
『じゃ、遠慮なくだぽん』
「任せるぞ、ファヴ。魔法少女共を動かすのは、お前の選択次第だ」
『いや、もう動いてるぽん』
「どういう意味だ…?」
尋ねたオーガに、ファヴは口元を歪めて答える。
オーガはこの表情をみて、なんとなく状況が分かっていた。
これは悪い笑みだ。
「上手く行けば、魔法少女が自ら殺し合ってくれるぽん…」
「毎日大変だな。お前らだってゆっくり寝たい時はあるだろ」
「大変ですけど、魔法少女だってこんな状況ですし、何より脱落は嫌だから…」
ふと思った事を言ってみる。それに答えた魔法少女、スノーホワイトの表情は真剣だ。
仮面ライダーウィザード、操真晴人は今日も魔法少女達の手助けをしていた。
ここ最近は、以前よりも一層戦いが激しい。
この騒動の発端、ファヴも解決案を提示することなく、毎週脱落者が出るのも変わらない。
そして、魔法少女同士の関係も悪化している。
トップスピードとリップル、シスターナナとウィンタープリズンのコンビには会うことも多く、協力関係にはあるのだが、ルーラを失ったスイムスイム達や、ラ・ピュセルを襲ったクラムベリーは、今や姿を見せなくなった。
警戒している者がほとんどだろう。
辛い状況ではあるが、スノーホワイト、ラ・ピュセル、ハードゴア・アリスの3人は、めげずに今日もキャンディーを集めている。
そんな姿に、ウィザードも共感し、主にこの3人と行動している。
「そうか。俺にも出来ることがあるなら、精一杯手助けするよ」
「ありがとう、晴兄」
「感謝します…ウィザード」
「あぁ。みんなで生き残るのが、何より大事だしな」
再び決意を固めた4人。
そんな所に、二人の来訪者がやってきた。
「お久し振りです。スノーホワイト、ラ・ピュセル。ハードゴア・アリスは最初に会った時以来ですね。それにウィザードさんも、お疲れ様です」
「どうも。お互い大変だな、みんな」
「シスターナナ、ウィンタープリズン、こんばんは」
やってきたのは、シスターナナとヴェス・ウィンタープリズンの二人だった。
この二人には、スノーホワイト達も世話になっている為、警戒心もなく話せる数少ない魔法少女仲間である。
「久しぶりだな。キャンディー集めは順調か?」
「まずまずだ。そちらも、見る限りなんとかなってそうだね」
「まぁね。ところで、今日はどうしたんだ?」
ウィンタープリズンと話していたラ・ピュセルが尋ねた。
「いや、大したことではないんだが…」
「何かあるのか?」
「明日、私達はスイムスイム達の所へ行くんでな…」
「そうだったのか。そういえば、最近見かけてないが大丈夫なのか?」
「私もナナも最近は全く…。だからこそ、ナナは気になるみたいでな」
そういうウィンタープリズンに、シスターナナが続ける。
「恐らく彼女達もルーラを失った悲しみで、なかなか立ち直れないんだと思うんです。だから、こんな悲しみを繰り返さない為に、私達に協力してもらえないか交渉するんです」
「そうなんだ…。シスターナナは優しいんだね」
「…人助けは良いことだと思います」
スノーホワイト、そしてハードゴア・アリスの反応に、シスターナナは笑顔を見せた。
「ありがとうございます。皆さんも、活動頑張ってくださいね」
「はい!」
「そちらもお気をつけて…」
一方、そのやり取りを聞いていたウィザード。
そこにウィンタープリズンがやってきた。
「ウィザード、この事で、少し話したいことがある」
「何かあるのか?」
「その…スイムスイム達に会う時に、護衛をしてもらえないだろうか」
「護衛?」
意外な言葉に驚くウィザード。
ウィンタープリズンに理由を尋ねる。
「構わないが、何で護衛なんだ?」
「正直、スイムスイム達が協力してくれるとは思わないんだ」
「なっ…」
「あいつらは前にもスノーホワイト達を強襲しているのは知っているはずだ」
「あ、あぁ…」
「あれを計画したのはルーラと聞いているが、もしスイムスイムがそれを踏襲していたら…」
「シスターナナとお前の訪問を許可したのは…罠だってことか?」
「絶対とは言わないが、その可能性も無くはない…だから、もし何かあったら、ナナだけでも助けて欲しい」
ウィンタープリズンの言葉で、ウィザードも思い出した。
確かに、ルーラを助けた時も、スイムスイムはルーラに攻撃していた。
今までのリーダーだったルーラを躊躇なくいきなり襲う姿。
スイムスイム、もしや彼女も危険な存在なのだろうか。
「ナナだけでも…って、お前はどうするんだ」
「…最悪、私が囮になる」
「そんなことさせられるかよ。…分かった、俺が何かあったらお前達をすぐに助ける」
「出来るのか?私とナナ、どちらも救うなんて…」
「危険が迫ってるなら、それを救えないとな。そんなことで命を落としてほしくない」
手の指に付けている指輪を見せて話すウィザード。
少し驚いているウィンタープリズンだったが、すぐに表情を戻して答えた。
「少々強引だったかもしれないが、明日は頼む」
「気にしなくていいさ。まぁ、何も無いのが一番だけどな」
「私も、それを望んでいるよ…あ、それと」
「何だ?」
「スノーホワイト達にも、内緒にしておいてくれ。この事を知ったら彼女達にも迷惑をかける」
「分かった。勿論シスターナナにもだな」
「あ、あぁ。察しが良くて助かるよ」
「ウィンタープリズン!行きましょうか!」
「あぁ!待っててくれ!」
「じゃあ、また明日な」
「すまないな、では宜しく頼む」
挨拶を済ませ、ウィンタープリズンはシスターナナと共に戻っていった。
残ったウィザードは、ウィンタープリズンが残した言葉を思い出していた。
スイムスイム達は確かにルーラを殺そうとしていたが、もうそんなことはしないはずだ。
だが、何が起こるかなど分からない。
もし本当にシスターナナ達の身に危険が訪れるようならば、助けなければいけない。
そして、スイムスイム達を止めるためにも。
「晴兄!そろそろ私達も行こう!スノーホワイトもアリスも待ってるよ!」
「あぁ。今行くよ」
例え何が起こっても、絶対に魔法少女達を守ってみせる。
仁藤や永夢達も手助けしてくれるが、ずっと頼るわけにもいかない。
必ずこの騒動を解決させて、みんなの希望を守る。ウィザードはそう誓った。
シスターナナとウィンタープリズンを襲撃する作戦の前夜、魔法少女たまの変身者である犬吠埼珠は、眠れない夜を過ごしていた。
明日はスイムスイムの企てた作戦で、二人を殺さなければならない。
珠自身は、そんな計画賛成したくはなかった。
そのため、何度も止めるように訴えたのだが、その願いは届かず、結局この作戦は決行となってしまった。
本当に人を殺してしまうのは嫌だった。そう考えると余計に頭が痛くなって苦しくなる。
スイムスイムやピーキーエンジェルズはどう思っているのだろうか。
こんなことを平気で考えられるスイムスイムは、良くも悪くもすごい人だと感じていた。
色々頭で考えていたら、急に涙が溢れてきた。
更には、自分自身の無力さ、そしてどうにもできない絶望感に襲われた。
色々な感情に襲われて、気づけば珠は意識が遠くなっていくのを感じた…。
珠が再び気付くと、大きな湖や森林に囲まれた場所に立っていた。
まさに楽園というべき場所なのだろう。
ここは一体どこなのだろうか。
そんなことを考えていた珠であったが、謎の声が聞こえるのに気づいた。
「おーい、聞こえてるか?」
「…え?」
声のする方向へ向くと、そこには金髪、銀色の姿でマントを羽織った謎の人物が立っていた。
全く出会った事の無い人物ではあるが、ただならぬ気配を感じる。
「やっと気付いたか。大丈夫か?」
「あ、あの…すいませんが、どなたでしょうか…?」
「うーん、まぁ神様って感じだな」
「えっ…神様?」
予想外の返答に驚く。
夢でも見ているんだろう。それならこんな場所に立っている理由も分かる。
「そう、神様。宜しくな」
「神様…というか、ここって夢の世界なんですか?」
「まぁ、そんなもんだな」
「やっぱりそうですか。だったら、色々お話ししたいことが…」
「あぁ、知ってるよ。君も大変だったな、これまでさ」
「は、はい…でも、何で私の夢に来てくださったんですか…?」
「助けてって声が聞こえた…じゃ理由にならないか?」
「いえ!そんなこと無いですよ!嬉しいです」
「そりゃ良かった。でも、あんまりこうしてられる時間も長くは無いから、話したい事だけを手短に話すぜ」
「はい。でも、私…これからどうにか出来る気がしないんです…」
「どうにか、か…。俺もそうやって色々やってた時もあったな」
「神様にも、そんな事が…?」
「まぁな。でも、どうにか出来ないと勝手に思って諦めちゃいけない」
神様と名乗る男は珠に語りかける。
珠も不思議と心が落ち着き、話に耳を傾ける。
「これからも何があるか分からないし、君にとって辛いこともあると思う」
「はい…」
「でも、君も自分を信じて前に進むんだ。俺もそうやって救えたものもあった」
「それでも私、自信がなくて…」
「そうか。だったら今の自分を少しずつ変えることから始めるんだ。俗に言う変身だよ」
「変身…?」
「そう、俺も昔とは大分変われたんだ」
「そうなんですね…」
「すぐに変わるってのは難しいかもしれないけど、少しずつでも動くのはいいと思う」
「私でも、変われるでしょうか…」
「君の気持ちが強ければ、きっと大丈夫さ」
「気持ち…分かりました。頑張ってみます!」
「その意気なら大丈夫だな。頑張れよ!」
そういうと光に包まれて、珠の意識は現実に引き戻された。
外は陽が昇って朝が訪れている。
やはり先程までのは夢であったが、あの神様が言っていた言葉は、1つ1つ覚えている。
今まで悩んでいたことの錘が、少し軽くなった気もした。
ただ諦めるんじゃなくて、もう少し足掻いてみよう。そう感じた。
今日は作戦決行の日、どうなるかは分からない。
それでも珠は、変われるように努力する事を決めた。
あの神様が言っていたように、自分も変わるんだ。
珠はそう心に決めて、前に進む。
1人の人間としても、魔法少女・たまとしても。
はい、最近忙しくて更新が遅いのは申し訳ないです。
次回はいよいよスイムスイムチームの作戦決行です。
ウィザードは、たまは、一体どう動くのか!?