仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~ 作:マルス主任
この1週間、インフルエンザに感染してしまいずっと寝込んでおりました。
少し楽になったら書こうと思ってたんですが、全然回復しなくて更新が1週間以上遅れるという事態になってしまい申し訳ございません。
インフルエンザ、怖いですね。
「な、何でそれを持ってるって言われても…キャンディーと交換してもらったんだけど…」
「交換!?キャンディーってどんなキャンディーだ!」
「え、えーっとなぁ…」
「お前がコアドライビアの封印を解除できるはずがない…」
「今は敵を倒すことに集中しろよ!後で話すから!」
トップスピードが手にした武器、ハンドル剣を見た進ノ介は再び驚く。
何故封印されたはずのハンドル剣が…?
しかし、その前にまずはこの怪物共を撃退しなければ。
精神を落ち着かせ、限りある銃弾を一発一発確実に命中させていく。
一方のトップスピードは、ハンドル剣でグール達をなぎ倒していき、ハンドルを回転させて自身の回転攻撃をお見舞いする。
「つばめ!ハンドル剣を貸してくれ!」
「おうよ、ほれっ!」
トップスピードからハンドル剣を受け取り、その力を確認する。
前まで自分が使っていたものと同じだ。
「何でこれがあるかは知らないが…力を貸してくれ!」
進ノ介は思いっきりハンドルを回転させて、自分が今まで使っていたように、素早い動きでグール達を翻弄して倒していく。
その姿は、トップスピードが使う時とはまた違い、回転攻撃を自由自在に操っている。
「すげぇ…使いこなしてる…!」
「これで…どうだ!」
ドリフトカイテーン!
進ノ介の攻撃で一体、また一体と倒れるグール達。
ハンドル剣の攻撃は凄まじく、あっという間にグールを殲滅していき、現れた時には軽く50体はいたグールを完全に倒していた。
「あぶねぇ…なんとかなるもんだな、泊刑事」
「あぁ。なんとかなったな…」
「ていうかあんた強すぎだろ…」
「言うほどでもないさ。それに、お前もなかなかじゃないか、つばめ」
「一応この姿の時につばめはやめてくれ。トップスピード、それが今の俺の名前だぜ」
「あ、あぁ…分かったよ、トップスピード」
「おう。というかあんた、さっきハンドル剣見てめっちゃ驚いてたよな」
「おっと、そうだった。トップスピード、これを手に入れた経緯を教えてくれ」
「…やっぱりそれか。分かったよ、教えてやるよ」
「簡単に言うとレプリカだ。魔法の国ってところで作られたらしいぜ」
「レプリカ…か。だとしても性能が全く同じだなんて、魔法の国ってのはすごいところなんだな」
「俺もよく分からねえよ。ていうかあんたハンドル剣を何で知ってるんだよ」
「…そうか…お前にもそろそろ話しておくか…」
「何を?」
「俺が前にやってた事の話だよ。お前には言ってなかったからな」
「それとハンドル剣が関係あるのか?」
「あぁ。実はな、俺もウィザード達と同じ…」
そう言いかけた進ノ介は、何かを察知してトップスピードを庇って地面に伏せる。
間一髪でエネルギー弾のようなものを避けた。
「ちょ、泊刑事!どうしたんだ!」
「危なかったな…。お前は何者だ!」
「俺の攻撃を避けるとは、なかなかじゃないか…」
「お前は確か…オーガ!」
「オーガ?…まさか、お前がファントムってやつなのか…!」
二人の前に突如現れたのは、ファントム・オーガだった。
「ご名答だ。俺はファントム。その名はオーガだ!」
「一体何の用だよ!ウィザードはここにはいねえぞ!」
「魔法使いに用は無い。今日はお前の魔力を喰いに来たんだよ!」
「何!?俺の魔力だって…」
「そうさ。お前の魔法は役に立つ。ここでお前を倒して魔力を頂く!」
「魔力…?一体どういう意味だ!答えろ…!」
「関係ねえ奴は黙ってろ!」
「あっ!危ねぇ泊刑事!」
オーガは進ノ介に向かって大きなエネルギー弾を放った。
しかし、間一髪でトップスピードが進ノ介を庇ってエネルギー弾を避けた。
普通の人間では到底避けれないであろう速度の攻撃ではあったが、トップスピードの素早い動きで、なんとか無傷で避けられた。
「うっ…危ないところだった…すまん」
「気にすんな…おいオーガ!何で泊刑事を狙った!狙いは俺だろ!」
「お前の精神を痛め付ける為…ではダメかな?」
「てめぇ!だったら俺と1対1で勝負しろ!」
「ほう…自ら一人で戦うというのか…良いだろう、相手になってやる!」
「トップスピード、お前…!」
「もうあんたに迷惑はかけられない。ここから逃げてくれ」
「そういうわけにもいかない、あいつはなかなか強そうな奴だろ」
「強い奴だからこそ、もうあんたじゃ勝ち目無いだろ!」
「だからって、お前だけに無茶させられるか!お前の体はもうお前だけのものじゃない!」
進ノ介のその一言で、トップスピードは一瞬だけ目を大きく開いたが、首を横に振り直ぐに元に戻った。
「この力で戦ってるうちは大丈夫さ、ヤバくなったら逃げてやる…だから心配すんな」
「おい!トップスピード!」
トップスピードは、ラピッドスワローに乗り、手にはハンドル剣を持ってオーガへ突撃した。
しかし、トップスピードは何者かの一撃によって地面に叩き落とされた。
そして、直ぐに進ノ介に襲いかかった。
「トップスピード!くそっ、なんだこいつ!」
「ぐっ…誰だのよ…」
「ハハハハ!誰があの男を逃がすと言った!」
「何だと…?」
「こいつもファントムだ。その名もオルトロス。さぁ、地獄を見せてやれ!」
「…了解。オーガ」
「泊刑事!早く逃げろ!」
「余所見をしている場合か!」
「ぐわぁ!」
「トップスピード!…どうすれば…!」
新しく現れたファントム、オルトロスの襲撃にただただ攻撃を避けることしか出来ない進ノ介と、オーガに押されつつあるトップスピード。
オルトロスは2つある自身の頭部から交互に炎の放ち、進ノ介に反撃の機会を与えることなく攻撃を繰り返す。
「くそったれぇ!」
ドリフトカイテーン!
トップスピードはハンドル剣で反撃を始める。
回転攻撃が何度かオーガに直撃したものの…
「”ガーゴイル”…」
オーガは、ファントム・ガーゴイルの能力、自身を石化させて、攻撃を防いだ。
「くそっ、攻撃が全然効かない!」
「その程度か魔法少女!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!」
オーガは強力なパンチをトップスピードに命中させた。
トップスピードは避けきれず、進ノ介のいる場所まで吹き飛ばされた。
「トップスピード!しっかりしろ!」
「う…やっぱりあいつ、尋常じゃない…」
「フッ、魔法少女もその程度か。良いだろう、お前達2人共ここで葬ってやる!」
「来い、オルトロス!」
「大したことはなかった…殺す」
「不味い…トップスピード、動けるか?」
「悪い…ちょっと攻撃受けすぎた…」
「おい!何言ってる!逃げるぞ!」
「泊刑事…あんただけで逃げてくれ…二人死ぬよりよっぽどいい…」
「馬鹿を言うな!」
「魔法少女のみんなと…昇一に宜しく言っておいてくれ…」
「さぁ、お前達はもう死ぬ。さらばだ!」
「…死ね!」
オルトロスとオーガは共に大きな炎の弾を放とうとしている。
そして、それをただ待つしか出来ないトップスピード。
しかし、進ノ介は自身の着ているスーツのポケットから何かを取り出そうとしていた。
だがそれは、一度しか使えない一発勝負であった…。
《一度しか使えない。ごめんね》
ふとこの道具をくれたりんなの言葉を思い出した。
ここでこれを使えば、これからの時にもう自分は何も出来ない。
敵はこいつらだけじゃない。きっと更なる悪がこの事件には関わっている。
ここで本当に使っていいのか…?
進ノ介の心は迷っていた。
「昇一…ごめん…」
トップスピードの死を覚悟した一言で、進ノ介は目が覚めた。
そうだ、ここで逃げればトップスピードの命は失われる。
例え一人でも、救える命を放っておくなんて出来ない。
そう、大切なのは今だ、今何をするかだ…!
今を救えない人間に、未来を語る資格はない。
その時、進ノ介の何かが吹っ切れた。
そして、ネクタイを締め直して叫んだ。
「もう、考えるのはやめた!」
「何ィ…命乞いか何かか!鬱陶しい!やってやれ!」
「失せろ…!」
「泊…刑事…?」
進ノ介は腰に青と銀を基調にしたベルト、マッハドライバー炎を巻き付けた。
そして、マッハドライバーの蓋部分を開けて、スーツから取り出した鍵の形をしたアイテム、トライドロンキーをドライバーに装填した。
〈シグナルバイク!シフトカー!〉
そして、マッハドライバーの蓋を閉じる。
しかし、そのタイミングと同時にオーガ達の攻撃が放たれた。
だが進ノ介はそんなこと気にせず大声で叫んだ。
「変身!」
その時、進ノ介達にオーガ達の攻撃が直撃した。
辺り一面が炎に包まれる。
オーガ達は勝利を確信したが…。
炎が突っ切って何かがオーガ達に向かって近づいてくる。
その姿は、以前オーガを倒した魔法使いとは似ても似つかない姿だが、あの魔法使いと同じ、平和や、自由への思いを持った存在であるのはオーガにも分かった。
そう、それは‘仮面ライダー’と呼ばれし戦士…。
〈ライダー!〉
〈超!デッドヒート!〉
進ノ介は、赤色と黒色の混ざりあった色をした戦士、仮面ライダー超デッドヒートドライブ
へと変化した。
「俺は、仮面ライダー…ドライブ!」
「その声…あんた泊刑事か…?」
「あぁ。危なかった。あと少し判断が遅れていたら、俺もお前も焼け死んでただろうな」
「なんか…状況掴めねえんだけど…」
「話は後だ。こいつらは俺がどうにかする!
「言ってくれるじゃないか。オルトロス!行け!」
「ライダー…消す…!」
超デッドヒートドライブに襲いかかるオルトロス。
オルトロスは再び火を放ち攻撃する。
「それくらいで、俺のエンジンは止められない!」
「何ィ!」
攻撃をあっさりと跳ね返し、超デッドヒートドライブがマッハドライバーのボタンを叩き、今度はオルトロスに攻撃を仕掛けた。
〈超!デッドヒート!〉
ジャンプした超デッドヒートドライブはオルトロスの頭の一つに強化したパンチを浴びせた。
パンチを受けたオルトロスの頭は粉々に破壊され、オルトロスの頭は一つになってしまった。
「ライダー…許さん!」
「何っ!?」
すると、破壊された頭部の跡から、無数の蛇が現れて超デッドヒートドライブを拘束する。
しかし、超デッドヒートドライブはマッハドライバーのボタンを何回も叩き、新たな力を発動する。
〈バースト!キュウニ!超!デッドヒート!〉
「だぁぁぁぁぁぁぁ!」
「な、何故だ…」
超デッドヒートドライブは、自身を拘束していた蛇達を引きちぎり、拘束から解放された。
そして、マッハドライバーの蓋を開け、ボタンを押してから蓋を閉めた。
超デッドヒートドライブの必殺技が発動する…!
〈ヒッサツ!バースト!フルスロットル!〉
〈超!デッドヒート!〉
「ハァァァァァァッ!」
「おのれ…無念…ウァァァァ!」
必殺技のキックがオルトロスに直撃した。
当然避けきれるはずもなく、オルトロスは断末魔をあげて爆散した。
「はぁ…なんとかやったか…?」
「この俺を忘れてもらっちゃ困るぜ!」
「なっ、ぐわぁ!」
超デッドヒートドライブはオーガの攻撃を受ける。
倒れこむが、立ち上がってオーガに戦いを挑む。
しかし、オーガの攻撃に少しずつ押されていく。
「くそっ、こいつ…やっぱり強い」
「楽しいねぇ!戦いってのはよぉ!」
オーガは大きな一撃を超デッドヒートドライブに浴びせた。
吹き飛ばされて、倒れる超デッドヒートドライブ。
「ぐっ、この装備でだめなら…こっちだ!」
マッハドライバーの蓋を開けると、トライドロンキーを取り出し、今度は赤と白の車の機械、シフトデッドヒートを装填する。
そして、蓋を再び閉じて、ドライブは次の姿へ変身する。
〈シグナルバイク!シフトカー!〉
〈ライダー!デッドヒート!〉
今度は超デッドヒートドライブのようなゴツゴツとした姿ではなく、少しスマートな姿へ変化した。
赤と白を基調としたスーツと装甲を持つ戦士。
その名を、‘仮面ライダーデッドヒートドライブ’。
「この力で、お前を倒す!」
「面白い。かかってこい!」
襲いかかってくるオーガに、デッドヒートドライブが立ち向かう。
先ほどは押されていたデッドヒートドライブだったが、今は形勢逆転し、オーガを少しずつ追い詰める。
「うおっ!?この俺が押されるだと!」
「まだ俺のトップギアは終わっちゃいない!」
マッハドライバーのボタンを叩き、デッドヒートドライブの力を強化する。
〈デッドヒート!〉
赤い稲光に包まれ、デッドヒートドライブは更に強化されたパンチをオーガに叩き込んだ。
一発、二発、そして三発。
それはオーガを吹き飛ばした。
「ぐわぁ!な、何だと…」
「これでどうだ!ハァッ!」
マッハドライバーの蓋を開け、ボタンを押して蓋を閉じる。
今度はデッドヒートドライブの必殺技が発動する。
〈ヒッサツ!バースト!フルスロットル!〉
〈デッドヒート!〉
赤いタイヤの幻影を作り出し、オーガに当てて拘束する。
そこからジャンプしたデッドヒートドライブは、オーガ目掛けてライダーキックを放った。
「終わりだ!ハァァァァァッ!」
「な、なにぃ!?」
必殺技が炸裂し、デッドヒートドライブは地面に着陸する。
しかし、オーガを倒した手応えが無かった。
案の定、その場にはオーガの姿はもう見当たらなかった。
「逃げられたのか…?」
デッドヒートドライブは、変身解除し、進ノ介の姿に戻った。
そして、もうマッハドライバーは腰に巻き付かなかった。
変身する術を完全に失ったが、危機を脱する事ができた。
これも、マッハドライバーを急遽製作したりんなのおかげだ。
「りんなさん、おかげで助かったよ…」
進ノ介はそう呟いた。
「あんた、まさか仮面ライダーだったなんてな」
振り向くと、トップスピードから変身を解除した、室田つばめがこちらに歩いてきていた。
「つばめ、お前さっきの怪我はどうしたんだ?」
「魔法少女の時に負った怪我だから、変身解けばこんなもんよ」
「魔法少女ってやっぱ不思議だな…」
「それよりも、さっきはありがとうな。泊刑事」
つばめは進ノ介に笑顔でそう伝えた。
進ノ介は、一瞬照れながらも、それに答えた。
「あぁ。だがつばめ、その笑顔はお前の旦那に取っておけよ」
「ははっ、なんだそれ。もしかしてあんた俺をそういう目で見てたのか?」
「んなわけないだろ!折角良いこと言ったのに…」
進ノ介は、また一人の命を救えた事に安堵し、同時に、これからまた長い戦いになりそうだ。と思い、再び覚悟を決めていた…。
クラックを開く。
そこから見える景色は、かつての仲間である仮面ライダーウィザードや、前に会った時とは姿が違うが、恐らくは仮面ライダードライブであろうライダーの戦う姿。
そして、色々な姿をした少女達の姿。とてもじゃないが一般人とは思えない。
更に、そこから見えるのは、インベスとは違った怪物の姿。
どうやらまた地球で何か起こっているようだ。
このままウィザード達に任せるのが良いのかもしれない。
だが、何やら嫌な予感がする。
彼らの戦いに割り込むと言ったら悪い言い方だが、少しだけ手助けする。という言い方の方が良いかもしれない。
それに、‘助けて’という無視する事は出来ない。
助けを求める人々を救う。それが、仮面ライダーの役割だ。
「…舞。俺ちょっと行ってくるわ。こっちは任せた」
「分かった。気を付けてね…紘汰」
「あぁ、勿論。絶対帰ってくるよ」
「…変身」
はい、大変久しぶりの29話でした。
え、何?ウィザード全然出てこないじゃねえか!って?
本当にすいません。次回から活躍させるんで許してください本当に。
平成ジェネレーションズ感すごいですが、ウィザードメインなのは忘れてないので活躍させます。
ではでは次回からも宜しくお願い致します。