仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~   作:マルス主任

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エグゼイド、最近衝撃の展開に驚かされております。まだ2クール目の2話目なのに、かなりハードですよね。
一番ショックだったのはバイクゲーマー(目無し)が出てきちゃった事ですね。
これじゃあ元々貴利矢はいらなかったみたいじゃないか!


第28話 覚悟を決める時

いつものように、王結時へ集合したスイムスイム、ピーキーエンジェルズ、たまの4人。

前リーダーであるルーラが脱落してからもう2週間ほど経っただろうか。

二代目リーダーとなったスイムスイムに、3人はもう違和感は無くなっていた。

 

 

 

「今日は、みんなに報告したいことがある…」

「どうしたの、スイムちゃん?」

「もしかして、リーダー辞めるの!?」

「マジで!?嘘でしょリーダー!」

「ちょっと二人共…ち、違うよ…ね?」

「…うん。辞めない」

 

 

 

 茶々を入れるピーキーエンジェルズにも、スイムスイムはこれといった反応は見せない。

ルーラであれば、怒っていただろうか。

 

 

 

「でも、みんなにも協力してほしいこと…」

「今まで私達は、ルーラがいなくなった後、ただキャンディーを集めているだけだった」

「それが、どうかしたの?」

「でも、前にラ・ピュセルが行方不明になった時は、その週の脱落者はいなかった」

「ってことは…?」

 

 

 たまやピーキーエンジェルズの問いに、スイムスイムは表情を変えることなく、淡々と話す。

 

 

 

「…誰かが死ねば、脱落者は出ないってことになる」

「でも、死ねばっていっても…」

 

 

 

「じゃあ、私達が殺せばいい…」

 

 

 

「え?」

 

 

 

 たまは、スイムスイムの言うことを理解出来なかった。

少しの間沈黙が流れ、たまはようやくスイムスイムが人殺しをしようとしているのに気付いた。

 

 

 

「だ、ダメだよそんなこと!第一、今はみんながどこにいるのかすら分からないし」

「シスターナナが、私達に会いたいって連絡してきた…」

「え?何で?」

「詳しくは分からない…。でも、シスターナナの事だから、協力しようとかそんなのだと思う」

「でも、ウィンタープリズンもいるしどーすんの?」

「それにはいい考えがある…。だから、みんなに協力してほしい」

「分かった。一人消えればその週は楽になるし、さっさと殺っちまおう!」

「だよねー。お姉ちゃんマジクール!」

「ちょ、ちょっとみんな!人を殺すことになるんだよ!」

 

 

 

 たまは必死に訴えかける。

人殺しなどやってはいけない。

それも、今まで一緒にやってきた仲間だから尚更である。

 

 

 

「たま。前も言ったことだけど、これは生き残るため」

「そうだよ。死ぬのは嫌でしょ?」

「うんうん。死んだらどうしようもないんだよ」

 

「うぅ…でも…」

 

 

 

 たまの必死の訴えも通じず、スイムスイム達は考えを変えることはなかった。

その場に泣き崩れるたま。

 

 

 

「シスターナナ達は明日ここに来る。その時に一気に決着をつける」

「オッケー!」

「あの二人のイチャイチャ、結構イラっとくるんだよねぇ。明日が楽しみだぁ!」

 

 

 

 たまは、自分の仲間がどんどん遠くへ行ってしまうような気がして、余計に心が痛かった。

もし本当に、この世界に神様という存在がいるのならば、こんな辛い状況から救って欲しい。

そんな願いを持った所で、現実は甘くない。

そんな世界を悲観しながら、たまは泣き続けるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 河川敷に置かれている不法投棄された古い家電や雑貨。

それを一つ一つ大きな袋に入れていく魔法少女がいた。

 

 

 

「うーん…リップル、今日は風邪で来れないって大丈夫かねぇ…」

 

 

 

 それはトップスピードだった。

今日はパートナーのリップルが風邪を引いたらしく来れない為、一人で活動を行っていた。

 

 

 

「しっかし、この袋は本当にすげえなぁ…多少の命を支払っただけあるぜ」

 

 

 

 トップスピードは、アイテム販売が始まった時に四次元袋を購入していたのだ。

効果としては、どんなものでも無数に入り、尚且つ重くない便利ものである。

この袋を使ってトップスピードとリップルは何度もこうした不法投棄物の回収、そして分別して正規に廃棄したり、リサイクルすることを繰り返している。

酷い時はナンバープレートを剥がされた車が置かれていたこともあり、結構大変な仕事ではあるが、その分報酬のキャンディーも多く、仕事効率としては悪くない。

 

 

 

 

「おーおーすげー。こりゃいいわ」

 

 

 

 今回の報酬で得たキャンディーは2500個。

1万個以上を毎週獲得するスノーホワイト達に比べると見劣りするものの、以前のファントム討伐時並の量である。

 

 

 

 

「さてと、お次はどうしようかなっと…」

 

 

 

 不法投棄物を回収し、次の場所へ移動しようとしたトップスピード。

そんな彼女の目の前に、一人の男が現れ、声をかけた。

 

 

 

「すまない、人違いだったら悪いんだが、少しいいか?」

「はぁ…何だ…ってヴェェ!!」

「な、何だ、どうした?」

 

 

 

 トップスピードは奇声をあげる。

その声に、話しかけてきた男は逆に驚いた。

 

 

 

「い、いや…俺らって基本一般の人には分かりづらい存在というか…だから何であんたが俺のこと見えてるのかなって思ってな…」

「そ、そうか…やっぱり君は魔法少女か…」

 

 

 

 勿論のことトップスピードがその程度で驚いているわけもなく、真意は別にあった。

すると、男がネクタイを締め直し、自己紹介を始めた。

 

 

 

「俺は、警視庁の巡査部長の泊進ノ介だ。実は君たちに聞きたいことがあってな」

「お、おう…俺が見えてるってことは、あんたただ者じゃないな…」

 

「(う、嘘だろおい…何でこういうときに限ってあんたに会うんだよ…泊刑事…)」

 

 

 

 トップスピードは目の前の男、泊進ノ介を見て驚いていたのだった。

突然の再開にトップスピードは平静を保っていないようだ。

その様子に、進ノ介も不思議がる。

 

 

 

「な、なぁ…君、本当にどうしたんだ?」

「…流石に、この姿じゃ俺のこと分かんねえよな」

「何を言ってる…?」

「ったく、しょうがねえなぁ…」

 

 

 

 すると、トップスピードは魔法少女状態から変身を解除した。

光に包まれるトップスピードを見て、進ノ介は再び驚く。

 

 

 

「光った!?おい!どうなってるんだ!」

 

 

 

 すると、トップスピードを包んでいた光が消えて、一人の女性の姿となった。

その姿は、進ノ介の脳細胞を一瞬にしてフリーズさせた。

 

 

 

「久しぶりだな、泊刑事。俺だよ、室田つばめだよ」

 

「はは、つばめが魔法少女?ないない…ってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

「泊刑事、それはノリツッコミと解釈していいんだな?」

「そんなわけないだろ!何でお前が!」

「こっちこそ聞きてえよ!何であんたがこっち来てるんだよ!」

「魔法少女の調査で来たんだよ!そしたらお前が魔法少女って…」

「何か文句あるか!」

「というかお前、そのお腹はどうした…」

「これか?妊娠したんだよ。結婚もしたし」

「はぁ!?嘘だろお前!今何歳だ?」

「まだ成人式はやってねえよ。ピチピチの未成年だよ」

「お前その年でか!早いな!というか相手は誰だ!お前の隣の家に住んでたあいつか!」

「そうだよ。昇一って名前覚えてやれよ。今はなかなか幸せだよ」

「やっぱりか!良い雰囲気になってたもんな!でももう少し待てなかったのか!」

「泊刑事、もしかしてあんた嫉妬してんのか?未だに彼女0なのか?」

「残念だったな。俺も結婚したんだ。最高の相手とな」

「嘘だぁ!あんたでも結婚出来るのか!」

「そういうわけだ。…というか妊婦さんが彷徨くなよ。危険だろ」

「そこは魔法少女の能力的なアレでどうにかなるんだよ」

「…そうだ、魔法少女のことを聞きたかったんだ。つばめ、少しいいか」

「別に構わないぜ。ちょっと落ち着こうや」

「あぁ…そうだな」

 

 

 

 

 少し落ち着いた二人は、これまでの事を色々と話し合った。

 

 

 

「そうだったんだな。昔はあれだけ口の悪い不良だったのに、成長したもんだ」

「泊刑事こそ、巡査部長になったんだな。出世したな」

「言うほどだろ。色々あって大変だったんだからな…」

 

「そういえば、早瀬刑事はどうしたんだよ。あの人こそ結婚してんだろ」

「早瀬か…あいつは結婚なんかしてないさ…」

「何かあったのか?」

「実はな…俺のせいで、あいつに大怪我させちまってな…」

「マジかよ…。大丈夫なのか?」

「もうほとんど回復してて、また一緒に捜査とかしてるよ」

「そりゃあ良かった…あんたも大変だったんだな」

「じゃあこっちも質問させてもらうよ」

「おう、基本は何でも答えられるはずだぜ」

 

「ある程度、仲間から話は聞いてるんだが…怪物が出たってのは本当か?」

「何度か見たことはあるぜ。それにウィザードってのにも助けてもらってるな」

「ウィザードか。あいつもやっぱり関わってたんだな」

「泊刑事もウィザードと知り合いだったのか」

「あぁ。前に知り合ったんだ」

「あいつ人脈すげえなぁ…。あっ、そうだ!」

「どうした?」

「人助けを手伝ってくれないか?」

「あぁ、構わないよ。何をするのかしらないけども」

「おう!行こうぜ!」

 

 

「いいや、待て…何か来るぞ!」

「へ?ってうわぁ!」

 

 

 

 なんと、二人の前に、大量の下級ファントム、グールが襲いかかってきた。

 

 

 

「何でこんな奴ら湧いて出てきてるんだよ!多すぎだろ!」

「こいつらがファントムか…!」

「今までは一体だったのに…どうなってんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつら、さすがにビビってやがるな…」

『オーガ、君ってこんなチキン野郎だったかぽん?』

「言ってくれるな…だがこれは小手調べっていうんだよ…」

『言い訳ツラいぽん』

「だが、あの男は何者だ?トップスピードと会話してやがったが…」

『もしかすると、また面倒なやつかもしれないぽん』

「もう魔法使いの仲間は勘弁してほしいがな…」

『まぁいいぽん。ここで死ぬならその程度の奴ってことぽん。こっちはのんびり観賞させてもらうぽん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、トップスピードに再び変身したつばめと進ノ介は、大量のグールと対峙していた。

 

 

 

 

「泊刑事、あんたは逃げろ」

「は?何言ってるんだ!」

「生身のあんたじゃ奴らには勝てない」

 

 

 

"生身じゃ勝てない"

いいや、勝ってみせる。

つばめには言ってなかったが、進ノ介は仮面ライダードライブである。

今は変身出来ないが、ベルトが無くたって戦える。

りんなさんから貰った道具があるが、ここでは使わない。それでも行けると信じる。

人々を救いたい。その思いがあれば。

 

 

 

「いいや、俺も戦うさ。お前みたいな力が無くたって、こんな戦線いくつも潜り抜けてきた」

「でも、あんた…!」

「お前だけに任せられるか!ここで逃げたら警察官の恥だ」

「…あぁもう!分かったよ!でも無理するなよ!」

「あぁ!お前こそな!」

 

 

 

 

 こちらに向かってきたグールに対し、進ノ介は拳銃、トップスピードは、自身の魔法の箒、ラピッドスワローを構える。

 

 

 

「よし!行くぞ!」

「おうよ!」

 

 

 

 進ノ介とトップスピードは、グール軍団に立ち向かっていく。

拳銃で撃ち抜き、格闘技でグールをノックアウトしていく進ノ介。

 

 

 

「泊刑事、あんたすごいんだな…よっしゃ、負けてられるか!」

 

 

 

 ここでトップスピードは、以前獲得した武器を召喚する。

 

 

 

「来い!ハンドル剣!」

 

 

 

 

 

「…………え?」

 

 

 

 

「よっしゃ、行くぜぇ!」

 

 

 

 ハンドル剣を手にしてグールを切り裂いていくトップスピード。

進ノ介は唖然とする。

そして、トップスピードに向けて叫ぶ。

 

 

 

 

 

「何でお前がそれ持ってるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」




トップスピードと進ノ介のやり取りが長く、正直前半のスイムスイム忘れられてそう…すいません。
実はトップスピードにハンドル剣選ばせたのはこの為だったり違ったり。
今回はちょっとギャグテイストになりましたが許してください。
ハイテンションな時にやるんじゃなかった…
進ノ介とトップスピードの出会いの経緯は次回やります。
そして次回は奴が乱入からの、トランクケースのアレが明らかに!
ジェネシスとサプライズフューチャーで使ったアレですよ。

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