仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~   作:マルス主任

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今回は一旦箸休め回です。戦闘はありません。
ラ・ピュセルの災難、巡査部長と研修医の捜査記録等、番外編に近いです。

そういえば、何やらTwitterで春の映画の撮影バレが相次いでますね。
アマゾンオメガにアルファ、斬月・真と電王ガンフォームと、何やらオールスター映画感半端ないですね。楽しみです。


第27話 それぞれの場所で

 マジカロイド44を救うための戦いから一夜明け、今日から再びキャンディー集めが始まるのだ。

今夜も集まったスノーホワイト、ラ・ピュセル、ハードゴア・アリス。

集合場所は、いつの間にやらラ・ピュセルこと岸辺颯太の自宅前になっていた。

 

 

 

「そうちゃん、アリス、今日も宜しくね」

「あぁ、すっかり僕の家が定着しちゃったな…」

「…では行きましょうか。スノーホワイト、ラ・ピュセル…いや、小雪さんとそうちゃんさん」

「何で僕だけそれで呼ばれるのかな?」

「親密度が深まるかと思いまして…」

「散々弄っておいて親密度もクソも無いよ」

「そうちゃんダメでしょ、そんな汚い言葉遣い。アリス…亜子ちゃんが泣いちゃうよ」

「ねぇ、小雪は僕のお母さんにでもなったつもりなの?」

「ふっふっふっ…そうちゃんと亜子ちゃんは、このスノーホワイトママに甘えていいんだよぉ~」

「分かった、分かったから僕モフモフするのはやめて、色々危ないから…」

「(実は結構嬉しいなんて言えない、小雪可愛いよ小雪)」

「…私も、モフモフしてください…」

「ん~?そうちゃんが何か言った気がするけどまぁいっか、亜子ちゃんモフモフ~」

「…暖かい…です…」

「(完全にスノーホワイトの能力を忘れてた、ナイスアリス!)」

「しかし、アリスも正体明かしてからは大分積極的になったよなぁ…」

「そうだね。…でも、まさかあんな事になるとはね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは数日前の事だった。

いつものようにキャンディー集めを終わらせて、解散になったのだが、いつもラ・ピュセルとスノーホワイトが一緒に帰るのがふと気になったアリスは、少し後を追ってみることにしたのだ。

ただのパートナーにしては、仲が良すぎる。

もしや、そういう関係なのか…。

ちょっとした好奇心であった。

 

 ずっと追っていくと、一つの家の前に辿り着いた。

すると、スノーホワイト達もそこで止まった。

ここがスノーホワイトの家なのだろうか。

 

 

 

「今日もお疲れ様。じゃあ私は家に帰るよ」

「…う、うん…」

「どうしたんだ、スノーホワイト。体調でも悪いのか?」

「そうじゃないの…その、えっと…」

 

 

 

 何やらスノーホワイトが顔を紅潮させてもじもじしている。

そして、その仕草を見てか、ラ・ピュセルも少しばかり顔が赤い。

 

 

 やっぱそういう関係か。

 

 

 アリスは自身の思っている以上に二人の関係性が深いのではないかと感じていた。

以前、アリスになる前にスノーホワイトに助けてもらったことがある。

家の鍵を一生懸命探してくれた。

そんな姿に憧れて魔法少女になった。

憧れの存在と一緒に活動したい。しかし、そんな程度では割り込めない関係かもしれない。

 

 

 

「本当に大丈夫か…顔が赤いぞ…?」

「その…そうちゃん…。今日は、お母さんもお父さんもお仕事で居ないんだ…」

「だ、だからさ、その…無理かもしれないけど、そうちゃんの家に行っていいかな…」

 

「一人は、さみしいから…」

 

「えっ…き、奇遇だね。実は、こっちも両親が旅行に行ってて居ないんだよね…」

「だから…良いよ。来なよ、僕の家。こっちも寂しいし」

「そうなの…!?そうちゃん、ありがとう!」

「う…うん。じゃあ準備したら行こうか。僕も手伝うからさ」

「分かった!行こっ、そうちゃん!」

「ちょ、早いよ小雪!」

 

 

 

 二人は、そのまま家に入っていった。

話も少し聞いてしまった。

どうやら家にお泊まりするらしい。

それと、ラ・ピュセルが「そうちゃん」と呼ばれていたこと、スノーホワイトが「小雪」と呼ばれていたことも気になった。

家で女子会でもするのだろうか。やっぱりスノーホワイトは自分とは違う。

俗に言うリア充なのだろう。

自分とは程遠いなと感じていたアリス。

すると、家から二人の男女が出てきた。

 

 あれが二人の変身を解いた姿なのか。

いやおかしい。何故男がいる。

しかし、男女の見た目はスノーホワイト達と変わらない。

もしや、あの二人のどちらかが男だったのだろうか。

ならば「僕」と名乗っていたラ・ピュセルか。

それなら「小雪」と呼ばれていたスノーホワイトより説得力が有るし、「そうちゃん」という名前からも、「ソウタ」「ソウゴ」「ソウマ」等、男の名前でも通用する。

 

 まさか、女子会どころかカップルだった。

そう思った時、少し体勢を崩してしまい、隠れていた電柱にぶつかって倒れてしまった。

 

 

「えっ、アリス!?大丈夫?」

「なななな、君が何でここに?」

 

 

 気付かれてしまった。やってしまった。

 

 

「そ、その…お二人がいつも一緒に帰るものだから…少し気になりまして…」

「一応聞いておくけど、今までの話、全部聞いちゃった?」

「はい。まさかお二人がお付き合いしてらっしゃるとは…そしてラ・ピュセルが男だとは…」

 

 

 そう言うと、急に二人の顔は真っ赤になって、同時にこう叫んだ。

 

 

「「つ、付き合ってなんかないから!!!」」

 

 

 夜の住宅街に、二人の叫び声が重なって響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、あの時はいろいろ酷かった」

「でも、亜子ちゃんがあの後正体を自らバラすなんて思わなかったよ」

「私だけが、秘密を知るのも不公平ですから…共有しようと思いまして…」

「まぁ、これでアリスが完全に敵じゃないって確証が出来たし」 

「そうだね、でもまさか、あの時の鍵を探してた女の子がアリスだなんて思わなかったよ」

「あの節はお世話になりました…。本当にありがとうございました」

「所で…私は帰った後のことを知らないのですが…やっぱりお二人に進展があったんですか?」

「し、進展?」

「何の事かな?」

「いや、男女が同じ屋根の下で眠るとなると、何かと進展があるというのをテレビで見たことあったので、お二人もそうなのかと思いまして…」

 

 

 

 アリスの言葉で、二人はまたしても目を逸らし、顔を紅潮させた。

 

 

 

「べ、別に何も無かったよ…ね、そうちゃん」

「う、うん、そうだね。僕たちは健全だからね…」

「そうだったんですか…てっきり保健体育で習った事ぐらいはする仲かと…」

 

「アリス、それ以上はいけない」

「ほ、ほら二人共、早くキャンディー集め行こう!」

「ちょ、待ってスノーホワイト!焦ってるの丸わかりだから!」

「…やっぱり何かあったんですね…」

「もうやめてくれぇ!アリスゥゥゥゥゥゥ!」

 

 

 

 なんだかんだ言いながらも、三人はキャンディー集めに向かっていった。

 

 

 

「…なんだか僕たち、変わってないな…」

 

 

 

 

 

 

 なお、小雪の家にも颯太の家にも家族がいなかったのは、姫河家と岸辺家の両親が二人を想って企てた計画であったことを、まだ二人は知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方で、前に共に戦った仲間、泊進ノ介の元へ足を運んでいた永夢。

自分が体験したことなどを伝える為に、再び集まったのだ。

 

 

 

「こちらの情報は以上です、泊さん」

「そうか、確かにこっちで調べたことに合致するな…」

「魔法少女のことについては、泊さんはどこまで調べてたんですか?」

「存在、そして活動場所くらいかな。他の刑事達に名深市を捜査してもらったんだが、みんな何故か決定的な証拠を手に入れられなかったみたいでな」

「この写真を見てくれ、永夢」

 

 

 

 進ノ介は資料の入ったファイルの中から、一枚の写真を取り出した。

その写真には、白い姿の魔法少女、竜騎士の魔法少女の姿が残されていた。

 

 

 

「あっ、この娘達は…!」

「やっぱりそうか、お前の会った魔法少女はこの二人だろ」

「えぇ、会ったときはもう一人いたけど、この二人です」

「試しに聞いておく、この二人の姿ははっきりと見えるな?」

「はい。でも何でそんなことを?」

「実はな、他の刑事達は、この二人がぼやけているようにしか見えないらしいんだ」

「えっ」

「俺にははっきり見えるんだが、何でか伝わらなくてな」

「そうなんですか…そういえば、飛彩さんもそんなような事を聞かれたって…」

「飛彩?お前の仲間か?」

「あ、はい。その飛彩さんと戦ったガンマンみたいな魔法少女にも、何故姿が見えるって聞かれたそうなんです。ちなみに、飛彩さんもしっかり姿が見えたそうです」

「そうか。じゃあ個人差なのか…?」

「永夢。その飛彩ってのはただの医者か?」

「まぁ…医者ですね。あっ、飛彩さんも仮面ライダーですよ」

「仮面ライダーか…そうか、そういうことか!」

「何か分かりましたか?」

「あぁ…恐らく、魔法少女を見れるのは、一度でも仮面ライダーに変身したことがある人だけかもしれない」

「確かに、この件に関わっている人は、仮面ライダーだけでした」

「だからみんなが行っても証拠を掴めなかったのか…?」

「泊さんも、前は仮面ライダードライブとして戦っていたから、はっきりと見えるんでしょうか…」

「そうだろうな…」

「つまり、この事件の真相を探れるのは、仮面ライダーだけってことか」

「僕も晴人さん達に…」

「魔法少女がどんなものなのか、そして名深市の怪物騒ぎも探りだしてやる!」

「でも、魔法少女達の中には危険な人もいました。今の変身出来ない泊さんは危険ですよ…」

「心配するな、変身出来るとか出来ないとかじゃない。例え変身出来なくても、俺は仮面ライダードライブだ。この事は、絶対に変わらない」

「(変身出来るとか出来ないとかじゃない…タケル君と同じだ…)」

「…分かりました。何か少しでも助けになるように、頑張りましょう!」

「あぁ。何かあったら、また連絡をくれ。直ぐに駆けつけるよ」

「はい。泊さんも、くれぐれも気を付けて下さい」

「勿論、こんなことでは死なないよ。大切な家族も待ってるしな」

 

 

 

 今日はそのまま解散した永夢と進ノ介。

と、ここで進ノ介はある相手に一通の電話を入れた。

 

 

 

 

「もしもし…あぁ、俺だよ」

 

「悪いんだが、また大きい仕事が出来てな…。しばらく夜は遅くなりそうだ」

 

「…え、またかって?まぁそう怒るなよ」

 

「俺の心配はいいさ、お前はもう少しなんだから、自分を心配しろ…」

 

「夜中には帰るからさ。また色々一段落ついたら、美味い飯でも食べにいこう」

 

「…は?俺が帰るまで起きてるなよ!?今のお前は健康第一だからな!」

 

「あぁ。分かった分かった。別に当分会えないってわけじゃないんだし…」

 

 

 

「じゃあ、おやすみ…霧子」

 

 

 

 

 そういって進ノ介はゆっくりと通話を終えた。

もう少し調べものをしようと戻ろうとする進ノ介。

そんな彼の元に、一人の女性が現れた。

 

 

 

「えっ!何でこんな所に!?」

「進ノ介君がまた大きい仕事やるってゲンパチから聞いて飛んできたのよ」

「…もしかして何か知ってるんですか?」

「内容については詳しく知らないけど…これを届けに来たのよ」

 

 

 

 そう言うと、女性は手に持っていた大きいトランクケースを差し出し、進ノ介に渡した。

その中身を見ると、進ノ介は驚きの声をあげたのだった。

 

 

「なっ、これは…」

「きっと役に立つから。でも、急ピッチで作ったから、一度しか使えない。ごめんね」

「いいや、一度で十分だ。ありがとう、りんなさん」

「いいのいいの。私達、いつまでも仲間だからね、じゃあね!」

 

 

 そう言い残し、白衣を着た女性、沢神りんなは帰っていった。

彼女の渡してくれたトランクケースを眺めながら、進ノ介は心の中で呟いた。

 

 

 

「(霧子、少し危険な仕事をするなんてお前に言ったら怒るかもな…。)」

「(すまない。でも俺はやるよ…)」

 

 

 

 

「(俺は、仮面ライダードライブだから…!)」




以上、今回はストーリーは進展無しでした。
次回からは、進ノ介がちょっとずつ絡んでいきます。
※まだベルトさんことドライブドライバーは復活しません。ごめんなさい。

そして、この話だけのオリジナル設定、魔法少女は仮面ライダー変身者(一度でも)にははっきり見えるという設定を追加しました。
今作のアリスは、鍵を探していた時にスノーホワイトに会ったけど、なんとなくの雰囲気しか覚えていなかったっていう設定です。
多少原作と違いますが気にしないで下さい。

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