仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~   作:マルス主任

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今回はウィザードサイドのお話です。
マジカロイド、一体どうなる!?
そしてタイトル通り、ウィザードのあのフォームが初登場。

※何度でも言いますが、今作は魔法少女育成計画本編とは、設定を改変してあります。ご了承下さい。



第26話 全龍融合

 仮面ライダーウィザード、操真晴人と仮面ライダービースト、仁藤攻介は、魔法少女マジカロイド44・安藤真琴を救うべく、彼女のアンダーワールドへ入っていた。

河川敷に降り立ったウィザードとビースト。

ここが真琴のアンダーワールドであろう。

そして、救出までのタイムリミットは日付の変わる12時まで。

一秒でも過ぎれば、彼女の命は失われるだろう。

恐らく真琴も、今までの二人の魔法少女と同じ状態になっているだろう。

 

 脱落となった魔法少女は、体内の魔力を完全に吸いとられてしまうのだ。

しかも、魔力だけでなく、命すらも…。

だが、こうやってアンダーワールドに入り、魔法少女の魔力の塊である怪物を倒してきた。

ウィザードはふと思った。

この魔法少女達を救う戦いは、ファントムを撃破し、ゲートを救ってきたこれまでの戦いと似ているのではないのか。

アンダーワールドで戦う怪物も、ファントムに酷似している。

 

 ただ魔力を吸収しているだけではないはずだ。

自分も、魔法少女達も知らない別の目的が、ファヴにはあるのではないか。

早くファヴの目的を突き止めなければ。でなければ魔法少女達は次々に消えていく。

 

 

 

「おい、晴人!来たぞ!行くぞ」

「あ、あぁ。とっとと片づけよう。真琴を死なせるわけにもいかない」

 

 

 

 今は考え事をしている場合ではない。

先のことを考えるより、先ずは今の命を救わなければ。

ウィザードとビーストは、アンダーワールドの空に現れた巨大な二匹の龍との戦いに備える。

 

 恐らくはあの龍が真琴の魔力の結晶、ウィザードのドラゴンと同じ存在だろう。

脱落した魔法少女は、体内の魔力を全て吸いとられる。魔法少女になると、体の構造そのものが今までと書き換えられてしまうとファヴが言っていた。

魔法少女となった人間は、魔力を吸いとられると生命の危機に陥るらしい。

ならば、魔力を体から消し、吸いとられないようにするしかない。

以前のゲートだった人間と同じやり方で。

実際にそれは成功した。ねむりんとルーラは、それによって命を救われたのだ。

だったら今回も同じやり方で救ってみせる。

それがウィザードの、希望の魔法使いの役割だ。

 

 

 

「二匹居やがるぜ…気を付けろよ、晴人」

「片方は、お前に任せてもいいか…?」

「当たり前だろ。お前ばっかに食わせるかってんだ」

「だったら良いさ。気を付けろよ!」

「お前も無茶すんなよ!最悪二匹共食ってやるからよ!」

 

 

 

 

 ウィザードとビーストは、それぞれの龍に向かって行く。

出来るだけ早く決着をつけなければいけない。

 

 

 

 

 フレイム…ドラゴン!

 

 

 

 

 ウィザードはフレイムドラゴンに変化し、龍に立ち向かっていく。

龍は口から炎をウィザードに向けて放つ。

ウィザードは炎を避け、龍に飛び移った。

ウィザーソードガンで龍の背部を切り裂いていく。

攻撃を受けている龍はたまらず咆哮し、体を大きく動かしてウィザードを振り落とそうとしている。

ウィザードは必死に耐えていたが、龍の動きに耐えきれず、振り落とされてしまった。

 

 

 

 

「とんでもない暴れん坊だな…でも、まだやられるわけにはいかないぜ」

 

 

 

 

 ウィザードは、指輪を付け替えてウィザードライバーにかざした。

 

 

 

 ハリケーン!ドラゴン…!

 

 

 チョーイイネ!スペシャル!サイコー!

 

 

 

 ハリケーンドラゴンスタイルに変化したウィザードは、スペシャルの魔法で翼を使って龍に向かって飛んでいく。

 

 

 

「無駄にすばしっこい奴だ…これでもくらえ!」

 

 

 

 バインド、プリーズ!

 

 

 

 バインドの魔法で龍を拘束するウィザード。

動けなくなった龍に、すかさずウィザードは追撃を与える。

 

 

 

 チョーイイネ!サンダー!サイコー!

 

 

 

 龍の真上に巨大な魔方陣を生成させ、魔方陣から強力な電撃を浴びせる。

攻撃を直に受けた龍は地面に倒れこんだ。

だが、まだまだ龍に決定的な一撃は与えられておらず、今にもまた動き出しそうである。

 

 

 

「なかなかタフだな、じゃあもう少し魔法をお見舞いしてやるよ」

 

 

 

 ウォーター!ドラゴン…!

 

 

 チョーイイネ!ブリザード!サイコー!

 

 

 今度はウォータードラゴンスタイルへ変化したウィザード。ブリザードの魔法で龍を凍らせて、再び動きを封じる。

そして、ウィザーソードガンで必殺を放った。

 

 

 

 スラッシュストライク!ザバザババシャーン!

 

 

 

「受けてみろ!はぁぁぁぁ!」

 

 

 

 放たれた一撃が、龍に直撃した。

だが、まだ龍は倒しきれていない。

今度は起き上がった龍が放った炎の弾を受けてしまい、ウィザードは吹き飛ばされる。

 

 

 

「ぐわっ!こいつ、なんて力だ…」

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!」

「仁藤!大丈夫か?」

 

 

 

 もう一体の龍と戦っていたビーストも、こちらに吹き飛ばされてきた。

もう一体も、かなりの強敵のようだ。

 

 

 

「こいつら、攻撃が効いてんのか分かんねえな」

「そうだな…時間が無い時に限って…」

「こうなりゃごり押しで行こうぜ!」

「ごり押しか?」

「ほら、お前分身出来るだろ?あれだよ」

「あぁ…あれね。分かった」

 

 

 

 フレイム!ドラゴン…!

 

 コネクト、プリーズ!

 

 

 

 ウィザードはフレイムドラゴンスタイルに変化した後、魔方陣に左手を突っ込み、腕にドラゴタイマーを装着した。

ドラゴタイマーのダイヤルを回し、ダイヤルの針が青、緑、黄色を指した時にハンドルを押す。

 

 

 

 ウォータードラゴン!

 

 ハリケーンドラゴン!

 

 ランドドラゴン!

 

 

 

 すると、ウォータードラゴン、ハリケーンドラゴン、ランドドラゴンの3人のウィザードが現れた。

ウィザードが4人に分身したのである。

 

 

 

「さて、ここから本気だすか!」

「よっしゃ、二体まとめてやっちまおうぜ!」

 

 

 

 4人のウィザード、そしてビーストが並び、再び龍を倒すべく立ち向かう。

 

 

 

「「「「さぁ、ショータイムだ!」」」」

「さぁて、ランチタイムだ!」

 

 

 

 二体の龍の吐く炎の弾をそれぞれの武器で弾き、ウィザード達は龍目掛けて攻撃を始める。

まずは、ランドドラゴンが龍の動きを止める。

 

 

 

 チョーイイネ!グラビティ!サイコー!

 

 

 

「手始めにこれだ!」

 

 

 

 グラビティの魔法で、二体に重力を掛けて飛べないようにしたランドドラゴン。

続いてウォータードラゴンが魔法を放った。

 

 

 

 チョーイイネ!ブリザード!サイコー!

 

 

 

 ウォータードラゴンが、前と同じように、ブリザードの魔法で二体の龍を完全に凍らせる。

これで龍は、飛べないどころか完全に動けない。

ウィザード達はウィザーソードガン、ビーストはダイスサーベルで総攻撃を仕掛けた。

 

 

 

「足止めは終わったぞ!後は一気に片付けるぞ!」

「「「ああ!行くぞ仁藤!」」」

「任せろ晴人!って、俺以外はみんな晴人だったな。ややこしいわ!」

 

 

 

 バッファ!ゴー!

 

 

 

 バッファマントに変化したビーストと、4人のウィザードは一気に必殺を放つ。

 

 

 

 スラッシュストライク!ボー!ボー!ボー!

 

 スラッシュストライク!ザバザババシャーン!

 

 スラッシュストライク!ビュウ!ビュウ!ビュウ!

 

 スラッシュストライク!ダン!デン!ドン!

 

 シックス!バッファ!セイバーストライク!

 

 

 

 

「「「「くらえ!ハアッ!」」」」

「どりゃああああ!」

 

 

 

 

 ウィザード達のスラッシュストライク、ビーストのセイバーストライクが二体の龍に炸裂した。

動けない状態の龍に直撃し、かなりの大ダメージを与えた。

 

 

 

「…やったか?」

「いいや…あいつらまだ完全に死んでない…!」

「おいおいマジかよ…どうすんだよ晴人」

「くそ…こうなったらもう一つの手だ」

「もう一つの手…?あっ!今度は合体か!」

「その通り。フィナーレはまだ先だ!」

 

 

 

 今度は、フレイムドラゴンが、ウィザードライバーの変身モードで、ドラゴタイマーをかざした。

 

 

 

 オールドラゴン…!プリーズ!

 

 

 

 すると、4人のウィザードが大きな魔方陣に集まり、一つに融合した。

フレイムドラゴンをベースとした体に、ウォータードラゴンの尻尾、オールドラゴテイル、ハリケーンドラゴンの翼、オールドラゴウィング、ランドドラゴンの大きな手、オールドラゴヘルクロー、胸部にはウィザードラゴンの頭、オールドラゴスカルが装着された。

合体した、というよりもドラゴンを纏ったかのような姿。

それこそが、ウィザードの最強形態の一つ、オールドラゴンである。

 

 行動出来るようになった二体の龍は、ビーストとウィザード目掛けて襲いかかる。

しかし、オールドラゴンが二体を尻尾で弾き飛ばす。

動けてはいるものの、かなりの攻撃で龍は限界を迎えている。

やるしかない。今がチャンスだ。

 

 オールドラゴンはオールドラゴヘルクローで龍を切り裂き、蹴り飛ばす。

ビーストも協力し、一撃一撃が龍に刻まれていく。

ついに瀕死となった二体の龍。

ここでウィザード達は一気に必殺を放つ。

 

 

 

「仁藤!決めるぞ!」

「おう!同時必殺だ!」

 

 

 

 ウィザードは、龍を上空へ蹴飛ばした。更に、自分も空を飛んで追いかける。

ウィザードの足下から、4つのスタイルの色の魔方陣が現れ、ウィザードラゴンの幻影が飛び出す。

 

 

 

 キックストライク!

 

 

 

 ビーストも、変身指輪を再度ドライバーのスロットへ装着。

必殺技を発動した。

ウィザードは、龍よりも高い上空から地上に向かって必殺のキック、ストライクエンドを、

ビーストは地上から上空へ向かって必殺のキック、ストライクビーストを放った。

 

 

 

「フィナーレだ!だぁぁぁぁぁ!」

「メインディッシュだ!どりゃあああ!」

 

 

 

 二人のキックが、二体の龍を貫くように炸裂した。

強力な一撃で、さすがの龍も断末魔をあげて爆散し、撃破することができた。

 

 

 

「ふぃー…」

 

 

 

 倒した龍の魔力が、ビーストドライバーに吸い込まれる。

 

 

 

「ごっつぁん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真琴のアンダーワールドから脱出し、病室へと戻ったウィザードとビースト。

そこには、スノーホワイト、ラ・ピュセル、ハードゴア・アリス、そして永夢がいた。

 

 

 

 

「終わったんですね、晴人さん」

「あぁ、真琴も直に目を覚ますと思う」

「いやぁ~疲れた疲れた。ま、助かって万々歳だな」

「でも、晴兄聞いて、キャンディーを奪ったのはメアリだったよ…」

「…それに、また逃げられました」

「そっか…あいつが…」

「お、おい晴人、真琴ちゃん?が起きるぞ」

 

 

 そう、真琴が目を覚ましたのだ。

そして、突然の状況に驚いているようだ。

 

 

 

「あ…あれ?私…そういえば撃たれたんでしたっけ?」

「あぁ…しかもお前はもうキャンディーを奪われて脱落した。もう魔法少女じゃない」

「えっ…あらら…まぁ、元々運悪く選ばれただけだから、別にいいんですけどね」

 

 

 

 意外な返答に驚いたが、変身解除した晴人は気を取り直して話す。

 

 

 

「とにかく、お前が助かって良かった。死ななくて良かった」

「こちらもお礼が必要ですね。ウィザード。助けてくれてありがとうです」

「気にすんな。というか、お前って若かったんだな。もっと人生の先輩かと思った」

「それは私がおばさんみたいということでしょうかねぇ…」

「い、いやいや、違うよ。若いのに世界を広く見てるなぁと思ってさ」

「そんなもんでしょう。人生は色々経験が大事ですしね」

「それと、スノーホワイト達とお医者さんも、お見舞いすいませんね」

「いいよ、生き残れて良かったね、マジカロイド!」

「あぁ、私からもおめでとうと言っておくよ。色々世話になったからな」

「…無駄な死者が出なくて良かったです…」

「助かって良かったね。僕からもお祝いするよ」

「アハハどうもです。…じゃあ、明日からは私はまた普通の生活に…」

 

「それはダメだ」

 

 

 

 突然の乱入に驚く一同。

正体は病室に戻ってきた飛彩だった。

 

 

 

「飛彩さん。戻ってきたんですか?」

「まだお前達がいるようだから見に来たら、丁度良かった」

「というかお医者さん…まだダメって…」

「安藤さん、あなたはまだ足の傷が完治していない。一週間ぐらいは入院生活だな」

「あら~…そうですか」

「そういうことだ。…研修医、そしてウィザード、ビースト。この患者は後は俺に任せてくれ。ここからは医者の仕事だ」

「分かった。頼む」

「それじゃあ、私達は帰ろうか」

「そうだね。私がお見送りするよ。私は君の騎士だ。何かあったら守る為にな」

「そうちゃん…///ありがとう!」

「あぁ。君の事は守り抜くよ」

「アリスも一緒に帰ろっ!じゃあ晴人さん達、おやすみなさい!」

「おう、おやすみ」

「…ラ・ピュセル…いいライバルになりそうです…」

「だから何のライバル!?」

 

 

 

 スノーホワイト達3人は、なんだかんだで家に帰っていった。

真琴は飛彩に任せ、永夢と晴人は院内の廊下で話をしていた。

 

 

 

「晴人さん。僕、明日にでも泊さんにこの事を話そうと思うんです」

「泊…ドライブか。でもあいつも忙しいだろ」

「もしかすると、何か知ってるかもしれませんし…」

「まぁ、そうだな。じゃあ、そっちは任せるよ」

「はい。晴人さんは…?」

「俺もこの一件の事を調べていくよ。後、最悪の場合はあいつを呼んでくる」

「あいつって…あぁ、あの人ですか。そんな簡単に来てくれるんですか?」

「故郷がヤバいことになりそうなんだ。流石に無視ってことはないだろ」

「そうですか、分かりました。こっちでも、出来るだけ協力できる人を探します。泊さんと、もう一人は目星ついてます。まぁ休日しか呼べないと思いますけど、この一件はどうも気になりますから…」

「休日しか?学生か何かか?」

「ええ、高校生ですから、しかも他の人より勉強が遅れてますから」

「…あいつのことか、学生だったんだな」

「はい。何かあれば連絡しますね」

「分かった。じゃあ、お互い頑張ろうな」

「はい!」




というわけでマジカロイド救出完了です。
今作初登場のオールドラゴンも強くしてみました。
今回のラストから、前回のラストの泊と接触に繋がります。
ラ・ピュセルのいろいろ世話になった発言の意図は、魔法少女育成計画episodesや、16人の日常をお読み下さい(ダイマ)
あんまり素の真琴は知らないので、敬語調にしてみました。異論は受け付けます。

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