仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~ 作:マルス主任
マジカロイド編です。衝撃のラスト。
遅くなりましたが、仮面ライダーディケイド・門矢士役の井上正大さんがご結婚なされたそうです。
おのれディケイドオオオオオオオオオオ!おめでとう!
スノーホワイトを助けた魔法少女は、ハードゴア・アリスだった。
スノーホワイト達は、彼女と面識は無く、助けられるようなこともしていないはずだ。
しかし、彼女がいなければどうなっていたことか。
「ハードゴア・アリスね、さっきはありがとう。でも、何で私を助けてくれたの?」
どうしても気になったスノーホワイトは、理由を尋ねた。
やはり、助けられたとはいえ理由は知っておきたい。
だが、アリスからは拍子抜けするような返答が返ってきた。
「気が向いたから…」
「えっ、気が向いた…?」
「はい…でも、強いて言うなら、スノーホワイトを守りたかったから…」
「私を…?」
「アリス、嘘をついてないか?他にも理由があるんじゃないのか?」
ラ・ピュセルはアリスに詰め寄る。
ルーラチームやクラムベリーの一件から、魔法少女の中にも悪意のある行動に出るものもいることを知ったラ・ピュセルは、余計に勘繰ってしまう。
「そうちゃ…ラ・ピュセル!そんなこと言っちゃダメだよ!」
「だって、もし君の身に危険が迫ったらいけないから…」
「ラ・ピュセル…!」
スノーホワイトは頬を赤らめた。ラ・ピュセルの言葉が意外にも嬉しかったのだろう。
そんな二人を見つめるアリス。そしてアリスを見つめるマジカロイドとウィザード。
ウィザードとマジカロイドにはアリスの目線から、なんとなくアリスが嫉妬しているように感じた。
「ラ・ピュセル、騙し討ちの可能性は低い。じゃなけりゃわざわざメアリを撤退させたり、スノーホワイトを守ったりしないだろ」
「その通りデス。そんなことよりも気になる事がありマス、ハードゴア・アリス」
「…何でしょう?…」
マジカロイドはアリスに尋ねたいことがあった。
それは勿論先程の戦闘のことだ。
「何故直撃を受けたのに、びくともしないどころか、傷が再生してるのデスか?」
「そ、そうだよ、大丈夫だったの?」
スノーホワイトもはっと思い出したようにアリスに質問する。
「…お気になさらず…あれは私の魔法です…。どんな攻撃でも治ります」
「えっ、それってすごい能力だね。…てことはつまり」
「私は死にません。余程の事がない限り…」
「なんじゃそりゃ…すげえな…」
「恐ろしい能力デスね。もはや反則の域デハ?」
ウィザード、マジカロイドが驚愕の声を上げるが、アリスは淡々と続ける。
「なので、私はこの力でスノーホワイトの盾になります…」
「「えっ」」
スノーホワイトとラ・ピュセルが驚きの反応を見せた。
特にラ・ピュセル。直ぐにアリスに反論した。
「ま、待て!いきなり何を言い出すんだ!」
「それは仲間になりたいってこと?」
「…はい」
「そうだったんだね。分かったよ、宜しくね!」
「あっさり賛成!?良いのか!」
スノーホワイトの賛成に、思わず突っ込むラ・ピュセル。
スノーホワイトの言葉を聞き、安堵したかのようなアリスはスノーホワイトの手を握る。
「よろしく…お願いします」
「うん、宜しくね。ハードゴア・アリス」
「スノーホワイト…ありがとうございます…」
「…待った!」
アリスとスノーホワイトに、ラ・ピュセルが待ったをかける。
「スノーホワイト。つまり私達は3人で行動するということだな」
「そういうことになるね」
「…何故ですか?」
「何が言いたい…?」
不意にアリスがそう呟く。
そしてラ・ピュセルも反応する。少し喧嘩腰である。
「ラ・ピュセル…あなたが何故スノーホワイトと行動しているのか分かりませんが、これからは私がスノーホワイトを守る騎士になります…お疲れ様でした…」
「はぁ!?何を言ってるんだ!」
「あなたまでスノーホワイトを守る必要はありません…」
「アハハ…つまり私は用済みと…?」
ラ・ピュセルは笑顔でアリスに話しかけているが、顔がひきつっている。
「…いえ、そういうわけではありません…。守るのに二人も要らないと言っているんです…」
「やっぱりそういうことじゃないか!お断りだ!私はスノーホワイトの剣となることを誓ったんだ!」
「…剣?」
「君が現れるずっと前からだ!スノーホワイトを守るのは私だ!」
「何故あなたが守るのですか…?」
何故か言い合いが続く中、アリスの一言でラ・ピュセルは言葉を詰まらせた。
理由を話せば正体を知られる。今日初めて出会ったような奴に正体を知らせるわけにもいかない。
「そ、それは…」
ラ・ピュセルは黙ってしまった。
しかし、アリスはどんどん詰め寄って来る。
「何故あなたが…スノーホワイトを…?」
「…あぁ!もう!人を助けるのに理由が要るか!私はスノーホワイトを守りたいから守ってるだけだ!」
ラ・ピュセルは何かが吹っ切れたように反論した。
そんなラ・ピュセルの顔は真っ赤になっていた。
「あいつら…仲良くなればいいんだけどな…」
「何だか私達、置いていかれてる感すごくないデスカ?」
遠目に3人を見ていたウィザードとマジカロイドからしてみれば、3人の会話が小学生の口喧嘩並みの言い合いだったので、思わず笑ってしまうことしばしばあった。
「何だか、いても意味無さそうなので帰りマスね。では明日、キャンディー集め宜しくお願いシマス」
「うおっ!?…まぁ良いけども。集合場所はここでいいよな。時間は22時だ」
「了解デス。デハデハ~」
マジカロイドは面倒くさくなったのか、ウィザードとの用事を決めて帰っていってしまった。
「えー…帰っちゃった…まぁいいか。おい!3人共、今日はもう解散したらどうだ」
残されたウィザードは、3人を宥めるほか無かった。
「私は剣!君は盾!これでいいじゃないか!」
「いいや、私が剣も盾も兼ねますから、ラ・ピュセルは別に…」
「何で私に役割をくれないんだぁ!」
「ちょ、ちょっと二人共!やめてよ!」
「あーあ、だめだこりゃ…」
なかなか止まらない会話に、ウィザードも笑うしかなかった。
「どうも、ウィザード。宜しくお願いシマス」
「あぁ、キャンディー集め頑張ろうな」
次の日、ウィザードとマジカロイドは約束通りキャンディー集めの為に集まっていた。
今週のランキング発表も近づいて来ており、取り敢えず最下位にならないぐらいの数を集めるという目的である。
「よし、それじゃあ早速始めるか」
「そうデスね。ちゃちゃっとやりましょうカ」
ウィザードとマジカロイドは、キャンディー集めに勤しんだ。
落としてしまった駅のチケットを探したり、邪魔な酔っぱらいを家に帰したり、強盗犯を捕らえたりと、正義のヒーロー的な活躍も出来た。
ある程度のキャンディーが集まったので、ウィザードとマジカロイドは夜の静かな公園で休憩していた。
「所で、昨日はあの後どうなったのデスカ?あの3人は収まりましたカ?」
「まぁ…大喧嘩にもならず、どうにか止まってくれたよ、大分疲れたけどな」
「それは…御愁傷様デス」
「他人事だなぁ…さっさと帰っちゃうし、まぁいいけど」
「面倒ごとは苦手デスので。まぁ人助けは別デスがね。キャンディーも集まるし、礼を言われるのも悪くないデスよ」
「お前、意外にも優しいんだな」
「そうデスカ?でも一度スノーホワイト達を殺そうとしたんデスよ?」
「いいや、人間誰しも自分が死ぬかもしれないなんて状況になったら判断を誤ることだってあるさ」
「判断を誤る…デスか」
「でも、道を間違ったとしてもきっとやり直せる。俺の仲間にそう教えてくれた奴がいた」
「ウィザード。あなたには優しい仲間がいるんデスね。そして、あなた自身も…」
「そうかな。確かに、仲間がいてくれたおかげで、今の俺がいると思うんだ」
「仲間…大事な存在デスね。私にも仲間っていうのが欲しくなってきマシタよ…」
「だったら、俺が仲間になるよ。いや、俺達はもう十分仲間か」
「いいんデスカ…?でも、ウィザードがそう言うなら、ぜひ私からもお願いシマス」
「あぁ、勿論だよ。宜しく頼む」
「ウィザード、今日は本当にありがとうございマス。そして、これからもよろ…」
一瞬のことであった。街に銃声が響いた。
ウィザードは驚いて辺りに銃弾が落ちていないか探したが、それは…
「……え?」
銃弾は、マジカロイドの左足に突き刺さるように残っていた。
ロボットの体ということもあってか、貫通しなかったようだ。
「なっ、おい!マジカロイド!」
地面に崩れ落ちるように倒れたマジカロイド。
そして、マジカロイドは変身を解除し、10代くらいの女性の姿になった。
「ハハハハハハ!いい気味だね!」
笑い声にウィザードが振り向くと、そこにはカラミティ・メアリがいた。
その手に持つライフルが凶器だろうか。
「遠くから魔法少女を撃つのは楽しいねぇ。それに、マジカロイドは私を裏切った。当然の報いさ」
「メアリ!お前なんてことを!」
「今日は戦いに来たわけじゃないのさ。ただこれがしたくて来ただけさ。じゃあなァ!」
「おい、待て!」
ウィザードはフレイムドラゴンへ変化し、メアリに襲いかかった。
しかし、メアリに戦意はなく、ウィザードの攻撃を避けて逃げ去っていく。
「あたしを追っていたらそいつは死んじまうよ!ハハハハハハ!」
「…くそっ…絶対に許さない!」
メアリに逃げられたウィザードは、マジカロイドに駆け寄った。
「おい、マジカロイドしっかりしろ!」
「ウィ…ザード…どうやら私は…あなたの言う…通り…本当に…危険な人に…関わったよう…で…」
「すぐに病院連れてってやる。待ってろ」
「迷…惑を…掛け…て…ごめん…なさい…」
そう言うと、気を失ってしまった。
辛うじて息はしているが、危険な状態である。
「しっかりしろ!…くっ、急がないと」
ウィザードは女性を担ぎ、病院へ急ごうとした。
そんなウィザードの前に、仲間達が現れた。
「晴人!どうしたんだ!」
「何かあったんですか!」
「晴兄!大丈夫?というかその女の人は?」
「仁藤!スノーホワイト!ラ・ピュセル!」
現れたのはビースト、スノーホワイト、ラ・ピュセルでありアリスはいないようだ。
銃声を聞いたからだろうか、3人共非常事態なのは理解している様子である。
「こいつはマジカロイドだ。でもメアリに撃たれた…」
「マジカロイド!?本当なの?」
「そんな…このままじゃ死んじゃうよ!」
「何!?そいつはやべえじゃねえか!」
3人共驚いた反応を見せた。
そして、ビーストが話を続けた。
「そいつはもう逃げたのか?」
「あぁ、逃げられた。でもそんなことよりも、マジカロイドが心配だ…!」
「じゃあ颯太を入れた病院に!」
「いいや、俺の知り合いがいる病院がある。そっちの方が近い。俺から伝えておけば俺の知り合いがどうにか入院手続きくらいはしてくれるはずだ…」
「お、おう!じゃあ俺達はそいつを追う!」
「こちらは任せてください!」
「晴兄、気を付けて!」
「ああ、頼む!それと仁藤!メアリってのはガンマンみたいな魔法少女だ!迂闊に近づくと撃たれる!気を付けろ!」
「おう、分かったぜ晴人!絶対命を救えよ!」
「勿論だ。俺が最後の希望だ!」
その一言で、ウィザードは病院へ、ビースト達はメアリを追うために動き出した。
マジカロイド44の命を救うために、ウィザードは走る…。
メアリファンの皆様、申し訳ございません。
しばらくメアリはヘイト集めするだけのキャラと化します。
そして、晴人の知り合いがいる病院ってのは、アレですよ。
平成ジェネレーションズの後の話という設定ですので。