仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~   作:マルス主任

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さぁ皆さんお待ちかね、彼が復活します。


第16話 逆襲の時

 ウィザードは今日も名深市の各所を巡り、岸辺颯太の行方を追っていた。

颯太が行方不明となってもう1週間も経つ。

なのに、手がかり一つ見つからなかった。

ウィザード自身、何も見つけられない自分に腹が立った。

スノーホワイトも、心を入れ替えて人助けをしているようだが、シスターナナやトップスピードに慰められている姿を何度も見た。

だからこそ、見つからなくてもウィザードはここで諦めるわけにも行かなかった。

自分が諦めたら、誰が希望になるのだ。

仮に、もう颯太がこの世にいなかったとしても、彼の手がかりを見つけてみせる。

ウィザードとしても、晴人としても、彼の心だけでも救ってみせる。そう誓ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 元々、晴人と颯太が出会ったのは、ファントムに襲われている所を救った時だった。

公園でサッカー練習をしていた颯太に襲いかかったファントムの残党。

残党が生き残っていることは、当時の晴人も知っていたため、騒ぎを聞きつけ直ぐに助けに入れた。

戦いの後、再びサッカーを始めた颯太を昔の自分と重ね合わせた晴人。

サッカー経験もあった為、颯太にサッカーを教えてやろうかと言った所、快く受け入れてくれた。

その後は、友人関係となった二人。時々ではあったが会ってサッカーを教えていた。

サッカーも上手く、将来有望なスポーツマンだと思っていた晴人。

しばらくして魔法少女好きというのを明かされた時は驚いたが、そんなのは個人の趣味であり、他人がどうこう言う必要も無いと思い、純粋に受け入れた。

明かした時の颯太の顔は真っ赤であり、中学生と言えどまだまだ幼さを見せる颯太に、晴人も思わずほっこりしていた。

 

 しかしその時は、この先の未来など誰も予測がつかなかっただろう。

本当に彼が魔法少女となっているなんて、誰も予想がつかなかっただろう。

 

 

 

 

 

 そして、その後に悲惨な運命を迎えることも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、こんな所で彼の人生は終わってはならない。

残された希望を信じて、晴人はウィザードとなり、今日も走る…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ!元気か?」

「仁藤さん!いつもありがとう!」

「おう…ってお前、またプリキュア見てるのか、それって前もやってなかったか?」

「うん。この病室のテレビ、レコーダーまで付いた豪華仕様だからね。存分に使わせてもらうよ!」

 

 

 仁藤攻介は再び病室に顔を出していた。

病室にいる彼が見ているのは、魔法使いプリキュア。しかも先週放送分である。

普通の病院には、テレビにレコーダーなんて付いておらず、テレビそのものを見るのでさえテレビカードで有料なのがよくあるのだが、ここの病院はテレビ無料どころかレコーダーの使用すら無料であるのだ。

確かに使い勝手は良いが金を掛ける箇所を間違えていないか。と仁藤は思っていた。

 

 

 

「というか、一回見ただけで大体内容分からねえか?」

「いやいや、二回目を見ることによって気付かなかった部分、伏線とか様々な所を発見出来るからね。二回目からが本番だよ」

「お、おう…そうなんだな」

「分かってくれたなら良いんだ。…というかはーちゃんの声って何処かで聞いたことあるような…あっ!シスターナナか。やっと分かった」

「は?シスターナナ?誰だそりゃ」

「あっ…いやいやいやいや!何でもないよ!うん!何でもない!」

「はいはい皆まで言うな。というかお前今日で退院なんだぞ?ギリギリまでプリキュア見るのか?」

「まぁね…後1時間はあるしね。そうだ仁藤さん聞いて!この前たまたま見たアニメのココアってキャラの声が、すごい僕に似てたんだよ!後チノってキャラの声もスイm…知り合いの声に似てて驚いたよ。人間の声ってみんな似たり寄ったりなのかな?」

「たまたまじゃねえか?声優って色んな声出せるんだろ?」

「そうなのかな?声優さんってすごいね」

「そうだな…。後、お前に聞いときたい事がある」

「何?」

 

 

 

 

「今日退院した後、お前何をするつもり何だ?家に戻らずに行きたい所があるって…」

「それはまだ秘密。夜になったら教えるよ」

「あ~何か一番気になるなそういうの…」

「また迷惑かけるかもだけど、どうしてもやりたい事だから。お願い」

「まぁいいか!どうせだし、とことん付き合ってやるよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜が訪れた。ウィザードは今日も何の成果も得られなかった。

しかし、ウィザードがふと目をやった先には、何かが大量に発生している。

どうやら廃工場で何かがあったらしく、ウィザードは出来るだけ近づいていった。

近くに着いて、よく見てみると、そこには衝撃の光景が広がっていた。

 

 廃工場に無数に湧いたファントム・グール。

そして、グール軍団に囲まれたスノーホワイトだった。

その中には、ファントム・オーガもいるように見える。

まさか、スノーホワイトを喰って魔力の足しにするつもりなのだろうか。

そんなことはさせない。ラ・ピュセルに続いてスノーホワイトも失いたくない。

 

 

 

 

ハリケーン…ドラゴン…!

 

 

 

 ウィザードはハリケーンドラゴンとなり、空中からグール軍団にウィザーソードガンで強烈な一撃を浴びせた。

次々倒れていくグールであったが、ウィザードの攻撃はオーガに止められた。

 

 

 

「スノーホワイト!大丈夫か!?」

「はい…なんとか…」

 

「久しぶりだな、指輪の魔法使い。前回の再戦と行こうじゃないか」

「望む所だ。さぁ、ショータイムだ!」

 

 

 オーガはウィザードとの再戦を宣言した。ウィザードも負けじと戦闘態勢だが、しかし…

 

 

「引っ掛かったな…!お前ら、やってしまえ!」

「…何!?」

 

 

 突如発したオーガの声と同時に、グール軍団、そしてファントム・ウォーリアがスノーホワイトに襲いかかる。

突然の事に驚くスノーホワイトだったが、直ぐ様ブレイラウザーを使ってファントム軍団に立ち向かって行く。

 

 

「オーガ!お前ら!」

「へっ、元々お前の注意を引き、奴らにあの魔法少女をぶっ潰して貰う為の陽動だったんだよ!」

「ふざけるな!退け!」

「退けといって退くバカがいるか!」

「くそっ、スノーホワイト!逃げろ!」

「余所見してる場合か!喰らえ!」

 

 

 ウィザードの少しの隙から攻撃を入れていくオーガ。

しかし、以前の時とは違い、雑な攻撃ではなく、的確に、また強烈な一撃である。

 

 

「ぐわぁぁぁ!」

「どうした魔法使い!前のような力はどうした!」

「だったらこの指輪で…!」

「させるかよ!おらっ!」

「ぐわぁぁ!」

 

 

 ウィザードは指輪を交換しようとしたが、オーガに攻撃され、指輪を落としてしまった。

更にオーガはウィザードに攻撃を仕掛けていく。

 

 

「もっと行くぜ!指輪の力は使わせねえよ!」

「なっ、止せ!」

「止めるわけねえだろ!」

 

 

 オーガの攻撃は隙を与えずウィザードに直撃してしまう。

ついにはウィザードは変身指輪を全て落とし、オーガに奪われてしまった。

 

 

 

「これでお前は力を使えない!」

「お前…!」

 

 

 ウィザードが苦戦するのと同様に、またスノーホワイトも苦戦を強いられていた。

 

 

「魔法少女…倒ス…」

「全く攻撃を受けてない!?」

「ソンナノ、効カナイ…」

 

 

 ウォーリアは鉄壁の防御力を誇り、攻撃を出すタイミングは早くは無いが、その威力は強烈で、スノーホワイトを一撃で吹き飛ばした。

 

 

「きゃああ!」

「弱イ…魔法少女…コンナモノ…」

「スノーホワイト!」

「お前は黙ってろ魔法使い!」

「がぁっ…」

 

 

 スノーホワイトは持っていたブレイラウザーを落とし、攻撃のせいで起き上がれない。

そんな間にも、ウォーリアはどんどん近づいてくる。

ウィザードもオーガで精一杯であり、スノーホワイトの援護に回るどころか、押され始めていた。

 

 

「おいおいィ!どうした魔法使い!指輪が無ければただの雑魚かぁ!?オイ!」

「ぐっ…こいつ、前より強くなってる…」

「そうこうしてる内に、あの魔法少女が死んじまうぞ!」

 

 

 ウィザードはどうにかしてスノーホワイトの所へ向かいたいが、オーガの攻撃は避けきれず、自分が動くことすら困難となってきた。

そして、ウォーリアはスノーホワイトの目の前にまで迫っていた…

 

 

「コレデ…終ワリ…」

「や、やめて…来ないで…死にたくない…死にたくないよぉ…」

「やめろぉ!ぐはっ!」

「やっちまえ!ウォーリアァ!」

 

 

「嫌だ…嫌だ…」

「サヨナラ、魔法少女…」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 

 ウィザードの叫びも虚しく、ウォーリアの鈍器から鈍い一撃が放たれた…。

 

 

「ハハハハ!どうだ魔法使い!守ろうとしたものが為す術も無く死ぬのはよぉ!」

 

 

 オーガの勝ち誇った声が響く。

しかし、ウィザードは困惑した。

何故奪われたはずの指輪が自分の手元にあるのか…。

そして…

 

 

「…ん?……ぐおぉ!」

 

 

 オーガが突然唸り出した。何処からか攻撃を受けたようだ。

そしてオーガを攻撃した武器。それには見覚えがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「調子ぶっこいてんじゃねえよ。俺の存在を完全に忘れてやがったな!」

「…な、何だと…!」

「お前…仁藤か!」

「大分派手にやられてたみたいだな。でも、ピンチはチャンスだろ、晴人!」

 

 

 そう、オーガを攻撃したのは、仮面ライダービースト、仁藤攻介だった。

 

 

 

「何とか間に合った。やっぱり作戦変更して良かったぜ」

「作戦変更…?というかスノーホワイトは!」

「皆まで言うな。よく見てみろ」

 

 

 ビーストはスノーホワイトとウォーリアがいた方角を指差す。

砂煙が立ち込めてよく見えないが、スノーホワイトは生きていた。

そして、ウォーリアはこちらに吹き飛ばされてきた。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あれ…私、生きてる…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅くなってすまない、スノーホワイト。いや、小雪…」

 

 

 

「…えっ、まさか…」

 

 

 

 

ウォーリアを吹き飛ばした者の正体は、ウィザード達がずっと探してきた人間…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が名はラ・ピュセル…。スノーホワイトを守るたった一つの剣…!」




露骨な伏線で皆様お気づきだったと思われますが、復活です。
決して皆様を絶望させませんよ。
そして中の人ネタは私の趣味だ。いいだろう?(プロフェッサー風)
次回から逆襲開始です。

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