仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~   作:マルス主任

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14話です。
ラ・ピュセル、脱落…?


第14話 失った大きなもの

「くっそぉー、誰もいねぇじゃねえか…」

 

 

 

 仮面ライダービースト、仁藤攻介は空中からファントムなどがいないか捜索していた。

元々は凜子に晴人の増援に行って欲しいと頼まれて来たものの、晴人に会ったのはほんの少しの間で、それ以降全く会っていない。

あの時晴人が言っていた、ルーラが危ない。という一言。

それ以外にも色々気にはなっているのだが、会えずじまいで、聞くことすら出来ていない。

今回仁藤がこんなことをしているのは、ファントムが暴れているのは夜が多いという噂、そして晴人や魔法少女に出会うため。

その中でも仁藤は、前に会った騎士の魔法少女に、もう一度会いたがっていた。

 

 

「あの騎士さん、絶対美人だよなぁ…」

 

 

 理由は安直であり、ただあの美しい姿をもう一度拝みたいだけであった。

しかしその魔法少女どころか、他の魔法少女にも、あれ以来出会えていない。

そんなことを思っていたら、人気の少ない山まで来てしまった。

通っているのは車が数台、人はほとんどいない。

しかも夜中であり、車すら通っていない。

しかし、こういう場所だからこそ以外にも魔法少女がいるかもしれない。

 

 

 

「なんかここらへんにいる気がする!待ってろよぉ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さて、今週もチャットのお時間だぽん。』

『ファントムが現れたりして大変だけど張り切っていくぽん』

『今週は良いニュースと悪いニュースがあるぽん』

『…というかクラムベリー以外来てないぽん。寂しいぽん』

『まぁいいや、まずは良いニュースから』

『新しくアイテムを購入出来るようになったぽん』

『まずは対ファントム用に作ってみた武器ぽん。武器が無い魔法少女でも戦えるようになるぽん』

『まずは魔法の国で使われている薙刀ぽん。リーチが長いぽん』

『次に、魔法の国の資料から再現してみた武器ぽん』

『相手を拘束できたりする便利な剣、名前はファイズエッジっていうらしいぽん』

『カードをスキャンして戦えるブレイラウザーっていう剣。カードは13枚付属ぽん』

『相手を追尾してくれるトリガーマグナム、Ver.ルナトリガー。ルナトリガーの意味は知らないぽん』

『ハンドルを回しすぎると制御が難しいハンドル剣。これを名付けた人のネーミングセンスを疑うぽん』

『以上の5つぽん。最初の薙刀以外はファヴもよくわからないから注意ぽん』

『今度は便利アイテムだぽん』

『被れば誰からも見えなくなる透明外套』

『大ピンチの時に良いことあるかも?兎の足』

『とにかく何でも入って重くない。四次元袋』

『元気が出る薬。決してそういう危ないものではないぽん』

『以上ぽん。入手は早い者勝ちだぽん。でもその代わりに払ってもらうものもあるぽん』

『魔法少女育成計画は無課金だから金は取らないぽん。けど、魔法の国の物には寿命を、資料から作成した武器は魔力を使わないからキャンディーを頂くぽん』

『一応アイテム表ぽん』

 

 魔法の国のアイテム(寿命)

 

・武器(薙刀)...5年

・透明外套...25年

・兎の足...6年

・四次元袋...10年

・薬...3年

 

 武器(キャンディー)

 

・ファイズエッジ...1500

・ブレイラウザー...1300

・トリガーマグナム...2000

・ハンドル剣...1100

 

 

『能力が強いもの程高価になってるぽん。キャンディー集めなのにキャンディー使うってどういうことだよ。っていう突っ込みはいらないぽん』

『薙刀以外の武器が安めなのは武器性能が保証できないからぽん。ご了承くださいぽん』

『全て先着1つぽん。お早めにぽん』

 

 

『長くなったけど最後に悪いニュースぽん』

 

 

 

『ラ・ピュセルが事故で死んじゃったぽん。悲しいぽん。辛いぽん』

『ファヴは悲しすぎて涙が出ちゃったぽん』

『そして今週はラ・ピュセルが死んだから脱落者は無しぽん』

『みんな、この犠牲を無駄にすることなくこれからも張り切って欲しいぽん』

『それでは、また来週ぽん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スノーホワイト。姫河小雪はこの意味を理解出来なかった。いや、理解しようとしなかった。したくなかった。

突如知らされた幼馴染み、大切な人の死を、認めたくなかった。

スノーホワイトは待ち合わせ場所だった海岸で、一人で泣いた。

ラ・ピュセルの、岸辺颯太の死が、悲しくて悲しくて、ただ泣くしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、小雪は颯太の家を訪れた。

颯太の事を両親に尋ねると、正確には行方不明ということで、どこに行ったのかも、分からず、勿論遺体も何も見つかっていない。

遺体が見つかっていない為、颯太の両親もどこかでまだ颯太は生きていると信じていた。

それを聞いて、小雪も希望を捨てないことにした。

いつか颯太は帰ってくると信じて。

そして、晴人にもこの事実を伝えた。

 

 

 

「そうか…本当にすまない、小雪ちゃん。俺はなんとかできたはずだ…」

「そんな、晴人さんは悪くないよ…」

「でも、あいつ何で…小雪ちゃん。最後にあいつに会った時、何か異変は無かったか?」

「異変ですか?…いつも通りだったはず…」

「そっか…そうなると、手掛かりが見つからないな…」

「やっぱり、そうちゃん見つからないんですか…」

「いいや、絶対に俺が探して見せる…」

「小雪ちゃんも、何かあったら連絡してくれ。」

「はい。晴人さんも、気を付けて下さい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日以降、晴人は必死に市内を捜索した。

だが、全く手掛かりは見つからなかった。

 

 

 

「くそっ、颯太…どこにいる…」

 

 

 晴人にも、焦りが見えてきた。

もう3日経つが、こんなに手掛かりも見つからないと、流石に命の危険性に及ぶ。

誘拐されたという場合もあるが、あの颯太がそう簡単にやられるとも思えない。

更には、消えたのは夜であり、恐らくラ・ピュセルの状態であったはずだ。

と、ここで晴人の頭に、嫌な予想が浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔法少女の誰か、またはファントムに消されたのではないか…。

ファントムに殺されたという場合。そして、魔法少女に消された場合。

今、魔法少女達は死ぬかもしれない状況になっている。

誰かが脱落しないために、ラ・ピュセルを消した可能性も考えられる。

もしそうなら…もう颯太はいない。

 

 

 

「いや、そんなことは…」

 

 

 

 一気に最悪の状況が浮かんできた晴人。

そんな彼の所に、一人の男が現れた。

 

 

 

「よっ、晴人!」

「仁藤!」

 

 

 そう、仁藤攻介である。

しばらく会ってなかったが、あの時の礼を言わなきゃならない。

 

 

「仁藤、ルーラの情報ありがとうな。おかげで助けられた」

「おっ、そうか。なんかよくわからんが、それは良かった」

「まぁ、今も人探ししてるんだけどな…」

「そうなのか…お前も大変だな」

「お前もって…何かあるのか…?」

「つい最近、死にそうなのをビーストの力で助けた奴がいてな。隣街の病院に入院させてるんだ。そいつの看病にな」

「へぇ、そりゃ大変だ。でも、お前のおかげで助かった命があるなら、それは良いことじゃないか」

「おう、もうちょっと話したいこともあるんだが、生憎もう病院行かなきゃならねえ。またどっかで会おうぜ。当分は俺もここら辺いるからさ。じゃあな!」

「お、おお、じゃあな、仁藤」

 

 

 

 

 

「おう!またな!…ふぇー、2日連続でサッカーはもう辛いって本当に…」

 

 

 そんな事を嘆きつつ、仁藤は行ってしまった。

仁藤もああやって人助けしている。自分も颯太を探さなければ。

晴人は、再び颯太を探し始めた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラ・ピュセルは脱落した…ということになっている。

これを聞いた魔法少女達の多くはこう思うだろう。

自分が脱落しないためには、他人を殺してしまえばいい…と。

生きるためには殺すしかない。生きるためには戦うしかないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ファヴ」

『何かご用かぽん?』

「これで本当に魔法少女達を選抜出来るのですか?」

『大丈夫ぽん。全体的に若い奴らばかり集まったし、ちょっと高齢なのもいるけど戦闘狂だし』

「期待してますよ。生き残るということはそれなりの力を持つもの。そんな強力な魔力を回収出来れば、いずれは我々の悲願も達成できる…」

『楽しみにしてるぽん。それと、質問いいぽん?』

「何でしょう」

『何でラ・ピュセルを自ら殺して、魔力を喰わなかったぽん?それなりに強い魔法少女だったぽん』

「彼女が戦わなくなったら、何故だか興が覚めましてね…」

「全力の相手を潰さなきゃ、面白く無いじゃないですか。気絶した相手を喰ってもつまらないです」

『あんた、段々マスターに似てきたぽん。コピーし過ぎたんじゃないかぽん?』

「ふふっ、馬鹿な。そんなはず無いですよ」

『まっ、こっちとしては計画が進めば何でもいいぽん。これからも頼むぽん』

「ええ、なら、次の魔法少女は喰って差し上げましょう」

『それは良いぽん。楽しみぽん…』




さて、14話でした。
着々と伏線貼ってくスタイル。
そして武器の件は僕の遊び心です。お気に召さなかったらすいません。
後進兄さんハンドル剣ディスってごめんなさい。

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