仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~ 作:マルス主任
ラ・ピュセル、脱落…?
「くっそぉー、誰もいねぇじゃねえか…」
仮面ライダービースト、仁藤攻介は空中からファントムなどがいないか捜索していた。
元々は凜子に晴人の増援に行って欲しいと頼まれて来たものの、晴人に会ったのはほんの少しの間で、それ以降全く会っていない。
あの時晴人が言っていた、ルーラが危ない。という一言。
それ以外にも色々気にはなっているのだが、会えずじまいで、聞くことすら出来ていない。
今回仁藤がこんなことをしているのは、ファントムが暴れているのは夜が多いという噂、そして晴人や魔法少女に出会うため。
その中でも仁藤は、前に会った騎士の魔法少女に、もう一度会いたがっていた。
「あの騎士さん、絶対美人だよなぁ…」
理由は安直であり、ただあの美しい姿をもう一度拝みたいだけであった。
しかしその魔法少女どころか、他の魔法少女にも、あれ以来出会えていない。
そんなことを思っていたら、人気の少ない山まで来てしまった。
通っているのは車が数台、人はほとんどいない。
しかも夜中であり、車すら通っていない。
しかし、こういう場所だからこそ以外にも魔法少女がいるかもしれない。
「なんかここらへんにいる気がする!待ってろよぉ~」
『さて、今週もチャットのお時間だぽん。』
『ファントムが現れたりして大変だけど張り切っていくぽん』
『今週は良いニュースと悪いニュースがあるぽん』
『…というかクラムベリー以外来てないぽん。寂しいぽん』
『まぁいいや、まずは良いニュースから』
『新しくアイテムを購入出来るようになったぽん』
『まずは対ファントム用に作ってみた武器ぽん。武器が無い魔法少女でも戦えるようになるぽん』
『まずは魔法の国で使われている薙刀ぽん。リーチが長いぽん』
『次に、魔法の国の資料から再現してみた武器ぽん』
『相手を拘束できたりする便利な剣、名前はファイズエッジっていうらしいぽん』
『カードをスキャンして戦えるブレイラウザーっていう剣。カードは13枚付属ぽん』
『相手を追尾してくれるトリガーマグナム、Ver.ルナトリガー。ルナトリガーの意味は知らないぽん』
『ハンドルを回しすぎると制御が難しいハンドル剣。これを名付けた人のネーミングセンスを疑うぽん』
『以上の5つぽん。最初の薙刀以外はファヴもよくわからないから注意ぽん』
『今度は便利アイテムだぽん』
『被れば誰からも見えなくなる透明外套』
『大ピンチの時に良いことあるかも?兎の足』
『とにかく何でも入って重くない。四次元袋』
『元気が出る薬。決してそういう危ないものではないぽん』
『以上ぽん。入手は早い者勝ちだぽん。でもその代わりに払ってもらうものもあるぽん』
『魔法少女育成計画は無課金だから金は取らないぽん。けど、魔法の国の物には寿命を、資料から作成した武器は魔力を使わないからキャンディーを頂くぽん』
『一応アイテム表ぽん』
魔法の国のアイテム(寿命)
・武器(薙刀)...5年
・透明外套...25年
・兎の足...6年
・四次元袋...10年
・薬...3年
武器(キャンディー)
・ファイズエッジ...1500
・ブレイラウザー...1300
・トリガーマグナム...2000
・ハンドル剣...1100
『能力が強いもの程高価になってるぽん。キャンディー集めなのにキャンディー使うってどういうことだよ。っていう突っ込みはいらないぽん』
『薙刀以外の武器が安めなのは武器性能が保証できないからぽん。ご了承くださいぽん』
『全て先着1つぽん。お早めにぽん』
『長くなったけど最後に悪いニュースぽん』
『ラ・ピュセルが事故で死んじゃったぽん。悲しいぽん。辛いぽん』
『ファヴは悲しすぎて涙が出ちゃったぽん』
『そして今週はラ・ピュセルが死んだから脱落者は無しぽん』
『みんな、この犠牲を無駄にすることなくこれからも張り切って欲しいぽん』
『それでは、また来週ぽん』
スノーホワイト。姫河小雪はこの意味を理解出来なかった。いや、理解しようとしなかった。したくなかった。
突如知らされた幼馴染み、大切な人の死を、認めたくなかった。
スノーホワイトは待ち合わせ場所だった海岸で、一人で泣いた。
ラ・ピュセルの、岸辺颯太の死が、悲しくて悲しくて、ただ泣くしかなかった。
後日、小雪は颯太の家を訪れた。
颯太の事を両親に尋ねると、正確には行方不明ということで、どこに行ったのかも、分からず、勿論遺体も何も見つかっていない。
遺体が見つかっていない為、颯太の両親もどこかでまだ颯太は生きていると信じていた。
それを聞いて、小雪も希望を捨てないことにした。
いつか颯太は帰ってくると信じて。
そして、晴人にもこの事実を伝えた。
「そうか…本当にすまない、小雪ちゃん。俺はなんとかできたはずだ…」
「そんな、晴人さんは悪くないよ…」
「でも、あいつ何で…小雪ちゃん。最後にあいつに会った時、何か異変は無かったか?」
「異変ですか?…いつも通りだったはず…」
「そっか…そうなると、手掛かりが見つからないな…」
「やっぱり、そうちゃん見つからないんですか…」
「いいや、絶対に俺が探して見せる…」
「小雪ちゃんも、何かあったら連絡してくれ。」
「はい。晴人さんも、気を付けて下さい…」
その日以降、晴人は必死に市内を捜索した。
だが、全く手掛かりは見つからなかった。
「くそっ、颯太…どこにいる…」
晴人にも、焦りが見えてきた。
もう3日経つが、こんなに手掛かりも見つからないと、流石に命の危険性に及ぶ。
誘拐されたという場合もあるが、あの颯太がそう簡単にやられるとも思えない。
更には、消えたのは夜であり、恐らくラ・ピュセルの状態であったはずだ。
と、ここで晴人の頭に、嫌な予想が浮かんだ。
魔法少女の誰か、またはファントムに消されたのではないか…。
ファントムに殺されたという場合。そして、魔法少女に消された場合。
今、魔法少女達は死ぬかもしれない状況になっている。
誰かが脱落しないために、ラ・ピュセルを消した可能性も考えられる。
もしそうなら…もう颯太はいない。
「いや、そんなことは…」
一気に最悪の状況が浮かんできた晴人。
そんな彼の所に、一人の男が現れた。
「よっ、晴人!」
「仁藤!」
そう、仁藤攻介である。
しばらく会ってなかったが、あの時の礼を言わなきゃならない。
「仁藤、ルーラの情報ありがとうな。おかげで助けられた」
「おっ、そうか。なんかよくわからんが、それは良かった」
「まぁ、今も人探ししてるんだけどな…」
「そうなのか…お前も大変だな」
「お前もって…何かあるのか…?」
「つい最近、死にそうなのをビーストの力で助けた奴がいてな。隣街の病院に入院させてるんだ。そいつの看病にな」
「へぇ、そりゃ大変だ。でも、お前のおかげで助かった命があるなら、それは良いことじゃないか」
「おう、もうちょっと話したいこともあるんだが、生憎もう病院行かなきゃならねえ。またどっかで会おうぜ。当分は俺もここら辺いるからさ。じゃあな!」
「お、おお、じゃあな、仁藤」
「おう!またな!…ふぇー、2日連続でサッカーはもう辛いって本当に…」
そんな事を嘆きつつ、仁藤は行ってしまった。
仁藤もああやって人助けしている。自分も颯太を探さなければ。
晴人は、再び颯太を探し始めた…
ラ・ピュセルは脱落した…ということになっている。
これを聞いた魔法少女達の多くはこう思うだろう。
自分が脱落しないためには、他人を殺してしまえばいい…と。
生きるためには殺すしかない。生きるためには戦うしかないのだ。
「ファヴ」
『何かご用かぽん?』
「これで本当に魔法少女達を選抜出来るのですか?」
『大丈夫ぽん。全体的に若い奴らばかり集まったし、ちょっと高齢なのもいるけど戦闘狂だし』
「期待してますよ。生き残るということはそれなりの力を持つもの。そんな強力な魔力を回収出来れば、いずれは我々の悲願も達成できる…」
『楽しみにしてるぽん。それと、質問いいぽん?』
「何でしょう」
『何でラ・ピュセルを自ら殺して、魔力を喰わなかったぽん?それなりに強い魔法少女だったぽん』
「彼女が戦わなくなったら、何故だか興が覚めましてね…」
「全力の相手を潰さなきゃ、面白く無いじゃないですか。気絶した相手を喰ってもつまらないです」
『あんた、段々マスターに似てきたぽん。コピーし過ぎたんじゃないかぽん?』
「ふふっ、馬鹿な。そんなはず無いですよ」
『まっ、こっちとしては計画が進めば何でもいいぽん。これからも頼むぽん』
「ええ、なら、次の魔法少女は喰って差し上げましょう」
『それは良いぽん。楽しみぽん…』
さて、14話でした。
着々と伏線貼ってくスタイル。
そして武器の件は僕の遊び心です。お気に召さなかったらすいません。
後進兄さんハンドル剣ディスってごめんなさい。