仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~   作:マルス主任

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12話です。お待たせしました。
エグゼイド、面白いですよね。お気に入りはレーザーです。


第12話 騎士の役目

「やっと見つけた…白い魔法少女…」

 

 

 

 黒い姿に身を包んだ魔法少女、ハードゴア・アリス。

見た目は”不思議の国のアリス”のアリスが黒くなったような見た目をしている。

そして彼女こそが、16人目の魔法少女である。

アリスはずっとスノーホワイトの姿を見つめていた。

話しかけることもなく、ただ、ずっと見つめていた…

 

 

そして、気付かれないように、そっとその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数時間前~

 

 

 シスターナナとウィンタープリズンは、廃工場で新人魔法少女と待ち合わせをしていた。

しかし、シスターナナは先日のクラムベリーとの一件でかなりのショックを受けていた。

ウィンタープリズンは予定延期を提案したのだが、シスターナナは譲らず、予定延期はしなかった。

シスターナナ本人は勿論、ウィンタープリズンもショックを受けていないわけでは無かった。

自身の得意分野である近接戦だったのだが、自身の力だけでは、クラムベリーとは互角どころか押されてしまった。

シスターナナの援護が無かったら、下手をすれば殺られていたかもしれない。

そして、そんなクラムベリーが許せなかった。

シスターナナの思いを無駄にしたこと、傷つけたこと。それが何よりも許せなかった。

今度会ったら絶対叩きのめすと、ウィンタープリズンは誓った。

 そして、これから会う新人魔法少女もどんな奴か分かりはしない。

クラムベリーのようなクズかもしれないし、スノーホワイトのように心優しい人かもしれない。

だが、もしシスターナナに牙を剥くようであれば、容赦はしない。そう考えていた。

 

 しばらくして、シスターナナ達の前に、一人の魔法少女が現れた。

全身黒一色の彼女こそが、新人魔法少女、ハードゴア・アリスだった。

アリスは、目の下に隈があり、体型などを見ても、不健康そうな見た目である。

しかし、問題はそこではない。アリスは協力者か、はたまた敵になるのか。シスターナナ達にとってはそこが問題である。

 協力してもらうために、シスターナナは精一杯情熱を込めて語った。

しかし、アリスは相槌一つ打たない。

ウィンタープリズンからしてみれば、ただボーッと突っ立っているようにしか見えなかった。

そんな態度に、ウィンタープリズンは段々苛立ち始めた。

元々と言えば、16人目の魔法少女が現れたことが、今回の騒動の原因となっていた。

 

 

「おい!元々と言えば君が原因でこういうことになったんだ。少しは責任を感じてはいないのか?」

 

 

 アリスの態度に苛立ちを覚えたウィンタープリズンは、ついに怒りを露にした。

しかし、シスターナナによって抑えられる。

 

 

「まぁまぁ、彼女だって意図して魔法少女になったわけではないんだから…」

「…まぁ、そうだな。すまない」

 

 

「さぁ、アリスさん。あなたも私達に協力してくれませんか?スノーホワイトさんや、ラ・ピュセルさんだって協力してくださります」

 

 

 スノーホワイト。その名前を口にした途端、アリスは初めて反応した。

 

 

「スノーホワイトというのは…白い魔法少女ですか?」

「ええ、そうですよ」

「今…どこにいるか分かりますか?」

「担当地区は倶辺ヶ浜だったはずです…ですよね?」

 

 

 ウィンタープリズンが頷くと、ありがとうと言い残して、走り去っていった。

 

 

「あいつ…敬語なんか使えたのか」

「ひょっとして…スノーホワイトを助けに行ったのでしょうか?」

 

 

 ウィンタープリズンは、キャンディー保有数トップのスノーホワイトを襲いに行ったのではないかとも考えたが、これを話すとシスターナナを困らせることになるので話さないことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スノーホワイトはアリスが先ほどまでいたことにも気付かず、ラ・ピュセル、ウィザードと話していた。

魔法少女の悩みや、普段の生活の雑談など、内容は様々だった。

そんなことをしているうちに、日付を跨ぐ0時になった。

 

 

 

「うわっ、こんな時間だ。私帰らなきゃ!」

「そうだね。そろそろお開きにしようか」

「そっか。気をつけてな」

「はい。そうちゃん、晴人さん、またね!」

 

 

 スノーホワイトはそう言って帰っていった。

今日はここで解散になるかと思っていたウィザードだったが、ラ・ピュセルに声をかけられた。

 

 

「晴兄、ちょっといいかな…」

「あぁ、俺は別に良いけど…どした?」

「その…この前のルーラ達にスノーホワイトが襲われたのは知ってるよね」

「ああ、助けに行けなくてすまなかったな…」

「いや、晴兄が悪いんじゃないんだ。僕が身勝手に動かなければ…」

「僕はあの時どうにかしてたのかもしれない、スノーホワイトを守らなきゃいけないのに、目の前の戦いにばかり気をとられて…」

「颯太…」

「この先、まだまだ危険なこともあるはずだし、僕は本当にスノーホワイトを、小雪を守れるのかな…」 

「そうか…お前もそんなこと思ってたんだな。以外だよ」

「え?そうかな…」

「お前は真っ直ぐ突き進む人間だと思ってたし、魔法少女の時は尚更だ」

「でも、僕はまだまだ未熟で…」

「だったら、自分の思った通りにやってみればいいさ、ずっと下向いて後悔するより、絶対マシだよ」

「晴兄…」

「未熟でも弱くても、その気持ちが大切だと思う」  

「…うん。僕だって、小雪を守ってみせる…例え命に代えても!」

「あぁ、その感じだ。でも、本当に命は落とすなよ?」

「分かってるよ。僕も小雪も死なないよ」

「なら良いよ、死んだら取り返しつかないしな」

「うん…。今日は話しを聞いてくれてありがとうね」

「また何かあったら話を聞くさ…これからも頑張れよ!ラ・ピュセル!」

「うん!ありがとう、ウィザード!」

 

 

 

 その日は、それで解散になった。

しかし、別れて帰っていく二人は遠くから何者かに見つめられているのを気付かなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数日後~

 

 

「今日もありがとう、そうちゃ…ラ・ピュセル。キャンディー集めも手伝ってくれて」

「こんな状況とはいえ、キャンディー集めは続いてるしね…」

「そうだね。しかも今日は家の近くまで送ってくれてありがとう」

「私は、あなたを守るって決めたから、スノーホワイト」

「ふふっ、何か照れちゃうよ」

「やっぱり君の笑顔は一番だ。それじゃあ、気をつけて」

「じゃあね!ラ・ピュセル!」

 

 

 

 

 

 

 

 スノーホワイトを家に帰したラ・ピュセル。彼女をここまで送ったのには理由があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出てこい。いるんだろう?」

 

 

 

 

 

 

「……やはり気付かれてましたか。お見事です。ラ・ピュセル」

 

 

 

 ラ・ピュセルは、こちらを見ていた視線の正体を暴くため、スノーホワイトを安全な場所へ帰したのだ。

そして、その視線の正体は、森の音楽家クラムベリーだった。

 

 

 

「目的は何だ?」

「目的…そうですね、あなたと戦いたい。それだけでしょうか」

「キャンディーが欲しいんじゃないのか?」

「あなたはキャンディーを盗られないよう、スノーホワイトを逃がしたのでしょう?」

「ですが、私にとっては好都合だったんですよ」

「じゃあ、お前は最初から…」

「そうですね。私はキャンディーなどどうでも良いのです」

 

 

 

 

「私が欲しいのは…強敵です…」

 

 

 

 

「ルーラ達の襲撃を耐えきったその力…存分に見せてもらいますよ…」

 

 

 

 

 少々読みが外れた。だったらなんだ。

今この場には狂人と自分のみ。

一番守りたいあの人を守れた。

傷付くのは自分だけでいい…なんとしてでも奴を倒す。

今、ラ・ピュセルが戦う理由は、好奇心などではない。悪を止める為だ。

そして…スノーホワイト、小雪の笑顔の為。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いだろう。我が名はラ・ピュセル。森の音楽家クラムベリーよ、相手になろう」

 

 

 

「ありがとうございます…それでは、全力で行かせてもらいましょう…!」

 

 

 

 

 

 ラ・ピュセルの運命を決める一戦が、幕を開けた……。




さて、次回でラ・ピュセルの運命が決まります。
お楽しみに!

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