仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~   作:マルス主任

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タイトルの人は本当に少ししか出ないです。
そしてラ・ピュセル編突入ですが今回は下準備回です。


第11話 新しい参加者

~ある廃墟にて~

 

 

 

 

『全く、あんたが直々に出ていったのにこれとは…残念だぽん』

「申し訳ないです。ウィザードが現れたのが想定外でした」

『まぁいいぽん。魔法少女共には誤魔化しておくから、心配するなぽん』

「すいません。宜しくお願いします…」

『でもあんた、ウィザードとの戦い、嫌じゃなかっただろぽん』

「…え?」

『あんたは最初、復讐心だけで動いていたはずぽん。でもウィザードとの戦いに喜びを感じていただろ…?ぽん。どうやら元のマスターの性格までコピーしたんだろ…ぽん』

「…ええ、そうみたいです。私は確かにウィザードとの戦いが楽しかった…」

『やっぱりそうかぽん…あんたのコピー元は強敵との戦いをいつも楽しみにしてたぽん。』

「そうでしたか…」

 

 

 そう言うと、会話していた一人…クラムベリーはオーガの姿へ変貌した。

 

 

 

「俺としたことが、あいつを喰らい過ぎたか…」

『でも、こちらとしては面白いぽん。だったらあんたも、クラムベリーとして戦えばいいぽん』

「俺がファントムを殺せってか?」

『そうじゃないぽん、戦うなら、魔法少女を倒せばいいぽん』

「…は?」

『魔法少女は強いぽん。ウィザード程では無いかもしれないけど、充分な強さだぽん』

「ファヴ、何でお前がそんなこと言うんだ?」

『何で?…そんなの決まってるぽん…』

 

 

 

 

 

 

『魔法少女の苦しみ、傷つき、絶望する姿がみたいだけだぽん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、チャットルームにて…

  

 

 

『今日は、みんなにお知らせがあるぽん』

「そんなことはいい。これまでの2週間のこと、ファヴはなんとも思わないのか」

チャットに来ていたウィンタープリズンが話を遮り話題を変える。

「ねむりんもルーラも一度死にかけた。それにファントムとやらも乱入してきたらしいな」

「こんな状態でも今まで通りキャンディー集めしろっていうのか」

『何か問題でもあるぽん?』

「お前狂ってるのか!最下位は死ぬんだぞ!」

『でも対策法が何も無いぽん。どうしようもないぽん』

「せめて、この街のファントムが全滅した後まで延期を…」

『それは出来なかったぽん。絶対に毎週一人脱落してもらうしかないぽん』

 

 

 その言葉で、集まった魔法少女達は押し黙ってしまった。

ファヴは話題を変えて話を続けた。

 

 

『それは本当にごめんなさいぽん。でも、仕方ないぽん』

『続いて、今回のお知らせだぽん。』

『前から言っていた16人目の魔法少女の件だけど、やっと都合がついたから教育係を募集するぽん』

 

 

 しばらくは誰も立候補しなかったが、やがて手を挙げた者がいた。

 

 

「新しい魔法少女の教育係は、私にやらせてください」

「なっ、ナナ!?」

 

 

立候補したのはシスターナナだった。シスターナナと一緒に行動しているヴェス・ウィンタープリズンは驚いた素振りを見せる。

 

『じゃあ、シスターナナに決定だぽん。では今回の集会はお開き、グッバイぽん』

 

 そう言うとファヴは退出し、逃げるかのように集会はお開きとなった。

魔法少女達も続々退出していき、クラムベリーだけが残った。

そして5分程経った時に、ファヴがチャットルームに戻ってきた。

 

 

『なんとか耐えたぽん。無駄に面倒な連中だぽん』

「そうですね…お手数おかけしました。そういえば気になったのですが…ここで会話をするとログが残って気付かれるのではないのですか?」

『それに関しては心配いらないぽん。この会話には閲覧出来ないようロックを入れたぽん』

「さすが、警戒に怠りが無いですね」

『褒められるのは嬉しいぽん。所で…』

『例の話だけど、うまく行ってるぽん?』

「それなら順調ですよ。ウィザードが頻繁に現れてくれるおかげで、予想以上に早まりそうです」

『それは良いことだぽん。では、引き続き宜しく頼むぽん』

「ええ、勿論です。ではまた…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナナ、待ち合わせ場所はここかい?」

「ええ、確かこの辺り…」

 

 

 シスターナナとウィンタープリズンは、直接会いたいという森の音楽家クラムベリーと合流するため、高波山という山の採石場に来ていた。

クラムベリーについてはチャットでよく見る人という認識で、実際に会ったことは無い。

また、チャットでも滅多に発言することはなく、時々する発言で、みな黙ってしまう。

そのため、どんな人物なのかもあまり分からない。

よく分からない者程危険な場合もある。ウィンタープリズンは細心の注意を払っている。

そんなウィンタープリズンの気も知らず、シスターナナは仲間が増えると浮かれていた。

 

 シスターナナは現在の魔法少女の状況を打開するべく、自分達の協力者を集めようと、多くの魔法少女達に協力を要請していた。しかし、結果は決して良くはなく、協力をしてくれる魔法少女は少なかった。

唯一協力してくれたのは、スノーホワイトとラ・ピュセルだけだった。

そして今回のクラムベリー、明日会う予定の新人魔法少女。二人共加勢してくれるかは分からないが、話してみる余地はある。

そんな思いでシスターナナは今回の事、そして新人魔法少女の教育を了承したのだ。

 

 クラムベリーとの集合時間は午前2時、真夜中である。

そして、クラムベリーは時間ちょうどに現れた。

 

 

「現実でお会いするのは初めてですね。シスターナナ、ヴェス・ウィンタープリズン。」

「初めまして、森の音楽家クラムベリー。」

「どうも…」

シスターナナに比べ、ウィンタープリズンはかなり警戒しているようだが、クラムベリーはそんなこと気にしてない様子。

「クラムベリーで構いません、シスターナナ」

「分かりました、クラムベリー。今まで話したことが無くて、どんな方かと思っていたんですが、お優しそうな方ですね」

「いえいえ、お二人も私の想像通りの方で驚いております」

「ありがとうございます。それでは、早速お話ししたいことがございまして…」

 

 その後、シスターナナはクラムベリーに一通り伝えたい事を話した。

内容は今まで話してきた内容と同じだが、今こそ一致団結して、協力し合うべきだ。というものだ。

 

 

「まだ、スノーホワイトとラ・ピュセルしか協力者はいないのですが…どうかご協力願えますか?」

「スノーホワイトと、ラ・ピュセル…ですか。それでは私からも質問をさせて頂きたいのですが、宜しいでしょうか」

 

 一瞬クラムベリーが笑みを浮かべたのを、ウィンタープリズンは見逃さなかった。

 

 

「はい、私に答えられる範囲のものであれば、何でも」

「では、単刀直入に言わせてもらいます」

 

 

 

 

 

 

「やめませんか、こういうこと」

 

「…え?それはどういう意味でしょうか…?」

 

 

 ウィンタープリズンは手をポケットから出し、シスターナナを守るように前に出た。

 

「そのままの意味ですよ。私はあなた方のようにゲームに水を指すような行為が嫌いでしてね…。止めていただけませんか」

 

 

 シスターナナは言葉の意味が分からず、ウィンタープリズンに助けを求める。

するとウィンタープリズンは、一瞬で自身の目の前に魔法で壁を作った。

 

「ナナ!逃げろ!」

「えっ!?」

 

 その瞬間、壁が打ち破られ、クラムベリーがウィンタープリズンへ襲いかかる。

壁を一瞬で破壊されたことに驚くウィンタープリズンだったが、クラムベリーをなんとか押し返し、腹部にパンチを入れる。

 

 

「グッ…!さすがですね、ウィンタープリズン」

「やっぱり端から協力する気は無かったか。」

「私の目的は、ただあなたと戦いがしたかっただけです」

「何…?」

「確か、あなたが以前カラミティ・メアリを撃退したと聞きました」

「私はそんなあなたと是非戦ってみたかった」

「そんな理由でナナを利用したのか…!」

「申し訳ありませんが、そういうことになりますね」

「お前…!」

 

 そう言い合う間にもクラムベリーとウィンタープリズンの殴り合いは続く。

その途中、隠れていたシスターナナが、ウィンタープリズンへ祈りを捧げる。

すると、ウィンタープリズンの攻撃力が上昇し、クラムベリーを徐々に圧倒し始めた。

 

 シスターナナの魔法は、他人を1人強化できる能力であり、サポート能力である。

そしてクラムベリーは、ついにウィンタープリズンの一撃に吹き飛ばされた。

 

 

「ぐぅっ!」

「お前の敗因は、ナナを無力と判断したことだ!」

 

 

 もう一度クラムベリーの顔面にパンチを与えた。クラムベリーは採石場の大きな岩にめり込んだ。

砂煙でクラムベリーがどうなっているかがよく分からないが、ここは危険と判断したウィンタープリズンが、シスターナナを抱えて採石場から離れていった。

 

「これ以上の戦闘も話し合いも無意味だ!これで失礼する!」

 

 

 広範囲に響くような大きい声でそう叫び、シスターナナとウィンタープリズンは危機から脱した。

抜け出したクラムベリーが再び辺りを見回しても、もう二人はいなかった。

 

 

「…フッ」

 

 

 クラムベリーは、追うのを諦めた。

そして顔に笑みを浮かべながら、止まらない鼻血を抑えながらその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラ・ピュセル、もう謝らなくていいよ…」

「本当に済まなかった、スノーホワイト…」

 

 

 ラ・ピュセルとスノーホワイトは海岸で背を合わせて話していた。

あの日、ルーラとスイムスイムに襲われた時、自分は陽動に見事に引っ掛かり、スノーホワイト、小雪にとても辛い思いをさせてしまった。

あれから数日経つが、今は集合場所を日替わりで変えるようにしていた。

またいつキャンディー目当てに強襲されるか分からない。

そして、保険としてキャンディーは二人で半分ずつ持つことにしていた。

シスターナナ達の協力要請は今までの彼女を知っているからこそ協力したが、他の奴らは何を考えているか分からない。

こんな警戒しなければいけない状況が、とても大変だった。

ウィザードばかりに頼っているわけにもいかない。自分達のことは自分ええ守るしかない。

そう思い、ラ・ピュセルは、改めてスノーホワイトを守る剣になることを誓った。

 

 

「よっ、スノーホワイト、ラ・ピュセル」

 

 

 不意に声をかけられ、思わず剣を持つラ・ピュセルだったが、それがウィザードだと知ると、すぐに剣を置いた。

 

 

「晴兄!」

「晴人さん!」

「なんとかやれてるか、二人共」

「うん…まぁまぁ」

「そうか、ファントムをよく見る。二人も気を付けろよ」

「うん、晴兄もファントム退治頑張って!」

「おう、任せろ」

「所で二人共、たまから聞いたんだが、ラ・ピュセルが陽動されたときに、俺じゃない魔法使いが出たって聞いたんだが…そいつって金色で、目が緑だったか?」

「あ、あぁ、確かビーストって言ってたような…」

「そっか、ありがとう。やっぱあいつだったんだな…」

「何かあるの?」

「いいや、今度そいつに会ったら礼を言っておいてくれ…」

「うん、分かった」

「ありがとうな。にしてもあいつ、今どこだ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな3人の会話を、遠くから眺める黒い魔法少女がいた。

 

 

 

 

 

「白い…魔法少女…見つけた…」

 

 

 




11話でした。
次回はいよいよ…!?

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