DRIFTERS-ドリフターズ- 異なる時代の英雄達 作:金色狼
ついに二人が対面します。会話はあやふやです。
では、どうぞ!
※坂井さんの口調は曖昧。
◇菅野 直
「あァ···!!長ぇ!!」
菅野はひたすら森の中を走っていた。理由としては先ほど、森の中で聞こえた零戦の発動機の音、これを追って今来た道を帰っていた。
「クソ!足場悪すぎんだよ!バカヤロウ!!」
森の中は木々が生い茂っており、所々に根が巡らされていて、雑草も足に絡み付き、バランスを崩せばすぐに転んでしまう。菅野は前に2回は転んでいる。そのこともあり、イライラを募らせていた。
「うおっ!?」
転んだ。木の根に足を引っかけ盛大に、頭から転んでいった。この様をみたら部下たちは笑いを堪えられないだろう。
「痛ってぇな、チクショウ···!!あァ!?手前ぇ!!コノヤロウ!バカヤロウ!!」
菅野は足を引っかけた木の根をゲシゲシと蹴っていた。
「こんなことしてる場合じゃねえな···早く行かねぇと!」
菅野は脳裏に自分の愛機である紫電改を思い浮かべた。それと同時に多数の考えが浮上した。先ほどの零戦に乗っているパイロットが自分の愛機になにをするか分からない。もしかしたら奪われるかもしれない。そう思うと、木の根などを蹴っている場合ではない。
菅野は自分の愛機、それと零戦のパイロットがいるであろう飛行場に全速力で向かった····。
◇坂井 三郎
「頼むから上手く止まれよ····」
坂井はドーントレスと交戦中、謎の扉に吸い込まれて、この島に送られてきた。
零戦の機体には機銃弾を受けて開いた穴があり、発動機にも同様の痕が見られ、そこからは燃料が漏れている。
そして今、坂井は島の上空を飛行している時に見つけた飛行場に着陸しようとしていた。
着陸に失敗すれば自分も零戦もただではすまない。炎上して、爆発、そして最後には死だ。
零戦がランディングギアを展開、着陸体制に入った。
「止まれ·····止まってくれ···!」
コックピットのガタガタと振動が伝わる。ギアが地面に着いたのだ。ランディングギアが地面に着いてしまえば、そこからは簡単。ブレーキをかければ良いだけだ。
「う···おぉ···!」
上手くブレーキをかけられたようだ。零戦は止まった。坂井は発動機を止めて、風防を開けて外に出た。回りに広がる大自然より先に、目についた物があった。
それは、航空機だった。自分の他にもパイロットがいる。回りを見渡した。だが、パイロットらしき姿は見当たらない。
「これは·····なんだ?見たことがない飛行機だ。戦闘機か?」
坂井は戦闘機の回りをぐるりと一週した。左に回ったとき、左翼に目を止めた。大きな破孔が出来ていた。破孔のある場所には機銃が内蔵されていた。
「機銃が爆発したのか?整備兵も気を緩めてるな···?」
その戦闘機を眺めていると、後ろからガサガサと物音がした。
坂井は咄嗟に身構えた。もしかしたら米兵かも知れない。と、警戒したのだ。
だがそこから現れたのは米兵ではなかった。
「あァ!?手前ェ!!俺の愛機に触んな!バカヤロウ!コノヤ···あ?」
目の前にいたのは、自分と同じ服装の日本兵、恐らくこの戦闘機のパイロットだろう。
「君は···誰だ?」
「343空301飛新撰組隊長、菅野 直大尉でェあります!」
菅野はニヤっと笑いながら敬礼をした。
「菅野大尉か···分かった」
「自分は、坂井 三郎。階級は中尉であります」
坂井も菅野に敬礼を返した。二人とも敬礼を崩し、現状の把握を始めた。
菅野と坂井はこの島に送られてきた経緯を話した。
菅野はB-24爆撃機と交戦中、左翼内の機銃筒が爆発、列機の2番機が護衛を始めたが、空戦は終わっていない。空戦に戻るよう指示して数分後に謎の扉に吸い込まれ送られてきた。
坂井は、F4Fの編隊を全機撃墜後、飛行中の別編隊を視認。F4Fとドーントレスを誤認し後部銃座の機銃弾を機体に受け、燃料漏れを起こして、基地に帰還中、菅野と同じく謎の扉に吸い込まれてこの島に送られてきた。
二人の共通点は、死に際に立たされていること、そして、謎の扉に吸い込まれたこと。この2つだった。そこから坂井はなんともおかしな仮説を打ち立てた。
「死に際に立たされると、あの扉が現れて···ここに送られてくるんじゃないか?」
「要するに、死にかけたらこっちに来るって事か···?ならもっといる筈だ!死にかけてる奴ァ!俺の仲間だって死にかけてる奴は沢山いる!なんでそいつらが送られて来ねぇんだ!!」
「菅野大尉、落ち着いてくれ····俺達が送られて、他の兵は送られてこなかった·······。もしかして、俺達は選ばれたから送られてきたんじゃないか···?」
「選ばれて送られてきた···!?んだよ、そりゃぁ···」
「そのままだ···俺達は選別されたんだよ···どこの誰かは知らないが···選別をしていたんだ」
「選ばれてここにいんのかよ···!!どこの物語だ!!」
菅野は軽くツッコミを入れたが、坂井受け流した。
「菅野大尉、他にも情報は無いか···?この島の情報は出来るだけ知っておきたい」
「あァ···そういや···俺が送られてきた時だったか···ボロい建物の前に、誰かいたな····黄色い服着てよ···緑の袴はいてたな···」
「あぁ···その建物なら見たぞ。呉にも横須賀にも似たものがあっただろう?確か···鎮守府って言ったかな。だが、そのような人は見ていない···まず、鎮守府跡の前に人なんていなかったが···その情報は確かか?」
「俺ァこの目でしっかり見た!!確かにいたんだよ!!」
「分かった、まぁ、落ち着いてくれ···」
坂井は情報交換を一旦打ちきり、その鎮守府跡に向かおうと、提案をした。
菅野は「俺はそこに行こうとしたんだよ!そしたら発動機の音がしたから、戻ってきたんだ!!」と、ここに戻ってきたのを坂井のせいにするように怒鳴った。坂井は苦笑しながら菅野を落ち着かせた。
「それでは、菅野大尉。鎮守府跡までの道は分かるか?」
「んなもん知るわけねぇだろ。さっきだって勘で森ん中歩いてたんだ。だけど、鎮守府跡の方角からして向こうだろうな。真っ直ぐ進みゃ、いつか着くだろ」
菅野は自分の愛機である戦闘機、紫電改の後部に広がる森を指差した。
「そうか···、向こうへ進めばいつか着く···随分と雑な説明だったが、方角が分かるだけましだな···」
「だろ?そうと決まりゃ、さっさと行こうぜ!」
「あぁ···そうだな」
戦闘機パイロットの二人は、鎮守府跡があるであろう方角を真っ直ぐと進んでいった·····。
はい、3話目、どうでしたでしょうか。
坂井さんの口調が曖昧だけど気にしないでください。それより、菅野が坂井に対してタメ口で喋りかけていますが、そこも気にしないでください。それ以前に、タグに空母艦娘っていれやは良いけど、まだ一人しか出てない···増やさなければ。装甲空母とか。一航戦を出してみましょうかね。近いうちに。
では、また次回お会いしましょう!