『・・・・EMIYAさんの反応がありません、恐らく相手の宝具で消しとばされたか・・・空間の崩壊に飲み込まれたかでしょう・・・・しかし、彼が居なければ恐らくヤられて居ました。』
「そんな・・・まさか・・・」
ルビーの説明が続いて居たが全く耳に入らなかった、小さく震えながら必死に涙をこらえそれでも溢れる雫を拭いながら呟く凛さんの言葉が此処にいる全員の心を代弁して居た。
EMIYAさんによって地上まで強制転移させられた後私たちの入っていった穴から赤黒い風見たいな物が吹き出して、それと一緒にボロボロになった敵と大きな船みたいなものが出ていった。そのあと瓦礫の山になった工事現場で私とルビーはEMIYAさんを探して居た。
「まあ、どうせすごい頑丈だし、死んでも蘇るし大丈夫だよね?」
でもこの時からもう嫌な予感はしてた。前戦ったバーサーカーも不死身だったけれどその不死身を越えるダメージを与えれば倒すことができた、もしさっきの攻撃がEMIYAさんの不死を上回ってたら?そんな事が頭に浮かんでそれを必死に振り払って居た。
『・・・・イリヤさん、上に上がってください、もう直ぐ此処も崩れてしまいます。それにあのEMIYAさんですよ?』
サファイアはいつだったか言っていた、『お姉さまは嘘をつく時頭を掻く癖がある』って、でもこの時はもう全然そんなの見えてなくて、でも本当はもう判ってたルビーが嘘を吐いてるのは・・・私が、気付きたくなかっただけ、ルビーは妙に優しい時があったり悲しがるフリをしたり情緒が激しいし、声のトーンもいっつも上下しているのに・・・恐ろしいくらい平坦だった。
遠坂さんもルヴィアさんも探査の魔術を何回も掛けて、サファイアも美遊も空間の歪みが無いかなんども確かめた・・・残っていたのは、ボロボロに斬り裂かれた上血濡れになった真っ赤な白衣だけ。しかもそれが上から落ちて来た、瓦礫の山じゃなくてあの船からである。多分・・・言いたく無いけど、あの大きな船に潰されちゃったんだと思う、EMIYAさんは『おれ、細切れになっても大丈夫だけど、微塵も残らなかったら復活できないからさ〜』と巫山戯たように言っていた。
「はは、可笑しいな、EMIYAさんは早く出て来てよ・・・ねえ?」
『イリヤさん・・・』
「イリヤ・・・」
いつもみたいにニヤニヤしながら敵を吹っ飛ばしてよ・・・ねえ!
「正義の味方なんでしょ!!颯爽と現れてよ!!」
波の音と共に敵が動き出す。
「あ、てき、だ。倒さなきゃ、EMIYAさんを返してもらうために、倒さなきゃ。」
『イリヤさん!?魔力を抑えて、抑えー』
膨大な魔力によってルビーの声は掻き消され、更に多くの魔力がイリヤの聖杯から引き出されイリヤの願いを叶えるためカレイドステッキを触媒にあらゆる世界線の力を搔き集める。
「『
吹き荒れる魔力が収まると同時にイリヤから放たれた高次元からの魔力収束砲は既に龍脈の収束地点にいた黒化英霊を吹き飛ばした。
しかし、山頂から巨大なナニカが吹き出し受肉して行く、間に合わなかったようだ。
「敵は・・・倒さなきゃ。」
あまりの情報量の多さに固まっていた遠坂達が見たのは。背中から六枚の圧縮された高密度魔力の翼を生やし全裸に血濡れの白衣を着て巨大な弓を携える『アルティメット☆イリヤ』の姿だった。
『アルティメット☆イリヤ』
対界宝具・変身宝具
魔法少女の全可能性を吸い込んだイリヤの最高火力にして、最終形態、更に言うなら暴走形態。
その弓の一撃は銀河を砕き、概念的に悪と理不尽を燃やし尽くす。
また、この形態時は世界からズレ、浮き上がるので一時的にフィードバックや有りとあらゆる制約を受け無い。また、意識はほとんど無く目的と実力の齟齬が生み出す『願い』と言う未知の力を使い世界のエントロピーを凌駕して顕現するので目的が達されれば元に戻る。
この形態になるだけなら全身が燃えるように痛み、全身からちょっと致死量の血が出るだけ、しかも聖杯と愉快型魔術礼装を媒介としてるため宿主へのダメージは最小になるはずなのだがし変身発動後弓を使い攻撃した場合世界や抑止のフィードバックをもろに受け死に至る。まさに諸刃の剣。
私の世界を壊した総てを壊して・・・リセットするんだ。