エミヤを魔改造したかっただけ   作:名状しがたい魔王

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エミヤの姉貴はエミヤじゃ無い。

一陣の風と共に現れたのは控えめに言って中学生、本音を言えば小学生に見える銀髪赤目の衛宮切嗣の娘、イリヤスフィールだった。幸いにもまだあの筋肉はいない様である、少なくとも俺に感知できる一キロ圏内にはいない。

 

「こんばんは、エミヤシロウ。」

 

「ああ、こんばんは、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、今日は何の用かな?墓参り、それとも挨拶回りかな。」

 

自身のフルネームを言われた彼女はとても驚いた様に見えたが少し遠い、しかし確かに動揺の色を見せた。

 

「・・・驚きだわ、何処で私の名前を?」

 

「じいさん、つまり君の父、衛宮切嗣が俺に姉がいると言っていた。そして、じいさんの遺品に写真があった。それだけだ。」

 

「そう・・・じゃあ私の目的はもう解るよね?出て来て!アヴェンジャー!」

 

その瞬間全身の神経を逆なでされた様な気持ちの悪い感覚が俺を襲う、これは忠告だ死を全身が避けようとするサインだ。堪に従い概念回避を使用しつつ瞬歩バックステップをする。直後俺の立っていた場所は跡形もなく吹き飛び五メートルほどのクレーターが出来た。

 

「ほう、今のを避けるか、中々やるものだ。」

 

現れたのは二メートルの長身とそれを覆う様に毛皮の様な物を被った男だった。

 

「アルケイデス、だな、その毛皮はありがとうございます。丁重に使わせてもらうよ。」

(あと弓もな、しかしやべえなこりゃ誰を呼んでも死ぬ、これがシナリオか。)

 

「よく分かったな弱者よ我が名はアルケイデス、神に成った愚物と神への復讐者だ。」

 

「ちょっと!アベンジャー、殺しちゃダメって言ったでしょ!」

 

「フンッ。」

 

厳しいがまだ勝機は・・・・那由多の彼方くらいにある。だが確か、あの毛皮には人類の歴史とも言える道具の類を拒絶する能力がある、マジカル八極拳は効くかも知れないがそもそもが固すぎる。それにイリヤスフィールは未だあの鯖を御しきれて無いようだ、やるなら今しかないか?

 

「『固有時制御』十倍!衛宮士郎!突貫する。」

 

念のためにコンテンダーをいつでも出せる様にする。万が一の時は・・・やるしか無い。そんだけの化け物なんだから。

 

「はッ、面白い、この私に肉弾戦を挑もうなどという馬鹿は初めてだ!」

 

アルケイデスが殺気と闘気を解放し周りの空間が重く成った様な錯覚すらする。しかし、それは悪手だイリヤスフィールは純粋だだからこそ残酷にも慣れるがハッキリ言って慣れが足りない。案の定お寝んね状態だ。

 

しかし、そんだけ周りを見れたのもここまでであった。相手が目の前にいるのだ、倒さなければな!

 

アルケイデスの動きは流石英雄というだけあった、技巧、力、速さ、その全てが揃っていた。しかしそんな事は百も承知である。打ち合わずに受け流す、柳の様に水の様に、俺の圏境は僅か体から一センチの場所凄まじい風圧が俺を襲うが臆してはいけ無い。一撃の被弾も許されない。被弾は即ち死を表す。攻撃も俺の打撃では意味がない、相手の力をそのまま相手に透す、コレしかない。

 

「ハハハハハハハ!いいぞ、貴様は弱者などではない様だしかし、私には届かない!」

 

ラッシュが早まる、固有時制御を容量ギリギリの12倍まで引き上げる、身体への強化も通常時の20倍近い、魔力と精神力がキツイ!

 

ガガガガガガガガ、ギャイン!ドゴン!バアン!

 

拳を振るうだけで空気が破裂し、地面に衝撃を受け流せば地面が割れる。気付けば公園の原型は吹き飛び何時の間にか林に入っていた。ここで制限時間がくる、残り僅かな魔力と気力を残して緊急離脱、クレーターまで戻る。

 

「はあ、はあ、かっは、ふう、はあ。」

 

間髪を開けずアルケイデスが林から出てくる。

 

「神秘という神秘は駆逐され今や英雄など生まれるはずも無いと思っていたのだが・・・貴様中々やる様だな。」

 

戦闘時間は時間にしてたった五分ほどである。しかし、消耗がほとんどない彼方に比べて、こっちはもう殆どすっからかんである。令呪を切るか?其れともなけなしのアレを使うか?

 

「ほう?未だ戦うと言うのか、やはり馬鹿なのか?ならばせめて弓矢で殺してやろう、なあにこの私の矢に射抜かれるなど素晴らしい名誉であろう?」

 

元々の設定上此奴はかなり悪よりだった。しかも今回は冬木の聖杯から支給されてきたアヴェンジャー、泥やなんかで強化もとい狂化してんだろうな。

 

大弓を構えそこに矢をつがえるアヴェンジャー、俺は切嗣の遺灰を詰めたたった一発の弾丸をコンテンダーに装填した。

 

「死ね」

 

おおゆみの弦から手を離すと同時にビームの様な物が発射される。それを最後の概念回避で避けゼロ距離でコンテンダーをアルケイデスの脇腹に打つ。切嗣の起源は『切って、繋ぐ』例えそれが遺灰であっても彼の骨から出来ているわけだ。これを使い劣化版なので霊基を切って繋いで大勝利とはいかないが一時的に鯖を止められる。勿論マスターや魔術師に撃てば即死級だが、鯖は魔力の塊せいぜい一時的に強制的な霊体化を引き起こしたりするだけである。しかし、逃げるには最適だ。

 

「なんっだ!?と!」

 

さらに言えば、毛皮の掛かっていない場所に直接打つことで道具のへの圧倒的防御を少しは貫通できる、起源弾は体内に少しでもネジ込めれば勝ちなのだ。

 

「また今度、だな。」

 

「こっちを、見下ろ・・・」

 

霊体化した様だ。後は転がっているイリヤスフィールの心臓から聖杯を抜き出す、此れはアニメでアヴァロンを士郎から出している時みたいな絵を想像してもらうといい、やってる事はかなりヤバイけどね、結局令呪を一角消費しながらもイリヤスフィールの身体と聖杯の分離をしイリヤスフィールの修繕というか蘇生、呪的加工の解呪を完了。性能そのままで寿命は人間程度そして何より聖杯化しない様に成った。さて、後二分ほどでアルケイデスも完全でないながら復活すると思うのでマッハで隠蔽とか色々しつつ帰宅、濃密な一時間だった・・・ぜ・・・・。

 

バタン

 

身体への過剰な負担と神経系を使った疑似魔術回路の破損、魔力量の大幅な減少、抑止力からの圧力により一時的な行動不能状態が引き起こされています。早急に休息をとってください。

 

 




真アーチャーは凄く強いんだから!

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