Fate/ANOTHER FAIRY 作:ユーリ・クラウディア
この作品では士郎達の基準が級では無くクラスの方に意識が傾いているため、殆どの場合で級、では無くランクで表記します。
それでは、本編どうぞ
「デリオラ?ああ、あの氷に閉じ込められた哀れな悪魔か」
「ん?知ってるのか?ギル」
「ああ、前にある島の遺跡に行った時にそれらしい物を見た」
「ふ~ん、で、マカロフさん、それがどうしたんだ?」
ギルドのカウンターで何時も野三人は食事を取りながらマカロフから依頼を受けてくれと頼まれ詳細を聞いて居た。
「それがの、ナツ達が勝手にS級クエストに行ってしまっての…、その行先にデリオラと思しき氷の塊が持ち込まれたとの情報を手に入れてな、ナツ達の捕獲にエルザを行かせたのじゃがデリオラが絡んでいるならエルザ一人では荷が重いと思っての、そなたらにも増援に行って欲しいのじゃ。」
「何やってんだよ…、アイツ等…」
「アハハハ、アイツ等マジでバカだな!」
「雑種め、部をわきまえる事を知らんのか。」
三者三様の反応だがどこか余裕を感じさせる反応をする三人
「どうじゃ?頼まれてくれんかの?」
「ん~、まあ、構いま『断る』…。」
承諾しようとした士郎のセリフに被せてギルが依頼を断る。
「なんでさ?」
「貴様らは勘違いをしているようだが、アレはもう死んでいる。」
「死んでる?」
ギルの発言の意図を探ろうとする一同
「言葉通りだ、聞けばアレは10年もの間氷に閉じ込められているそうじゃないか。アレはこの十年でその氷に命を蝕まれ最早氷の呪縛から解けようとも長くはあるまい。」
「成程、じゃあ何とかなるな」
「それに、雑種共が依頼に行ったのは何時の事だ?行った所で今更やる事など残って居るわけが無かろう?」
ギルの言う通りナツ達が依頼に出たのが三日前、エルザを追手に出したのが問題発覚から四時間後、デリオラの存在発覚が五時間前、そして今だ、首尾よくいって居ればもう帰って来ていても不思議ではない頃合いだ。
「ただいまーーーー!!」
その時ギルドにナツ達が帰って来た。
「いつも思うが、アイツ等は狙っているのか?」
士郎はあまりのタイミングに呆れかえる。
「…そなたの言う通り問題なかったようじゃの…」
マスターも何やら居たたまれない気持ちになっている
「まあ良い、ではこれとは別件で行って欲しい依頼が有るのじゃ」
そう言ってマカロフは懐から三枚の依頼書を出す。
「…Sランククエスト、巨兵アンデルスの討滅
Sランククエスト、深海王リヴァルトの討滅
Sランククエスト、凶賊集団グロリアスの完全討滅」
差し出されたのはSランククエスト、先程まで問題になっていたランクの物だ。
「そなたらには、このクエストに行って貰いたい、見事成功したら即座にS級に昇格じゃ。」
「どうする?」
「いいんじゃないか?どうせ暇だしAランクじゃあ物足りないしな」
「我も同意だ、このくらいでなければ余興にもならん」
「じゃあ、満場一致で受けるって事でお願いします。」
こうして、三人はSランククエストに出かけて行った。
因みに割り振りは
アンデルス→モードレッド
リヴァルト→ギルガメッシュ
グロリアス→士郎
である。
士郎は若干人間の討伐に顔をしかめたが了承した。
ギルがリヴァルトなのは深海での戦闘が出来るのがギルくらいだったからだ。
モードは巨兵と言う響きがなんか強そうだからと言う理由だ。
更に余談だが、士郎がリヴァルトをフィッシュしたくてうずうずしていたそうだ
それに気づいたのは、釣り好きと知っているモードレッドとギルくらいだ。
***********
side.モードレッド
フィオーレ王国辺境のとある平原、モードレッドは一人それと対峙していた。
「おらおら!どうしたその程度か!」
モードレッドの本気の攻撃にのけぞるアンデルス
アンデルスは必死にモードレッドへと攻撃するが当たらない
「おいおい、Sランクって言うから期待したのにこの程度かよ…」
落胆するモードレッド、そこに残る全魔力を乗せた拳が放たれる
それにモードレッドは同じく魔力を乗せた拳を放つ
そう、拳だ…、モードレッドは剣では無く拳、つまりS級相手に素手で圧倒していた。
そして攻撃が交わった時、アンデルスの腕だけが爆散した。
「もう終わらせるか、素手とは言え俺に本気を出させた事に敬意を表してやるよ。」
そう言ってモードレッドは愛剣クレラントを召喚する。
「あばよ…」
そして、モードレッドの姿がぶれた、モードレッドはアンデルスに背を向け歩き出す。
アンデルスは訝しみながらも好機と攻撃しようとした。
しかし、その瞬間アンデルスは細切れになり意識を永遠に失った。
「さて、帰るか…、もう五日も士郎の飯を食ってねーからな…、」
モードレッドは思いのほか移動に時間が掛かり五日間も士郎の手料理を食べていない、既に禁断症状一歩手前だ…
「よし!早く帰って士郎に飯を作ってもらおう!」
そう言ってモードレッドは残る残る魔力を全て集めて全速力で走り去っていった。
後にこの全力疾走したモードレッドを見た物が地を駆ける流星を見たと噂し、暫く国中で話題になったそうだ。
side.out
***********
side.ギルガメッシュ
ギルは今港の沖、約30キロの地点でフィッシングをしていた。
と言うのも士郎が釣り好きな事を知り自身が大物を釣り上げた事を自慢しようと思ったようだ。まあ、早い話しが気になる異性に意地悪をしたくなったりする小学生みたいな感情の延長から来る行動だ。そのため
因みに、ギルドを発ってから既に6日移動に2日掛け、4日間獲物であるリヴァルトが釣れるのを待って居る。他に釣れた物は即座にリリースしている。
ギルなら宝具で即座に居場所を突き止め狙って釣り上げる事も可能なのだが、あくまでも釣りをしているのでその手の反則はプライドが許さない様だ。現在使っている宝具は許容できる範囲の物だけである。
「来たか…」
その時天の鎖に反応があった。
「ふむ、この感覚はかなりデカいな、やっと本命か?」
そう言ってギルは天の鎖を一気に引き上げる
「ハッ!待ちわびたぞ!」
釣り上げたのは本命のリヴァルト
「しかし、不味そうだな…、あわよくば食してやろうとも思うたが、やめだ、その醜い身体!一片たりとも残さずに逝け!」
その後は語るまでも無く何時ものワンサイドゲームだ。
「ふむ、では帰るとするか、士郎の奴にフルコースディナーを用意しさせよう。」
こうして、ギルのSランククエストは終わったのだった。
side out
***********
side.士郎
「全員武器を置いて投降しろ!」
士郎はグロリアスに向けて警告をしていた。
「あぁ?こいつバカじゃねえの?俺達に向かって投降しろだ?正気じゃねえな!」
「まあ良いじゃねえか、粋がった事を公開させてやりな!」
そう言ってグロリアスは一斉に襲い掛かる。
「警告はしたぞ…」
苦虫を噛み潰したような顔で士郎は干将・莫邪を構える。
死屍累々
その場には屍が積み上げられ生きている者は一人として居ない…、シロウ以外は。
今回の依頼は完全討滅、つまり一人残らずに皆殺しである。
唯一最初の警告で投降した者は殺さずとも良かったのだがそんな事は凶賊相手に期待できない時点でこれは決まった事だった。
「体は剣で出来ている…」
そう呟いて士郎はその場を後にし、ギルドへの帰路についた。
正義の体現者、今の士郎の背中はあの赤い弓兵にそっくりに見えた…。
はい、作者的都合で月の島編をぶっちしました。
まあ、この依頼は次ぎへの中継ぎと士郎のための精神的不幸フラグ建築&内心デレてるギルとモーさんネタ回でした。
そしてこの英霊達士郎の飯好きすぎだろ…