Fate/ANOTHER FAIRY   作:ユーリ・クラウディア

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親子の問題

「ふむ、貴様の料理は我が食すに値する物だな」

 

「そいつは如何も」

 

「いや、ホントにうめーな!」

 

朝食をとる三人

勿論作ったのは士郎だ

士郎はアルトリアよろしく英霊だろうと食事をとらせるので、三人は毎日三食食べている、まあ今は士郎の料理が美味すぎてやめられない状態なのだが…。

ギルガメッシュも士郎の料理を認めているようで時折自分で高級素材を調達し士郎にフルコースディナーを作らせている。

士郎の料理はそんじょそこらの高級料理店では太刀打ちできない程のもので、それは一般の食材を使っても同じ事だ。一般食材が高級食材を下剋上するさまは最早呆れて声も出ない。

 

ギルドに入って数週間、既に稼いだ金で暫くは豪遊できる状態で、三人は思い思いに日々を送っている。

 

士郎は普段誰も受けたがらない割に合わないクエストをし人助けに徹する。

 

モードレッドは相変わらず高難度討伐依頼を受けて日々強者との戦いを求めている。

 

ギルガメッシュは遺跡探査の依頼を片っ端から受け財宝を根こそぎにし、報酬で高級素材を買い士郎に作らせている。

 

 

「なあ、モードレッド、今日空いてるか?」

 

「あ?特に予定はないぞ。」

 

「ならちょっと修練に付き合ってくれ、最近骨の有る奴とやってないから腕がなまりそうで…」

 

「いいぞ、何処でやる?」

 

「ああ、家の敷地でやると庭が荒れそうだからギルドでやろう。あそこにはそんな施設があったと思う」

 

「わかった、此れ食い終わったら行こう」

 

「ほぉう、士郎の実力はあまり把握していないからな、我も行こう」

 

こうして、三人はギルドに向かった。

 

 

 

***********

 

 

 

赤原礼装に身を包む士郎と全身甲冑のモードレッドが向かい合っている。

この二人はお互いに修練とは言え侮って良い相手では無い事を理解しているので。装備を実戦用にしている。

 

「さて、準備運動も終わったし始めようぜ」

 

そう言ってモードレッドは自身の剣を召喚する。

 

「ああ、よろしく頼む」

 

士郎も両手に干将・莫邪を投影した。

 

 

「二人とも換装系の魔法なのか」

 

ギャラリーが興味津々で二人の戦力を考察している。

ギャラリーは今ギルドに居るほぼ全員でナツやルーシィといった面々も居る

 

 

そして、二人はその場から消えた。

 

それと同時に剣が交わる音が聞こえ、火花が散る。

 

あまりの速度に目で捉え切れているのはミラくらいだろう。

他の面々は残像が見えているのが精々で全く見えていない者もいる。

 

「ハッ!結構やるじゃねーか!」

 

「嫌味にしか聞こえないよ!」

 

モードレッドに干将・莫邪を折られもう一度投影し直す士郎

 

「クソ!」

 

モードレッドの猛攻に行ったん後方に飛び弓で牽制する士郎

 

「無駄ぁ無駄ぁ!」

 

しかしお構いなしに矢を叩き落しながら突っ込んで来るモードレッド

 

そして、モードレッドの剣が士郎の首に掛けられる。

 

「降参だ、俺の負けだよ」

 

「俺の勝ちだ 」

 

ギャラリーは唖然としている

想像を遥かに超える戦い、自身が認識し切れない程の戦いがただの修練だった事に驚愕している。

 

「やっぱり、モードレッドは強いな…」

 

「まあ正面から戦えば俺は士郎に負けないぜ、…だがな、これが殺し合いだったら分からないぜ?奇襲や狙撃にはそっちに分があるんだから。」

 

「それはそれ、これはこれだよ」

 

「何だそりゃ」

 

笑いあう二人、心なしが不機嫌そうなギルガメッシュ。

 

「それとさ、お前の剣に父上の影が見え隠れするんだが何でだ?」

 

モードレッドが真剣な顔で聞いてくる。

 

「それは…、それは俺に剣の基礎を教えてくれたのがアルトリア本人だからだよ。」

 

士郎は一瞬言い淀んだが、意を決して言う。

 

「そうか…、父上の…」

 

「ああ、昔聖杯戦争に巻き込まれた時に俺がサーヴァントとして偶然召喚したのがアイツだったんだ。とんでもなく不器用で大喰らいだったよ」

 

「…」

 

モードレッドの顔に影が掛かる。

それを見て士郎は言葉を紡いだ。

 

「確かに、アイツは国を一番に考えていたから、お前に王位を譲らなかったし、そっけない態度をとった。」

 

「…投影・開始(トレース・オン)

 

士郎はおもむろにとある物を投影した。

 

それは自身の半身とも言える物、鞘だ。

 

「アイツは後悔してやり直しを願っていたけど、最後に自身の失敗を受け入れて逝ったよ…、アイツの鞘のオリジナルは今も俺の中にある。殆ど俺と同化して渡せないから投影品だけど、これを…」

 

そう言って士郎は鞘を渡した。

それは半身故にほぼ完ぺキに再現された物、全ての工程を無視して作り出された。贋作だった。

 

「アイツはそれでもお前を愛していたよ。ただ言葉が足りずに行き違いになっていただけで、本当に君を愛していた。」

 

その言葉にモードレッドは涙を流す。

すかさずヘルムを被り誤魔化したので士郎以外はこの事に気づかなかった。

 

「さあ、今日は帰ろう」

 

そう言ってその場を後にした士郎、それに少し遅れてモードレッドも去って行った

 

 

 

こうして、時と世界を越えて親子のわだかまりに終止符が打たれたのだった。




モードレッドへのアルトリアの気持ちは私の捏造です。そうだったらいいなっていう妄想です。原作のアルトリアがどう言う風に思っていたか私には分かりませんでした。きっとこうであったと勝手に思っています。

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