捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

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プロローグ7

「やっほ~!果南ちゃん!」

「ヨーソロー!」

 松浦の知り合いと思われる二人がボートを降り、こちらへ駆け寄ってくる。蜜柑色がかった短めの髪の少女は手をぶんぶん振り、薄目の茶色が印象的なショートボブの少女は敬礼しながら、という賑やかな挨拶スタイルだ。

「今日も二人して元気だね」

「もっちろん!新学期始まったらやりたい事始めるからね!景気づけに潜りに来たよ!」

「そちらの二人は、お客さん?」

 ヨーソロー(仮)の視線がこちらに向く。

「うん。この前引っ越してきたんだって。こっちの子は千歌達の後輩になるよ」

「え、そうなの!?」

「初めまして比企谷小町です!こっちが兄の…………」

「比企谷八幡だ」

「私は高海千歌です!浦の星女学院の2年生!」

 元気いいなー。でも少し声のボリュームを落としていただけると助かります。

「ヨーソロー!初めまして。渡辺曜です!」

 つられて敬礼をしそうになった。軽く手を上げて応え、それをごまかす。片や小町はビシッと敬礼を返している。適応力高すぎである。

「ヨーソロー!私の事は小町って呼んでください、先輩♪」

「よろしくね、小町ちゃん!お兄さんも!」

「お、おう…………」

 唐突な距離の詰め方に一歩引いてしまう。こちらが男だという事はあまり意識していないようだ。男の勘違い製造機である。

「お兄さんはどこの高校に通うんですか?」

 渡辺が隣にすとんと腰かけてくる。こちらは普通の距離感で助かる。

「沼津の共学だ」

「へえ、結構大きな高校ですよね。あ、二人はどちらから引っ越してきたんですか?」

「「千葉!」」

「「…………」」

 あ、やべ。千葉愛が爆発してドン引きさせてしまった。高海と渡辺は顔を見合わせている。

「千葉って…………どこだっけ?」

「東京の下だよ、千歌ちゃん」

「くっ。これが千葉のイメージなのか…………!」

「お兄ちゃん、ファイトだよ!お兄ちゃんが千葉の良さを広めていけばいいんだよ!」

「ああ、そうだな…………」

「よ、曜ちゃん。私、何かいけない事言っちゃったかな?」

「多分…………」

「あはは…………」

 意外と東京の下という表現も傷つくのだがあえて口には出すまい。さて、MAXコーヒーはどこかな?そこの自販機には…………ない。

「ねえ、皆で一緒に潜らない!?」

「お近づきの印にって事で!」

「いいね、やろう!」

「ほら、お兄ちゃん!」

「あ、ああ…………」

 幾つもの歯車がギシギシと音を立て、静かに回り出す。どの歯車がどの歯車と噛み合うのか、それは誰にもわからない。

 

「ここで…………海の音が聞けるのかな?」

 

「フフッ、ようやく戻って来れたワ。待っててね果南、ダイヤ!」

 

 こうして物語の続きが紡がれていく。




 次回から個別に入ります。最初は果たして…………。

 読んでくれた方々、ありがとうございます!

 

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