捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編 作:ローリング・ビートル
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それでは今回もよろしくお願いします。
「お兄ちゃん、早く早く~!」
小町に手を引かれながら、今日も晴天の下をたったかたったか小走りで目的地まで急ぐ。
「な、なあ、小町ちゃん。何も開店と同時に行かなくても…………」
「何いってんの!やっぱり一番乗りでやりたいじゃん!並ぶ必要もないし」
「…………」
正直その心配はないと思う。
そこまでの人通りはない。
まあ、これはこれで落ち着くんだけど。ついでにリア充もいないと助かる。
「いらっしゃいませ-!」
考えている内に目的地に到着していたようだ。元気のいい女性店員の声が響く。
その声の方に目を向けると、ポニーテールの女性が奥から出てきた。年は割と近そうだ。ポニーテールなんて川何とかさん以来!さすがにパンツからの登場はしないけど!
「あの…………どうかしました?」
怪訝そうな目を向けられる。いかん。こっちが変なインパクトを与えてしまうところだった。
「ごめんなさ~い。お兄ちゃんったら、すぐ美人に見とれちゃうから」
小町がフォローにならないフォローをしてくる。
「ふふっ。ありがとうございます!」
「あ、実はダイビング初めてなんですけど」
「じゃあ、こちらへどうぞ」
受け付けやら準備やら、小町の代わりにしっかり話を聞き、ようやく潜る事になる。
海中は自分が思ったよりずっと透き通っていた。
水面という確かな境界線があり、その下ではまったく別の世界の営みがあった。
その世界の広がりに心を奪われてしまった。
「どうでした?」
「ああ、楽しかったです…………」
「すごかったです!こう、ばぁ~っと青くて!」
小町のアホっぽい感想に頭を抱えていると、隣ではそれ以上に悩ましい光景が広がっていた。
「ふう…………」
ポニーテールさんはウエットスーツのジッパーを下ろし、上半身は水着だけになる。豊満な胸の谷間も、くっきりとしたくびれも、青空と海に映えていた。
また見過ぎないように顔を逸らす。
「お二人は旅行で来られたんですか?」
「いえいえ、小町達は最近引っ越してきたんですよ!」
「へえ、どちらから?」
「「千葉」」
「もう、ここには慣れました?」
「ぼちぼちですね」
千葉愛が深いもので。
「学校はこの辺り?」
「私は浦の星女学院の1年生になります」
「そっか。じゃあ私の後輩だね」
「え、てことは…………」
「今年度から浦の星女学院3年になります松浦果南です。よろしくね比企谷さん」
「あ、はい!改めまして比企谷小町です!こちらは兄の…………」
「比企谷八幡だ」
「お兄さんの学年は?」
「兄は果南さんと同じですよ~」
「そっか。よろしくね」
「あ、ああ…………」
「先日生徒会長とも偶然出逢ったんですよ♪」
「生徒会長…………ダイヤ?」
「はい!お知り合いなんですか?」
「小っちゃい頃からの親友だよ」
一瞬表情が翳った気がするのは何故だろうか。
「お二人に学校で会えるの楽しみだなぁ~」
「あ、実は今休学中なんだ」
「え?どうしてですか?」
「おい、小町」
「あ、お父さんがケガしてるだけだよ。それでお店手伝ってるの」
さすがに踏み込みすぎかと思い、小町を制するが、松浦はあっさり答える。
「そうか」
「あ、何ならうちの兄を使ってくれていいですよ!どーせヒマだし」
確かに本当の事なんだけどね。いや、いいんだけどさ。
「え?わ、悪いよ。大した給料出せないし」
「いえいえ、果南さんみたいな美人と働けるならお兄ちゃんも気にしないと思います」
「おいおい」
小町に抗議しようとすると、突然の大音量に遮られた。
「果南ちゃ~ん!」
声のする方を見てみると、ボートから女子が二人手をぶんぶん振っていた。
ダイビングに関しては後で調べて加筆修正します!
読んでくれた方々、ありがとうございます!